日本原燃の使用済み核燃料再処理施設が原子力規制員会の適合性審査(安全審査ではない)に合格しました(1)(2)。お祝いしたいのですが、
・取り出したプルトニュウムの行き先が無い
・廃棄物の最終処分が決まっていない
・トリチウムの放出が起こる
等の問題があり未来は暗いと思います。
安倍出戻り内閣は原子力発電で使い終えた燃料(使用済燃料)をもう一度使うことができれば、資源の有効利用に役立つのはもちろん、高レベル放射性廃棄物の量を減らしたり、その有害さの度合いを低くするといったことにも役立と主張しています。
こうした理由から、使用済燃料の中からウランやプルトニウムといった燃料として再利用可能な物質を取り出し(再処理)、この取り出した物質を混ぜ合わせて「MOX燃料」と呼ばれる燃料に加工して、もう一度発電に利用するという取り組みを行っています。これを「核燃料サイクル」といいます(3)。

※(3)を引用
図―1 核燃料サイクル
すなわち、原発で使い終わった使用済み核燃料の中には、まだ残っているウラン235や原発を運転する過程で生じたプルトニウム239が含まれています(4)。これを再処理工場で取り出し、新たな核燃料に加工し、再度、原発で使用することになっています。
このうち再処理工場の建設が1993年より、青森県六ヶ所村で21,900憶円をかけて進められています。建設開始から27年ですが、今もって完成していません(5)。それでも7月29日の原子力規制委員会で、適合性審査(安全審査ではない)のうち変更許可について合格が決まりました(1)(2)。

※(6)を7月30日に閲覧
図―2 核燃料再処理工場の合格を報じる福島県の地方紙・福島民報
再処理工場で取り出したプルトニュウムは核兵器の材料になります(7)。日本では海外に再処理を委託するなどしてすでに原爆6000発分が作れる約14トンのプルトニウムを所有しています(8)。プルトニウム核燃料で発電をする高速増殖炉の開発が進められていたのですが、度々とトラブルを起こし、廃炉になってしまいました(9)。もう一つの方策にプルトニウムの核燃料をウラン燃料と共に使うプルサーマル計画が進められています。だたし、これまでに運転できたのは関西電力・高浜3号、四国電力・伊方3号、九州電力・玄海3号、東京電力・福島第一3号ですが(10)、福島第一3号は爆発してしまい(11)、現状は3機です。再処理工場が稼働してプルトニウムを取り出しても使う当てはありません(12)。
再処理をすれば、放射性廃棄物がでます。これについて最終処分先が決まっていません。電力会社は将来は可能になるような主張をしています(13)。日本の最初の商用原発は1966年に稼働した東海原発です。軽水炉では1970年に稼働した敦賀原発1号です(14)。この時から核のゴミの最終処分の問題は起きています。軽水炉が稼働してから50年ですが、過去50年で解決できない問題が次の50年で解決できる(13)との電力会社の主張に妥当性があるか疑問です。原発は「トイレ無きマンション」と揶揄されています(15)。
原発では冷却水に含まれる重水素が中性子を吸収し、トリチウムが生成されます(16)。他にも、核分裂(3体分裂)によっても生成されます。福島第一汚染水のトリチウムはこのタイプです(17)。福島第一汚染水の処分問題でもめています。汚染水と分離できないとするトリチウムが約860兆ベクレル含まれています(18)。このトリチウムは原発では5重の壁に守られ外へ出ることはないと思います(19)。でも、再処理工場では第一壁のペレットや被覆管(19)がばらばらにされます(20)。3,4、5の壁である原子炉圧力容器、格納容器、建屋からは運びだされています。再処理工場ではトリチウムがむき出しになります。六ヶ所村の再処理工場から排出されるトリチウムは年間で18,000兆ベクレルとされています(5)。再処理工場が稼働すればそこの排水は福島第一汚染水と同等の性質をもつものになります。公式にはトリチウムは「安全」だとされていますが(21)、英国の核燃料再処理施設周辺(セラフィールド、ドーンレイ)で小児白血病の発生率が全国平均よりはるかに高いことが1983年発表されました。原因が再処理施設から放出された放射性物質によるものとの証明はありませんが(22)、原因は特定されておらず疑いを否定することはできません。再処理工場がある六ヶ所村は下北半島にあります(23)。下北半島は漁業が盛んです(24)。再稼働して福島第一の汚染水と同様のものが海に流されたら、福島産同様に下北半島産海産物の購入自粛をする方がでてきそうです。
日本原燃の使用済み核燃料再処理施設が原子力規制員会の適合性審査(安全審査ではない)に合格しました(1)(2)。お祝いしたいのですが、
・取り出したプルトニュウムの行き先が無い
・廃棄物の最終処分が決まっていない
・トリチウムの放出が起こる
等の問題があり未来は暗いと思います。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
柏崎刈羽原子力発電所は新潟県柏崎市と刈羽村にまたがる東京電力の原発です(25)。東京電力は6,7号機の再稼働を目指しています(26)。ところが6,7号機の使用済み核燃料プールの使用率は6号機が93%、7号機97%でほぼ一杯です。1から5号機はこれより余裕があるのですが(27)、柏崎市は使用済み核燃料の早期撤去を望んでいます(28)。地図で見ると6,7号機は刈羽村にかかっていますが1から5号機は柏崎市側にあります。6,7号機から1から5号機への使用済み核燃料の移動は、柏崎市からみれば他自治体から移動です。同意するとは思えません。再稼働するには再処理工場などの他の場所に使用済み核燃料を運びだす必要があります。
六ヶ所再処理工場に使用済み核燃料が運び込まれても再処理されず放置されそうです。このまま行けば下北半島は、使用済み核燃料の保管場所になりそうです(29)。こんな東京電力では福島の皆様は不安だと思います。
福島でもミニトマトの収穫が始まりました(30)。福島県二本松市はミニトマトの産地です(31)。福島のミニトマトは美味しいとのことです(32)。福島県は福島産ミニトマトは「安全」だと主張しています(33)。でも、福島県二本松市のスーパーのチラシには福島産ミニトマトはありません。

