グリーンコープ生活協同組合連合会(本部・福岡市)が立ち上げた東日本大震災復興応援企画を、福島民友新聞が「福島県外し」と報じたため名誉を傷つけられたとして、同会が福島民友に損害賠償を求めた訴訟の判決で、福岡地裁(立川毅裁判長)は12月21日、名誉毀損に当たると認め、110万円の支払いを命じました(1)。
福島は事故によって汚染されました。
※1(2)(3)にて作成
※2 旧避難区域は(4)による
図―1 事故10年目も汚染されている福島
図に示す様にICRPが公衆の被ばく限度とする年1ミリシーベルト(10)を超えた地域が広がっています。
以下にスズキの検査結果を示します。

※1(5)(6)を集計
※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す。
※3 日付けは捕獲日
※4 淡水は除く
図―2 スズキの検査結果
図に示す様に、福島産スズキは検出限界未満が連続しています。厚生労働厚生労働(5)や福島県(6)の発表を数えると263件連続で検出限界未満(ND)です。宮城、茨城、千葉県産からはセシウムが見つかっています。見つかっています。
隣県では見つかっているのに、汚染源がある福島産から見つからないなど、海はつながっているのに、おかしな話です。スズキ等の玄米を除く福島産農水産物の出荷前検査は厚生労働省の発表(5)を見ると、全てを福島県農林水産部に属する福島県農業総合センター(7)で実施しています。中立性に疑問があります。
以下に福島産コウタケの検査結果を示します。

※1(5)を集計
※2 基準値は(8)による。
※3 流通品は国立医薬品食品衛生研究所および福島市保健所が検査
※4 出荷前検査は福島県農業総合センター
図―3 福島産コウタケの検査結果
図に示す通り、2014年以降は福島県農業総合センターが実施した出荷前検査では全てが基準値以下です。一方で他の機関が検査した流通品では基準超が見つかっています。
福島の放射能は今も食べ物にうつり続けています。福島産は出荷前検査で基準値以下でも基準値以下は担保されません。
福島県伊達市は図―1に示す通り、避難指示が出た地域に接しています。事故発生後1年間の積算線量が20ミリシーベルトを超えると推定される特定避難勧奨地点(9)が設定されました。特定避難勧奨地点が設定されたのは、避難指示が出なかった市町村では伊達市だけです(4)。同市は避難しなかった市町村では最も汚染が酷い市です。
四季を通じて農産物が取れます。くだもので見ると、福島の冬を代表する柿は福島県1位、冬・春のイチゴも1位、夏のスモモは1位、モモは2位、秋のリンゴ、ブドウは2位の産地です(10)(11)。また、福島を代表する春野菜のサヤエンドウは福島県1位、夏のキュウリは1位、秋のシュンギクは1位、冬のニラは1位の産地です(12)。同市は四季を通じ、地場の野菜と果物が楽しめます。福島県では30キログラム単位でとれた米を全数検査する全量全袋(13)を2019年産米まですべての市町村で実施していました(14)。米の年間の消費量は1当たり54キログラムです(15)。検査数が人口の倍あれば、米の自給自足ができます。同市の人口は約6万人です(16)。全量全袋検査数は18万件あり(14)、米の自給自足ができます。さらに同市には伊達鶏とよばれる鶏肉があります(17)。生産量は月に21万キログラムです(18)。日本人の鶏肉消費量は年間12.2キログラムなので(19)、月1キログラム程です。同市の人口約6万人ですので、こちらも市民が食べるには十分な量です。伊達市は四季を通じ地場の果物、野菜が楽しめ、米や鶏肉も自給可能な量が生産されています。同市の農業はオールラウンドです。
伊達市は四季を通じ野菜がくだものが取れ、お米も自給できるだけの量が取れます。それだけの伊達市民は地元産を食べる機会が多いと思います。福島産になにか問題があるとしたら同市民に出てきそうです。以下に福島県伊達市の各年10月から翌年9月までの1年間の出生数を示します。

※(16)を集計
図―4 福島県伊達市の出生数
図に示すように近々2年(2018年11月~20年10月)は女の子が多く生まれています。数値を記載すると
男の子 277人
女の子 335人
です。このような事が偶然に起こる確率を計算したら、統計的に差があるとされる5%(21)を下回る1.9%でした(22)。
双葉町にしても、飯舘・葛尾村でも、伊達市でも女の子が多く生まれています。通常は男の子が多く生まれるので異常な事態です(23)。
放射線量は低下したとしても、図―1に示す様に福島は汚染されています。福島の皆様の積算線量は日々、増え続けています。事故直後に現れなかった事が、数年後に現れても不思議はありません。
福島県にあるひらた中央病院は、福島産米や野菜について避けるか否かのアンケート結果を発表しています。以下に示します。
表―1 福島産を許容すかのアンケート結果
※(24)を集計

