福島県の地方紙・福島民報は2月10日の社説で、福島第一原発の周囲に設置されている中間貯蔵施設について「除染廃棄物に対する国民理解がなければ、最終処分はおぼつかない。」と論じていました(1)。でも、福島の皆様に理解されない「除染廃棄物」を「国民理解」させるのは無理だと思います。
福島は事故によって汚染されました。

※1(2)(3)にて作成
※2 避難区域と解除区域は(4)により、3月1日時点
図-1 避難区域と解除区域
図に示す様にICRPが公衆の被ばく限度とする年1ミリシーベルト(5)を超えた地域が広がっています。事故から10年近くになりますが、福島は汚染されたままです。
長期的な目標として追加被ばく線量が年間1ミリシーベルト以下になることを目指して除染が行われました。除染は2017年度に終わったのですが(6)、図に示す通り、それから3年を経過した今も年間1ミリシーベルトを超える地域が広がっています。
名前は「除染」ですが、実態は放射能汚染物を集め、別の場所に移す(7)「移染」です。人為的に放射能を消滅させる技術はありません。除染をすることで、大量の放射能汚染物が集められました。これらの大量の放射能汚染物を保管・管理するために(8)福島第一原発が立地する福島県大熊町・双葉町(9)に、中間貯蔵施設が設けられました(10)(11)。
中間貯蔵施設へは2015年3月13日に除去土壌等の搬入が始まりました(12)。なぜ「中間」かと言えば、この施設は一時的に放射能汚染物を保管する施設であり(8)、30年以内に福島県外に最終処分場を造り、最終処分をすることになっています(12)。期限は2045年3月12日で、あと24年程です。
中間貯蔵施設は「特別な迷惑施設」と言われています(13)。最終処分場はもっとだと思います。こおした迷惑施設の建設を試みた例として、沖縄県宜野湾市の米軍・普天間基地(14)の移設問題があります(15)。1996年4月に移設で、日米が合意しました(14)(16)。それからおおよそ25年を経ましたが、いまだにいつ移転が完了すかの目途は立っていません(14)(17)(18)。福島の中間貯蔵施設撤去までの期限はあと24年です。普天間移設の例からして、国は候補地を探すなど、最終処分場に設置に向けて準備をしないと間に合いません。でも、自公政権はこの6年間、何もしていません。
こうした事を受けてでしょうか?福島県の地方紙・福島民報は「【中間貯蔵施設】最終処分へ準備始めよ(2月10日)」社説で
「最大の課題となる(福島)県外最終処分の期限までは三月で二十四年となる。受け入れ先の選定に早急に取り組むべきだ。<中略>最大の課題となる県外最終処分に向けた具体的な動きが出ていないのは、地元としては納得がいかない。『中間貯蔵開始後三十年以内に完了する』との(福島)県外最終処分の約束は、中間貯蔵・環境安全事業株式会社法に定められている。中間貯蔵施設への搬入は二〇一五(平成二十七)年三月に始まっており、二〇四五年までには県外処分を終えなければならない。<中略>何よりも除染廃棄物に対する国民理解がなければ、最終処分はおぼつかない。」
と論じ
「昨年秋に開館した双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館や町産業交流センターからは、除染廃棄物が積み上がった中間貯蔵施設の状況が一望できる。県外最終処分への理解を広げるため、視察や教育旅行のコースに加えるのも一案だろう。県内の除染廃棄物を一手に引き受ける中間貯蔵施設は、大熊、双葉両町の大きな負担によって成り立っていることを忘れてはならない。」
と結んでいました(1)。
「国民理解」を得て、福島県外に最終処分場を設置し、福島の除染廃棄物を福島県外にもって行けとの論調のようです。「国民理解」にの手段について
「昨年秋に開館した双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館や町産業交流センターからは、除染廃棄物が積み上がった中間貯蔵施設の状況が一望できる。県外最終処分への理解を広げるため、視察や教育旅行のコースに加えるのも一案だろう。」
と論じています。
ただ、中間貯蔵施設について何を理解して欲しい事を曖昧にしています。(=^・^=)なりに忖度するなら
①「(福島)県外最終処分への理解を広げるため、(中間貯蔵施設を)視察や教育旅行のコースに加えるのも一案だろう。」と言っています。中間貯蔵施設について何を見て欲しいかとえば、これまで6年間「安全」に除染廃棄物を保管・管理してきた(19)実績だと思います。(=^・^=)が調べた限りではトラブルは起きていません(20)。
②社説にある通り「大熊、双葉両町の大きな負担」です。
になります。
