事実上、適合性審査の手続きが終了した柏崎刈羽原発(1)(2)(3)についてNHKは「再稼働には地元自治体の同意が必要」と喧伝していました(4)。「地元」は範囲があいまいですが、「立地自治体」より広い範囲を指します(5)。同意が必要なのは「地元」でなく「立地自治体」です(6)。NHKは「嘘」を流しています。NHKは国民の知る権利を充足せず、民主主義発展を棄損します(7)。
柏崎刈羽原子力発電所は新潟県柏崎市と刈羽村にまたがって立地する東京電力発電所です(8)。ただし、あまり評判が良くありません。新潟の地方紙がが7月に行った世論調査では、柏崎刈羽原発の再稼働に「反対」「どちらかといえば反対」が計52%だったのに対し、「賛成」「どちらかといえば賛成」は計26%で(9)だそうです。
新潟の皆さんが反原発と言うよりは、東京電力の原発だからだと思います。第一に新潟は東京電力の供給エリア外です(10)。まったく供給していない訳ではありませんが、東京電力が新潟でも電気を供給している(11)(12)事を新潟の読者に聞く限り殆ど知られていないようです。
2007年の中越沖地震では設計時の想定を超える揺れに襲われ(13)、火災や放射能漏れ事故(14)を越しました。

※(15)を転載
図-1 煙もくもく柏崎刈羽原子力発電所
そして運転停止に追い込まれました(9)。これに対し東京電力はこの事故を踏まえ「災害に強い発電所づくりに取り組んでまいります。」と主張しました(16)。ところが、4年後に福島原発事故が起こり、大爆発を起こし、5重の壁が一気に壊れ放射能が福島第一原発から福島を中心にした区域に「うつり」、福島を中心に各地を汚染しました。これについて東京電力は「想定外」を言い出しました(17)。むろん「安全対策を考える上で想定しないと決めた想定外」との想定外です(18)。新潟県内限定で新潟県限定ですが「災害に強い発電所作りに挑戦しづづけます」とのテレビCMを流しています(19)。2004年の事故後とほぼ同じフレーズです。これで新潟の皆様の理解が得られるとは考えられません。
それでも、東京電力は柏崎刈羽原子力発電所に執着しており、再稼働を目指しています(20)。原発を再稼働するには、原子力規制員会の適合性審査(安全審査ではない)と(21)、立地自治体の同意が必要です(3)。適合性審査は基本設計を審査する設置許可基準審査、詳細な設計を審査する工事計画審査、そして運用規定を審査する保安規定審査があります(21)。東京電力は2013年9月に適合性審査を申請しました(22)。それから7年を経ましたが、全てに合格していてはいません。それでも9月23日の原子力規制員会で(1)、最後まで問題となっていた「保安規定」が(2)が了承されました(1)。これでほぼ適合性審査が終わりました。今年12月中には7号機の安全対策工事が終わります(3)。あとは、柏崎刈羽原発の立地自治体(新潟県、柏崎市、刈羽村)(9)の同意が得られれば再稼働です。同意が必要なのは立地自治体のみです(22)。「地元」は範囲があいまいですが、「立地自治体」より広い範囲を指します(5)。地元全体の同意は必要ありません。これをNHKは
「再稼働には地元自治体の同意が必要」
と(4)、あたかも地元の同意が必要なように報じていました。

※(4)をキャプチャー
図―2 「地元自治体の検証・判断 焦点に」と喧伝するNHK
NHKは「嘘」を流しています。NHKは国民の知る権利を充足せず、民主主義発展を棄損します(7)。
<余談>
図表が小さいとご不満の方は、画像をクリックしてください。
適合性審査が最終的に「合格」になるのは、東京電力は補正書を出す必要があります(2)。ただ、再稼働の見込みがないのに「合格」をとるとデメリットがあります。再稼働の見込みがないのに「合格」させると、立地自治体の原発マネーが減額されます(23)。東京電力は忖度して、再稼働ぎりぎりまで、「合格」を遅らすかもしれません。
再稼働の見込みは厳しいと思います。柏崎市長は「原発の安全安心が問われる中、規制委が安心という非科学的な領域も判断したと受け止めた。(環境は)整いつつある」と述べました(3)。刈羽村村長は日本経済新聞の取材に「規制委が合格を出すのなら、安全に発電できると判断したからで文句はないし、注文を付ける権限もない」と話しています(24)。立地自治体には巨額の原発マネーが入ります(22)。再稼働に賛成するのは当然です。一方で、地元を構成するであろう周辺自治体には入る原発マネーは少額です。
鍵を握るとのは新潟県知事の判断です。 昨年、10月の豪雨で福島では大量の災害ごみがでました。災害で生じた福島県本宮市の泥土から最大で1キログラム当たりで3,960ベクレルのセシウムが見つかりました(25)。これは国が再利用してよいとする同100ベクレル(26)の40倍近い値です。福島の災害ごみは放射能に汚染されている可能性が高いです。これを新潟県は受け入れました(27)。本宮市が新潟県に要請したものです。この事実は福島では発表されましたが、新潟県や実際に受け入れた新潟県五泉市はこの事実を積極的には広報しなかったようで、新潟では報じられなかったようです(28)。これなどは国策に沿う処置です。新潟県知事は国策との整合性を重視するようです。本音では再稼働を認めたいはずです。自公が推薦した候補ですから当然です。
ただし、彼は知事選では反原発色が強い野党系候補と同じように柏崎刈羽の再稼働に慎重な姿勢を示しました。野党系候補の政策も丸呑みする「だきつき」ともいえる戦術を展開しました(29)。2016年の鹿児島県知事選では反原発色が強い公約を掲げた候補が、当時の現職を破り当選しました。当選したかたは、いつの間にか原発を容認するようになりました。そして今年7月の選挙で落選しました(30)。新潟県知事も同じ事を心配しているはずです。そう簡単には再稼働に同意できないと思います。
東京電力は柏崎刈羽は安全になったと主張しています(31)。これもどこまで信用されているか(=^・^=)にはわかりません。少なくとも福島の皆様は東京電力を信用していません。
福島代表する野菜にトマトがあります。9月はシーズンです(32)。TOKIOのテレビCMも流れてました(33)。福島のトマトは美味しいとの事です(34)。東京電力は福島産は「安全」であり、避ける行為を「風評被害」と呼んでいます(35)。でも、福島県いわき市のスーパーのチラシには福島産トマトはありません。

