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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

Q44.福島の避難区域とは何ですか?

Q>福島の避難区域とは何ですか?
A>放射能汚染によって人の居住が禁止された区域です。

 福島第一原発は津波対策などの不備より、大規模な放射能漏れ事故を起こしました(1)。そして、福島を中心に放射能が飛び散り汚染あれました。
事故から11年を経て汚染されている特異的に汚染されている福島凡例
 ※1(2)(3)にて作成
 ※2 避難区域は(4)による
 図―1 特異的に汚染されている福島

 図に示す様にICRPが公衆の被ばく限度とする年1ミリシーベルト(5)を超えた地域が広がっています。事故から11年以上が過ぎましたが、福島は汚染されたままです。
 原発事故によって避難区域が設定されました。
事故から11年半を過ぎて汚染されている避難指示解除区域  凡例
 ※1(2)(3)にて作成
 ※2 避難区域は(4)による
 図―2 福島だけに設定された避難区域

 2011年3月11日20時50分に福島県が福島第一原発から2km以内に最初の避難指示を出しました。その後に避難指示が国によって拡大され、同年3月12日18時25分に福島第一原発から20km以内に避難指示を出しました。さらに同年3月15日に30km圏内に屋内退避指示がでました。概ね南相馬市原町区、田村市都路の大部分、川内村の大部分、広野町です。このうち、田村市都路は一部が20km圏内に位置し、国からここに避難指示が出た3月12日の段階で田村市独自で避難指示をだしました(6)。葛尾村は3月15日に避難しました(7)。川内村は3月16日に避難しました(8)。広野町は3月12日に町独自に避難を決めました(9)。屋内退避指示がでた3月15日頃には田村市都路、葛尾村全域、川内村全域、広野町全域は避難を実施しました。一方で、南相馬市の福島原発から20~30kmの範囲(主に原町区)に対し、市としての避難指示は出しませんでした。それでも5万人が避難しましが、2万人が残りました。ところが、屋内退避指示のため誰もが外にでることができず物流が窮しました。この様子を当時の市長は「兵糧攻め的な状況」と言っています(10)。
兵糧攻め状態話す南相馬市市長(事故当時)
※(11)をキャプチャー
 図-3 「兵糧攻め」と評する南相馬市長(当時)

 20km圏内に避難指示、30km圏内に屋内退避指示が出た時点で南相馬市に残った2万人を除きほぼ30km圏内の避難は完了しました。そして、福島県放射線健康リスク管理アドバイザーに就任した山下俊一長崎大学教授は概ね30km圏外の川俣町を3月22日に、飯舘村を3月25日で巡回講演を行い、『福島における放射線による健康被害はない』ことを強調しました(12)。ところが概ね30km圏外の飯舘村や川俣町では放射線量が高い事がわかり避難区域が4月22日に設定されました。新たに避難区域となった地域では説明会が行われました。飯舘村の説明会で15歳の女子高生が「生めなくなったら」と質問しました(13)。これについて自公政権は復興庁の冊子で「『将来元気な赤ちゃんがうめないのでないか』そういいた思い込みから悩んでいる女の子います。」と記述し、あたかも思い込みのような記述をしています(14)。でも、出生の異常が起きました。以下に川俣町・飯舘村合計の各年3月から翌年2月までの1年間の出生数を示します。
事故後に女の子が多く生まれた川俣町・飯舘村
 ※1(15)を集計
 ※2 2022年は9月まで
 図―4 川俣町・飯舘村の出生数

 事故後の2011年3月以降に女の子が多く生まれるようになりました。事故後5年間(2011年3月~16年2月)の集計すると
 男の子 251人
 女の子 332人
で、女の子が多く生まれています。このような事が偶然に起こる確率を計算したら0.08%でした。通常は男の子が多く生まれるので(16)、異常な事態です。以下に偶然に起こる確率の計算結果を示します。

 表―1 偶然に起こる確率の計算結果
 ※計算方法は(=^・^=)の過去の記事(17)による。
有意差検定表

 避難が遅れた飯舘村や川俣町では出生異常がおきました。福島県全体でも、合計特殊出生率が低下し、自然死産率が上昇しました(18)。警戒区域が即の避難を求められたのに対し、計画的避難区域では猶予が認められました。計画的避難区域は直ぐに避難しなかった、あるいは逃げ遅れた避難区域です。
 4月22日は30km圏内に出ていた屋内退避指示の区域が、計画的避難区域を除き「緊急時避難準備区域」に指定されました(4)。緊急時避難準備区域では、外出は許されましたが、日ごろから避難の準備をしておき、指示があった場合は自力で直ちに避難することが求められました。求めに応じられない場合は避難が求められました。学校は閉鎖となりました(19)。子供や保護者は避難せざるを得ない状況となりました。
 4月22日に、避難区域は福島第一原発から20km圏内の警戒区域、その後に放射線量が高いことが分かり指定された計画的避難区域、そして概ね20~30圏内の緊急時避難準備区域に分けられました。図―2に示しような避難区域が出来上がりました。
その後に避難区域外でも、放射線量がスポット的に高いところが見つかり特定避難勧奨地点が指定されました(19)。特定避難勧奨地点は2011年6月から11月にかけて設定されました。最後に設定されたのは11月25日です。実に事故は8ヶ月以上です。
特定復興再生拠点
 ※(20)(21)にて作成
 図-5 特定避難勧奨地点

