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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島・遺伝的影響資料に「出生性比」が無し

 6月18日に31回福島県「県民健康調査」検討委員会が開かれました(1)。そこに、福島程度の被ばくでは遺伝的影響は無いとする資料が提出されました(2)。放射線影響研究所は、放射性影響研究所は広島や長崎で遺伝的な影響が無かった根拠として、出生時の障害、DNA調査、赤ちゃんの男女比(出生性比)、染色体異常、血液蛋白質の突然変異、死亡率およびがん罹患率をあげています(3)。一方で提出された資料では出生時の障害、染色体異常、死亡率およびがん罹患率は取り上げられていますが、赤ちゃんの男女比(出生性比)等の4項目は抜けています(2)。(=^・^=)なりに調べると避難指示発令が4月22日と遅かった「計画的避難区域」が主な避難区域であった1町2村(川俣町、飯舘村、葛尾村)(4)では事故後に女の子が多く生まれる異常な事態が起きています。
 以下に福島で設定された避難区域を示します。
事故8年目になって汚染されている福島
 ※1(5)の数値データを元に(6)に示す手法で6月1日時点に換算
 ※2 避難区域は(4)による
 図-1 旧計画的避難区域

 図に示し通り国が除染が必要だとする毎時0.23マイクロシーベルト(7)を超えた地域が広がっています。事故8年目になりましたが福島は汚染されたままです。
 動物学において、アルビノ(albino)は、遺伝子の欠陥で先天的にメラニン(色素)が欠乏する疾患です(8)(9)。沼沢湖は福島県西部の山中にあるカルデラ湖で(10)、ヒメマスが生息しています(11)。原発事故でに沼沢湖のヒメマスは汚染されました。

長らく基準値を超えていた沼沢湖のヒメマス
 ※(11)を集計
 図-2 沼沢湖ヒメマスのセシウム濃度

 2016年5月にはアルビノのヒメマスが見つかっていたそうです(12)。
沼沢湖で見つかったアルビノニジマス
 ※(13)を転載
 図-3 沼沢湖で見つかったアルビノのヒメマス

 福島ではモミの木(14)や蝶の一種のヤマトシジミ(15)でも放射線の影響と思われる異常が見つかっています。昨年には福島県内でアルビノのスズメも見つかりました(16)。
 多くの方が不安だと思います。福島県飯舘村に住んでいた渡辺菜央さんは2011年5月に開かれた東京電力の説明会で
「将来結婚したとき、被ばくして子どもが産めなくなったら」
と質問されました(17)。
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 ※(18)を転載
 図―3 「産めなくなったら・・」と質問する福島県飯館村の綺麗な女性

 その後は彼女の質問の通りとなりました。以下に福島の合計特殊出生率を示します。
2011,12年と下がった福島の合計特殊出生率
 ※(19)を引用
 図―4 福島の合計特殊出生率

 図に示す通り、事故があった2011年と翌年に低下しています。一人の女性が一生に産む子供の数の平均の数です(20)。2012年の福島は特異的に子どもが生まれ難くなりした。このようなことは同じ被災地でも岩手や宮城では起こっていません。
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 ※(21)を転載
 図―5 福島および隣県と全国の合計特殊出生率推移

 事故前の2010年と事故後に懐妊した赤ちゃんが生まれるであろう2012年の比較すると、被災地でも岩手、宮城では増えています。一方で震災の他に原発事故が発生した福島では下がっています。数値は以下の通りです(21)。
年   福島 全国 岩手 宮城
2008年 1.52 1.37 1.39 1.29
2009年 1.49 1.37 1.37 1.25
2010年 1.51 1.39 1.39 1.27
2011年 1.48 1.39 1.41 1.25
2012年 1.41 1.41 1.44 1.30

