福島県の地方紙・福島民友が福島の風評被害を扱った記事で、1審に続き2審も賠償が認められました(1)。
福島は原発事故で汚染されました。
※1(2)(3)にて作成
※2 旧避難区域は(4)による
図―1 事故から10年以上が過ぎて汚染されている福島
図に示す様にICRPが公衆の被ばく限度とする年1ミリシーベルト(5)を超えた地域が広がっています。多くの皆様が「フクシマ」を避けたと思います。福島を代表する農産物にモモがあります(6)。復興五輪と称して、先月(7月)に福島で五輪のソフトボール競技が行われました(7)。福島を訪れた選手、関係者には福島市内の滞在先で福島県産農産物が提供されました。中でも旬の桃はソフトボールの米国、オーストラリアの両監督は「桃はデリシャス」「ずばぬけている」と絶賛し、野球日本代表の稲葉篤紀監督も「非常においしかった」と喜んだそうです(8)。でも、日本の反応は違います。福島のモモは7月からがシーズンです(9)。 モモの生産量は山梨が1位で福島は2位です(10)。そこで山梨産と福島産のモモ価格を比べてみました。

※(11)を集計
図―2 山梨・福島のモモ価格
福島のモモは事故前から山梨産に比べ安かったですが、事故後にさらに安くなりました。数値を記載すると
事故前(2011年7月)福島産△119円安(福島産364円、山梨産483円)
今年(2021年7月) 福島産△170円安(福島産604円、山梨産774円)
で(11)、事故前の2010年より価格差が開いています。日本の多くの方は、今も福島産を避けています。これを福島県の地方紙・福島民友は福島産は「安全」であり、避ける行為を「風評被害」と報じています(12)。
グリーンコープ生活協同組合連合会(グリーンコープせいかつきょうどうくみあいれんごうかい)は、福岡県を本拠地にし、九州地方・中国地方から関西地方まで展開している日本の生活協同組合です。滋賀から鹿児島までの15の生活協同組合で構成する生協の連合会である。組合員総数は約42万世帯、供給高561.6億円(2019年度)。社会福祉法人グリーンコープ、一般社団法人グリーンコープでんきなど、9つの法人を中心に構成しています。主な業務として、食料品を中心とした商品の供給を共同購入や店舗で行っています(13)。
2016年の夏に グリーンコープ連合が、「東日本大震災復興応援」と題したギフト用カタログに、福島県を除いた東北地方の地図と「東北5県」との説明文を掲載しました(14)。

※(14)を転載
図―3 福島が抜けている震災応援のカタログ
これについて福島県の地方紙・福島民友は2016年3月に「怒り、悔しさは一緒」と報じていました(15)。

※ (14)を転載
図-4 「怒り、悔しさは一緒 福島県、風評払拭へ工夫」と報じる福島県の地方紙・福島民友
当該記事では「本県出身者に対する心ない発言が相次いだり」との文言を入れ(15)、グリーンコーポがいわゆる「福島いじめ」に加担しているような内容を配信しています。また2016年6月には「【復興の道標・5年の歴史-4】顧客減少、風評だけか 福島県外し「東北5県」」との記事で
「復興応援をうたいながら、差別の助長につながりかねない事態も起きている。福岡市に本部を置く生活協同組合連合会『グリーンコープ連合』が製作したカタログギフトで、東北6県のうち本県のみを除外し『東北5県』として紹介されていた問題が13日に発覚。同生協連は『福島県の商品と出合う機会がなく、取り扱いが少なかったから』と
釈明」
と報じています(16)。
2017年8月7日からグリーンコープ連合は東日本大震災の復興応援企画で、被災3県のうち福島県以外の、岩手県、宮城県のみの商品を載せました(14)。

※(a)全体 (b)□部拡大
図―5 災3県のうち福島県を外し、岩手県、宮城県のみの商品を掲載したグリーンコープ連合のパンフレット
これについて福島県の地方紙・福島民友は
「特集が掲載されたのは同連合の公式ホームページで、『被災地でがんばっている生産者・メーカーを応援しましょう』と銘打ち、同連合が取り扱う宮城、岩手両県の事業者の商品を紹介しているが福島県の商品は一切掲載されておらず、インターネット上などでは福島県の除外について『批判を聞く気がないのではないか』などの声が上がっている。」
と報じていました。ところが(=^・^=)なりに調べてると記事が掲載された前日の9月23日以前にこのような内容がネット上で出回ったか調べたのですが見つけることはできませんでした。見つかったのは当該記事を引用した2017年9月24日以降の記事です。無いとは主張できませんがあまり有力な所からの発信は無いようです(14)。

