1月中の福島県の人口動態が発表になったので(1)、各年3から翌年2月までの1年間の20代前半女性の社会減の割合を集計したら
事故前(2010年3月~11年2月) 3.6%減
事故10年目(2020年3月~21年2月)5.9%減
で、事故前に比べ社会減の割合が倍増しています。新型コロナも若い女性の福島脱出を止めることはできなかったようです。
福島は原発事故によって汚染されました。

※1(2)(3)にて作成
※2 避難区域は(4)による
図―1 特異的に汚染されている福島
図に示す様にICRPが公衆の被ばく限度とする年1ミリシーベルト(5)を超えた地域が広がっています。事故10年目ですが、福島は汚染されたままです。
既に除染は終っており(6)、今後は自然に放射線量が下がるのを待つしかありません。福島で放射線源はセシウム137です(7)。セシウム137は半分になるのに30年かかります。4分の1になるには60年、一桁下がるには100年がかかります(8)。若い方も含め、福島で暮らすことは一生涯に渡り放射能と暮らすことを意味します。
福島県の2月中の人口動態が発表になったので(1)、事故10年目(2020年3月-21年2月)の年齢階層別の社会増減を集計してみました。

※(1)を集計
図―2 事故10年目の福島県の年齢階層別社会増減
図に示す様に20代前半女性で顕著です。数値を記載すると、20代前半の社会減は
男性1,435人減
女性2,019人減
で(1)、男性の約1.4倍の20代前半女性が福島から逃げたしています。20歳前後は就職や大学進学といった新たな一歩を踏み出す時期です。福島の方は福島に残るか、去るかの選択を迫られる時でもあります。そして多くの若い女性が福島県外からのスタートを決断したようです。
新型コロナウイルスが全国に広がっています(8)。以下に感染者の多い都府県、福島、全国平均の人口10万人当たりの感染率を示します。

※(9)(10)を集計
図―3 感染率が高い都府県、全国と福島の新型コロナ感染率
図に示すように福島県は全国平均よりも低くなっています。福島の皆様の福島脱出は、被ばくリスクが下がる代わりに新型コロナ感染リスクが高まることを意味ます。新型コロナで福島の若い女性の流出を阻止できたのでしょうか?
事故前から若い方の福島脱出はありました。以下に3月から翌年2月の1年間の福島の20代前半の社会増減を集計しました。以下に示します。

※(1)を各3月から翌年2月までの1年間で集計
図-4 福島の20代前半の社会的増減
図に示すように女性の減少が顕著です。昨年3月1日時点で、福島には34,002人の20代前半女性がいました。その後、1年間での社会減は2,009人です(1)。すなわち5.9%の20代前半女性が福島を出て行きました。そこで3月1日の人口に対する社会減の割合を計算してみました。

※(1)を集計
図―5 20代前半の社会減の割合
20代前半男性の社会減の割合は
事故前(2010年)2.0%
昨年(2020年) 3.6%
で、1.6%増で済んでいます。一方で女性は
事故前(2010年)3.6%
昨年(2020年) 5.9%
で、2.3%増えています。20代前半の5年間では30%になります。
いまから10年前の2011年3月に福島県では50,006人の10代後半女性がいました。10年を経て彼女たちは20代後半になっています。今年2月の福島の20代後半女性は30,163人です。事故直前の2011年2月に10代後半だった女性のち、10年後の今年3月も福島に残っているのは60%(30,163÷50,006×100)で、10年で40%の方が出ていきました。こうして、10代後半の方が10年後も残っている割合の推移を示します。

※1(1)を集計
※2 日付は10代後半時点
図―6 福島県の10代後半が10年後も残っている割合
図に示すようにどんどん低下しています。特に女性が顕著です。概ね事故前の2001年3月⇒11年3月では
男性 77%
女性 77%
で、男女で差はありませんでした。一方で期間がほぼ事故後に当たる2011年3月⇒21年3月では
男性 69%
女性 60%
で、若い女性は福島に残らなくなりました
新型コロナの流行も福島の女性の福島脱出を止めることはできていません。
福島の合計特殊出生率は1.53です(11)。一人の若い女性が福島を去ることをは、彼女が将来産むであろう1.53人の子どもも一緒に去って行くことを意味します。
以下に各年3月から翌年2月まで1年間の福島での赤ちゃん誕生数を示します。