11月25日に特定避難勧奨地点が指定された福島県伊達市保原町富沢(21)は、地図で見ると福島第一原発から60km離れています。事故直後の3月16日にアメリカは80km圏内に住む自国民に対し避難を勧告しました(22)。結果としてこの判断は正しかった事になります。だだし、福島県は大きく浜通り、中通り、会津の3地域に分けられますが(23)、80km圏内には浜通り、中通りのほぼ全域が含まれます。2011年3月時点で、浜通り、中通りの人口は約178万人です。当時の福島県の人口は202万人なので(24)、福島県民の大部分を避難が必要となり、実行困難です。メリットとデメリットを比べればデメリットが大きく、80km以内の全員避難など実行困難でした。この事情は福島県だけでなく全国各地の原発にも当てはまります。地図で見ると関西電力大飯原子力発電所(福井県)と京都駅は直線で60km程度で、これは特定避難勧奨地点が設定された伊達市保原町富沢(21)と福島第一原発の距離とそれほど変りありません。福島原発事故の例に習えば、再稼働済みの大飯原発(25)が事故れば、京都市内が避難が必要な位の放射能に汚染される可能性があります。
 一方で避難指示や解除への動きが進められました。2011年9月30日に緊急時避難準備区域が解除になりました(20)。2012年12月には特定避難勧奨地点の避難指示の解除がはじまりました(19)。2013年8月に避難区域を放射能汚染程度によって避難指示準備区域、居住制限区域、帰還困難区域への再編が終わりました(26)。
再編さえた避難区域
 ※(26)を引用
 図-5 再編された避難区域

 再編された避難区域のうち避難指示解除準備区域と居住制限区域では避難指示解除を目指し除染が進められました。ただし、帰還困難区域は別です(27)。そして2013年4月に田村市都路で最初に避難指示が解除されました(26)。その後、2012年12月までに全ての特定避難勧奨地点が解除になりました(18)(19)。2017年4月1日までに、双葉町と大熊町を除く全ての避難指示解除区域と居住制限区域で避難指示が解除になりました(26)。帰還困難区域は2017年度以降に除染を実施し将来的に避難指示解除を目指す特定復興再生拠点(28)と、それ以外(俗称・白地地区(29))に分けられました。
帰還困難区域と特定復興再生拠点
 ※(30)を引用
 図-6 特定復興再生拠点

 その後、2019年4月に大熊町の避難指示解除準備区域と居住制限区域の避難指示が、2020年3月に双葉町の避難指示解除準備区域(双葉町には居住制限区域は設定されていない)が解除になりました(26)。これで避難指示解除準備区域と居住制限区域と避難指示が解除になり、避難区域は帰還困難区域だけになりました。
 以下に双葉町の津波被災区域を示します。
 帰還困難区域外は概ね津波被災区域である双葉町
※1(2)(3)にて作成
 ※2 避難区域は(4)による
 ※3 津波被災区域は(31)による。
 図―7 双葉町の津波被災区域

 図に示すように先行して避難指示が解除された旧避難指示解除準備区域は、津波被災区域に重なり人が住めない地域でした。双葉町は長らく人の居住が禁止された町でした。2022年6月12日に葛尾村の、6月30日に大熊町の、8月30日に双葉町の特定復興再生拠点の避難指示が解除されました。これで、避難指示が出た11市町村を含め福島県の全59市町村で人の居住が許可されました。でも、図-2に示す様に避難指示が解除されても汚染は続きます。
 以下に川内村を除く避難指示が解除された10市町村住民の居住先を示します。
 概ね川内村を除く10市町村の避難者数を集計すれば避難指示が解除された区域の居住者数と避難者数が分かります。以下に示します。
住民が戻らない旧避難区域
 ※1(32)~(44)を集計
 ※2 川内村を除く
 ※3 避難者数は対象者数―解除区域の居住者数で集計
 図―8 避難指示が解除された区域の居住数と避難者数(川内村を除く)

 図に示す様に、避難指示は解除されましたが住民はあまり戻っていません。概ね10月1日時点で旧避難地域に住んでいるのは
 住民登録 65,163人中15,531人(全体の24%)
です。11年半を費やし全市町村での居住を許可したのですが、住民は戻りません。

<余談>
 図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
 福島に対する疑問を「めげ猫「タマ」の日記 福島Q&A 」にまとめました(45)。よかったら他のQ&Aも見て下さい。
原発が事故った場合は避難が必要があります。自公政権は一斉に避難すると混乱が起こるので、原発からは5から30kmの範囲に住まれる方がには、とりあえず自宅待機を求めるとしています。さらに30kmを超える地点については一切の言及がありません(46)。でも、自宅待機の間の食料や日常品の入手方法はスルーしています。南相馬市の例からして、自宅待機をしれば兵糧攻め状態になります。福島原発事故では30kmを超える場所も避難が必要になりました。でも、自公政権はこれを無視しています。こんな無責任な政権では福島の皆様はは不安だと思います。
 福島県郡山市は福島最大のお米の産地です(47)。同市のお米は「あさか舞」といいておいしいお米です(48)。安全なので2011年産米すら、学校給食に使われました(49)。でも、福島県郡山市のスーパーのチラシには福島産米はありません。
 他県産はあっても福島産米が無い福島県郡山市のスーパーチラシ
※(50)を引用
 図‐9 福島産米が無い福島県郡山市のスーパーのチラシ