※(18)を2017年9月24日に閲覧
図―10 「『復興応援』今年も本県外し」と報じる福島県の地方紙・福島民友
グリーンコープは、これについて
「グリーンコープが取り扱う食べもの(商品)は圧倒的に九州産が多く、それ以東の地域の産物はとても少ないことになっています。<略>グリーンコープはこれまで、商品を開発・配置する際、『つながり』がないものを開発・配置するということをしてきていません。」
と説明しています。論理に矛盾することなくきわめて正当な意見です。そして
「東日本大震災の復興支援として出来ることに取り組んでいます。」
とも説明しています(19)。
九州の生協が東北の産品を仕入れるのは難しいと思います。たまたま、福島産が無かったら、これを福島民友は「差別」「いじめ」とレッテル貼りをしました。グリーンコーポは
「福島民友新聞社は、事実を歪曲した記事を掲載し続け、真実を知った後も過ちを認めませんでした。組合員の思いが毀損され、そして福島の人々とそこに寄り添いたいと願う人々のなかに、その誰も持つ必要の無かった怒り、憎しみ、そして怒り以上の悲しみが生まれました。そのことをこのままにしてはおけません」と、名誉棄損で裁判に訴えました(20)。1審に続き(21)2審も名誉棄損がみとめられました。判決では「福島県産品に対し、同会に放射性物質による汚染の懸念があったとは推認できない」との事です(1)。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
福島に関しては、根拠があいまいなまま「差別」とか「いじめ」との風評がながされました(22)。(=^・^=)の住む街でも、福島から避難された方がたまたま「いじめ」に会いました。これを「フクシマ差別」「フクシマいじめ」と報道されました。(=^・^=)の住む街の子供達の名誉は傷つけられました。でも、特定の個人、団体が扱われていないので、「名誉棄損」にはなりません。福島民友だけでなく「差別」「イジメ」を根拠もなく拡散した行政・マスコミは反省すべきですが、ニュースを見る限り知らんぷりです。このような行政やマスコミでは福島の皆様は不安だと思います。
福島を代表する果物にブドウがあります。8月からシーズンです(23)。福島県福島市は福島最大のブドウの産地あります(24)。今年も出荷が始まりました(25)。福島のブドウは甘く、やわらかいそうです(26)。福島県は福島産は「安全」だと主張しています(27)。でも、福島県福島市のスーパーのチラシには福島産ブドウはありません。