 6月18日に31回福島県「県民健康調査」検討委員会が開かれました(1)。そこで
「現在の放射線被ばくで、次世代以降の人(将来生まれてくる自分の子や孫など)への健康影響がどれくらい起こると思いますか。」(遺伝的影響)
との質問に
 36.1%(高い20.9%、非常に高い15.2%)が高いないしは非常に高い
と回答しています(22)。多くの福島の皆様は遺伝的影響を心配しています。こうした不安を打ち消すためでしょうか?福島程度の被ばくでは遺伝的影響は無いとする資料が提出されました(2)。
 放射線影響研究所(ほうしゃせんえいきょうけんきゅうしょ)は、広島や長崎の被爆者の健康調査及び被爆の病理的調査・研究を行う研究機関です。日本国政府とアメリカ合衆国政府が設立・運営しています(23)。そこが広島や長崎では被ばくに遺伝的影響が生じえないとして、以下の6つの根拠をあげています(2)。
 出生時障害(1948-1954年の調査)
 被爆者の子供における染色体異常(1967-1985年の調査)
 被爆者の子供における死亡率およびがん罹患率
 被爆者の子供のDNA調査(1985年-現在)
 被爆者の子供における男女比(1948-1962年の調査)
 被爆者の子供における血液蛋白質の突然変異(1975-1985年の調査)
このうち、6月18日に提出された資料に取り上げられたのは、出生時の障害、染色体異常、死亡率およびがん罹患率で、DNA調査、赤ちゃんの男女比(出生性比)、血液蛋白質の突然変異が抜けています(2)。
 民主党政権の時代に福島でもDNA調査が計画され、予算もつられました。2017年(平成29年)には終了する予定でした(24)。ところがその後の結果発表もなく、安倍出戻り内閣は実施を見送ったようです。広島や長崎で実施されているので、福島で実施しても問題が無いはずです。福島では調査が避けられています。
 以下に福島県の自然死産率の推移を示します。
全国の1.5倍の福島県死産率(グラフ)
 ※(25)を転載
 図―6 福島県の自然死産率の推移

福島では事故後に自然死産率は全国平均の1.5倍に跳ね上がっています。放射線影響研究所は出生時障害や自然死産について別々の評価がなされています(26)。
自然死産に異常がないことを遺伝的影響がない根拠としている放射線影響研究所
 ※(26)を引用
 図―7 広島や長崎では自然死産の増加はなかったとする放射線影響研究所の資料

 一方で福島県「県民健康調査」検討委員会に出された資料(2)には「自然死産」単独の項目はありません。
 福島事故では2種類の避難区域が設定されました。福島第一原発から20km圏内の警戒区域と、事故後にしばらくして放射線量が高い事が判明し設定された計画的避難区域です。警戒区域は事故翌日の3月12日には設定されましたが、計画的避難区域は事故から一ヶ月以上も後の4月22日にようやく設定されました(4)。計画的避難区域はいわば逃げ遅れた避難区域です。このうち飯舘村の全域と葛尾村も大部分に計画的避難区域が設定されました。また全部または大部分に計画的避難区域が設定されたのは、この2村だけです(4)。飯舘村と葛尾村はいわば逃げ遅れた村です。以下に各年2村合計の赤ちゃん誕生数を示します。
事故後に女の子が多く生まれる福島県飯舘村・葛尾村
 ※1(27)にて作成
 ※2 2018年は4月末までの集計
 図―8 飯舘村と葛尾村赤ちゃん誕生数

 図に示す通り、事故後に女の子が多く生まれています。事故後に懐妊したであろう赤ちゃんが生まれる2012年以降の赤ちゃんの誕生数を集計すると
 飯舘村
  男の子 146人
  女の子 186人
 葛尾村
  男の子 28人
  女の子 47人
 二村(飯舘村、葛尾村)合計
  男の子 174人
  女の子 233人
です。このような事が偶然に起こる確率を計算したら0.34%でした。通常は男の子が多く生まれるの(28)で異常な事態です。以下に偶然に起こる確率の計算結果をしまします。

 表―1 偶然に起こる確率の計算結果
 ※計算方法は(=^・^=)の過去の記事(29)による。
有意差検定表


 福島県「県民健康調査」検討委員会で「遺伝的影響」は心配いらないとの趣旨の資料が出されました。その資料には福島ではウヤムヤにされたDNA調査、福島で事故後にみられた自然死産の上昇、逃げ遅れた飯舘村や葛尾村で生じた赤ちゃんの男女比の逆転等が抜け落ちています。都合の良い部分だけを集め、福島は「安全」、忌避する行為を「風評被害」と主張しているようです。

