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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島民友社説・「海洋放出決定1年/理解と信頼得る努力尽くせ」に反論する。

 福島県の地方紙・福島民友は4月15日付けの社説で、福島第一汚染水の海洋放出について
 「海洋放出は技術やコストの現実性からもやむを得ない対策だ」
と論じ、
 「風評は最初から起こしてはならない。」
と結んでいました(1)。でも、海洋放出をすれば、福島産忌避(風評)は加速します。
 2011年3月に福島第一原発は福島を中心の汚染されました。
事故から11年を経て汚染されている特異的に汚染されている福島凡例
 ※1(2)(3)にて作成
 ※2 避難区域は(4)による
 図―1 特異的に汚染されている福島

 図に示す様に福島は特異的に汚染されました。事故から11年以上が過ぎたのですがICRPが公衆の被ばく限度とする年1ミリシーベルト(5)を超えた地域が広がっています。
 自公政権は福島産の「安全」を検査で確認していると主張しています(6)。以下に2011年の牛肉の検査結果を示します。
消費地の検査でのみ基準超が見つかった福島産牛肉
 ※1(7)を集計
 ※2 NDは検出限界未満を示す
 ※3 日付は牛さんがお肉になった日
 図―2 福島産牛肉の検査結果

 図に示す通り、当時の暫定基準値の1キログラム当たり500ベクレル(8)を超えた牛肉は福島県の検査では見つからないのに「消費地」の検査では見つかりました。放射能に汚染された稲わらを餌として食べた牛が汚染された「稲わら牛」問題です(9)。福島県の検査で見つからないものが、何故、消費地の検査で見つかるのか?多くの消費者が福島県の検査に不信を抱いたはずです。
 多くの方が、福島を正しく恐れ、福島産を避けました。福島を代表するする果物にモモがあります(10)。モモの最大産地の山梨県(福島県は2位)(11)と各年7・8月のモモの価格を比較してみました。以下に示します。
2011年以降・低迷が続く福島のモモ価格
 ※(12)を集計
 図―3 山梨・福島のモモ価格

 福島のモモは事故前から山梨産に比べ安かったですが、事故後にさらに安くなりました。自公政権はこれを「風評被害」と呼んでいますが(13)、明確な根拠があります。
 福島の抱える問題に、福島に特異的に広がる人工放射能汚染の他に第一原発の廃炉をどうするかとの問題があります。その中で最も厄介なのが廃炉廃棄物の処分問題です(14)。福島の皆様は福島県外処分が当然と思っているはずです(15)。一方で、自公政権や東京電力は、福島県外への搬出は難しいと考えていると思います。
 廃炉廃棄物の一つに「汚染水」があります。汚染水は原子炉建屋等に流れ込んだ地下水や雨水が内部の放射性物質に触れ、高濃度の放射能に汚染されます(16)。以下に汚染水のトリチウム濃度を示します。
法定限度を超えるトリチウムで汚染されている福島第一汚染水
 ※1(17)(18)を集計
 ※2 法定限度は(19)による
 図-4 汚染水のトリチウム濃度

 図に示すように、基準値を超えています。福島第一原発の汚染水は処理装置で処理しても「水」の中に法定限度を超える放射能が含まれています。言い換えるなら法定限度を超える放射能に汚染された「汚染水」です。ところが東京電力などは「処理水」と呼んでいます(20)。
 現状は海に流せないので東京電力は福島第一構内に汚染水タンクを作り保管しています。
どんどん増える福島第一汚染水

