東京中央卸売市場への福島産ヒラメの出荷量をみたら(1)
事故前年(2010年1-9月)72トン
今年(2018年1-9月) 77トン
で(1)、今年1-9月の出荷量は事故直前を超えました。福島の海の汚染は続いています。注意が必要です。
福島第一原発では幾つかの排水路があります。以下に示します。

※(2)にて作成
図―1 福島第一排水路
以下に各排水路のセシウム137濃度を示します。

※1(2)にて作成
※2 法定限度は(3)による。
図―2 福島第一排水路のセシウム137
図に示す通り事故から7年間、法定限度を超える汚染排水が流れて続けています。福島の海は汚染され続けています。厳格な検査が必要です。福島県いわき市は福島県沿岸部南部に位置し、南を茨城県と接しています(4)。以下にヒラメの検査結果を示します。

※1 (4)(5)(6)を集計
※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す。
※3 日付けは捕獲日
※4 ()内は検査先、福島県漁連は「県漁連」と略した。
図―3 ヒラメの検査結果
図に示す様に岩手県産、宮城県産、茨城県産からはセシウムが見つかっています。福島県漁連が検査した福島産ヒラメからも見つかっています。福島県が検査すると福島県産ヒラメからセシウムは見つからなくなります。6月1日以降に捕獲されたヒラメの検査を厚生労働省(4)や福島県の発表(5)を数えると199件連続で検出限界未満(ND)です。
ヒラメに限らず福島産水産物の出荷前検査は厚生労働省の発表(4)を見ると、福島県農林水産部に属する福島県農業総合センター(7)で実施してます。中立性に疑問があります。
以下に各排水路の全ベータ濃度を示します。

※1(2)で作成
※2 法定限度は(3)に示すストロンチウム90の基準値を(8)にて全ベータに換算
図―4 福島第一路排水の全ベータ濃度
図に示す通り事故から7年近く経ちましたが、福島第一から海へは法定限度を超える全ベータを含む汚染排水が流されています。福島の海は汚染され続けています。全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質で、全ベータの半分がストロンチウム90由来です(8)。当然ながらセシウムだけでなくストロンチウム90の汚染も心配です。
ところが厚生労働省はストロンチウム90の検査は必要ないとしています。
ストロンチウム90はセシウムに対し一定の割合を想定すればよいとの説明です。厚生労働省は放射性物質がセシウムだけなら1キログラム当たり120ベクレルまで「安全」であり、基準値は100ベクレルとしています(9)。するとセシウム20ベクレル相当がストロンチウム90等の放射性物質よる被ばく分です。1ベクレルの放射性物質を取り込んだとして
セシウム137では 0.013マイクロシーベルト
ストロンチウム90では0.028マイクロシーベルト
の被ばくをします(10)。この割合から考えると厚生労働省が想定しているストロンチウム90の限度は1キログラム当たりで
9ベクレル(20×0.013÷0.028)
になります。現行の基準値を下回った食品から1キログラム当たり9ベクレルを超えるストロンチウム90が見つかれば、基準値以下でも「安全」とは言えなくなります。
以下に福島原発沖20km圏内の魚のストロンチウム90の検査結果を示します。

※(11)(12)を集計
図―5 20km圏内の魚のストロンチウム90の検査結果
図に示す様に作年は過去最高となる1キログラム当たり30ベクレルのストロンチウム90を含む魚が見つかりました(13)。最高値を出した魚(クロダイ)セシウムは基準値以下の50.2ベクレルですので、危険なレベルのストロンチウ90です。この件は福島の魚はストロンチウム90が検査されていない限り「安全」とは言えません。東京電力の発表(11)(12)を見る限り福島産ヒラメのストロンチウム90は検査されていません。
それでも福島県は福島産ヒラメは安全だとし(14)、漁と市場への出荷が再開されました(15)。ヒラメは福島県が力を入れている魚です(15)。以下に各年1-9月の東京中央卸売市場への出荷量を示します。

※(1)を集計
図―6 福島産ヒラメの東京中央卸売市場への出荷量(各年1-9月)
図に示すように出荷量が回復し、福島産ヒラメの東京中央卸売市場の出荷量を見たら
事故前年(2010年1-9月)72トン
今年(2018年1-9月) 77トン
で(1)、今年1-9月の出荷量は事故直前を超えました。
以下に東京中央卸売市場でにヒラメの出荷量に対する福島産の割合を示します。