<余談>
 図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
 福島県「県民健康調査」検討委員会の主要な関心事は多くの子どもで見つかっている甲状腺がんが事故に起因するか否かだと思います。事故の影響が出てくるであろう2順目以降のデータを見ると
 ①避難区域(特定避難勧奨地点、緊急時避難準備区域を含む)が設定された13市町村と13市町村にくらべれば汚染が少ない中通り(13市町村以外)を比較すると、13市町村の罹患率は倍以上である。
 ②全体の被ばく線量と2,3順目の検査を比較すると2,3順目の罹患者は高線量側にずれている。
 ③チェルノブイリの例から事故影響が少ないであろうと思われる1順目検査と2,3順目検査で見つかった罹患者の被ばく線量を比較すると、2,3順目の罹患者の被ばく線量が高い。
との特徴が見受けられます(30)。限りなく黒に近いグレーです。議論を聞いていたのですが(31)、事故との因果関係は議論されていませんでした。ところが福島のローカルテレビのFCT(読売系(32))は事故との因果関係について「考えにくい」と報じていました(33)。
福島・k甲状腺は事故との因果関係について「考えにくい」と報じるFCT
 ※(33)をキャプチャー
 図-9 事故との因果関係について「考えにくい」と報じるFCT

福島では、何の根拠もなく事故とは無関係と平然と報じられているようです。これでは福島の皆様は不安だと思います。
 福島県のサクランボが本格シーズンになりました(34)。福島市のサクランボはつややかな赤い宝石の甘酸っぱさで人気があるそうです(35)。福島産は検査で「安全」とされます(36)。でも福島県福島市のスーパーのチラシには福島産サクランボはありません。
他県産はあっても福島産サクランボが無い福島県福島市のスーパーのチラシ
 ※(37)を引用
 図―10 福島産サクランボが無い福島県福島市のスーパーのチラシ

