東京電力等は法定限度をはるかに超える放射能で汚染されている水(以下汚染水とする)を、福島第一原発から海に投棄する企てを計画しています(1)。これについて、福島の地方紙・福島民報は社説で、
「地元が求めているのは、海洋放出以前の国民理解の醸成だ。<中略>その努力が圧倒的に足りないまま、軸足が海洋放出後に移っていく。柔軟に対応できない国の体質は、これまでの原発政策で繰り返されてきた。」
と論じていました(2)。でも、国民的理解は困難です。福島の選択肢は貯め続けるか、ある程度の「被害」を覚悟の上で、海洋放出を強行するかです。
福島第一原発では地下水や雨水が原子炉やタービン建屋に流れ込みデブリなどの放射性物質に触れ、高濃度の放射能に汚染されます(4)。以下に汚染水のトリチウム濃度を示します。

※1(5)(6)を集計
※2 法定限度は(7)による
図-1 汚染水のトリチウム濃度
図に示すように、基準値を超えています。東京電力が用意した汚染水処理装置は全ての放射性物質を取り除ける訳ではありません。少なくともトリチウムは除去できません(8)。福島第一原発の汚染水は処理装置で処理しても「水」の中に法定限度を超える放射能が含まれています。言い換えるなら法定限度を超える放射能に汚染された「汚染水」です。ところが東京電力などは「処理水」と呼んでいます(9)。
現状は海に流せないので東京電力は福島第一構内に汚染水タンクを作り保管しています。

※(10)(11)を集計
図―2 どんどん増える福島第一汚染水
最新の発表を集計すると、東京ドーム一杯分の容積124万立方メートル(12)を超える134万立方メートル(13)の汚染水が溜まっています。以下にタンク容量とタンク内に貯まった汚染水量を示します。

※(10)(11)を集計
図-3 汚染水タンク内の汚染水量とタンク容量
図に示すように汚染水タンクの増設は2020年末から止まっており、タンク内の汚染水量はタンク容量にせっまています。そこで、東京電力等は、浄化装置を通した後で海に投棄することを計画しています(1)。

※(14)を8月4日に閲覧
図-4 海洋放出を報じる福島県の地方紙・福島民報
図-1に示す様に、汚染水には法定限度を大きく超えるトリチウムが吹く前れています。最新の発表では法定限度の1リットルあたり6万ベクレル(7)の6倍の同36万ベクレルです(15)。ところが、岸田政権は「安全」だとし(16)、これを国民に理解させるとしています(17)。これについて、福島県の地方紙・福島民報は「【原発事故対応】正しい認識があるのか(1月26日)」との社説で
「地元(福島)が求めているのは、海洋放出以前の国民理解の醸成だ。国民理解が深まり、処理水問題をそれぞれが『自分事』として考えるようになれば、風評被害を心配することはあるまい。その努力が圧倒的に足りないまま、軸足が海洋放出後に移っていく。柔軟に対応できない国の体質は、これまでの原発政策で繰り返されてきた。」
と論じていました(2)。「国民理解の醸成」の後で海洋放出をせよと主張です。
岸田政権には「国民理解の醸成」しなければならない課題は原子力政策の転換や防衛力の増強と増税など、いくつもあると思います(18)。中でも重要なのは新型コロナワクチンの有用性の「国民理解の醸成」し、多くの国民に接種を受けてもらう事です。以下に、オミクロンワクチンの接種率と新型コロナ感染率の相関(都道府県別)を示します。

※(19)(20)
図-5 オミクロンワクチンの接種率と新型コロナ感染率の相関(都道府県別)
図に示す様に、接種率が高い都道府県ほどに、感染が抑え込まれています。新型コロナワクチンは有効です。多くの方に接種してもらい、感染を抑えることが望まれます。
以下にオミクロンワクチンの累積の接種人数の推移を示します。

