今年10月に改定された「放射線副読本」の13ページ目に
「福島県内の空間線量率は事故後 7 年で大幅に低下」
と記載しています(1)。でも、事故から7年を経ても、福島は汚染されたままであり、今後は放射線量が下がらくなります。
福島第一は事故をお越し、大量の放射能をまき散らしました。以下に航空機モニタリングによる放射線量分布を示します。

※(2)の数値データを元に(3)に示す手法で11月1日時点に換算
図-1 事故から7年8ヶ月を経て、汚染されている福島
図に示すように国が除染が必要だとする毎時0.23マイクロシーベルト(4)を超えた地域が概ね福島で広がっています。事故から7年8ヶ月を経た福島は汚染されたままです。
これについて 今年10月に改定された「放射線副読本」の13ページ目に
「福島県内の空間線量率は事故後 7 年で大幅に低下」
と記載しています(1)。そして以下の図をついています。


※(1)を引用
図―2 放射線量が下がったと主張する副読本
確かに、赤い部分は無くなりました。ただし、赤い部分は凡例をみると毎時19マイクロシーベルトになっています。これを、東京都の資料(4)元に年間の被ばく線量に換算すると100ミリシーベルトです。100ミリシーベルトとは放射線業務従事者が5年間に浴びても良い線量限度です(5)。これが1年ですので5倍です。事故直後の福島の放射線量は異常に高く、下がったとしても「安全」になった訳ではありません。そして、事故から7年8ヶ月が経過した今でも、福島は汚染されています。
放射性物質が半分になるまでの時間を半減期といいます。半減期は種類(核種)によって違います(6)。そして、半減期が短い物から減っていき、時間が経つと半減期の長いものが残ります。以下に福島県福島市の2011年3月の放射線量分布を示します。

※(7)を集計
図―3 福島県福島市の放射線量
図に示とおり急激に下がっています。3月23日には毎時5.6マイクロシーベルトだったのが、8日後の3月31日には半分程度の毎時2.7マイクロシーベルトに下がっています。福島の放射線源はヨウ素131、セシウム134、セシウム137が主だと思いますが(8)、このなかでヨウ素131の放出量はセシウム134、137の放出量の10倍(放出量はヨウ素131が160×10
15ベクレル、セシウム134が18×10
15ベクレル、セシウム137が×10
15ベクレル)程度で当初は主流だと思います(8)。ヨウ素131は半減期が8日ですので(6)、当初は8日で放射線量は半減したと思います。だだし、ヨウ素131がなくなると、今度は半減期2年のセシウム134が主流になります。半分になるのに8日だったのが2年になります(6)。さらにセシウム134が大きく減れば、主流は半減期30年のセシウム137になります(6)。事故直後は放射線量は8日で半分になりましたが、今では概ね30年が必要です。
以下にセシウム137に対するセシウム134の割合を示します。

※(9)を集計
図-4 セシウム137に対するセシウム134の割合
福島原発事故直後の2011年4月時点ではほぼ同じでしたが、半減期が早いセシウム134は減っていくのですが、半減期が30年と長いセシウム137(6)は無くならずしつこく残った結果、セシウム137に対するセシウム134の割合は13%程度まで低下しました。いま、福島の放射線の主因はなかかか減らないセシウム137です。
1ミリ四方に1ベクレルのセシウム134があると放射線量は毎時5.4マイクロシーベルト、セシウム137では毎時2.1マイクロシーベルトです(10)(11)。1ミリ四方にセシウム134が0.128ベクレル、137が1ベクレルあるとする時の放射線量は1時間当たりで
セシウム134由来 0.65マイクロシーベルト(0.128×5.4)
セシウム137由来 2.1マイクロシーベルト(1×2.1)
合計 2.75マイクロシーベルト
2016年11月時点で放射線量の76%(2.1÷2.75×100)がセシウム137由来で半減期は30年なので(6)、半分になるのに30年かかります。残りの30%はセシウム134由来です。2年で半分になりますが量はセシウム137に比べ少なく量です。両者を合計すれば今後の放射線量が見込めます。

※半減期等から計算
図-5 今後の放射線量
なかなか減りません。いまの半分になるのは2030年頃です。
2020年7月24日は東京オリンピックが開幕します(10)。その時の放射線量を示します。