 (=^・^=)も福島県福島市の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。


―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)第31回福島県「県民健康調査」検討委員会(平成30年6月18日)の開催について - 福島県ホームページ
(2)(1)中の 参考資料4 放射線の遺伝的影響について [PDFファイル/767KB]
(3)原爆被爆者の子供における放射線の遺伝的影響 – 公益財団法人 放射線影響研究所 RERF
(4)避難区域見直し等について - 福島県ホームページ
(5)航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成29年9月9日~11月16日測定) 平成30年02月20日 (KMZ, CSV)」
(6)めげ猫「タマ」の日記 半減期でしか下がらない福島の放射線(2017年)
(7)国(環境省)が示す毎時0.23マイクロシーベルトの算出根拠|東京都環境局 その他について
(8)アルビノ - Wikipedia
(9)メラニン - Wikipedia
(10)沼沢湖 - Wikipedia
(11)妖精の里 かねやま 沼沢湖
(12)報道発表資料 |厚生労働省
(13)金山町 ふるさと情報発信事業 - 金色に輝くヒメマスは金山に福をもたらすか!?... | Facebook
(14)めげ猫「タマ」の日記 福島に遺伝的欠陥で色素が合成できないアルビノ・ヒメマス現る。
(15)大瀧研究室 | フクシマプロジェクト
(16)めげ猫「タマ」の日記 2017年度も女の子が多く生まれる福島県川俣町
(17)みんゆうNet 原発災害・「復興」の影-【10】“放射線と向き合う” 固執すると別のリスクが高まる恐れも(福島民友ニュース)
(18)めげ猫「タマ」の日記 6月も女の子しか生まれない・福島県飯館村
(19)10の指標にみる福島県のいまVer.29を掲載しました。 - 福島県ホームページ中の平成30年2月15日公表分 10の指標にみる福島県のいまVer.29 [PDFファイル/601KB] 
(20)合計特殊出生率 - Wikipedia
(21)めげ猫「タマ」の日記 福島県の合計特殊出生率がダウン―福島原発事故の影響、福島テレビ!―
(22)(1)中の資料2-2 平成28年度 県民健康調査「こころの健康度・生活習慣に関する調査」結果報告書 [PDFファイル/946KB]
(23)放射線影響研究所 - Wikipedia
(24)(新)福島におけるゲノム解析による放射線遺伝影響調査(福島ゲノム調査)
(25)めげ猫「タマ」の日記 福島の自然死産率は全国平均の1.5倍
(26)出生時障害(1948-1954年の調査) – 公益財団法人 放射線影響研究所 RERF
(27)福島県の推計人口(平成30年5月1日現在)を掲載しました。 - 福島県ホームページ
(28)出生性比
(29)めげ猫「タマ」の日記 偶然に起こる確率の計算方法について
(30)めげ猫「タマ」の日記 福島甲状腺、地域差あり
(31)甲状腺がん悪性または疑い200人超え〜福島県が公表 | OurPlanet-TV:特定非営利活動法人 アワープラネット・ティービー
(32)福島中央テレビ - Wikipedia
(33)ニュース|福島中央テレビ
(34)ニュース|福島中央テレビ
(35)特産品を知る | JAふくしま未来について | JAふくしま未来
(36)検査体制 | 福島県農林水産物・加工食品モニタリング情報
(37)ヨークベニマル/お店ガイド
6月23日追記
 本記事に関し、誹謗中傷をいただきました(A1)。本記事の内容は
①事故によって福島は汚染された(図―1)。
②汚染された福島県の沼沢湖(図―2)等に遺伝的欠陥で生じるアルビノヒメマス(図―3)が現れるなど、福島の動植物では遺伝的異常が見つかっている。
③事故後に懐妊した赤ちゃんがうまれるであろう2012年に福島の合計特殊出生率は減少している(図―3)。これは他の被災2件では見られない(図―4)。補足するなら原因は福島に特異的の起こったことである。妊娠期間は280日と言われています(A2)。2011年3月11日の280日後は2011年12月16日です。事故後に懐妊した赤ちゃんは概ね翌年の2012年から生まれます。合計特殊出生率は人口統計上の指標で、一人の女性が出産可能とされる15歳から49歳までに産む子供の数の平均を示です(20)。一人あたりですのでお母さんとなるべき人は減っても補正されます。
④広島や長崎の被ばく者調査では被爆者の子供のDNA調査が行われているが、福島では民主党政権時代に計画されだたが、安倍が出戻ってウヤムヤになった。
⑤放射線影響研究所は広島や長崎で遺伝的影響が無いとの根拠に、自然死産率の増加が無い事をあげているが(図―7)、福島では事故後に増加している(図―6)。
⑥放射線影響研究所は広島や長崎で遺伝的影響が無いとの根拠に出生性比を異常がなかった事をあげているが、福島では避難区域の設定が遅く逃げ遅れたであろう飯舘村・葛尾村では女の子が多く生まれるようになった(図―8)(出生性比の異常、通常は男の子が多く生まれる(28))。
⑦福島県「県民健康調査」検討委員会で「遺伝的影響」は心配いらないとの趣旨の資料が出されたが、ウヤムヤにされたDNA調査、福島で事故後にみられた自然死産の上昇、逃げ遅れた飯舘村や葛尾村で生じた赤ちゃんの男女比の逆転等が抜け落いる。都合の良い部分だけを集め、福島は「安全」を主張している。
 このうち誹謗中傷を受けているのは⑥の「飯舘村・葛尾村では女の子が多く生まれるようになった」です。他は誹謗中傷を思いつかなったようです。そして⑥の批判も完全に的外れで、単なる誹謗中傷です。
 この「誹謗中傷」はこの記事を丸写しで掲載したブログのコメントとして書かれいます(A1)。直接にこの記事に投稿すればよいのですが、引用先にコメントする犬の遠吠えを選んだようです。誹謗中傷者様も自分で論理が破綻しているのは気づいているようです。
 このコメントはリファレンス(28)を取り上げ
「もう何年も前に奥村さんが否定してるんだよね」
と記載し、根拠として
 飯舘村で女の子に比べ男の子が大幅に減った図(これは奥村氏が作成したものです)のコメントを引用しています。
「図から,2011/10~2012/08で男子の出生数が少ないように見える。この期間の男子出生数は10人,女子出生数は35人であり,仮に2項検定すると binom.test(10, 10+35, 1.05/2.05) で p = 0.0001288 となって非常に有意な差がある。ただ,このように p 値が小さくなる区間を事後的に探す行為は p-hacking といって,p 値としての意味はなくなる。また,差があるにしても,原因は放射線かストレスかそれ以外の何かかは不明である。なお,同じ期間でも福島県全体では有意は差はない(p = 0.6253)。」
 ただし
「このように p 値が小さくなる区間を事後的に探す行為は p-hacking といって,p 値としての意味はなくなる。また,差があるにしても,原因は放射線かストレスかそれ以外の何かかは不明である。」
とのコメントの「不明である。」と言っているだけで、これだけは放射線の影響とは断定できないとしています。
「福島県飯館村では男の子が生まれ難い(2013年1月末集計)
[ http://mekenekotama.blog38.fc2.com/blog-entry-619.html ]
 