福島県は福島を7つの生活圏に区分しています。県中地域に属する郡山市・三春町、相双地域に属する相馬・南相馬市(25)をひとまとめにして比較してみることにしました。表から計算すると、郡山市・三春町では福島産米と野菜を共に許容するからが67%です。一方で相馬・南相馬市では7%です。同じ福島県内でも地域によって福島産に対して温度差があります。
福島県の発表(16)を集計すると、福島産米と野菜を共に許容する方が76%の福島県郡山市・三春町の葬式(死者)数は
事故前(2010年1-10月)2,627人
今年(2020年1-10月) 3,043人
で16%増えています。このような事が偶然に起こる確率を計算したら約3,000万分の1でした(26)。
福島県の発表(16)を集計すると、福島産米と野菜を共に許容する方が7%の相馬・南相馬市の葬式(死者)数は
事故前(2010年1-10月)1,076人
今年(2020年1-10月) 1,119人
で、ほとんど増えていません。むろん、統計的な差はありません。
福島県の発表(16)を集計すると、 福島産米と野菜を共に許容する方が37%のいわき市の葬式(死者)数は
事故前(2010年1-10月)3,289人
今年(2020年1-10月) 3,477人
で8%増えています。郡山市と相馬市・南相馬市の中間でしょうか?
以下に表―1および図―6~8から作成した、葬式(死者数)の増加率と福島産米や野菜を共に許容する方の割合をまとめました。

※(16)(24)を集計
図―5 葬式(死者数)の増加率と福島産の許容割合
図に示す様に福島産を許容する程に葬式(死者数)が増えています。以下に相関図を示します。

※(16)(24)を集計
図―6 葬式(死者数)の増加率と福島産の許容割合との相関
図に示す様に1直線です。
以上のように福島産を「安全」と言い切るのは無理があります。ところが福島県の地方紙・福島民友は福島産は「安全」であり、避ける行為を「風評被害」と報じています(27)。
グリーンコープ生活協同組合連合会(グリーンコープせいかつきょうどうくみあいれんごうかい)は、福岡県を本拠地にし、九州地方・中国地方から関西地方まで展開している日本の生活協同組合です。滋賀から鹿児島までの15の生活協同組合で構成する生協の連合会である。組合員総数は約42万世帯、供給高561.6億円(2019年度)。社会福祉法人グリーンコープ、一般社団法人グリーンコープでんきなど、9つの法人を中心に構成しています。主な業務として、食料品を中心とした商品の供給を共同購入や店舗で行っています(28)。
2016年の夏に グリーンコープ連合が、「東日本大震災復興応援」と題したギフト用カタログに、福島県を除いた東北地方の地図と「東北5県」との説明文を掲載しました(29)。

※(29)を転載
図―7 福島が抜けている震災応援のカタログ
これについて福島県の地方紙・福島民友は2016年3月に「怒り、悔しさは一緒」と報じていました(30)。

※ (29)を転載
図-8 「怒り、悔しさは一緒 福島県、風評払拭へ工夫」と報じる福島県の地方紙・福島民友
当該記事では「本県出身者に対する心ない発言が相次いだり」との文言を入れ(30)、グリーンコーポがいわゆる「福島いじめ」に加担しているような内容を配信しています。また2016年6月には「【復興の道標・5年の歴史-4】顧客減少、風評だけか 福島県外し「東北5県」」との記事で
「復興応援をうたいながら、差別の助長につながりかねない事態も起きている。福岡市に本部を置く生活協同組合連合会『グリーンコープ連合』が製作したカタログギフトで、東北6県のうち本県のみを除外し『東北5県』として紹介されていた問題が13日に発覚。同生協連は『福島県の商品と出合う機会がなく、取り扱いが少なかったから』と
釈明」
と報じています(31)。
2017年8月7日からグリーンコープ連合は東日本大震災の復興応援企画で、被災3県のうち福島県以外の、岩手県、宮城県のみの商品を載せました(2)。