※(34)を引用
図―3 福島産ミニトマトが無い福島県二本松市のスーパーのチラシ
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
再処理事業の変更許可について - 2020年7月29日 | 発表・お知らせ > プレスリリース - 日本原燃株式会社(2)
第18回原子力規制委員会 | 原子力規制委員会(3)
核燃料サイクルの今|広報特集|資源エネルギー庁(4)
使用済み核燃料 - Wikipedia(5)
六ヶ所再処理工場 - Wikipedia(6)
福島民報社(7)
プルトニウム - Wikipedia(8)
余剰プルトニウム保有量に上限 核燃サイクル停滞で政府:朝日新聞デジタル(9)
もんじゅ - Wikipedia(10)
プルサーマル - Wikipedia(11)
福島第一原子力発電所事故 - Wikipedia(12)
減らないプルトニウムに懸念 「消費先」プルサーマル進まず
2020年07月29日13時31分 時事(13)
高レべル放射性廃棄物の最終処分場の場所はまだ決まっていないと聞いたけど? - 放射性廃棄物の処分|中部電力(14)
日本の原子力発電所 - Wikipedia(15)
「トイレなきマンション」の原発どうする 初の国際会議:朝日新聞デジタル(16)
トリチウムについて 中部電力(17)
福島第一原子力発電所でのトリチウムについて 平成25年2月28日 東京電力株式会社(18)
福島原発、見えぬ「トリチウム水処分」のゆくえ | 資源・エネルギー | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準(19)
安全を考えた5重の壁-安全対策-原子力発電(基礎編)-電気なんでも調査隊-キッズ・ミュージアム-四国電力-(20)
[再処理事業] 再処理工場の全体工程 | 事業情報 > 概要 - 日本原燃株式会社(21)
多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会報告書について(METI/経済産業省)(22)
英国における原子力施設周辺の小児白血病 (09-03-01-01) - ATOMICA -(23)
六ヶ所村 - Wikipedia(24)
下北の地域漁業とスルメイカの漁況動向 - 東京水産振興会(25)
柏崎刈羽原子力発電所 - Wikipedia(26)
柏崎刈羽発電所新トップページ|柏崎刈羽原子力発電所|東京電力(27)
1~7号機の燃料輸送・使用済燃料保管状況|柏崎市公式ホームページ(28)
柏崎市、使用済み核燃料に累進課税 早期搬出の促進狙う :日本経済新聞(29)
中間貯蔵施設 - Wikipedia(30)
つややか“宝石” ミニトマト「天姫」、天栄で収穫開始 | 福島民報(31)
トピックス | JAふくしま未来(32)
旬の食材ートマト | あいづ食の陣ホームページ(33)
安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ(34)
二本松インター店 | お店を探す | ヨークベニマル
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- 2020/07/31(金) 20:24:11|
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