Q>福島第一原発事故はなぜ起こりましたか?
A>東京電力の手抜きです。
地球の中心はから「核」「マントル」「地核」からなります。核は極めて高温であり、上のマントルを温めます(1)。するとマントルが対流し、マントルの上側に流れができます。

※(2)を加筆
図―1 地球の内部構造とマントル対流
この対流によってマントルの最上部や近くが動き出します。これをプレートと呼びます。複数のプレート地球表面は覆われています(3)。

※(3)引用
図―2 地球表面を覆うプレート
そして、プレート同士が衝突したり、すれ違ったり、 片方のプレートがもう一方のプレートの下に沈み込んだりしています。プレート同士が接触するプレート境界では強い力が働きます。この力により地震が発生すそます(4)

※(5)を引用
図―3 プレート運動の模式図
プレート境界では地震が多発しています。

※(4)を引用
図―4 プレート境界で多発する地震
以下に日本付近のプレートを示します。東日本は北アメリカプレート上にあり、東側は太平洋プレート、西側がユーラシアプレートです。ただしユーラシアプレートの移動速度が年間1cm程度に対し、太平洋プレートは8cmです。その分だけ、早めに歪が溜り太平洋プレートとオホーツクプレート境界ではユーラシアプレートの境界に比べ地震が発生しすくなっています。

※(4)を引用
図―5 東日本太平洋側で多発する地震
図―4に示すように地球表面は何枚かの固い岩盤(「プレート」と呼ぶ)で構成されており、このプレートが、海溝に沈み込む事による重みが移動する主な力になり、対流するマントルに乗って互いに動いていると説明する理論をプレートテクトニクスと呼びます(6)。
この説が確立したのはわりと最近だと思います。
1912年にドイツの気象学者アルフレート・ヴェーゲナーが大陸は地球表面上を移動してその位置や形状を変えるという大陸漂移説を提唱しました。しかし、なかなか受け入れられませんでした(7)。「大陸が移動するための機構・力が何であるか説明できない」ためです(8)。1950年代末に、地層のなかの岩石の残留地磁気から、昔の磁極の方向を各大陸ごとに求めたところ、古くなるほどずれが出てきました。また、中生代以前では平行移動する場合が多いこともわかったのです。これは、中生代以前には各大陸が一緒に行動していたという、直接的な証拠になりました(9)。 1958年、オランダの地球物理学者フェリックス・ベニング・マイネスが地球上の造構造作用をこの立場から論じたのに始まり、海洋底拡大説へ発展した。さらにプレートテクトニクスやプルームテクトニクスが提唱されるようになった(8)。そして1960年代に発展しました(6)。そして最終的には1980年代後半に大陸移動の実測が可能になり、多くの大陸が年数センチという速度で移動していることが明らかになりました(7)。プレートテクトニクスが一般に広く知られるようになったのは1973年に刊行された小松左京氏によるSF小説「日本沈没」だと思います(10)(11)。