※(28)を引用
図―11 福島産ブドウが無い福島県いわき市のスーパーのチラシ
(=^・^=)も福島県福島市の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にさせて頂いたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
福島民友新聞に高裁も賠償命令「福島県外し」報道に名誉毀損を認定 - 社会 : 日刊スポーツ(2)
航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会⇒
福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(令和2年8月25日~10月30日測定)(3)
第13回原子力規制委員会 | 原子力規制委員会⇒
資料1 帰還困難区域の放射線防護対策について(特定復興再生拠点区域外における土地活用関連)【PDF:440KB(4)
避難区域の変遷について-解説- - 福島県ホームページ(5)
ICRP勧告(1990年)による個人の線量限度の考え (09-04-01-08) - ATOMICA -(6)
ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ(7)
かすむ復興五輪に拍子抜け 無観客ソフト初戦の福島・あづま球場 | 河北新報オンラインニュース / ONLINE NEWS(8)
【五輪が残す希望 野球・ソフト福島開催(中)】手探りで復興発信 県産桃好評、見えた光明 | 福島民報(9)
くだもの図鑑 – くだもの消費拡大委員会(10)
ももの生産量はどこの県が多いのですか。:農林水産省(11)
東京都中央卸売市場-統計情報検索各年7月について、大分類⇒果実、中分類⇒もも類で検索
(12)
復興の道標:福島民友新聞社 みんゆうNet(13)
グリーンコープ連合 - Wikipedia(14)
めげ猫「タマ」の日記 グリーンコープ連合は今年も福島外し、当然です。(15)
【復興の道標・不条理との闘い】怒り、悔しさは一緒 福島県、風評払拭へ工夫:復興の道標:福島民友新聞社 みんゆうNet(16)
【復興の道標・5年の歴史-4】顧客減少、風評だけか 福島県外し「東北5県」:復興の道標:福島民友新聞社 みんゆうNet(17)
被災3県 - Wikipedia(18)
福島民友新聞社 みんゆうNet -福島県のニュース・スポーツ-(19)
めげ猫「タマ」の日記 福島産不掲載のグリーンコープが真っ当な反論(20)
【速報】福島民友新聞社の報道によってそこなわれた名誉毀損の救済をもとめる裁判の第1審判決がでました⇒
こちら(21)
福島民友新聞に賠償命令 コープ巡る記事で名誉毀損(22)
「ますますデタラメ」(23)
ブドウ – くだもの消費拡大委員会(24)
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- 2021/08/26(木) 19:58:02|
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山梨や長野など南の産地のほうが大きい&先に取れるので、
大手スーパーで特売を組めるほ福島産の物量がないだけでは?
チラシには福島産のピーマンやキュウリもありましたが、そちらは無視?
- 2021/08/27(金) 16:04:20 |
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匿名様
お問い合わせありがとうございます。以下、回答します。
Q1>山梨や長野など南の産地のほうが大きい&先に取れるので、
大手スーパーで特売を組めるほ福島産の物量がないだけでは?
A1>標高が違います。長野県の松本空港の標高は日本一高い(
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E6%9C%AC%E7%A9%BA%E6%B8%AF)、山梨県小淵沢駅と長野県小諸駅を結ぶ小海線の甲斐小泉駅 - 海尻駅間は標高1000 mを超える高所を走っています。同線の清里駅 - 野辺山駅間には標高1375 mのJR鉄道最高地点です。同線の野辺山駅は標高1345 mのJR線最高駅であるほか、甲斐小泉から松原湖までの9駅がJRの標高の高い駅ベスト9に入っています(
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%B5%B7%E7%B7%9A)。
福島のブドウの出荷は8月3日に始まっています(25)。20日以上が経過しており、先にとれる方を優先する必要はありません。
Q2>チラシには福島産のピーマンやキュウリもありましたが、そちらは無視?
A2>この記事は8月26日に作成したので、8月26日付のチラシを見て作成しております。貴殿の投稿は8月27日なので、8月27日付のチラシかと推察します。8月27日にチラシが新しくなっており(27)、(=^・^=)が参考にしたチラシとは別物です。
福島を代表する夏野菜にはキュウリ、トマト、インゲン、ピーマンなどがあります(
http://www.fs.zennoh.or.jp/product/vegi/vegetables/summer.html)。このうちTOKIOの福島産夏野菜CMにはキュウリとトマトが出てきます(
https://fukushima-pride.com/(以下Ref2と略す))。8月27日付のチラシ(以下当該チラシとします)には、福島産キュウリとピーマンは出てきますが、トマト、インゲンが出て来ません。トマトには大玉トマト(200 g以上)、ミニトマト(10 - 30 g)、中玉(ミディ)トマト(50 g内外、前2者の中間)がありますが(
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%9E%E3%83%88)、当該チラシ出てくるトマトは「山形産」です。面白いのお米で、当該チラシには「北海道産」「高知県産」そして「会津産」です。確かに会津は福島県の一部(
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%9A%E6%B4%A5)ですが、福島産ではなく会津産にしたのが面白いと思います。また、カツオなどの海産物もTOKIOのCMにでてきますが(Ref2)、当該チラシに掲載されたカツオは静岡産です。福島市等に広がる福島盆地は(
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E7%9B%86%E5%9C%B0)、福島でのくだもの作りが盛んな場所です(
http://is2.sss.fukushima-u.ac.jp/fks-db/reference/textbook19-28.pdf)。8月末から9月上旬かけては、モモ、ナシ、ブドウ等が楽しめます(
https://www.f-kudamono.com/?page_id=2)。今年はリンゴの出荷始まったので(
https://www.ja-f-mirai.or.jp/topics/?id=2564)、リンゴも楽しめます。それでも、福島産果物は当該チラシに全く掲載されていません。福島市は果物の季節なのに福島のくだものが当該チラシには全く掲載されていない事実も無視してないでください。
P.S.
本記事の主旨はマスコミが盛んに喧伝した「福島いじめ」や「福島差別」について1・2審で名誉棄損が認められており、根拠があいまいなの風評であるとの事です。この点について、コメントをいただいておりませんおで、お認め頂いたと理解します。ありがとうございます。
- 2021/08/28(土) 19:34:02 |
- URL |
- mekenekotama #-
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