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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島Q&A Q21.速やかな出荷制限はでましたか?

Q>速やかな出荷制限はでましたか?
A>いいえ、大混乱でした。たとえば、福島産牛肉は福島県の検査では当時の暫定基準値(1)以下でしたが、福島県外が検査すると当時の基準値を超えていました。
 2011年の福島原発事故では、福島第一原発を中心に爆発するなどして次々の放射能漏れを起こしました。
 事故翌日の2011年3月12日に福島第一原発1号機が爆発しました(2)。
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 ※(3)をキャプチャー
 図-1 水素爆発する福島第一原発1号機

 福島第一原発はその後も次々と放射能を放出し、各地を汚染しました。
事故から8年4ヶ月過ぎて特異的に汚染されている福島
 ※1(4)のデータを(5)に示す手法で7月1日に換算
 ※2 旧避難地域は(6)による。
 図―2 特異的に汚染されている福島

 図に示す様に事故から8年4ヶ月を経過しましたが、福島を中心に国が除染が必要だとする毎時0.23マイクロシーベルトを超えた(7)地域が広がっています。このような地域は概ね福島だけです。福島は特異的に汚染されています。福島についで汚染が酷いのは、宮城県丸森町です。
 多くの方が、食品の放射能汚染を心配し、避けました。福島を代表する果物にモモがあります。7,8月がシーズンです(8)。そこで福島県の7,8月のモモ価格とモモの生産量日本一位の山梨県産(9)と比較してみました。
事故後に山梨産に比べさらに安くなったまま回復しない福島のモモ
 ※(10)を集計
 図―3 山梨・福島のモモ価格

図に示す様に事故後に福島のモモは山梨産に比べ大幅に安くなりました。
 これについて、安倍出戻り内閣は政府が発行した冊子で
「事故の後、国は速やかな避難指示や食品の出荷制限などの対応を行いました。」(放射線副読本(11))
「出荷制限などの事故後の速やかな対応」(放射線のホント(12))
と、速やかな対応なされたと主張しています。
 チェルノブイリ原発事故では、小児甲状腺がんが急増しました。
以下にチェルノブイリでの甲状腺がんの発症率の推移を示します。
1990年位から増えたチェルノブイリの甲状腺癌
 ※1(13)にて作成
 ※2 年齢は発症時の年齢
 ※3 チェルノブイリ原発事故は1986年(14)
 図―4 チェルノブイリ原発事故での甲状腺癌発生率

図に示す通りチェルノブイリ原発事故では事故の4年目以降から増加が見られます。 甲状腺がんはヨウ素131の被ばくによって生じる物とされていますが(15)、ヨウ素131は半減期(量が半分になるまでの時間)が8日です(16)。摂取制限などで、ヨウ素131による被ばくを抑制するには、半減期に比べ短い期間内に対策が実施されていなければ効果はありません。事故直後に迅速な対応が求められたのは食品中のヨウ素131の検査でした。
 図―2示す様に福島県県北区域は旧避難地域を除けば、最も汚染が酷い場所です。逃げなっただけでに放射線影響が心配されます。以下に福島県県北地区産野菜と原乳の2011年3月中の検査結果を示します。
基準超のヨウ素131に汚染されていた福島産
 ※1(17)を集計
 ※2 基準値(当時)は(1)による。
 ※3 日付けは検査完了日
 図―5 福島県県北地区産野菜と原乳の2011年3月中の検査結果

 図示すように最初の検査結果が出るのに数日を要しました。福島産原乳の出荷制限が出たのは事故から10日後の3月21日(18)、野菜は12日後の3月23日です(19)。検査結果が出て対策が取られたのはヨウ素131の半減期を超えています。
 1号機が爆発した翌日の3月13日、丸森町よりさらに北にある女川原発敷地内で毎時21マイクロシーベルトの放射線が検出されたことが報じられた。原子力安全・保安院は、検出された放射線は福島第一原発の爆発で放出されたものとの見解を示しました(20)。1号機の放射能は北に向かいました。この時点で、宮城県はヨウ素131に汚染されていたはずです。以下に宮城県産の検査結果をしまします。
事故から一か月後でやっと始まった宮城県の検査
 ※1(17)を集計
 ※2 日付けは発表日
 図―6 宮城県の食品検査結果

