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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島産ヒラメ復活(2018年9―11月)、要注意

福島のヒラメ漁が2018年8月末に再開されました(1)。東京中央卸売市場の9-11月の福島産ヒラメのシェアを見ると
 事故前(2010年9-11月)12%(227トン中27トンが福島産)
 昨年(2018年9-11月) 15%(233トン中22トンが福島産)
で、福島産のシェアは事故前より、昨年の方が高くなっています。福島のヒラメが復活しました。注意が必要です。
 福島第一原発では幾つかの排水路があります。以下に示します。
福島第一構内から海に続く福島第一排水路
 ※(2)にて作成
 図―1 福島第一排水路

 以下に各排水路のセシウム137濃度を示します。
事故から7年9ヶ月以上を経て汚染された排水が流れる福島第一
※1(2)にて作成
 ※2 法定限度は(3)による。
 図―2 福島第一排水路のセシウム137

以下に福島産ヒラメの検査結果を示します。
他では見つかっても、福島県が検査すると見つからなくなるヒラメのセシウム
 ※1 (4)(5)(6)を集計
 ※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す。
 ※3 日付けは捕獲日
 ※4 ()内は検査先、福島県漁連は「県漁連」と略した。
 図―3 ヒラメの検査結果

 福島県漁連のスクリーニング検査では国の基準・1キログラム当たり50ベクレル(7)を超える59ベクレルのセシウムが福島産ヒラメから見つかっています。福島以外のヒラメからもそこそこセシウムが見つかっています。一方で福島県が検査すると、福島産ヒラメからセシウムが見つからなくなります。厚生労働省や福島県の発表(4)(5)を数えると199件連続で検出限界未満(ND)です。他(他県や福島県漁連)が検査するとセシウムが見つかるのに、福島県の検査ではヒラメからセシウムが見つかりません。
 ヒラメに限らず福島産水産物の出荷前検査は厚生労働省の発表(4)を見ると、福島県農林水産部に属する福島県農業総合センター(8)で実施してます。中立性に疑問があります。
 以下に各排水路の全ベータ濃度を示します。
法定限度を超えた全ベータが流れる福島第一排水路
 ※1(2)で作成
 ※2 法定限度は(3)に示すストロンチウム90の基準値を(9)にて全ベータに換算
 図―4 福島第一路排水の全ベータ濃度

 図に示す通り事故から7年近く経ちましたが、福島第一から海へは法定限度を超える全ベータを含む汚染排水が流されています。福島の海は汚染され続けています。全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質で、全ベータの半分がストロンチウム90由来です(9)。当然ながらセシウムだけでなくストロンチウム90の汚染も心配です。
 ところが厚生労働省はストロンチウム90の検査は必要ないとしています。
ストロンチウム90はセシウムに対し一定の割合を想定すればよいとの説明です。厚生労働省は放射性物質がセシウムだけなら1キログラム当たり120ベクレルまで「安全」であり、基準値は100ベクレルとしています(10)。するとセシウム20ベクレル相当がストロンチウム90等の放射性物質よる被ばく分です。1ベクレルの放射性物質を取り込んだとして
 セシウム137では  0.013マイクロシーベルト
 ストロンチウム90では0.028マイクロシーベルト
の被ばくをします(11)。この割合から考えると厚生労働省が想定しているストロンチウム90の限度は1キログラム当たりで
  9ベクレル(20×0.013÷0.028)
になります。現行の基準値を下回った食品から1キログラム当たり9ベクレルを超えるストロンチウム90が見つかれば、基準値以下でも「安全」とは言えなくなります。
以下に福島原発沖20km圏内の魚のストロンチウム90の検査結果を示します。
福島産魚から見つかり続けるストロンチウム90
 ※(13)(14)を集計
 図―5 20km圏内の魚のストロンチウム90の検査結果

 図に示す様に作年は過去最高となる1キログラム当たり30ベクレルのストロンチウム90を含む魚が見つかりました(15)。最高値を出した魚(クロダイ)セシウムは基準値以下の50.2ベクレルですので、危険なレベルのストロンチウ90です。この件は福島の魚はストロンチウム90が検査されていない限り「安全」とは言えません。東京電力の発表(13)(14)を見る限り福島産ヒラメのストロンチウム90は検査されていません。
 1キログラム当たり59ベクレルのセシウムが見つかった後、1時は出荷が自粛されたのですが、その後に福島県は福島産ヒラメは安全だとし、漁と市場への出荷が昨年8月30日に再開されました(1)。ヒラメは福島県が力を入れている魚です(15)。 以下に各年9-11月の東京中央卸売市場への出荷量を示します。
 2017年や2011年とほぼ同等だった2018年9-11月のヒラメの出荷量
※(16)を集計
 図―6 福島産ヒラメの東京中央卸売市場への出荷量(各年9-11月)