※(12)を引用
図―6 東北太平洋沖地震エネルギー蓄積状況を模式図
プレートの概念が確立したことで、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込んでいる海溝で両者の境界が歪みを受けて地震が起おきる海溝型地震(13)の概念が明らかにできたはずです。地震の大きさを示す指標に検索に移動モーメント・マグニチュード(以下Mwと略す)があります。数値が多きい程大きな地震です(14)。
1950年以降に、起こった超巨大地震はカムチャツカ地震(1952年、Mw8.8-9)、アリューシャン地震(1957年、Mw8.6-9.1)、チリ地震(1960年Mw9.2-9.5)、アラスカ地震(1964年、Mw9.1-9.2)、スマトラ沖地震(2004年、Mw9.1-9.3)、チリ・マウレ地震(2010年、Mv8.8)、東北太平洋沖地震(2011年Mv9.0)があります(15)。カムチャツカ地震(16)、アリューシャン地震(17)、、チリ地震(18)、アラスカ地震(19)、スマトラ沖地震(20)、チリ・マウレ地震(21)、東北太平洋沖地震(12)は全て「海溝型地震」です。大きささは東北太平洋沖地震のMv9との比較で見てください。ただし、チリ辺りの地震以外は従前に起きた記録がありません(16)。海溝型地震が起こり得る場所では東北太平洋沖地震と同程度の起こり得ると考えても良いとはずです。プレートテクトニクス理論は現在では地震の想定に欠かせない理論です。
福島第一原発は1960年に福島県が東京電力に対し、双葉郡への原子力発電所誘致の敷地提供をする旨を表明し、1961年に福島県大熊町、双葉町が議会にて原子力発電所誘致促進を議決することではじまりました。1966年に1号機の設置許可がなされ、1971年に1号機の運転が始まりました(23)。
この時点ではプレートテクトニクスは確立されていないのは、これまでに記載の通りです。
東京電力の事故報告書では、福島第一の津波想定を「当初、津波に関する明確な基準はなく、既知の津波痕跡を基に設計を進めていた。具体的には、(福島県いわき市)小名浜港で観測された既往最大の潮位として昭和35年(1960年)のチリ地震津波による潮位を設計条件として定めた。(O.P. +3.122m)総合資源エネルギー調査会 原子力安全・保安部会(第33回:平成22年11月25日)
昭和45年(1970年)に『軽水炉についての安全設計に関する審査指針について』(以下、安全設計審査指針という)が策定され、考慮すべき自然条件として津波が挙げられており、過去の記録を参照して予測される自然条件のうち最も過酷と思われる自然力に耐えることが求められている。同指針を踏まえた国の審査においても、チリ地震津波による潮位により『安全性は十分確保し得るものと認める』として設置許可を取得している。設置許可申請書に記載されているこの津波高さについては、現在でも変更されていない。」
と記載しています(24)。
東京電力は、福島第一原発の建設が始まった後で地震理論が発展したのですが、これを取り入れることはなく、建設開始当時の知見を基に津波想定を決めました。また、「既知の津波痕跡を基に設計を進めていた」とある通り、過去の記録を調べる形で津波想定をしていました。
2011年3月11日に東北日本が乗る陸側のプレートが、日本海溝に沈み込む太平洋プレートによって引きずられることに伴って蓄積したひずみが開放され、東日本大震災が発生しました(22)。この地震では費用に大きな津波が起きました(12)
福島第一原発は最も地震が起こりやすい場所に立地しています。そのころから調査が開始されたともいます。東北は蝦夷の地であり、7世紀くらいまでは大和朝廷と独立していました(25)。それ以前の記録は乏しいはずです。過去の調査では、不十分なのは明らかです。
この理論は福島第一原発が計画・建設された1960年代は黎明期で完成はしていませんでした。その後に、発展したプレートテクニクス理論を東京電力は福島第一・第二の津波対策に取り入れることなく、事故に至りました。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
新潟の読者の話ですが、スーパーに買い物にいったらたまたま東京電力が説明会(26)をやっていたので「プレートテクトニクス」について聞いたら、東電の方は「知らない」と答えたそうです。原発の安全を語る上では「プレートテクトニクス」は基本的な理論であることは本文に記載と通りです。それを「原発の安全」を説明する方が「知らない」と答えので、ただあきれるばかりだったそうです。
福島第一原子力発電所は、プレートテクトニクス理論が完成する前に計画され、建設されました。プレートテクトニクスによって「海溝型地震」を想起できるようになります。1950年代以降の超巨大地震はすべて「海溝型地震」です。チリで起こった地震を除き、超巨大な「海溝型地震」が同じ場所で起きた記録はないようです(16)。それなら、起こり得る地震のタイプを想定し、同タイプの地震の最大規模を調べてれば東北太平洋岸の日本海溝付近でも東日本太平洋沖地震と同規模のMw9程度の想定できたはずです。
東京電力はスマトラ沖地震について、東京電力の事故報告のなかで
「 国の地震本部の見解においても、東北太平洋沖のプレート境界地震の発生域においては、それぞれの領域をまたがるようなM9クラスの巨大地震は想定されておらず、東北地方太平洋沖地震が発生する2ヶ月前の1月11日に公表された地震本部の長期評価1には、今回の地震で見られた震源域の連動は示されていなかった。」
と主張しています(26)。ただし、「国の地震本部」は、日本全体の地震被害の低減を目的に地震の調査研究をする機関です(27)。原子力は事故を起こした場合には重大な結果をまねきます。東京電力は福島第一、第二の津波について国全体の基準より厳しい基準で地震を評価する責務があったはずです。
東京電力が福島第一原発計画後に完成したプレートテクトニクス理論をどのように評価し、原発の「安全」に繋げたかは事故報告書(26)(28)(29)には記載がありません。その代り、東京電力は事故10年目の今も、「想定外」を主張し続けています(30)。