※(1)を集計
図―7 福島産ヒラメの割合(東京中央卸売市場、各年1-9月)
事故前は10%程度だったものが17%に上昇しています。東京中央卸売市場に出荷されているヒラメの7~8匹に1匹は福島産です。
以下に各年1-9月の全国平均と福島産ヒラメの東京中央卸売市場での取引価格を示します。

※(1)を集計
図―8 ヒラメの取引価格(東京中央卸売市場、各年1-9月)
図に示す通り事故後は福島産は全国平均に比べ安くなっています。水産加工品はフライ類を除き原産地表示の必要がありません(17)。ヒラメのお寿司やヒラメを含むお刺身の盛り合わせなどは産地表示義務がありません。公式には福島産ヒラメは「安全」とされています(14)。そして美味しいそうです(18)。だったら産地表示のいらない物には価格が安い「フクシマ産」を優先するのは仕方がないとです。
安全とは言えない福島産ヒラメが広く出回っています。注意が必要です。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。福島のお米は美味しいのに(19)、安いようです(20)。福島産ヒラメと組み合わせてお寿司にすれば、産地表示の必要が無くなります。福島の皆様は警戒しているようです。
10月に入り福島県二本松市では稲刈りツアーが行われたようです(21)。同市は新米の季節です。同市産米の全量・全袋検査数が約16万件になりました(22)。同市は人口5万人台の市(23)なので、市民が食べるにには充分な量です。同市辺りのお米は良食味・高品質だそうです(24)。福島県は福島産米は「安全」だと主張しています(25)。でも、福島県二本松市のスーパーのチラシには福島産米はありません。

※(26)を引用
図―9 福島産が無い福島県のスーパーのチラシ
(=^・^=)も福島県二本松市の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
東京都中央卸売市場-統計情報検索中を「大分類⇒鮮魚、中分類⇒その他鮮魚類、品目(小分類)⇒ひらめ(国内)」で検索
(2)
2018年のアーカイブ - 廃炉プロジェクト|公表資料|東京電力ホールディングス株式会社中の「2018年9月27日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第58回事務局会議)⇒
【資料3-6】環境線量低減対策(7.27MB)(3)
サンプリングによる監視|東京電力中の「サブドレン・地下水ドレンに関するサンプリング」
(3)
周辺の分析結果ー分析結果 - 廃炉プロジェクト|データ|東京電力ホールディングス株式会社(4)
報道発表資料 |厚生労働省(5)
モニタリング検査結果【詳細】 - 福島県ホームページ(6)
福島県における魚介類の試験操業に関するポータルサイトです中の「漁協によるスクリーニング検査結果 ⇒
相馬双葉地区 および
いわき地区 」
(7)
農林水産部 - 福島県ホームページ(8)
めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(9)
食品中の放射性物質への対応|厚生労働省(10)
めげ猫「タマ」の日記 ベクレルとシーベルト(11)
採取地点別放射性物質の分析結果(2018年9月分) - 廃炉プロジェクト|データ|東京電力ホールディングス株式会社<中の
26日<福島第一原子力発電所20km圏内海域>2018年度 第1四半期採取分(12)
福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果|アーカイブ|東京電力中各月の「魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所20km圏内海域> 201*年度 第*四半期採取分(*は1~7の数値)」
(13)
2017年7月13日魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所20km圏内海域> 2016年度 第4四半期採取分(PDF 756KB) (14)
安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ中の
海産魚介類編 [PDFファイル/199KB](15)
福島県における魚介類の試験操業に関するポータルサイトです(16)
ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ(17)
加工食品品質表示基準改正(原料原産地表示等)に関するQ&A|消費者庁(18)
福島のヒラメ 不安の声受けタイでのPRイベント中止 | 東京電力 福島第一原発事故 関連ニュース | NHK 40年後の未来へ 福島第一原発の今(19)
ふくしまの米美味しい理由|ふくしまの米(20)
めげ猫「タマ」の日記 今年も安値、福島産米(21)
【福島・二本松市】 稲刈り体験&餅つき(食事付き)/きぼうのたねカンパニー - じゃらん遊び体験(22)
ふくしまの恵み安全対策協議会 放射性物質検査情報(23)
トップページ | 二本松市公式ウェブサイト(24)
特産品情報 | 地区別くらし情報 安達地区 | JAふくしま未来(25)
全量全袋検査に関するよくある質問 - 福島県ホームページ(26)
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- 2018/10/23(火) 19:43:37|
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