Q>福島の皆様を苦しめているのはなんですが?
A>放射能汚染です。福島の皆様は風評被害や偏見・差別で苦しんでいるとの主張があります(1)。でも、福島の皆様を苦しめているのは放射能汚染です。
福島は事故によって汚染されました。


※1(2)(3)にて作成
※2 避難区域は(4)による
図―1 特異的に汚染されている福島
図に示す様にICRPが公衆の被ばく限度とする年1ミリシーベルト(5)を超えた地域が広がっています。事故から11年以上が過ぎましたが、福島は汚染されたままです。
Q42に示す様に、出生異常がおきました。福島の女性は子供が生にくくなり、避難指示が遅れて出た旧計画的避難区域では(4)で出生性比の異常が起こり、自然死産率が上昇しました(6)。 放射線影響研究所は広島や長崎の原爆投下では遺伝的影響がない根拠に、出生性比の異常や自然死産の増加が無かったことをあげています(7)。
福島産は検査で「安全」とされています(8)。でも、
Q2に示す様に、福島県が検査すると基準値以下なのに福島県外の検査では基準値超えなど、福島県の検査に比べ高い値が見つかる現象がおきました(9)
以下に事故直後に福島産牛肉の検査結果を示します。

※1(10)を集計
※2 NDは検出限界未満を示す
※3 日付は牛さんがお肉になった日
図―2 福島産牛肉の検査結果
図に示す通り福島県の検査では見つからないのに「消費地」の検査では当時の基準の1キログラムあたりを500ベクレル(11)を超えるセシウムに汚染された牛肉が見つかりました。放射能に汚染された稲わらを餌として食べた牛が汚染された「稲わら牛」問題です(12)。
このようなことが起これば、福島産は信頼を失います。 福島産牛肉は稲わら牛問題で信用を失い舞いました。以下に福島産と全国平均の牛肉価格を示します。

※(13)を集計
図-3 牛肉価格
図に示すように福島産牛肉は事故後に全国平均に比べ安くなりました。以下に全国平均に対する福島産牛肉価格の下げ幅を示します。

※(13)を集計
図-4 福島産牛肉の価格差
福島産牛肉は今も全国平均に比べ10%程度の安値で取引されています。福島のセシウムが一桁下がるには100年かかります(17)。福島の牛肉の安値はこれらも続きます。畜産を阿武隈高原の基幹産業にするには無理です。
この状況は事故から11年以上が経過した今も変わっていません。以下に福島県磐梯町産ネマガリタケの検査結果を示します。

※1(10)(14)を集計
※2 基準値は(15)による。
※3 日付は収穫日ないし購入日
※4 NDは検出限界未満を示す。
図-3 福島県磐梯町産ネマガリタケの検査結果
図に示すように、福島県の検査では事故後12シーズン連続で基準値以下です。一方で、福島県外で検査すると、いきなり基準値の3倍近い値です。
以下に海産魚の検査結果を示します。

※1(10)(14)を集計
※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す。
※3 日付けは採取日
図―4 海産魚の検査結果
図に示すように北海道から神奈川県まで広い範囲で見つかっています。一方で、福島県が検査した福島産海産魚は厚生労働省や福島県の発表(10)(14)を数えると2,735件連続で検出限界未満(ND)です。海は繋がっているのに汚染源がある福島産からはセシウムが見つかりません。
福島県にあるひらた中央病院は、福島産米や野菜について避けるか否かのアンケート結果を発表しています。以下に示します。
表―1 福島産を許容すかのアンケート結果
※(16)を集計

福島県は福島を7つの生活圏に区分しています。県中地域に属する郡山市・三春町、相双地域に属する相馬・南相馬市、そしていわき地域(17)の2022年度ど事故前の2009年度の死者数を福島県の発表(18)から集計してみました。
福島産米と野菜を共に許容する方が67%の福島県郡山市・三春町の葬式(死者)数は
2009年度(事故前)3,153人
2021年度(昨年度)3,723人
で18.1%増えています。このような事が偶然に起こる確率を計算したら約1,600億の1でした(19)。
福島産米と野菜を共に許容する方が7%の相馬・南相馬市の葬式(死者)数は
2009年度 1,293人
2021年度 1,381人
で、殆ど変わりません。無論、統計的な差もありません。
福島産米と野菜を共に許容する方が37%のいわき市の各年3月から1年間の葬式(死者)数は
2009年度 3,936人
2021年度 4,449人
で13%増えています。郡山市と相馬市・南相馬市の中間でしょうか
以上の結果から、葬式(死者)数の増加率と福島産米や野菜を共に許容する方の割合をまとめました。