 (=^・^=)も福島県郡山市の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。


―参考にさせて頂いたサイト様および引用した過去の記事―
(1)asahi.com(朝日新聞社):津波想定に不備・冷却作業で不手際 原発事故調報告 - 東日本大震災
(2)航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(令和3年8月31日~10月25日測定) 令和4年03月04日
(3)第13回原子力規制委員会 | 原子力規制委員会資料1 帰還困難区域の放射線防護対策について(特定復興再生拠点区域外における土地活用関連)【PDF:440KB
(4)避難区域の変遷について-解説- - 福島県ホームページ
(5)ICRP勧告(1990年)による個人の線量限度の考え (09-04-01-08) - ATOMICA -
(6)原発事故-区域指定等の経緯- - 田村市ホームページ
(7)葛尾村の避難と復興
(8)川 内 村 の 現 状 と 今 後
(9)広野町、31日に避難指示解除 1日から町民帰還促す | 東日本大震災 | 福島民報
(10)asahi.com(朝日新聞社):「市民、兵糧攻め的状況」南相馬市長、動画サイトで訴え - 東日本大震災
(11)SOS from Mayor of Minami Soma City (Fukushima nuclear power plant, Japan) - YouTube
(12)高村昇 - Wikipedia
(13)東電の回答に怒号 飯舘村での住民説明会 | 東日本大震災 | 福島民報
(14)風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略放射線のホント
(15)福島県の推計人口(令和4年10月1日現在)を掲載しました。 - 福島県ホームページ
(16)出生性比
(17)めげ猫「タマ」の日記 福島Q&A Q18.統計的な差ってなんですか?
(18)特定避難勧奨地点とは - コトバンク
(19)これまでの避難指示等に関するお知らせ (METI/経済産業省)
(20)(4)⇒避難区域の変遷 (平成24年3月31日以前)[PDFファイル/1MB]
(21)(19)⇒伊達市における特定避難勧奨地点の設定について(PDF形式:84KB)PDFファイル(2011年11月25日)
(22)米、福島原発80キロ圏に退避勧告 独自分析で - 日本経済新聞
(23)福島県 - Wikipedia
(24)福島県の推計人口(令和4年10月1日現在)を掲載しました。 - 福島県ホームページ
(25)国内の原子力発電所の再稼動に向けた対応状況 | 電気事業連合会>
(26)(4)⇒避難区域の変遷 (平成24年4月1日以降)[PDFファイル/14.8MB]
(27)>除染の状況(除染特別地域)|除染情報サイト:環境省
(28)特定復興再生拠点区域 - Wikipedia
(29)政府は「住民の希望」強調するが…福島の帰還困難区域「まだら解除」の新方針の思惑は:東京新聞 TOKYO Web
(30)特定復興再生拠点|除染情報サイト:環境省
(31)双葉町津波浸水地域のマップ
(32)楢葉町内居住者数について|楢葉町公式ホームページ
(33)避難指示区域別居住状況/南相馬市公式ウェブサイト -Minamisoma City-(南相馬市)
(34)広報なみえ - 広報なみえ - 浪江町ホームページ
(35)広報とみおか/富岡町
(36)県内外の避難・居住先別人数/富岡町
(37)ホーム/富岡町
(38)令和4年10月1日現在の村民の避難状況について - 飯舘村ホームページ
(39)山木屋地区の居住の状況 - 川俣町公式ホームページ(川俣町)
(40)住民生活課 - 葛尾村ホームページ
(41)広報かつらお - 葛尾村ホームページ
(42)田村市民の避難状況動向調査報告 - 福島県田村市ホームページ
(43)居住・避難状況 - 大熊町公式ホームページ
(44)避難状況| 双葉町公式ホームページ
(45)めげ猫「タマ」の日記 福島Q&A 
(46)女川地域における原子力防災の取組と国の支援体制について(PDF:8,967KB)
(47)>福島県[郡山市]の農作物 | 水稲 夏秋きゅうり にんにく いんげん | 雑穀類, いも類, 米, 麦類, 野菜, 果物 | 生産/収穫/作付面積 | 福島県と日本の中の順位 | 市町村 | ジャパンクロップス
(48)福島県郡山産米 あさか舞 - 郡山市公式ホームページ
(49)JA郡山市|事業PR
(50)イトーヨーカドー 福島店 | 福島県 福島市 | 「安全・安心」 お買い物応援。
(51)ザ・ビッグ郡山店 | 宮城県、福島県のイオングループのスーパーマーケット「ザ・ビッグ」 | マックスバリュ南東北
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  1. 2022/11/25(金) 19:50:16|
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