※(2)から半減期(6)を考慮して作成
図-6 東京オリンピックの頃の福島
オリンピックが開かれる頃になっても除染が必要な地域が広く広がっています。福島の除染は終了しました(11)。
今年10月に改定された「放射線副読本」の13ページ目に
「福島県内の空間線量率は事故後 7 年で大幅に低下」
と記載しています(1)。でも、事故から7年を経ても、福島は汚染されたままであり、今後は放射線量が下がらくなります。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。改定された副読本(1)はデマがいっぱいあります。
デタラメ、放射線副読本(平成30年10月改訂)にまとめています(14)。よかったら見て下さい。
今から5年前の2013年10月に福島には49,214人の10代後半女性がいました。5年が経ち彼女達は20代前半になっています。今年(2018年)10月の福島の20代前半女性は32,507人で、残ったのは66%です。2013年10月当時で10代後半だった福島の女性のうち、3分の1以上がこの5年間で福島から逃げ出しています。以下に福島の10代後半の方が5年後に残っている割合を示します。

※1(15)を集計
※2 日付けは10代後半時点
図―7 福島の10代後半の方が5年後に残っている割合
事故前から若い方の福島脱出はありました。事故前の2001年から2006年3月までの平均を取ると男性75%、女性74%で、男女に大きな差はありませんでした。事故後の2011年4月から13年10月までの平均を取ると、10代後半の方が5年後に福島に残っている割合は男性74%、女性65%で、男性はそれ程に変わりませんが、女性は大きく落ち込みました。10代後半から20代前半にかけて、学校からを卒業し、社会に出る頃です。福島の若い女性は、汚染された福島に残るか、新天地で社会人としての一歩を踏み出す頃です。彼女達に必要なのは、過去がどうであったがでなく、これからどうなるかです。しかし、この副読本は「放射線はこれから下がらい」ことは完全にスルーしています。福島は人口減に苦しんでいます。不都合な事は伝えないのでしょうか?これでは福島の皆様は不安だと思います。
福島県いわき市では、ライシーホワイトの皆様を迎え福島産米のキャンペーンが行われました(16)。福島県いわき市は新米の季節です。同市産米の全量・全袋検査数が39万件をました(17)。同市は人口約34万人の市(15)なので、とりあえず市民が食べるには十分な量です。同市産米は「Iwaki Laiki」という美味しいお米です(18)。福島県は福島産米は「安全」だと主張しています(19)。でも、福島県いわき市のスーパーのチラシには福島産米はありません。

※(20)を引用
図―8 福島産米が無い福島県のスーパーのチラシ
当然の結果です。(=^・^=)も福島県の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
放射線副読本(平成30年10月改訂):文部科学省(2)
航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成29年9月9日~11月16日測定) 平成30年02月20日 (KMZ, CSV)」
(3)
めげ猫「タマ」の日記 半減期でしか下がらない福島の放射線(2017年)(4)
国(環境省)が示す毎時0.23マイクロシーベルトの算出根拠|東京都環境局 その他について(5)
放射線業務従事者 - Wikipedia(6)
半減期 - Wikipedia(7)
平成22・23・24年度 県内7方部環境放射能測定結果 - 福島県ホームページ中の「平成22年度⇒平成23年3月、平成23年5月9日更新⇒
(PDF:87KB)(8)
チェルノブイリ事故との比較 - Wikipedia(9)
報道発表資料 |厚生労働省(10)
空間線量率の計算(11)
めげ猫「タマ」の日記 ベクレルとシーベルト(12)
2020年夏季オリンピック - Wikipedia(13)
除染情報サイト:環境省(14)
めげ猫「タマ」の日記 デタラメ、放射線副読本(平成30年10月改訂)(15)
福島県の推計人口(平成30年10月1日現在)を掲載しました。 - 福島県ホームページ(16)
「福島県産フェア」開催のお知らせ - ヨークベニマル(17)
ふくしまの恵み安全対策協議会 放射性物質検査情報(18)
いわき産コシヒカリのブランド米「Iwaki Laiki-いわきライキ」(19)
全量全袋検査に関するよくある質問 - 福島県ホームページ(20)
マルト 平尼子店のチラシ・特売情報 | トクバイ
スポンサーサイト
- 2018/11/09(金) 19:46:24|
- -
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0