※(31)を引用
図―7 「想定外」を主張する東京電力
こんな東京電力では福島の皆様は不安だと思います。東京電力は福島産は安全であり、避ける行為を「風評被害」と主張しています(32)(33)。でも、福島の皆様は信用していません。
福島を代表する夏野菜にピーマンがあります(34)。9月もピーマンのシーズンです(35)。福島のピーマンは美味しいとの事です(36)。福島県は福島産は「安全」だと主張しています(37)。でも、福島県須賀川市のスーパーのチラシには福島産ピーマンはありません。

※(38)を引用
図―8 福島産ピーマンが無い福島県須賀川市のスーパーのチラシ
(=^・^=)も福島県須賀川市の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
地球の構造 - Wikipedia(2)
マントル対流説 - Wikipedia(3)
プレート - Wikipedia(4)
気象庁 | 地震発生のしくみ(5)
No.14-1(6)
プレートテクトニクス - Wikipedia(7)
大陸移動説 - Wikipedia(8)
マントル対流説 - Wikipedia(9)
プレートテクトニクスの話(10)
日本沈没 - Wikipedia(11)
映画「日本沈没」と地球科学に関するQ&Aコーナー(減災への取組) : 防災情報のページ - 内閣府(12)
東北地方太平洋沖地震 - Wikipedia(13)
地震 - Wikipedia(14)
モーメント・マグニチュード - Wikipedia(15)
超巨大地震 - Wikipedia(16)
カムチャツカ地震 - Wikipedia(17)
アリューシャン地震 (1957年) - Wikipedia(18)
チリ地震 (1960年) - Wikipedia(19)
アラスカ地震 - Wikipedia(20)
スマトラ島沖地震 (2004年) - Wikipedia(21)
スマトラ島沖地震 (2004年) - Wikipedia(22)
東北地方太平洋沖地震及び津波のメカニズム - Wikipedia(23)
福島第一原子力発電所 - Wikipedia(24)
福島原子力事故の社内調査情報 - 廃炉プロジェクト|公表資料|東京電力ホールディングス株式会社(25)
蝦夷 - Wikipedia(26)
>新潟県の皆さまへ(新潟本社)|東京電力ホールディングス株式会社(27)
地震調査研究推進本部 - Wikipedia(28)
国会事故調査報告書(29)
政府事故調査報告書(30)
今回の津波は、それまでの知見では想定できない大規模なものでした|東京電力(31)
原子力発電所に質問です 柏崎刈羽原子力発電所の安全対策|東京電力ホールディングス株式会社(32)
発見!ふくしま|東京電力ホールディングス株式会社(33)
風評被害に対する行動計画の策定について|プレスリリース|東京電力ホールディングス株式会社(34)
夏 | ふくしまの野菜 | JA全農福島(35)
福島県の旬(出回り時期) 野菜編(36)
おいしいふくしま旬の農産物│TUF(37)
福島県の食の安全の動画について - 福島県ホームページ(38)
ザ・ビッグ須賀川店 | 宮城県、福島県のイオングループのスーパーマーケット「ザ・ビッグ」 | マックスバリュ南東北
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- 2021/09/22(水) 19:52:41|
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