 図に示しように、直ぐには検査結果が発表になりませんでした。これは宮城県が津波で被災したことや、特に宮城県原子力センターが津波で被災し、測定装置が流され(17)、測定不能に陥り、立て直しの時間を要したためと思います。厚生労働省の発表(17)を見ると宮城県産の最初の検査結果が出たのが、事故1ヵ月後の4月11日、丸森町産の検査結果が最初に発表になったのは1ヵ月半後の4月27日です。水道水の最初の検査結果発表は6月16日です(18)。この頃にはヨウ素131は半減期から考えて当初の十数分の1になっています。宮城県の検査は、ヨウ素131による被ばく防止には役にたちませんでした。
 以下に事故直後に福島産牛肉の検査結果を示します。
消費地の検査でのみ基準超が見つかった福島産牛肉
 ※1(17)を集計
 ※2 NDは検出限界未満を示す
 ※3 日付は牛さんがお肉になった日
 図―7 福島産牛肉の検査結果

 図に示す通り福島県の検査では見つからないのに「消費地」の検査では基準を超えるセシウムに汚染された牛肉が見つかりました。いわゆる「稲わら牛」問題です(23)。福島産セシウム汚染食品の市場流出を止めることが出来ませんでした。
 2011年10月12日に福島県は、2011年度産米の検査を一通り終えて、福島産米の安全宣言をしました(24)。ところが、11月16日に暫定基準値の1キログラム当たり500ベクレルを超える630ベクレルのセシウムに汚染された福島産米が見つかりました(25)。その後に大量の汚染米が見つかりました。

 表―1 福島産セシウム汚染米の発見状況
 ※1 (17)を転載
 ※2 年は11,12月が2011年、1,2月が2012年
 基準超の福島産米リスト

 追加の検査は出荷前の検査だけであり、流通品に対しては実施されておらずどれ程の汚染米が市場に流出したかは不明です。検査でセシウム汚染福島産米を排除はできませんでした。
 以下に福島産乾しシイタケの検査結果を示します。
事故からしばらく検査されなかった福島産乾しシイタケ
 ※1(17)を集計
 ※2 NDは検出限界未満を示す
 ※3 日付けは検査日
 ※4 基準値は(1)による。
 図―8 福島産乾しシイタケの検査結果

 図に示す様に事故後、しばらくは検査されませんでした。厚生労働省の発表を見ると、最初に検査されたのは2011年11月8日です。そして、当時の暫定基準値の3倍以上の1キログラム当たり1,540ベクレルのセシウムが見つかりました(26)。事故からこの日まで、福島産汚染乾しシイタケは何の規制もなく市場に流通していました。
 福島県広野町は緊急時避難準備区域なので、出入りは自由でした(6)。当然ながら、タケノコを取ることができました。ただし、2011年のシーズンは厚生労働省の発表(17)を見る限り検査結果去りません。最初の結果が出たのは2012年4月20日です。いきなり基準値の1キログラム当たり100ベクレルの13倍の1,300ベクレルのセシウムが見つかりました(27)。そして4月23日に出荷制限になりました。広野町産タケノコは2011年は検査されず野放し状態でしいた。
 以下に流通品の検査結果を示します。
事故から8年間、市場流出が続くセシウム汚染食品
 ※1(17)を集計
 ※2 日付けは購入日
 ※3 基準値は(1)による。
 ※4 10(Bq/kg)以上を表示
 図―9 流通品の検査結果(厚生労働省発表分) 

 図に示す様に、事故から8年間、ずっと基準超のセシウム汚染食品の市場流出が続いています。安倍出戻り内閣は冊子で
「事故の後、国は速やかな避難指示や食品の出荷制限などの対応を行いました。」(放射線副読本(11))
「出荷制限などの事故後の速やかな対応」(放射線のホント(12))
と喧伝していますが、とんでもないデマです。