をわざわざ取り上げていて(笑)」
としています。(=^・^=)は2013年2月に
「めげ猫「タマ」の日記 福島県飯館村では男の子が生まれ難い(2013年1月末集計)」(A4)
を書いています。この中で、奥村氏のサイトを引用させて頂いております。発表すればどのような方が引用するか、気になると思います。引用先の一つとして(=^・^=)のサイトに興味を持っていただいたと考えています。そして内容が事実が自分で確認されています。2010年から14年(48ヶ月)分のデーを集計されています。それなりに手間をかけています。「否定してるんだよね」なんてないようなならこんな手間はかけないと思います。
「このように p 値が小さくなる区間を事後的に探す行為は p-hacking といって,p 値としての意味はなくなる。」
と、しています。なおp値とは「統計的仮説検定において、帰無仮説の元で検定統計量がその値となる確率のこと」(A5)で、いわば偶然に起こる確率です。その後もこの問題をトレースしてるので「事後的に探す行為」ではありません。たまたまなら、その後は有意差が消滅し図―8や表-1のような結果を提示できないはずです。「「もう何年も前に奥村さんが否定」と誹謗中傷していましが、「もう何年も前」のデータではっきりしないこともその後のデータの蓄積ではっきりします。
「めげ猫は出生性比に差があるとわかっている飯舘村と葛尾村をわざわざ選び」
との誹謗中傷を受けていますが、本文に記載の通り福島は事故後に警戒区域と計画的避難区域の2種類の避難区域が設定されました。警戒区域は事故翌日の3月12日の設定ですが、計画的区域は事故から1ヶ月以上先の4月22日です。全域がほぼ計画的避難区域だた自治体は飯館、葛尾の2村だけです。福島原発事故の避難区域のなかでこの2村はいわば逃げ遅れた避難くいです。さらにいてば飯舘村(A6)も葛尾村も(A7)は事故前は肉牛の飼育が盛んでした。葛尾村は事故前は3,548頭の肉用牛が飼育されていました(A7)。事故前(2010年)の人口は1,531人ですので(A8)、人口の倍の肉用牛が飼育されていることになります。両村の牛は避難指示後に人間とともに避難することになりました(A9)(A10)。牛の避難さ作業でさらなる被ばくがあったはずです。飯舘村・葛尾村はたまたま選んだのでなく、両村の皆様が逃げ遅れたので集計しています。
「しかも複数年の累計を取る事で単年の影響を曖昧にしている。」
などの誹謗中傷を受けています。統計データは規模が大きくなれば精度が上がります(A11)。短期間では有意差が無くても、長期間を取ります。放射線影響研究所の調査も複数年(1948年から1953年の5年間)で実施しています。「単年の影響」は意味がありません。もし5年間とゆうのであれば、事故に懐妊した赤ちゃんが生まれるであろう2012年から16年ですが、
 男の子 134人
 女の子 194人
です。偶然に起こる確率は0.09%でした。

「母比率: 0.512195122 (≒1.05/(1.05+1))
試行回数: 出生数
 
として、各年の確率を求めると
  出生数 確率
   ------ ----------------------------------------------
年  男 女 1-Pr(min(男,女)<男<max(男,女)) 計算結果
---- -- -- -------------------------------- -------------
2010 33 24 1-(0.8092557894-0.1066556457)  0.297399856
2011 20 26 1-(0.7157993194-0.1833210336)  0.467521714
2012 19 36 1-(0.9766703374-0.009380343386) 0.032710006
2013 28 38 1-(0.8184697784-0.09564153869)  0.27717176
2014 33 43 1-(0.7937106013-0.1064573736)  0.312746772
2015 21 46 1-(0.9971367284-0.0007902698363) 0.00365354144
2016 31 31 1-0               1
2017 30 27 1-(0.5317180226-0.3265318427)  0.79481382
2018 12 12 1-0               1
---- -- -- -------------------------------- -------------
 