福島の皆様に理解されない「除染廃棄物」の負担を「国民理解」させるのは無理だと思います。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
最終処分場につては
「福島県にこれ以上の負担をさらに強いることは到底理解が得られない」
との主張があります(21)。福島原発事故には国も責任があります(22)。言い換えれば、福島の汚染は「国政」によって生じたものです。だったら、福島だけでなく日本全体で福島の負担を引き受けるべきとの論理です。
まったくの正論です。同様に沖縄の普天間基地の問題も「国政」より生じています。沖縄の問題でかく「国」の問題です(14)。沖縄にのみ負担を押し付けるべきでないとの主張(23)にも妥当性があります。民主党政権時代には普天間基地の機能を、鹿児島県鹿児島県西之表市の無人島の「馬毛島」(24)に移そうと試みられました。でも、とん挫です(25)。
自公政権は国全体で負担すべき沖縄の基地負担を、沖縄に押しつけています。同様に福島の汚染負担を福島に押し付けています。これでは、福島の皆様は不安だと思います。
福島を代表する冬のくだものにイチゴがります(26)。福島県二本松市ではイチゴ狩りが楽しめます。同市はイチゴの季節です。福島のイチゴはおいしいしいとの事です(27)。福島県は福島産は「安全」だと主張しています(28)。でも、福島県いわき市のスーパーのチラシには福島産イチゴはありません。

※(29)を引用
図―2 福島産イチゴが無い福島県二本松市のスーパーのチラシ
(=^..^=)も福島県二本松市の皆様を見習い福島産は食べません。
―参考にさせて頂いたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
【中間貯蔵施設】最終処分へ準備始めよ(2月10日) | 福島民報(2)
航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会⇒
福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(令和元年8月29日~11月2日測定)PDF(3)
第13回原子力規制委員会 | 原子力規制委員会⇒
資料1 帰還困難区域の放射線防護対策について(特定復興再生拠点区域外における土地活用関連)【PDF:440KB(4)
避難区域の変遷について-解説- - 福島県ホームページ(5)
ICRP勧告(1990年)による個人の線量限度の考え (09-04-01-08) - ATOMICA -(6)
除染について - 福島県ホームページ(7)
>除染作業の流れ - 福島県ホームページ(8)
中間貯蔵施設 - Wikipedia(9)
福島第一原子力発電所 - Wikipedia(10)
中間貯蔵施設等対策室 - 福島県ホームページ(11)
第18回 中間貯蔵施設環境安全委員会 開催報告 - 福島県ホームページ(12)
8 中間貯蔵施設について - 福島県(13)
中間貯蔵施設の建設受入判断について| 双葉町公式ホームページ(14)
普天間基地移設問題 - Wikipedia(15)
迷惑施設建設問題の理論的分析--普天間基地移設問題を事例に(16)
普天間返還 合意から24年でも見通せず 騒音、有害物資漏出…住民生活を危険に | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス(17)
普天間移設問題・辺野古新基地の記事一覧 | 沖縄タイムス+プラス(18)
辺野古新基地建設 -琉球新報デジタル|沖縄のニュース速報・情報サイト(19)
令和元年度放射性物質安全確認調査結果について - 福島県ホームページ(20)
中間貯蔵施設 - ふくしま復興ステーション - 福島県ホームページ(21)
原発廃棄物最終処分場「福島集約論」相次ぐ 批判は強いが、ではどうしたら…: J-CAST ニュース【全文表示】(22)
(社説)原発事故と国 責任の重さ、直視せよ:朝日新聞デジタル(23)
「沖縄に戦争の負担、押しつけてはならない」 玉城知事インタビュー|コンテンツ|New Diplomacy Initiative(新外交イニシアティブ)(24)
>馬毛島 - Wikipedia(25)
馬毛島に米軍訓練移転:時事ドットコム(26)
冬 | ふくしまの果物 | JA全農福島(27)
>福島県内いちご狩りスポットまとめ。採れたての美味しさを満喫できる旬の「いちご狩り」に出かけよう!(28)
福島県の食の安全の動画について - 福島県ホームページ(29)
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