復興庁は福島県県産の安全性などを漫画で訴える冊子「キャイ~ンの福島探訪記」を作成し、六月に配布しました(1)。その内容を見ると「短時間に100mSv以上浴びた場合に、がんのリスクが増えるといわれています。」など(2)のデマの羅列です。実際は広島や長崎の原爆被爆者を調査して推計したデータです(3)。
事故によって福島は汚染されました。
※1(4)(5)にて作成
※2 避難区域は(6)による
図―1 特異的に汚染されている福島
図に示す様にICRPが公衆の被ばく限度とする年1ミリシーベルト(7)を超えた地域が広がっています。事故10年目ですが、事故10年目ですが、福島は汚染されたままです。
原発敷地外にも放射能は漏れています。福島第一原発では幾つかの排水路があります。以下に示します。

※(8)にて作成
図―2 福島第一排水路
以下に各排水路のセシウム137濃度を示します。

※1(8)にて作成
※2 法定限度は(9)による。
図―3 福島第一排水路のセシウム137
事故10年目ですが、図に示すように法定限度を超える放射能に汚染された汚染水が福島の海に流れ続けています。福島第一原発汚染水はコントロールもブロックもされていません(10)。福島の海は今も汚染され続けています。
当然ながら福島の皆様も含め、多くの方が福島を避けています。新潟県新潟市の避難者は自主避難者が多いそうです(11)。 以下に福島から新潟市への避難者数と居住形態を示します。

※1(12)にて作成
※2 「借り上げ」は「借り上げ仮設住宅」、「自力手配」はその他(親戚・知人宅等)、「その他」は「公営住宅・雇用促進住宅等」に区分
図―3 福島から新潟市に避難された方の居住形態
2017年3月末で、住宅支援が打ち切られたのですが(13)、多くの方が福島に戻っていません。
モモの生産量は山梨が1位で福島は2位です(13)。そこで山梨産と福島産のモモ価格を比べてみました。

※(14)を集計
図―4 山梨・福島のモモ価格
図に示す様に事故後に福島産モモは山梨産に比べ大幅に安くなりました。多くの消費者は福島を正しく恐れ、避けています。
ところが安倍出戻り内閣は福島は「安全」、避けるのは「風評」、「差別」、「偏見」を主張しています(15)。いうまでもなくフクシマは汚染されており、避けるには当然です。さらに、復興庁は福島県県産の安全性などを漫画で訴える冊子「キャイ~ンの福島探訪記」を作成し、六月に配布しました(1)。
この冊子を見ると、福島の魚から基準超が見つからくなったと記述していました。

※(2)を引用
図―5 福島の魚から基準超が見つからくなったと主張する復興庁
確かに厚生労働省(16)や福島県(17)が発表している検査結果を見ると基準超はまずありません。ただし、厚生労働省(16)を見ると福島産海産物の出荷前検査は全てを福島県農林水産部に属する福島県農業総合センター(18)で実施しています。中立性に疑問があり、検査の妥当性を示すデータが無い限り信頼できません。
以下にスズキの検査結果を示します。

※1(1)(2)を集計
※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す。
※3 日付けは捕獲日
※4 淡水を除く
図―6 スズキの検査結果
図に示すように茨城、宮城、千葉県産からセシウムが見つかってします。一方で福島県が検査した福島産スズキは厚生労働省や福島県の発表(1)(2)を数えると127件連続で検出限界未満(ND)です。海が繋がえっているのに汚染源がある福島産から見つからないなどはおかしな話です。福島県の検査は隣県の検査結果と整合性がありません。
「短時間に100mSv以上浴びた場合に、がんのリスクが増えるといわれています。」
と記述しています(2)。実際は広島や長崎の原爆被爆者を調査して推計したデータです(3)。さらに100mSv以下の被ばくで発がんのリスクがあります。ICRP採用しているLNT仮説では、発がんリスクは線量にかかわらず被ばくで生じます。被ばく線量に比例して発がんリスクが増大するとされています(20)。そのため、放射線量と放射線物質の放出量を最小限に抑えるという、放射線の安全利用における原則(ALARA)が提唱されています(21)。被ばくは100mSv以下なら問題なしではなく、少なければ少ないほどよいのです。
福島県外でも被ばくしている記述があります。