となる。目立つのは2012年と2015年だけで、他はごく平凡だ。 」
と主張していますが、ばらせ母集団が小さくなり、統計的な差が無くなります。誹謗中傷者が指摘の通り2012年は差が目立っていますが、その後は減っています。2012年は事故後に懐妊した子供が生まれる最初の年ですので、影響が大きくでますが、その後は減って行きます。誹謗中傷様のこのデータ解析は飯舘・葛尾両村の出生性比の異常は、事故影響を示唆するものです。
 さらに
「飯舘村と葛尾村の合算なので、個別に検討しないとハッキリした事はわからない。面倒臭いので俺はそこまでやらないが。(笑)」
と誹謗中傷していますが、個別に集計しても差が出ます。2012年から16年を集計すると
 飯舘村 
  男の子 117人
  女の子 153人
で、偶然に起こる確率は2.8%
 葛尾村
  男の子 17人
  女の子 41人
で、偶然に起こる確率は0.2%
で統計的に有意とされる5%(A5)を下回っています。やったら統計的有意差が出ることが分かっていたようですね!。それで
「面倒臭いので俺はそこまでやらないが。(笑)」
と誤魔化しています。

<余談>
 (=^・^=)の知る限り「ピーチ」がモモで、福島産からはセシウムが見つかっていることは多くの方が知っていると思いますが、「p値」なんで言葉を知っているのは小数だと思います。誹謗中傷者はそれなりの専門知識を持っていると思います。
 福島県知事は
「被災の地から復興の地へ変えるという強い思いを若い世代につないでいかなければならない」
と述べたそうです(A13)。復興は、何らかの問題により勢いを失った団体や勢力、ないし市町村など地域・集合体の機能を回復させ、以前の状態に戻すことだそうです(A14)。福島の場合の問題は図―1に示す様に「汚染」です。これのは3つの対応策があると思います。
 ①除染で放射能を取り除き、元に戻す
 ②汚染されない地に移住し、放射能を気にせずに済む生活を新たに始める。
 ③汚染されていても、「安全」だ「風評被害」だとの「風評」流布する
です。
 以下に福島県本宮市のセシウムの量を示します。
事故直後の6割のセシウムが残ったままの福島県本宮市
 ※(A15)を転載
 図―A1 福島県本宮市の放射性セシウムの量
  事故1ヶ月半(2011年4月29日)   5.7g
  事故義6年8ヶ月(2016年11月16日)3.4g
で、昨年末時点でが残っています。
 除染は終ったのですが(A16)、図に示す様に、放射性物質は減っていません。
 「除染で放射能を取り除き、元に戻す」
事はできません。知事が「被災の地から復興の地へ変える」と言っているので、「汚染されない地に移住」もありません。福島が取り得る政策は
 汚染されていても、「安全」だ「風評被害」だとの「風評」流布する
しかありません。
 福島の復興はマイナスからのスタートと言われています。宮城や岩手は地震と津波で全てが無くなり「0」からのスタートですが、福島はそこに放射能が「うつり」汚染されてしまいマイナスになったとの理解ようです(A17)。
 でも安倍出戻り内閣の官僚は、除染廃棄物を中間貯蔵施設に運び終えた段階で
「ゼロに戻れる状況」
との完了の発言していました。
「ゼロに戻れる状況」と発言する安倍出戻り内閣の官僚
 ※NHKの3月10日の21時台の番組をキャプチャー
 図―A2 「ゼロに戻れる状況」と発言する安倍出戻り内閣の官僚

 除染が終わり(A16)、除染廃棄物を中間貯蔵施設に運び込んだとしても図―3に示す様に、福島各地に放射能が放置されます。福島の汚染は解消しません。マイナスは残ったままです。除染廃棄物を中間貯蔵施設に運び終えた段階で「ゼロに戻れる状況」には成りません。マイナスを「0」と誤魔化しています。
 この7年間を見ていると福島県は「誤魔化す」ことに熱心な気がします。福島県は7つのポイントを県を代表する放射線量観測点として扱っており、新聞などのではこの地点が福島県を代表する放射線量として紹介されます(A18)。安倍出戻り総理が2012年12月に出戻って(A19)4ヶ月が経過した、2013年4月1日に突然に7つのポイントの放射線量が下がりました。
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 ※1(A20)を転載
 ※2 日付け中2013年は省略
 図―A3 突然下がる福島県各地の放射線量