※(a)全体 (b)□部拡大
図―9 災3県のうち福島県を外し、岩手県、宮城県のみの商品を掲載したグリーンコープ連合のパンフレット
これについて福島県の地方紙・福島民友は
「特集が掲載されたのは同連合の公式ホームページで、『被災地でがんばっている生産者・メーカーを応援しましょう』と銘打ち、同連合が取り扱う宮城、岩手両県の事業者の商品を紹介しているが福島県の商品は一切掲載されておらず、インターネット上などでは福島県の除外について『批判を聞く気がないのではないか』などの声が上がっている。」
と報じていました。ところが(=^・^=)なりに調べてると記事が掲載された前日の9月23日以前にこのような内容がネット上で出回ったか調べたのですが見つけることはできませんでした。見つかったのは当該記事を引用した2017年9月24日以降の記事です。無いとは主張できませんがあまり有力な所からの発信は無いようです(29)。

※(32)を2017年9月24日に閲覧
図―10 「『復興応援』今年も本県外し」と報じる福島県の地方紙・福島民友
グリーンコープは、これについて
「グリーンコープが取り扱う食べもの(商品)は圧倒的に九州産が多く、それ以東の地域の産物はとても少ないことになっています。<略>グリーンコープはこれまで、商品を開発・配置する際、『つながり』がないものを開発・配置するということをしてきていません。」
と説明しています。論理に矛盾することなくきわめて正当な意見です。そして
「東日本大震災の復興支援として出来ることに取り組んでいます。」
とも説明しています(33)。
九州の生協が東北の産品を仕入れるのは難しいと思います。たまたま、福島産が無かったら、これを福島民友は「差別」「いじめ」とレッテル貼りをしました。グリーンコーポは
「福島民友新聞社は、事実を歪曲した記事を掲載し続け、真実を知った後も過ちを認めませんでした。組合員の思いが毀損され、そして福島の人々とそこに寄り添いたいと願う人々のなかに、その誰も持つ必要の無かった怒り、憎しみ、そして怒り以上の悲しみが生まれました。そのことをこのままにしてはおけません」と、名誉棄損で裁判に訴えました(34)。そして12月21日に
グリーンコープ生活協同組合連合会(本部・福岡市)が立ち上げた東日本大震災復興応援企画を、福島民友新聞が『福島県外し』と報じたため名誉を傷つけられたとして、同会が福島民友に損害賠償を求めた訴訟の判決で、名誉毀損に当たると認め、110万円の支払いを命じました。 判決によると、同会は2017年7月、組合員向けカタログで「東日本を応援しよう!」とうたって東北の商品を紹介したが、福島産はなかった。福島民友は記事で原発事故に伴う誤解と偏見があるなどと指摘した。
これについて、福島民友は「控訴の方向で検討する。福島県の風評被害を払拭するという報道姿勢を貫く」と
釈明しています。
<余談>
図表が小さいとご不満の方は、画像をクリックしてください。
週刊誌はともかく(34)、新聞社の記事での名誉棄損が認められるのは稀な気がします(35)。福島民友の電子版を見る限り現時点(12月24日)では、全国のニュースとして、共同電を引用する形で報じるだけで(36)、福島ローカルとしての扱いはしていません。一方で名誉棄損の訴因となったであろう記事の電子版(30)は削除されていません。
福島民友は2014年7月2日に【原発震災「復興」の影 ■今を問う 4】との記事を掲載しています(37)。この記事では事故の後で、毎週金曜日に 首相官邸前・国会議事堂前のデモを主催した「首都圏反原発連合」(38)の活動を取り上げています(37)。記事の中で
「主催者団体主要メンバーのミサオ・レッドウルフはこうした福島に対する発言について『原発事故に県境はないが、自分も事故の当事者という意識が希薄な人がいる』と認める。」
との記述があります(37)。「首都圏反原発連合」のメンバーの一人である「ミサオ・レッドウルフ」氏(39)の名前を上げているが、主催者の組織名は曖昧にしてます。さらに、「首都圏反原発連合」によれば、この記述は
「首都圏反原発連合メンバーのミサオ・レッドウルフのコメントが、本人の本意に反するかたちで言葉だけ切り取り使われている。
・記事中に「福島に対する発言について『当事者性の薄い人がいる』と認める」とあるが、この言葉は『福島に対する発言について』発したものではなく、運動全般的に「当事者性の濃さの差は大勢の運動参加者の中ではある』と言ったものである。」
との事です。「首都圏反原発連合」によれば、他にも多くの「不適切な」内容があり、「首都圏反原発連合」より抗議を受けておます(40)。
今回の福島民友への賠償命令は、福島に対する「差別」「いじめ」「風評」は行政・御用学者・マスコミが一体となってでっち上げたものであり、なんの実態が無い事を証明したと(=^・^=)は思います。そして、福島の皆様も「差別」「いじめ」「風評」を信用していません。
福島の冬を代表するくだものにイチゴがあります(41)。今シーズンもイチゴの収穫が始まりました(42)。福島県須賀川市辺りのイチゴは美味しいとの事です(43)。福島県は福島産は「安全」だと主張しています(44)。でも、福島県須賀川市のスーパーのチラシには福島産イチゴはありません。