※(2)を引用
図―7 福島県外でも被ばくするとする主張する復興庁
そして
「福島県は放射線の影響を気にすることなく普通に生活できる」
と記載しています。でも、図に示すように福島は福島県外に比べ高くなっています。特に安達(高校)は年間1ミリシーベルトの被ばく線量になっています。これはICRPが公衆の被ばく限度とする年1ミリシーベルト(7)と同等の値です。福島では注意しないとICRPの勧告を超えて被ばくします。
さらに「日本の基準は世界で最も厳しい」との記述があります。冊子にある通り福島の果物の基準は100(Bq/kg)ですが、ウクライナでは70Bq/kg)です(22)。
また、福島の魚は国の基準より厳しい50(Bq/kg)なんて記述もあります。でも福島の検査はNaIによる簡易検査で(23)、簡易検査の基準は50(Bq/kg)で、国の基準と同じです。
復興庁は福島県県産の安全性などを漫画で訴える冊子「キャイ~ンの福島探訪記」を作成し、六月に配布しました(1)。その内容を見るとのデマの羅列です。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
この冊子の主旨は、100mSv未満の被ばくは「安全」、福島にかかわるわっても(おでかけや福島産の飲食)100mSvの被ばくはないとの趣旨かと思います。公式には100mSv以下の被ばくの影響は確認されていません。言い換えればわかっていないなです。福島ではわかっていないことを、そのようなことは確認されていないと主張し、あたかも無いなような言い換えがなされています。これでは福島の皆様は不安だと思います。
福島県に水揚げされる魚のなかで、年間の水揚げ額が最も高いのがカツオです。福島県の小名浜港は全国主要43港のなかでも水揚げ額で上位を誇ります。福島のかつおは季節に応じて味の変化が楽しめるのが魅力です(25)。TOKIOのテレビCMも流れています(26)(27)。福島県は福島産カツオは「安全」だと主張しています(26)。でも、福島県棚倉町のスーパーのチラシには福島産カツオはありません。

※(28)を引用
図―8 福島産カツオが無い福島県棚倉町のスーパーのチラシ
(=^・^=)も福島県棚倉町の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
【本県水産物のPR】「常磐もの」を大都市圏で(7月23日) | 福島民報(2)
マンガで読む | タブレット先生の「福島の今」(3)
低線量率被ばくによるがん死亡リスク - 環境省(4)
航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会⇒
福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(令和元年8月29日~11月2日測定)PDF(5)
第13回原子力規制委員会 | 原子力規制委員会⇒
資料1 帰還困難区域の放射線防護対策について(特定復興再生拠点区域外における土地活用関連)【PDF:440KB(6)
避難区域の変遷について-解説- - 福島県ホームページ(7)
ICRP勧告(1990年)による個人の線量限度の考え (09-04-01-08) - ATOMICA -(8)
>2020年のアーカイブ - 廃炉プロジェクト|公表資料|東京電力ホールディングス株式会社⇒2020年7月2日(廃炉・汚染水対策チーム会合/事務局会合第78回事務局会議⇒
資料3-6】環境線量低減対策(7.88MB)(9)
周辺の分析結果ー分析結果 - 廃炉プロジェクト|データ|東京電力ホールディングス株式会社(10)
安倍首相「アンダーコントロール」のウソ|WEBRONZA - 朝日新聞社の言論サイト(11)
中山 均 - 【12/21 新潟市災害対策議員連盟、避難者支援策に関し市長要望】... | Facebook(12)
新潟県:県外避難者の受入状況をお知らせします(13)
社説|自主避難者家賃/個別事情に配慮した支援を | 河北新報オンラインニュース(14)
もも(モモ・桃)の都道府県別生産量(収穫量)/グラフ/地図/一覧表|統(15)
東京都中央卸売市場-統計情報検索各年7月について、大分類⇒果実、中分類⇒もも類で検索
(16)
風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略(17)
報道発表資料 |厚生労働省(18)
農林水産物の緊急時環境放射線モニタリング結果【詳細】 - 福島県ホームページ(19)
農林水産部 - 福島県ホームページ(20)
低線量被曝問題 - Wikipedia(21)
Quint Dental Gate - キーワード(22)
ウクライナの食品の放射能基準 - Wikipedia(23)
「試験操業」について - 放射性物質モニタリングデータの情報公開 (24)
食品中の放射性セシウムスクリーニング法の一部改正について |報道発表資料|厚生労働省(25)
小名浜のカツオ|福島県|全国のプライドフィッシュ|プライドフィッシュ(26)
ふくしまプライド(27)
TOKIO新CM完成 「桃」「カツオ」「夏野菜」編3本 | 福島民報(28)
安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ⇒
海産魚介編 [PDFファイル/183KB](29)
エコス棚倉店
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- 2020/07/24(金) 19:47:28|
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