原因は放射線の高い場所から低い場所への移動です。値が高い福島市や郡山市では別の人為的操作を実施しました。
brg130602a.gif  brg130602b.gif
 (a)福島市                (b)郡山市
  ※1(A21)を転載
  ※2 年は2012年から13年
  図―A4 人為的操作で下がった福島県の放射線量測定値

 福島県は2012年末から放射線量が低く出る人為的操作を実施しました。その影響はいまも引きづっています。安倍総理が出戻った直後です。忖度でもしたのでしょうか?
 厚生労働省の発表(A22)を見ると福島産の出荷前検査は福島県農林水産部所属の福島県農業総合センター(A23)一箇所で実施しています。以下にスズキの検査結果を示します。
近県では見つかっても福島産スズキからは見つからないセシウム
 ※1(A22)を集計
 ※2 日付けは捕獲日
 ※3 NDは検出限界未満(みつからな事)を示す
 ※4()内は検査先
 ※5 淡水は除く
 図―A5 スズキの検査結果

 図に示す通り茨城・千葉、岩手産、宮城産のスズキからもセシウムが見つかっています。ところが福島県が検査した福島県産からは見つかっていません。海はつなっているのにおかしな話です。図A-4に示す様に、福島県は測定器に人為的操作を加え放射線量が低くでるようにしました。だったら、食品の検査だって、福島県のコントロール下にある福島県農業総合センターを使い低くでる操作をしても不思議ではありません。
 福島県は事故後に放射線に関する誤解や風評により救援物資の搬送や医療スタッフの確保が困難になりつつあったことから、被曝医療の分野で専門的知見を有する3名を放射線健康リスク管理アドバイザーに委嘱しいました(A24)。かれれは福島県が委嘱したかですから、福島県の「意」を受けてもしかたがないと思います。福島県の 福島県の放射線リスクアドバイザーの高村昇氏は
 「県民健康調査で行われている『甲状腺検査』のうち先行検査(1順目)で甲状腺がんあるいはその疑いと診断された方の発症頻度を地域別に比較したところ、避難区域等の13市町村(田村市や伊達市、川俣町含む)で10万人当たり33.5人、中通りで38.4人、浜通り(避難区域以外のいわき市、相馬市、新地町)で43.0人、会津地方で35.6人と甲状腺がんの頻度はほぼ同じであり、少なくとも事故当時に東京電力福島第一原発の近くにいらっしゃった方に甲状腺がんが多いということはありません。」
との寄稿文を福島県地方紙の福島民報に寄せています(A25)。最新の6月18日に31回福島県「県民健康調査」検討委員会が開かれましたが開かれました(A26)。そこで福島を4地域に分けての2,3順目の検査結果が発表になりました(A27)。「悪性ないし悪性疑い者数」を「罹患者」、「悪性ないし悪性疑いの割合」を罹患率として集計すると
 13市町村       検査 34,563人中 罹患者 21人 罹患率 0.061%
 13市町村以外の中通り 検査152,703人中 罹患者 47人 罹患率 0.031%
 13市町村以外の浜通り 検査 51,062人中 罹患者 10人 罹患率 0.02%
 会津          検査 32,212人中 罹患者  5人 罹患率 0.016%
 合計(福島県全体)   検査270,540人中 罹患者 83人 罹患率 0.031%
で、地域によって大きな差があります。これについては福島県の放射線リスクアドバイザーの高村昇氏は知らんぷりのようです(A28)。
 本文に記載の通り、遺伝的影響につうても放射線研究所の発表(3)のうち都合の悪い(福島ではウヤムヤになったDNA検査、自然死産の増加、逃げ遅れた避難区域である飯舘村、葛尾村の出生性比の異常)を除いた資料をだしたました(2)。誹謗中傷様はすでに述べたとおり、それはなりの専門知識があるかただと思います。そのような方が統計情報は母集団が大きい方が精度が高まる事実(A11)を無視し、データを細分化し統計的な差ないような主張を展開しています。福島を語るの専門家は福島県の意を受け、科学的根拠を無視して、福島は「安全」であり、忌避するのは「風評被害」との「風評」を流しているようです。
 昔は福島県だった新潟県阿賀町(A29)で第二水俣病が発生しました。加害企業の昭和電工は証拠隠滅のため都合の悪い資料をすべて破棄したと見られるそうです(A30)。国も文書は改ざんします(A31)。福島に関しても同じ事が行われても不思議はないと思います。すくなくとも福島の皆様は福島が「安全」、忌避は「風評被害」の主張には疑問を持っているようです。
 福島県会津若松市ではサクランボ狩りが楽しめます(A32)。福島県会津若松市はサクランボの季節です。福島のサクランボはつややかな赤い宝石の甘酸っぱさで人気があるそうです(A33)。福島産は検査で「安全」とされます(A34)。でも福島県会津若松市のスーパーのチラシには福島産サクランボはありません。
他県産はあっても福島産サクランボが無い福島県会津若津市のスーパーのチラシ
 ※(A35)を引用
 図―A6 福島産サクランボが無い福島県会津若松市のスーパーのチラシ