※(36)を引用
図―3 福島産トマトが無い福島県いわき市のスーパーのチラシ
(=^・^=)も福島県いわき市の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にさせて頂いたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
第27回原子力規制委員会 | 原子力規制委員会(2)(1)⇒
資料2 東京電力ホールディングス株式会社柏崎刈羽原子力発電所の発電用原子炉施設保安規定及び設計及び工事の計画の審査状況について(2回目)【PDF:5MB】(3)
全審査「合格」 地元から賛否の声 柏崎原発 首長対応も注目(新潟日報)(4)
社長責任明記し手続きほぼ終了|NHK 新潟県のニュース(5)
原発の「地元」問い直す機会に :日本経済新聞(6)
4首長「再稼働、全自治体同意を」柏崎刈羽原発で県内市町村長アンケート(新潟日報)(7)
最高裁大法廷,放送法の受信料制度を合憲と判断|NHK放送文化研究所(8)
新規制基準への適合審査 - 原子力発電所の安全規制 | 電気(9)
柏崎刈羽原子力発電所 - Wikipedia(10)
【経済インサイド】東電の浮沈握る「柏崎刈羽原発」再稼働 地元・新潟県民の不信感は解消できるのか(2/4ページ) - 産経ニュース(11)
東北・九州エリアにおけるご家庭向け電気料金プランの受付開始について|プレスリリース|東京電力エナジーパートナー株式会社(12)
料金プラン|電気料金プラン|東京電力エナジーパートナー株式会社(13)
新潟県中越沖地震における柏崎刈羽原子力発電所の地震観測記録について 平成19年7月19日 東京電力株式会社(14)
柏崎刈羽原子力発電所6号機の放射性物質の漏えいについて|TEPCOニュース|東京電力(15)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい東電原発(3月1週)―柏崎刈羽・安全審査の申請書を再提出―(16)
第7回「地域の声委員会」の概要について|柏崎刈羽原子力発電所|東京電力(17)
今回の津波は、それまでの知見では想定できない大規模なものでした|東京電力(18)
フクシマは本当に「想定外」だったのか :日本経済新聞(19)
CM・新聞・雑誌広告|動画・画像集|東京電力ホールディングス株式会社(20)
新潟県の皆さまへ(新潟本社)|東京電力ホールディングス株式会社(21)
>新規制基準適合性に係る審査・検査の流れ | 原子力規制委員会(22)
原発マネー 持ちつ持たれつ 依存の構造(下)-関電役員 金品受領-(23)
原発再稼働しなければ交付金を減額/国が自治体へ圧力(24)
>柏崎刈羽原発再稼働 地元同意 メド立たず :日本経済新聞(25)
放射線監視室 - 福島県ホームページ⇒
令和元年台風19号に伴う環境放射能モニタリング結果について(最終報) [PDFファイル/1.12MB](26)
100Bq/kg と 8,000Bq/kg の二つの基準の違いについて - 環境省(27)
福島の台風災害ごみ、初の県外搬出 新潟で広域処理 | 河北新報オンラインニュース(28)
めげ猫「タマ」の日記 福島の放射能汚染ゴミが新潟県五泉市に運ばれました。(29)
新知事でも「柏崎刈羽再稼働」が難しい理由 | 原発再稼働の是非 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準(30)
三反園訓 - Wikipedia(31)
発電所の安全対策|柏崎刈羽原子力発電所|東京電力(32)
ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ(33)
ふくしまプライド(34)
食の宝庫ふくしま | ふくしま満天堂(ふくしまプライド。)(35)
風評被害に対する行動計画の策定について|プレスリリース|東京電力ホールディングス株式会社(36)
マルト 岡小名店のチラシ・特売情報 | トクバイ
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- 2020/09/24(木) 19:42:00|
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