福島県の地方紙・福島民報は「【フルーツ王国】産地の総合力で振興を(2月18日)」との社説を
「全国屈指の果樹ブランドを次世代につないでいきたい。」
と結んでいました(1)。福島のくだもの産地は汚染されており、「全国屈指の果樹ブランド」ではありません。
福島は「くだもの王国」を主張しています(2)。でも、福島県全域で盛んに栽培されている訳ではありません。「福島盆地」と呼ばれる狭い範囲に集中しています(3)。福島盆地は福島市、伊達市、桑折町、国見町に広がっています(4)。以下に示します。
※1(5)(6)にて作成
※2 避難区域は(7)による。
図―2 福島県福島市、伊達市、桑折町、国見町
図に示す様に、旧避難区域に隣接し、ICRPが公衆の被ばく限度とする年1ミリシーベルト(8)を超えた地域が広がっています。さらに避難区域指定後に新たに放射線量が高いことが判明し、避難支援が行われた特定避難勧奨地点もこに地域に設定されいます(9)。福島のくだものは、避難指示がでなかった場所としては最も汚染がひどい場所で栽培されています。
以下に福島の冬を代表するくだものであるあんぽ柿(10)の検査結果を示します。

※1(11)を集計
※2 基準値は(12)による。
図-3 福島盆地産あんぽ柿検査結果
図に示すように、毎年のように基準超が見つかっています。福島産くだものを食べると、被ばくリスクを負います。
以下に各年1年間(通年)の福島盆地が広がる2市2町の合計の葬式数を示します。

※1(13)を各年1年間(通年)で集計
※2 震災犠牲者は(14)により、死者・行方不明者を含み、関連死を含まず
図―4 福島盆地が広がる2市2町の葬式数
図に示すように事故後に急に増えています。そして回復することなく今も続いてます。数値を記載すると
事故前(2010年)3,929人
昨年(2022年) 5,151人
で31.1%増えています。このような事が偶然に起こる確率を計算したらほぼ0(1×10
-37)でした。以下に計算結果を示します。
表―1 偶然に起こる確率の計算結果(葬式)
※ 計算方法は(=^・^=)の過去の記事(15)による。

福島県のひらた中央病院が福島産米を避けるか、避けないかのアンケート結果を発表しています(16)。以下に結果を示します。
表―2 福島産米や野菜を許容すかのアンケート結果
※ (16)を集計

表に示す通り、地域によって大きな差があります。相馬市・南相馬市では多くの方が福島産野菜を避けています。果物も同じだと想像されます。相馬市・南相馬市の葬式数は福島県の発表
事故前(20010年)1,300人
昨年(2022年) 1,414人
で、あまり変りありません。
福島のくだものは、汚染され葬式が増えた地で作られ、今も基準を超えるセシウムが見つかっています。
福島県の地方紙・福島民報は「【フルーツ王国】産地の総合力で振興を(2月18日)」との社説でを
「 総務省の2022(令和4)年家計調査で、福島市民1世帯当たりの桃の年間支出額が6年連続で日本一となった。生鮮果物の総額でも全国2位となり、『フルーツ王国』としての県民性を改めて示したと言える。」
と書き出しています。
福島の産出額2018年で255億年で全国9位です。1位青森の828億円の3分の1程度、お隣の4位山形の709億円(19)の半分以下です。福島は「生鮮果物の総額でも全国2位」などではありません。社説では「フルーツ王国」としていますが、福島は主に「くだもの王国」を使っています(2)。「フルーツ王国」は主に山梨県がつかっています(18)。
当該社説は
「県は桃、梨、ブドウを重点品目に掲げた園芸振興プロジェクトに基づき、産地づくりを推進している。」
とも論じています。
以下にモモの日本最大の産地である山梨(19)産モモと福島産モモの価格を示します。