 (=^・^=)も福島県会津若松市の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。


―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(A1)福島・遺伝的影響資料に「出生性比」が無し(めげ猫「タマ」の日記) 赤かぶ
(A2)十月十日(とつきとおか)妊娠週数の数え方・計算方法 [妊娠の基礎知識] All About
(A4)めげ猫「タマ」の日記 福島県飯館村では男の子が生まれ難い(2013年1月末集計)
(A5)P値 | 統計用語集 | 統計WEB
(A6)までい牛 - Wikipedia
(A7)わが葛尾村の農業 -022/036page
(A8)葛尾村 - Wikipedia
(A9)asahi.com(朝日新聞社):安全出荷へ1頭ずつ線量検査 福島・葛尾村の畜産農家 - 東日本大震災
(A10)asahi.com(朝日新聞社):避難区域の牛馬救う 福島・飯舘の男性に全国から義援金 - 東日本大震災
(A11)標本調査とは?~調査のしくみと設計~|統計学習の指導のために(先生向け)
(A12)被爆者の子供における男女比(1948-1962年の調査) – 公益財団法人 放射線影響研究所 RERF
(A13)【6月22日付社説】内堀氏が出馬表明/福島の明日へ活発な論争を:社説:福島民友新聞社 みんゆうNet
(A14)復興 - Wikipedia
(A15)めげ猫「タマ」の日記 ばら撒かれたセシウムの6割が残る福島県本宮市
(A16)除染実施区域(市町村除染)の概要・進捗|除染情報サイト:環境省
(A17)原発被害でマイナスからのスタート - 福島医大学長・菊地臣一氏に聞く◆Vol.1|医療維新 - m3.comの医療コラム
(A18)福島民報|生活関連情報 東日本大震災
(A19)第2次安倍内閣 - Wikipedia
(A20)めげ猫「タマ」の日記 移転してもまだ線量の高いモニタリングポスト(放射線線量測定点)を除染する福島県
(A21)めげ猫「タマ」の日記 5月測定器の周りを除染で福島県の放射線量が激減!―補正式が必要
(A22)報道発表資料 |厚生労働省
(A23)農林水産部 - 福島県ホームページ)
(A24)福島県放射線健康リスク管理アドバイザー - Wikipedia
(A25)放射線 放射性物質 Q&A 甲状腺がん 浜通りの割合高い? | 東日本大震災 | 福島民報
(A26)第31回福島県「県民健康調査」検討委員会(平成30年6月18日)の開催について - 福島県ホームページ
(A27)(A26)中の 参考資料3 甲状腺検査結果の状況 [PDFファイル/181KB]
(A28)「放射線・放射性物質Q&A」アーカイブ | 東日本大震災 | 福島民報
(A29)東蒲原郡 - Wikipedia
(A30)第二水俣病 - Wikipedia
(A31)東京新聞:森友改ざん 検査院法違反 再検査の中間報告公表:社会(TOKYO Web)
(A32)フルーツランド北会津
(A33)特産品を知る | JAふくしま未来について | JAふくしま未来
(A34)検査体制 | 福島県農林水産物・加工食品モニタリング情報
(A35)アピタ会津若松店│「イイこと、プラス。」 アピタ・ピアゴ
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