※(21)を集計
図-6 オミクロンワクチンの接種状況
この所、ワクチン接種が進んでいません。新型コロナは身近な問題です。それもワクチン接種に関して「国民理解の醸成」できていません。福島第一汚染水は新型コロナに比べれば相当に遠い存在です。福島県の地方紙・福島民報は社説で
「地元が求めているのは、海洋放出以前の国民理解の醸成だ。<中略>その努力が圧倒的に足りないまま、軸足が海洋放出後に移っていく。柔軟に対応できない国の体質は、これまでの原発政策で繰り返されてきた。」
と論じていました(2)。でも、国民的理解は困難です。福島の選択肢は貯め続けるか、「被害」を覚悟の上で、海洋放出を強行するかです。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
汚染水の詳細については「
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(処理水)について」を見てください(22)。
岸田政権は「処理水」について、
①ALPS処理水」と「汚染水」は異なるもの
②ALPS処理水に含まれる「トリチウム」は自然界にも存在する水素の仲間
③ALPS処理水の処分は「廃炉」と「福島の復興」のため絶対に必要
と(16)、説明にならない主張をしています。すなわち、
①「処理水」は図-1に示しように基準値を大きく超えるトリチウムを含みます。「処理対」は汚染水の一形態であって、「汚染水」tと異なるものではありません。
②自然界に存在する水素のほぼ全ては放射線を出しません。でもトリチウムは放射線を出します。放射線を出す点において普通の水素と大きく異なります。
③汚染水を含め原発事故で出た放射性廃棄物の処分は福島復興の必須条件です。でも、これを福島で処分すれば逆に福島復興の妨げになります。放射能を垂れ流す「フクシマ」を多くに人が避けるはずです。
そして、福島の皆様も「フクシマ」を避けています。
川俣町には大規模な養豚場があります(22)。そこの豚はおいしいとの事です(23)。福島県は福島産は「安全」だと言っています(24)。でも、福島県川俣町のスーパーのチラシには福島産豚肉はありません。
他県産はあっても福島産豚肉が無い福島県川俣町のスーパーのチラシ

※(25)を引用
図―7 福島産豚肉が無い福島県川俣町のスーパーのチラシ
(=^・^=)も福島県川俣町の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にさせて頂いたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
ALPS処理水の処分 | 東京電力(2)
【原発事故対応】正しい認識があるのか(1月26日) | 福島民報(3)
動画アーカイブ|写真・映像ライブラリー|東京電力ホールディングス株式会社(4)
汚染水対策の状況 - 廃炉プロジェクト|廃炉作業の状況|東京電力ホールディングス株式会社(5)
福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果|アーカイブ|東京電力中の「水処理設備の分析結果⇒水処理設備の放射能濃度測定結果 」
(6)
福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果アーカイブ|データ|東京電力ホールディングス株式会社の「水処理設備の分析結果」
(7)
周辺の分析結果ー分析結果 - 廃炉プロジェクト|データ|東京電力ホールディングス株式会社(8)
多核種除去設備 (ALPS)|東京電力(9)
処理水ポータルサイト | 東京電力(10)
プレスリリース|リリース・お知らせ一覧|東京電力ホールディングス株式会社中の「福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について」
(11)
福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について - 廃炉プロジェクト|公表資料|東京電力ホールディングス株式会社(12)
東京ドーム (単位) - Wikipedia(13)
>2023年のアーカイブ|公表資料|東京電力ホールディングス株式会社⇒1月⇒
23日(14)
福島民報社 福島県のニュース 福島県の新聞社(15)
周辺の分析結果ー分析結果 - 廃炉プロジェクト|データ|東京電力ホールディングス株式会社⇒
最新データは2022年12月27日です。(16)
ALPS処理水の処分(METI/経済産業省) (METI/経済産業省)(17)
【官製風評 処理水海洋放出】国民的議論 理解醸成の努力不足 説明会、全国に広がらず | 福島民報(18)
政治展望 岸田政権の真価が問われる | | 論説 | 佐賀新聞(19)
新型コロナウイルス感染症の現在の状況について(令和5年1月27日版) (20)
都道府県の人口一覧 - Wikipedia(21)
新型コロナワクチンについて | 首相官邸ホームページ(22)
グローバルピッグファーム株式会社 直営農場 本場 ・ はやま | ふくしまGAP(農業生産工程管理)チャレンジ(23)
和豚もちぶた|製品・サービス|グローバルピッグファーム株式会社(24)
福島県の食の安全の動画について - 福島県ホームページ(25)
>いちい 川俣店のチラシ・特売情報 | トクバイ
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- 2023/01/28(土) 19:50:46|
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