※(21)(22)を集計
 図―5 どんどん増える福島第一汚染水

 最新の発表(23)を集計すると、東京ドーム一杯分の容積124万立方メートル(24)を超える131万立方メートルの汚染水が溜まっています。福島第一の敷地の広さには限界があり、何時かは行き詰ります。このため自公政権や東京電力は「汚染水」の海洋放出を決めました(25)(26)。汚染水が放出されれば、福島産忌避はますますひどくなるはずです。ところが、福島県の地方紙・福島民友は「【4月15日付社説】海洋放出決定1年/理解と信頼得る努力尽くせ」との社説で、「海洋放出は技術やコストの現実性からもやむを得ない対策だ」
と論じ、
 「風評は最初から起こしてはならない。」
と結んでいました(1)。当該社説で「風評」と呼んでいる汚染されてる福島で採れた産物を避ける行為が、防止てきるような書き方です。防止する手段として「国民的理解」が提唱されています(27)。「国民的理解」とは、汚染水を海に流しても「安全」とゆう自公政権や東京電力の一方的な主張を(26)(28)を国民共通の認識しようとする試みです。
 自公政権はこれまでも「福島産は安全」、忌避は「風評被害」を主張してきました(29)。でも、図ー3に示すように福島産は多くの消費者に避けられ続けています。図ー2に示すように福島県の出荷時の検査で「安全」なのに、消費地で検査すると当時の暫定基準値を超えていました。
 福島原発事故前、東京電力は原発事故前は原発の放射能は五重の壁で厳重に封印されており、外に漏れだすことはないと説明していました(1)。
 原子炉を守るはずだった五重の壁
 ※(30)を引用
 図-6 五重の壁

 2006年に当時の総理は質問主意書の回答で「我が国において、非常用ディーゼル発電機のトラブルにより原子炉が停止した事例はなく、また、必要な電源が確保できずに冷却機能が失われた事例はない」「原子炉施設の安全を図る上で重要な設備については、法令に基づく審査、検査等を厳正に行っている」「地震、津波等の自然災害への対策を含めた原子炉の安全の確保に万全を期している」「経済産業省としては、原子炉の冷却ができない事態が生じないように安全の確保に万全を期している」とし、今後も原子力の安全確保に万全をつくすことを回答しました(31)。
 でも、原発は爆発し、福島県を中心に放射能汚染を引き起こしました。図ー1に示すようにこの汚染は11年以上が過ぎた今も続いています。
brg131004d.gif
 ※(32)を転載
 図-7 水素爆発する福島第一原発1号機

 これだけの事故が起きたのに個人として責任をとった方はいません(33)。このような無責任集団が一方的に「汚染水は安全」を主張しても理解するかたは少数です。福島県の市町村長の多くは合意が形成されていないと見ています(34)。
 海洋放出の理解は進んでいないと報じる福島県の地方紙・福島民報
※(35)を4月18日に閲覧
 図ー8 「地元と合意進まず」と報じる福島県の地方紙・福島民報


海洋放出をすれば、原子力ムラの皆様が「風評」と呼ぶ福島産忌避は加速します。福島産忌避なく海洋放出をすることは不可能です。


<余談>
 図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
 「安全なら東京湾に流せ」との声があるよです(36)。でも、東京湾沿岸の皆様は理解しません。数年前に東京湾湾岸の東京電力発電所敷地に指定廃棄物の処分場を作る計画を自公政権が企てました。でも、地元の反対で頓挫です(37)。そして、福島の皆様も福島の放射能汚染を警戒しています。
 福島を代表するの野菜にシイタケがあります(38)。年間を通して栽培されています(39)。福島のシイタケは美味しいとの事です(40)。福島県は福島産は「安全」だと主張しています(41)。でも、福島県須賀川市のスーパーのチラシには福島産シイタケはありません。
他県産はあっても福島産シイタケが無い福島県須賀川市のスーパーのチラシ
 ※(42)を引用
 図-9 福島産シイタケが無い福島県須賀川市のスーパーのチラシ