※(1)を各年3月から翌年2月で集計
図―7 福島の赤ちゃん誕生数
年々減り続けています。数値を記載すると
事故前(2010年3月~11年2月) 16,124人(男の子8,319人、女の子7,805人)
事故10年目(2020年3月~21年2月)11,072人(男の子5,626人、女の子5,446人)
で、事故前に比べ31%減っています。
福島からは若い女性が去ってき、子供が生まれなくなり、老人と男だけになります。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
福島の若い女性は新型コロナより放射能汚染を恐れているようです。福島の女性はお隣の宮城や茨城に比べても大変に綺麗です。

※(12)を引用
図―8 福島県の綺麗な女性
何処へいっても歓迎されます。敢えて、汚染されているフクシマに残る必要はありません。そして、福島の皆様を放射能汚染を恐れています。
復興は、何らかの問題により勢いを失った団体や勢力、ないし市町村など地域・集合体の機能を回復させ、以前の状態に戻すことです(13)。でも、原発事故後に加速した福島からの若い女性の脱出は解消していません。事故から10年を経た福島は、事故直後と同様に若い女性には住みにくい地です。福島は復興していません。それでも菅政権は「復興五輪」と称して開かれるオリンピックの聖火リレーが3月25日に福島からスタートしました(14)。こんな政権では福島の皆様は不安だと思います。
福島県に水揚げされる魚のなかで、年間の水揚げ額が最も高いのがカツオです。福島県の小名浜港は全国主要43港のなかでも水揚げ額で上位を誇ります。福島のかつおは季節に応じて味の変化が楽しめるのが魅力です(15)。TOKIOのテレビCMも流れてました(16)。福島県は福島産は「安全」だと主張しています(17)。でも、福島県いわき市小名浜のスーパーのチラシには福島産カツオはありません。

※(18)を引用
図―9 福島産カツオが無い福島県いわき市小名浜のスーパーのチラシ
(=^・^=)も福島県いわき市小名浜の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
福島県の推計人口(令和3年3月1日現在)を掲載しました。 - 福島県ホームページ(2)
航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会⇒
福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(令和2年8月25日~10月30日測定)(3)
第13回原子力規制委員会 | 原子力規制委員会⇒
資料1 帰還困難区域の放射線防護対策について(特定復興再生拠点区域外における土地活用関連)【PDF:440KB(4)
避難区域の変遷について-解説- - 福島県ホームページ(5)
ICRP勧告(1990年)による個人の線量限度の考え (09-04-01-08) - ATOMICA -(5)
除染情報サイト:環境省(6)
めげ猫「タマ」の日記 半減期でしか下がらない福島の放射線(2017年)(7)
半減期 - Wikipedia(8)
日本における2019年コロナウイルス感染症の流行状況 - Wikipedia(9)
新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和3年3月27日版)(10)
都道府県の人口一覧 - Wikipedia(11)
保健福祉部関係の統計情報データベース - 福島県ホームページ⇒福島県人口動態統計
⇒
平成30年概数[PDFファイル/2月23日MB](12)
3月25日(木)福島県 | 東京2020オリンピック聖火リレー | NHK(12)
復興 - Wikipedia(13)
「復興五輪」というけれど…福島で聖火リレースタート、被災者の思い複雑:東京新聞 TOKYO Web(14)
小名浜のカツオ|福島県|全国のプライドフィッシュ|プライドフィッシュ(15)
ふくしまプライド(16)
福島県の食の安全の動画について - 福島県ホームページ(17)
>小名浜店 | お店を探す | ヨークベニマル
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- 2021/03/29(月) 20:15:34|
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