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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

電力危機、原発は必要?

 福島県沖地震で、福島県の石炭火力発電所が被災し(1)、首都圏を中心に電力危機が発生しました(2)。これに便乗して原発再稼働を言い出す方が出てきました(3)。でも、原因は発電所に余裕が無いことで(4)、原発が稼働していないことではありません。
 福島原発事故前に電力不足といえば、「夏」でした。暑い夏は冷房で電力需要が増えて電力危機が心配されました(5)。原発事故後の2011、12年の夏も電力危機が心配されました(6)。でも、いつのまにか「夏の電力危機」は無くなってしまいました。太陽光発電の普及のおかげです。暑い夏の昼間は、太陽光も強いので太陽光発電の出力が大きくなり、温度上昇による冷房用電力の需要を補います(7)。一方で、冬の電力ピークは5時から6時です(8)。ところがこの時間は、日没時間にあたり(9)、太陽光発電の出力はほぼ「0」になります。
17時を過ぎるとほぼ無くなる太陽光発電量凡例

 ※(10)を引用
 図-1 17時を過ぎてほぼ「0」となった太陽法発電(2022年3月22日)

 そんなわけで、昨年末には冬の電力危機が心配されるようになりました(4)(11)。それでも、なんとか乗り切れていました。ところが、2022年3月16日23時36分ごろ、福島県沖(牡鹿半島の南南東60km付近)の深さ57kmを震源として、M7.4の地震が発生し、宮城県と福島県で最大震度6強を観測しました(12)。この地震で、主に福島県の発電所も被害を受けました。被害を受けた発電所からは東北だけでなく首都圏(東京電力)に電気を送っていましたが、送電が停止しました(1)。それでも17,18日はなんとか乗り切りました。19~21日は3連休で休日なので(13)、電力需要は少なかったとはずです(14)。でも、22日が乗り切れませんでした。
 以下に東京の気温を示します。
低い気温となった3月22日
 ※(15)を集計
 図-2 東京の気温

 図に示すように急に低下しました。暖房需要が増えたはずです。図-1に示すように東北電力では前年の相当日を大きく超えています。東京電力にはこのような図はありませんが(16)、事情は同じと思います。
 以下に東京に日照時間を示します。
東京の日照時間が0だった3月22日
 ※(15)を集計
 図-3 東京の日照時間

 図に示すように3月22日は「0」です。このため、太陽光発電ができない分は、揚水式発電でまかなっています。揚水発電所は上下の2つの調整池を持ち、一定量の水を繰り返して使用する発電所です。電力需要の少ない夜間帯に下部調整池から上部調整池に水をくみ上げ、電力需要が多い時間帯に上部調整池から下部調整池に水を流して発電します(17)。ですから、上部調整池の水が無くなると、発電が止まります。そして「停電」です(18)。揚水発電が無しで、電気供給できるまでに電量需要が下がれば、停電は起きません。そして、揚水発電の水を使い切らずにこの状態が達成できました。ただし、残った水は22時時点で総量の29%程度です(。これでやっと揚水発電を止める事ができました(17)。大停電寸前の状態であった事は確かです。
 これに便乗して原発再稼働を言い出す方が出てきました(3)。東京電力の発表では不足している電力は481万kWです(16)。原発事故前に東京電力は柏崎刈羽原発と東海第二原発から電力の供給を受けていました(19)(20)。このうち柏崎刈羽原発6,7号機と東海第二は原子力規制委員会から設置許可を受けています(20)。定格出力を合計すると371.2万kW(柏崎刈羽原発6,7号機各135.6万kW(19)、東海第二100万kW(20))です。ほぼ、不足分に相当します。確かに今の発電設備がそのままで、そこに柏崎刈羽原発6,7号機や東海第二が動いていれば、今回の電力危機は起きなかったかも知れません。でも、柏崎刈羽原発6,7号機や東海第二が動いたら、東京電力は他の発電所を維持したでしょうか?大手電力が、運転にコストがかさむ古い火力発電所を休廃止しています(11)。余計な設備は持ちません。柏崎刈羽原発6,7号機や東海第二が再稼働を果たしていたら、既存の火力発電所をさらに急停止していたはずです。そして、地震などにり発電所が停止したら、今回と同様に電力危機が起きます。今回の電力危機は発電所に余裕が無いことで(4)生じたものであり、原発が稼働していないことではありません。