 (=^・^=)も福島県須賀川市の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。


―参考にさせて頂いたサイト様および引用した過去の記事―
(1)【4月15日付社説】海洋放出決定1年/理解と信頼得る努力尽くせ:社説:福島民友新聞社 みんゆうNet
(2)航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(令和3年8月31日~10月25日測定) 令和4年03月04日
(3)第13回原子力規制委員会 | 原子力規制委員会資料1 帰還困難区域の放射線防護対策について(特定復興再生拠点区域外における土地活用関連)【PDF:440KB
(4)避難区域の変遷について-解説- - 福島県ホームページ
(5)ICRP勧告(1990年)による個人の線量限度の考え (09-04-01-08) - ATOMICA -
(6)復興庁FAQページ | 福島の食品は安全か?
(7)報道発表資料 |厚生労働省
(8)食品中の放射性物質の基準値について - 福島県ホームページ
(9)福島の肉用牛に出荷制限 政府、移動も禁止 (写真=共同) :日本経済新聞
(10)福島県 - Wikipedia
(11)もも(モモ・桃)の都道府県別生産量(収穫量)/グラフ/地図/一覧表|統
(12)東京都中央卸売市場-統計情報検索各年7、8月について、大分類⇒果実、中分類⇒もも類で検索
(13)放射線の健康影響~ 「風評被害」について再び、福島の高校生のフランスでの発表 ~ | 原子力災害専門家グループ | 東電福島原発・放射能関連情報 | 首相官邸ホームページ
(14)「廃炉作業」で発生した廃棄物やガレキはどうしているのか?|もっと知りたい廃炉のこと|東京電力
(15)放射性廃棄物の県外処分に係る申し入れ - 福島県ホームページ
(16)汚染水対策の状況 - 廃炉プロジェクト|廃炉作業の状況|東京電力ホールディングス株式会社
(17)福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果|アーカイブ|東京電力中の「水処理設備の分析結果⇒水処理設備の放射能濃度測定結果 」
(18)福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果アーカイブ|データ|東京電力ホールディングス株式会社の「水処理設備の分析結果」
(19)周辺の分析結果ー分析結果 - 廃炉プロジェクト|データ|東京電力ホールディングス株式会社
(20)処理水ポータルサイト | 東京電力
(21)プレスリリース|リリース・お知らせ一覧|東京電力ホールディングス株式会社中の「福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について」
(22)福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について - 廃炉プロジェクト|公表資料|東京電力ホールディングス株式会社
(23)2022年のアーカイブ|公表資料|東京電力ホールディングス株式会社⇒4月⇒ 18日
(24)東京ドーム (単位) - Wikipedia
(25)風評払拭、進まぬ理解 処理水海洋放出方針決定から1年 | 河北新報オンラインニュース / ONLINE NEWS
(26)>ALPS処理水の処分 | 東京電力
(27)【官製風評 処理水海洋放出】国民的議論 理解醸成の努力不足 説明会、全国に広がらず | 福島民報
(28)ALPS処理水の処分 (METI/経済産業省)
(29)復興庁FAQページ | 福島の食品は安全か?
(30)スライド タイトルなし - 東京電力
(31)衆議院議員吉井英勝君提出巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問に対する答弁書
(32)1号機水素爆発 vs3号機爆発 vs 小型核爆発の比較/福島原発事故の真実とは? newsforum1
(33)めげ猫「タマ」の日記 福島Q&A Q41.福島原発事故の責任を取った個人はいますか?
(34)処理水海洋放出 「地元と合意進まず」8割 政府方針決定1年福島県内首長アンケート | 福島民報
(35)福島民報社 福島県のニュース 福島県の新聞社
(36)毎日新聞 on Twitter: "「そんなに安全というなら、東京湾に
(37)千葉市:指定廃棄物関連情報
(38)冬 | ふくしまの野菜 | JA全農福島
(39)産地紹介:福島県 JA全農福島~福島県における生しいたけ栽培~-月報 野菜情報-産地紹介-2020年12月
(40)いわき菌床椎茸組合 いわきの逸品
(41)福島県の食の安全の動画について - 福島県ホームページ
(42)ザ・ビッグ須賀川店 | 宮城県、福島県のイオングループのスーパーマーケット「ザ・ビッグ」 | マックスバリュ南東北
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  1. 2022/04/21(木) 19:50:53|
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