 図に示すように出荷量が回復し、ほぼ2017年と同水準になりました。
 以下に東京中央卸売市場でにヒラメの出荷量に対する福島産の割合を示します。
事故前年より東京中央卸売市場でのシェアが増えた福島産ヒラメ
 ※(1)を集計
 図―7 福島産ヒラメの割合(シェア)(東京中央卸売市場、各年1-9月)

 数値を記載すると、 
 事故前(2010年9-11月)12%(227トン中27トンが福島産)
 昨年(2018年9-11月) 15%(233トン中22トンが福島産)
で、福島産のシェアは事故前より、昨年の方が高くなっています。福島のヒラメが復活しました。安全とは言えない福島産ヒラメが広く出回っています。注意が必要です。

<余談>
 図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
 福島のお米は美味しいのに(17)、安いようです(18)。福島産ヒラメと組み合わせてお寿司にすれば、産地表示の必要が無くなります(19)。福島の皆様は警戒しているようです。
 福島県伊達市は福島最大のイチゴ産地です(20)。今シーズンのイチゴの収穫が始まっています(21)。
イチゴの収穫を報じる福島県の地方紙・福島民報
 ※(22)を2018年12月19日に閲覧
 図―8 イチゴ収穫のを報じる福島県の地方紙・福島民報

 同市のイチゴはとても甘くてちょっと酸っぱい、新鮮そのものだそうです(23)。福島県は福島産イチゴは「安全」だと主張しています(24)。でも、福島県伊達市のスーパーのチラシには福島産イチゴはありません。
他県産はあっても福島産イチゴが無い福島県伊達市のスーパーのチラシ
 ※(25)を引用
 図―9 福島産イチゴが無い福島県伊達市のスーパーのチラシ

 (=^・^=)も福島県伊達市の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。

―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)福島県沖 ヒラメの出荷再開 試験操業で漁獲 :日本経済新聞
(2)2018年のアーカイブ - 廃炉プロジェクト|公表資料|東京電力ホールディングス株式会社中の「2018年12月27日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第61回事務局会議)⇒【資料3-6】 環境線量低減対策
(3)周辺の分析結果ー分析結果 - 廃炉プロジェクト|データ|東京電力ホールディングス株式会社
(4)報道発表資料 |厚生労働省
(5)モニタリング検査結果【詳細】 - 福島県ホームページ
(6)福島県における魚介類の試験操業に関するポータルサイトです中の「漁協によるスクリーニング検査結果 ⇒相馬双葉地区  およびいわき地区 
(7)食品中の放射性セシウムスクリーニング法の一部改正について |報道発表資料|厚生労働省
(8)農林水産部 - 福島県ホームページ
(9)めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質
(10)食品中の放射性物質への対応|厚生労働省
(11)めげ猫「タマ」の日記 ベクレルとシーベルト
(12)採取地点別放射性物質の分析結果(2018年9月分) - 廃炉プロジェクト|データ|東京電力ホールディングス株式会社<中の26日<福島第一原子力発電所20km圏内海域>2018年度 第1四半期採取分
(13)福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果|アーカイブ|東京電力中各月の「魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所20km圏内海域> 201*年度 第*四半期採取分(*は1~7の数値)」
(14)2017年7月13日魚介類の核種分析結果<福島第一原子力発電所20km圏内海域> 2016年度 第4四半期採取分(PDF 756KB)
(15)ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ
(16)東京都中央卸売市場-統計情報検索中を「大分類⇒鮮魚、中分類⇒その他鮮魚類、品目(小分類)⇒ひらめ(国内)」で検索
(17)ふくしまの米美味しい理由|ふくしまの米
(18)めげ猫「タマ」の日記 今年も安値、福島産米
(19)加工食品品質表示基準改正(原料原産地表示等)に関するQ&A|消費者庁
(20)めげ猫「タマ」の日記 福島でイチゴの出荷始まる。汚染された主要産地の検査結果はありません。
(21)聖夜の彩り 贈答用イチゴ収穫最盛期 | 県内ニュース | 福島民報
(22)福島民報
(23)伊達のいちご - 福島県伊達市ホームページ
(24)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(25)保原店|店舗・チラシ情報|リオン・ドール
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  1. 2019/01/03(木) 19:50:35|
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