<余談>
 図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
 この時期は3月22日21時時点の発表までで書きました。
 原発が大好きな人は、電力危機が起こる度に再稼働を言い出します。ロシアはウクライナの原発を攻撃しました(21)。これで「戦争による破壊」とゆう新たな危険性が具現化しました。ところが、自民党の力安定供給推進議員連盟は3月15日に、ロシアによるウクライナ侵攻で原油価格や電気料金が上昇し、安定的な電力供給に影響を及ぼす恐れがあるとして再稼働が必要だとし、停止中の原発を速やかに再稼働するよう政府に要請しました(22)。
 今回の電力危機も、発電所に余裕が無いことで生じたものです。ここで考えるとことは、今回のような事が起きないようにするために、発電所に余裕を持たすべきかです。余裕を持たすにはコストがかかります。これを、どのような仕組みで誰が負担するかです。もう一つは、今回のように節電で乗り来る体制を強化するかです。この前の電力危機は2012年夏だと思います。このときも停電することなく「節電」で乗り切りました(6)。10年に1度くらいなら「節電」との選択肢もあり得ると思います。こうした論点を無視して、直ぐに原発の再稼働問題にすり替える方がいます(3)。これでは福島の皆様は不安だと思います。
 福島県二本松市産米の2019年度の全量全袋検査は約30万件でです(23)。同市の人口は約5万人なので(24)、市民が食べるには充分な量です。福島のお米はその食味の良いとの事です(25)。福島県は福島産は安全だと言っています(26)。でも、福島県二本松市のスーパーのチラシに福島産米はありません。
他県産はあっても福島産米が無い福島県二本松市のスーパーのチラシ
 ※(27)を引用
 図―4 福島産米が無い福島県二本松市のスーパーのチラシ

(=^・^=)も福島県二本松市の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。


―参考にさせて頂いたサイト様および引用した過去の記事―
(1)福島の火力発電所、損壊相次ぐ 東電の供給力に打撃 | 河北新報オンラインニュース / ONLINE NEWS
(2)東京電力管内で電力逼迫警報を発令 政府、節電呼びかけ 午後1時台で使用率106% 萩生田経産相「このままでは広範囲で停電」:東京新聞 TOKYO Web
(3)日本経済新聞 原発再稼働「真剣に考えるべき」 十倉経団連会長
(4)冬の電力需給、「綱渡り状態」続く…老朽化の火力発電を再稼働・原発の定期検査先送り : 経済 : ニュース : 読売新聞オンライン
(5)今夏の電力危機下における電力会社の対応策と課題
(6)東日本大震災による電力危機 - Wikipedia
(7)冷房の電力消費 太陽光発電あれば「心配無用」 - 日本経済新聞
(8)きょう「電力需給ひっ迫警報」 すぐに実践できる家庭の節電方法 - ウェザーニュース
(9)日の出入り@福島(福島県) 令和 4年(2022)03月 - 国立天文台暦計算室
(10)東北6県・新潟エリアでんき予報 | 東北電力ネットワークを2022年3月22日に閲覧
(11)この冬、電力が足りない 大規模停電や料金急騰の恐れも:朝日新聞デジタル
(12)福島県沖地震 - Wikipedia
(13)3月22日は電力需給が厳しくなる見込みのため東京電力管内で節電のご協力をお願いします【需給ひっ迫警報】 (METI/経済産業省)
(14)需要と供給のバランス | でんき予報 | 関西電力送配電株式会社
(15)気象庁|過去の気象データ検索
(16)でんき予報|東京電力パワーグリッド株式会社|東京電力ホールディングス株式会社
(17)⇒(16)想定カーブ、節電カーブ、実績カーブ
(18)揚水発電停止なら午後8時台に停電も | 共同通信
(19)柏崎刈羽原子力発電所 - Wikipedia
(20)東海第二発電所 - Wikipedia
(21)国内の原子力発電所の再稼動に向けた対応状況 | 電気事業連合会
(21)専門家が語る「ロシア軍の原発攻撃」の無謀さ | ウクライナ侵攻、危機の本質 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース
(22)速やかな原発再稼働を要請 自民議連、ロシア侵攻で:東京新聞 TOKYO Web
(23)ふくしまの恵み>
(24)福島県の推計人口(令和4年2月1日現在)を掲載しました。 - 福島県ホームページ
(25)米 - ふくしまプライド。
(26)福島県の食の安全の動画について - 福島県ホームページ
(27)ベイシア安達店 | 店舗・チラシ | ベイシア
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  1. 2022/03/23(水) 01:56:19|
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