※(45)を引用
図―11 福島産イチゴが無い福島県須賀川市のスーパーのチラシ
(=^・^=)も福島県須賀川市の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にさせて頂いたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
福島民友新聞に賠償命令 コープ巡る記事で名誉毀損(2)
航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会⇒
福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(令和元年8月29日~11月2日測定)PDF(3)
第13回原子力規制委員会 | 原子力規制委員会⇒
資料1 帰還困難区域の放射線防護対策について(特定復興再生拠点区域外における土地活用関連)【PDF:440KB(4)
避難区域の変遷について-解説- - 福島県ホームページ(5)
報道発表資料 |厚生労働省(6)
農林水産物の緊急時環境放射線モニタリング結果【詳細】 - 福島県ホームページ(7)
農林水産部 - 福島県ホームページ(8)
食品中の放射性物質への対応|厚生労働省(9)
特定避難勧奨地点とは - コトバンク(10)
>ふくしまの果物 | ふくしまの旬果旬菜 | JA全農福島(11)
福島県[伊達市]の農作物 | 夏秋きゅうり さやえんどう 桃 すもも ニラ 柿 | 雑穀類, いも類, 米, 野菜, 果物 | 生産/収穫/作付面積 | 福島県と日本の中の順位 | 市町村 | ジャパンクロップス(12)
ふくしまの野菜 | ふくしまの旬果旬菜 | JA全農福島(13)
全量全袋検査 - Wikipedia(14)
ふくしまの恵み(15)
年間1人当たりの米の消費量をおしえてください。:農林水産省(16)
福島県の推計人口(令和2年11月1日現在)を掲載しました。 - 福島県ホームページ(17)
伊達市 (福島県) - Wikipedia(18)
全国地鶏銘柄鳥ガイド(19)
特集1 とり(1):農林水産省(20)
福島県[福島市]の農作物 | 梨 桃 きゅうり 夏秋きゅうり りんご 西洋なし | 雑穀類, いも類, 米, 野菜, 果物 | 生産/収穫/作付面積 | 福島県と日本の中の順位 | 市町村 | ジャパンクロップス(21)
有意水準とは - 統計学用語 Weblio辞書(22)
めげ猫「タマ」の日記 5年連続で女の子が多く生まれる福島県双葉町(23)
出生性比(24)
研究報告|ひらた中央病院 | 医療法人 誠励会 | 福島県 医療 介護 リハビリ(25)
福島県の位置・人口・面積 - 福島県ホームページ(26)
めげ猫「タマ」の日記 福島産、食べて応援、あの世行き(2020年1-10月)(27)
復興の道標:福島民友新聞社 みんゆうNet(28)
グリーンコープ連合 - Wikipedia(29)
めげ猫「タマ」の日記 グリーンコープ連合は今年も福島外し、当然です。(30)
【復興の道標・不条理との闘い】怒り、悔しさは一緒 福島県、風評払拭へ工夫:復興の道標:福島民友新聞社 みんゆうNet(31)
被災3県 - Wikipedia(32)
福島民友新聞社 みんゆうNet -福島県のニュース・スポーツ-(33)
めげ猫「タマ」の日記 福島産不掲載のグリーンコープが真っ当な反論(34)
太田光さん、名誉毀損で勝訴 新潮社に440万賠償命令 | 共同通信(35)
>報道や名誉毀損についての主要な最高裁判例集(36)
福島民友新聞に賠償命令:社会:福島民友新聞社 みんゆうNet(37)
みんゆうNet 原発災害・「復興」の影-【4】反原発デモに違和感や反感 「福島差別」を助長した側面(福島民友ニュース)(38)
首都圏反原発連合 - Wikipedia(39)
ミサオ・レッドウルフ - Wikipedia(40)
★7月2日の福島民友新聞に掲載された記事【原発震災「復興」の影 ■今を問う 4】に関する報告 | 首都圏反原発連合(41)
冬 | ふくしまの果物 | JA全農福島(42)
真っ赤な実、甘味十分 霊山・イチゴの収穫最盛期 | 福島民報(43)
おざわ農園 - 食品 / 須賀川市 - ふくラボ!(44)
福島県の食の安全の動画について - 福島県ホームページ(45)
ザ・ビッグ須賀川店 | 宮城県、福島県のイオングループのスーパーマーケット「ザ・ビッグ」 | マックスバリュ南東北
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- 2020/12/24(木) 19:48:59|
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