※(16)(18)を集計
図―5 葬式(死者)数の増加率と福島産の許容割合
図に示す様に福島産を許容する程に葬式(死者数)が増えています。
福島県の検査は怪しげです。そして、「フクシマ産、食べて応援、あの世行き」と思いたくなる状況にもあります。福島の皆様は放射能汚染に注意しなくてはなりません。
事故後に福島から多くの方が避難されました。以下に推移を示します。

※(20)を集計
図―6 福島からの県外避難者数
図に示す通り福島への帰還が進んでいるとは言えない状況です。事故から11年以上を経た今(4月8日時点)も2万人以上の方が福島から県外に避難したままです(20)。
そして、福島に残った若い女性の福島脱出は今も続いています。今から5年前の2017年6月に福島には44,695人の10代後半女性がいました。5年が経ち彼女達は20代前半になっています。今年(2022年)6月の福島の20代前半女性は29,410人で(18)、残ったのは65.8%です。2017年3月当時で10代後半だった福島の女性のうち3分の1以上の方が、この5年間で福島から逃げ出しています。以下に福島の10代後半の方が5年後に残っている割合を示します。

※1(18)を集計
※2 日付けは10代後半時点
図―7 福島の10代後半の方が5年後に残っている割合
事故前から若い方の福島脱出はありました。事故前の2001年から2006年3月までの平均を取ると男性76%、女性74%で、男女に大きな差はありませんでした。それが近々の2017年5月時点で、10代後半の方が5年後に福島に残っている割合は男性74%、女性65%で、男性は変わりありませんが、女性は大きく落ち込みました。
以下に各年6月から翌年5月までの福島での赤ちゃん誕生数を示します。

※(18)を各年度
図―8 福島の赤ちゃん誕生数
年々減り続けています。数値を記載すると
事故前(2009年6月~10年5月)15,884人(男の子8,211人、女の子7,673人)
近々1年(2021年5月~22年4月)10,328人(男の子5,341人、女の子4,787人)
で、事故前に比べ35%減っています。若い女性の脱出が継続すれば子供は生まれなくなり、少子高齢化が加速します。
福島原発事故による放射能汚染で、福島にのみ避難地域が設定されました(4)。以下に示します。
以下に市町村を示します。


※1(2)(3)にて作成
※2 避難区域と解除区域は(4)による。
図-9 避難区域と解除区域地町村
図に示しように事故後は11市町村に避難指示が出ました。このうち川内村を除く10市町村では旧避難区域内の居住者と住民登録人数を月末ないし毎月1日発表しています(21)~(33)。川内村で避難指示が出た区域は一部に限られ、避難指示が全面解除された2016年6月(4)の人口は2,028人ですが(17)、このうち旧避難地域に住んでいたのは51人で(34)、ごく一部です。
概ね川内村を除く10市町村の避難者数を集計すれば避難指示が出たく行きに戻れた人数がわかります。以下に示します。