<余談>
 図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
 福島に対する疑問を「めげ猫「タマ」の日記 福島Q&A 」にまとめました(29)。よかったら他のQ&Aも見て下さい。
 安倍出戻り総理は、「悪夢のような民主党政権」と言っています(30)。民主党政権下で起こった最大の悪夢は東日本大震災と福島原発事故だと思います。ただし、この対応は「速やか」と褒めたたえています。
 改定前の放射線副読本は
 「暫定規制値を超える食品が市場に流通しないよう出荷制限などの措置をとってきました。」
と記載し(31)、「速やか」との文言は入っていませんでした。事故から9年目になり、福島原発事故の記憶が薄らいだ方もいろと思います。安倍出戻り内閣はそこに付け込み、速やかでないもを「速やか」と表現しています。こんな方が総理では福島の皆様は不安だと思います。
 福島を代表する果物にモモがあります。福島県福島市等が主要な産地です(32)。福島産くだもののキャンペーンクルーのミスピーチの皆さん(33)が、福島駅で福島産モモんPRをしました(34)。福島はモモの季節です(35)。福島のモモはおいしいとの事です(36)。福島県は福島産モモは「安全」だと主張しています(37)。でも、福島県福島市のスーパーのチラシには福島産モモはありません。
他県産はあっても福島産モモが無い福島県福島市のスーパーのチラシ
 ※(38)を引用
 図―11 福島産モモが無い福島県福島市のスーパーのチラシ

 (=^・^=)も福島県福島市の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。

―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)食品中の放射性物質の基準値について - 福島県ホームページ
(2)福島第一原子力発電所事故の経緯 - Wikipedia
(3)1号機水素爆発vs3号機?vs小型核爆発の比較 - YouTube
(4)航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(平成29年9月9日~11月16日測定) 平成30年02月20日 (KMZ, CSV)」
(5)めげ猫「タマ」の日記 半減期でしか下がらない福島の放射線(2017年)
(6)避難区域見直し等について - 福島県ホームページ
(7)国(環境省)が示す毎時0.23マイクロシーベルトの算出根拠|東京都環境局 その他について
(8)ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ
(9)もも(モモ/桃)の収穫量ランキング: 教えて!全国ランキング 2017  ~都道府県ランキング 日本の統計~
(10)東京都中央卸売市場-統計情報検索
(11)放射線副読本(平成30年10月改訂):文部科学省
(12)風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略
(13)放射線被曝とがんとの関連性3 | トピックス | 日本臨床検査薬協会
(14)チェルノブイリ原子力発電所事故 - Wikipedia
(15)ヨウ素131 - Wikipedia
(16)半減期 - Wikipedia
(17)報道発表資料 |厚生労働省
(18)食品の出荷制限について |報道発表資料|厚生労働省
(19)食品の摂取制限及び出荷制限について(福島県及び茨城県) |報道発表資料|厚生労働省
(20)女川原子力発電所 - Wikipedia
(21)環境放射線監視センター年報一覧 - 宮城県公式ウェブサイト中の第29巻(平成23年) [PDFファイル/9.14MB]
(22)水道水中の放射性物質測定結果 - 宮城県公式ウェブサイト
(23)放射性セシウム汚染稲わらの利用肉用牛農家の概要について:農林水産省
(24)asahi.com(朝日新聞社):福島知事、県産米「安全宣言」 二本松産一部は買い上げ - 東日本大震災
(25)食品中の放射性物質の検査結果について(第248報) |報道発表資料|厚生労働省⇒3 福島県の検査結果⇒検査結果(PDF:130KB)
(26)>食品中の放射性物質の検査結果について(第242報) |報道発表資料|厚生労働省
(27)食品中の放射性物質の検査結果について(第372報) |報道発表資料|厚生労働省
(28)原子力災害対策特別措置法第20条第3項の規定に基づく食品の出荷制限の設定について |報道発表資料|厚生労働省
(29)めげ猫「タマ」の日記 福島Q&A 
(30)安倍首相また「悪夢のような民主党政権」 麻生派パーティーで発言 - 毎日新聞
(31)放射線副読本(平成26年2月改訂)(PDF版):文部科学省
(32)ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ
(33)ミスピーチキャンペーンクルー ? くだもの消費拡大委員会
(34)ミスピーチ、福島県産モモのおいしさPR 新幹線利用客らに:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet
(35)ふくしまプライド。
(36)食の宝庫ふくしま | ふくしま満天堂(ふくしまプライド。)
(37)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(38)イトーヨーカドー 福島店
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