※(21)を集計
図―5 山梨・福島のモモ価格
福島のモモは事故前から山梨産に比べ安かったですが、事故後にさらに安くなりました。なお、福島は全国二位のモモの産地です(19)。
以下にナシ価格の推移を示します。

※(22)を集計
図―6 福島ナシの価格
図に示す様に事故前は全国平均とほぼ同じ価格で取引されていましたが、事故後は安くなりました。
以下にブドウ価格の推移を示します。

※(26)を集計
図―7 ブドウ価格
図に示すように、福島のブドウは事故は全国平均に比べ高値でしたが、事故後は12シーズン連続で安くなりました。
当該社説は
「全国屈指の果樹ブランドを次世代につないでいきたい。」
と結んでいます。でも、図-5、6、7に示す様に福島県が重点品目に掲げた桃、梨、ブドウは、主要産地や平均に比べ安くなっています。福島のくだものは、原発事故後に消費者に避けられるようになりました。原発事故後は福島産は「全国屈指の果樹ブランド」ではありません。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
当該社説は
「イチゴの県オリジナル品種『ゆうやけベリー』に注目が集まる。」
とも論じていました。でも、福島産イチゴも厳しい状況です。
イチゴは福島を代表する冬のくだものです(24)。福島県鏡石町あたりでも出荷がはじまりました(25)。同町あたりのイチゴははとても甘く、食感が特徴です(26)。福島県は福島産は「安全」だとしています(27)。でも、福島県鏡石町のスーパーのチラシに福島産イチゴがありません。
他県産はあっても福島産イチゴが無い福島県鏡石町のスーパーのチラシ

※(28)を引用
図-16 福島産イチゴが無い福島県鏡石町のスーパーのチラシ
(=^・^=)も福島県鏡石町の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
【フルーツ王国】産地の総合力で振興を(2月18日) | 福島民報(2)
くだもの消費拡大委員会 – 福島県くだもの消費拡大委員会(3)
くだものづくりがさかんな福島盆地(4)
福島盆地 - Wikipedia(5)
航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会⇒
福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(令和3年8月31日~10月25日測定) 令和4年03月04日(6)
第13回原子力規制委員会 | 原子力規制委員会⇒
資料1 帰還困難区域の放射線防護対策について(特定復興再生拠点区域外における土地活用関連)【PDF:440KB(7)
避難区域の変遷について-解説- - 福島県ホームページ(8)
ICRP勧告(1990年)による個人の線量限度の考え (09-04-01-08) - ATOMICA -(9)
>緊急時避難準備区域について -首相官邸ホームページ-(10)
果物 | JA全農福島(11)
報道発表資料 |厚生労働省(12)
食品中の放射性物質への対応|厚生労働省(13)
>福島県の推計人口(令和5年1月1日現在) - 福島県ホームページ(14)
平成23年東北地方太平洋沖地震による被害状況即報(四半期に1回更新) - 福島県ホームページ(15)
めげ猫「タマ」の日記 福島Q&A Q18.統計的な差ってなんですか?(16)
研究報告|ひらた中央病院 | 医療法人 誠励会 | 福島県 医療 介護 リハビリ(17)
>都道府県ランキング |果物統計 グラフ(18)
山梨県/フルーツ王国やまなし(19)
ももの生産量をおしえてください。:農林水産省(20)
東京都中央卸売市場-統計情報検索(21)(20)⇒各年7・8月について、大分類⇒果実、中分類⇒もも類で検索
(22)(20)⇒各年9・10月について、大分類⇒果実、中分類⇒日本なし類で検索
(23)(20)⇒各年9・10月について、大分類⇒果実、中分類⇒ぶどう類で検索
(24)
果物 | JA全農福島(25)
トピックス | JA夢みなみ(26)
特産品 - すかがわ岩瀬 | JA夢みなみ(27)
福島県の食の安全の動画について - 福島県ホームページ(28)
鏡石店 – イオンスーパーセンター公式ウェブサイト
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- 2023/02/19(日) 20:26:43|
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