※1(21)~(33)を集計
※2 川内村を除く
※3 避難者数は対象者数―解除区域の居住者数で集計
図―10 避難指示が解除された区域の居住数と避難者数(川内村を除く)
図に示す様に、避難指示は解除されましたが住民はあまり戻っていません。概ね6月1日時点で旧避難地域に住んでいるのは
住民登録 65,054人中15,358人(全体の23.6%)
です。
福島は原発事故で汚染されました。事故から11年以上経た今も図ー1に示す様に汚染されたままです。事故後に懐妊したであろう子供が生まれる2012年以降に合計特殊出生率の低下、自然死産の増加、逃げ遅れたであろう旧計画的避難区域での出生性比異常などの出生異常がおきました(6)。福島県の放射性物質検査は信頼できません。福島産農畜産物の価格は下落しました。そして、福島産を許容するか方が多い地域では葬式が増えましたが、そうでない地域では有意には増えていません。福島の皆様は自らを守る為に放射能に注意が必要になりました。多くの方が福島県外に出て行きました。今も2万人以上の方が福島に戻れていません。若い女性を中心に福島脱出は今も続いています。若い女性の脱出が続けば、少子高齢化が加速します。放射能汚染によって避難区域が設定され、多くの方が避難を強いられました。そして、事故から11年以上が過ぎた今も、戻れていません。
福島の皆様を苦しめているのは差別や偏見でなく、放射能汚染です。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
原発事故から11年以上が経過しましたが、福島の皆様は放射能汚染を気にした生活を強いられています。
福島を代表する果物にナシがあります(35)。福島県福島市は福島最大のナシの産地です(36)。今年も出荷がはじまりました(37)。同市あたりのナシは甘くてみずみずしくて、シャリシャリとした食感がとっても美味しいとの事です(38)。福島県は福島産は「安全」だと主張しています(39)。でも、福島県福島市のスーパーのチラシにはナシはナシです。

※(40)を引用
図-11 福島産ナシが無い福島県福島市のスーパーのチラシ
(=^・^=)も福島県福島市の皆様を見らない「フクシマ産」は食べません。
―参考にさせて頂いたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略(2)
航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会⇒
福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(令和3年8月31日~10月25日測定) 令和4年03月04日(3)
第13回原子力規制委員会 | 原子力規制委員会⇒
資料1 帰還困難区域の放射線防護対策について(特定復興再生拠点区域外における土地活用関連)【PDF:440KB(4)
避難区域の変遷について-解説- - 福島県ホームページ(5)
ICRP勧告(1990年)による個人の線量限度の考え (09-04-01-08) - ATOMICA -(6)
原発事故後、福島で出生異常は起きていませんか?(7)
原爆被爆者の子供における放射線の遺伝的影響 ? 公益財団法人 放射線影響研究所 RERF(8)
復興庁FAQページ | 福島の食品は安全か?(9)
福島県の野菜・果物の検査は正しいですか?(10)
報道発表資料 |厚生労働省(11)
福島の肉用牛に出荷制限 政府、移動も禁止 (写真=共同) :日本経済新聞(12)
福島産牛肉 基準超のセシウム | 東京電力 福島第一原発事故 関連ニュース | NHK 40年後の未来へ 福島第一原発の今(13)
東京都中央卸売市場-統計情報検索(14)
農林水産物の緊急時環境放射線モニタリング結果【詳細】 - 福島県ホームページ(15)
食品中の放射性物質への対応|厚生労働省(16)
研究報告|ひらた中央病院 | 医療法人 誠励会 | 福島県 医療 介護 リハビリ(17)
福島県の位置・人口・面積 - 福島県ホームページ(18)
福島県の推計人口(令和4年6月1日現在)を掲載しました。 - 福島県ホームページ(19)
めげ猫「タマ」の日記 福島産、食べて応援、あの世行き(2021年度)(20)
県外への避難者数の状況 - 福島県ホームページ(21)
楢葉町内居住者数について|楢葉町公式ホームページ(22)
避難指示区域別居住状況/南相馬市公式ウェブサイト -Minamisoma City-(南相馬市)
(23)
広報なみえ - 広報なみえ - 浪江町ホームページ(24)
広報とみおか/富岡町(25)
県内外の避難・居住先別人数/富岡町(26)
ホーム/富岡町(27)
令和4年8月1日現在の村民の避難状況について - 飯舘村ホームページ(28)
山木屋地区の居住の状況 - 川俣町公式ホームページ(川俣町)
(29)
住民生活課 - 葛尾村ホームページ(30)
広報かつらお - 葛尾村ホームページ(31)
田村市民の避難状況動向調査報告 - 福島県田村市ホームページ(32)
居住・避難状況 - 大熊町公式ホームページ(33)
避難状況| 双葉町公式ホームページ(34)
【避難指示区域】「帰還困難」「居住制限」「避難指示解除準備」区域:震災・原発関連:福島民友新聞社 みんゆうNet(35)
くだもの図鑑 – くだもの消費拡大委員会(36)
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