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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

NHKの嘘、福島第一原発事故、2号機がマシ、実は最も酷い

3月19日21:00~21:54まで、NHKは福島第一原発事故で、2号機のデブリの量が1~3号機で最も少ないので1番マシなような放送を流していました(1)。でも、原発事故の評価尺度を規定しるINES(国際原子力事象評価尺度)では、環境中に漏れ出た放射能量で決めます(2)。東京電力の発表を集計すと、環境中に漏れ出た放射性セシウムの量(セシウム134と137の合計)は
 1号機 4,137兆ベクレル
 2号機 8,344兆ベクレル
 3号機 6,664兆ベクレル
で、2号機が最大です。
 NHKは3月19日21:00~21:54に渡り、福島第一原発事故を扱った番組を放送していました(1)。番組と冒頭は、福島第一を襲う津波のシーン(CG合成)から始まります。
福島第一を大きな津波を襲ったと放送するNHK
 ※NHKの3月19日21時からの番組をキャプチャー
 図-1 福島第一を津波が襲ったとするNHK

 東京電力は福島原発事故の原因を想定外の津波としています(4)(5)。
今も「想定外」を主張する東京電力
 ※(6)を引用
 図―2 東京電力の「柏崎刈羽の安全対策」を紹介した漫画

福島第一原発が稼働した1970年代初頭(7)以降に、地震理論が発展し、福島第一原発を襲った津波が想定できるようになりました(8)。こうした流れ受けてと思いますが、東北電力は女川原発は津波想定を当初の3mから13.6mに見直ししています(9)。先の震災では13mの津波が襲来しました(10)。一方で、東京電力は津波想定を見直しませんでした(11)。そして、福島第一は津波をきっかけに事故に至りました。でもNHKは福島第一に襲来したのは想定を超える巨大津波のような映像を流しています。
 放送開始2分過ぎに、NHKは東京電力担当者がこのままでは、東日本全域が放射能に汚染されると心配した映像を流しています。
福島第一事故で東日本全域が汚染されるかもと放送するNHK。
 ※NHKの3月19日21時からの番組をキャプチャー
 図-3 福島第一事故で東日本全域が汚染されるかもと放送するNHK。

 NHKは触れていませんが、当時の官邸も相当な危機感を持っていました。当時の菅(かん)総理は東工大を卒業しており(11)、文系の方よりは原子力の技術的内容を理解できたはずです。彼は「最悪のシナリオ」と呼ばれる福島原発事故の最悪の想定を行いました。
4号機核燃料プールをもっともリスクが高いとする「最悪のシナリオ」
 ※(2)を引用
 図―4 4号機核燃料プールをもっともリスクが高いとする「最悪のシナリオ」

 それによれば、最悪の場合、東京を含む広範囲の地域からの避難は避けられなくなり、一般の人々の避難とともに、皇居を含む国家機関の移転も考えなくてはならないとの内容でした。福島原発事故は天皇陛下の避難を考えなければならない程、深刻なものでした(13)。蛇足ですが、福島第一の所長として指揮を執った吉田昌郎氏も東工大を卒業されています(14)。
 開始3分頃に2号機で発生したデブリは少なく、2号機の被害は少ないと放送しています。
2号機のデブリは少ないと放送するNHK
 ※NHKの3月19日21時からの番組をキャプチャー
 図-5 2号機のデブリの量が1~3号機で最も少ないので1番マシ

 原発事故の評価尺度を規定しるINES(国際原子力事象評価尺度)では、環境中に漏れ出た放射能量で決めます(2)。以下に号機毎のセシウム(134と137の合計)の累積を示します。
2号機がもっと多い放射能流出量
 ※1(3)を集計
 ※2 爆発、白煙の時期は(15)による。
 図-6 福島第一原発の号機別放射能放出量

 図に示す様に2号機が最大です。数値を記載すると
 1号機 4,137兆ベクレル
 2号機 8,344兆ベクレル
 3号機 6,664兆ベクレル
です。もっとも放射能をばら撒いたのは2号機です。INESの評価尺度でみれば2号機が最も深刻です。放射のが最も大量に出たのは2号機が白煙をだした時です。
 福島県飯館村は地図で見ると福島第一原発から北東に約40km、福島市は同約60kmに位置します。以下に示します。
事故から12年過ぎて汚染されている飯舘村、福島市 凡例
 ※1(17)(18)にて作成
 ※2 避難地域は(19)による。
 図-7 飯舘村と福島市

 以下に2011年3月15日の飯舘村と福島市の放射線量を示します。
brg140318b.gif
  ※(20)を転載
 図―8 福島市、飯館村の放射線量と福島第一原発の放射性セシウム放出量

 3月15日は1号機からの放射性物質放出に続き2号機からの放射性物質の放出が起きています。2号機からの放出が多く、2号機から放射性物質が出たあと福島市や飯館村の放射線量が上がっています。福島を襲った放射性物質は概ね「2号機由来」とみて間違いありません。
 番組開始5分頃に
 「福島原発の周辺の地域には徐々に営みが戻りつづっけています。」
なんてナレーションがあります。でも、福島原発が立地する大熊町と双葉町(7)の居住者は合わせて444人(双葉町18人(21)、大熊町426人(22))でこれは事故前の18,641人(双葉町6,891人、大熊町11,570人(23))の2%です。
 番組開始10分頃に
 「チェルボブイリみたいになる」
との東電社員の声を放送しています。
 「チェルボブイリみたいになる」と放送するNHK
※NHKの3月19日21時からの番組をキャプチャー
 図-9 「チェルボブイリみたいになる」と放送するNHK

 まるで、福島第一原発事故はチェルボブイリ原発事故に比べ軽微なような放送です。でも、福島原発事故もチェルボブイリ原発事故もINESの評価では同じレベル7です(2)。
 冷却用の注水ができなくなったり格納容器が破損したりするのを避けるため、汚染を覚悟の上で放射性物質を含む気体の一部を外部に排出させて圧力を下げる緊急措置をベントと呼びます(24)。番組開始29分頃に3号機がドライウェルスプレイよう冷却で落ち着きかけたの放送しています。その後に国から3号機のベント指示があったと放送しています。
国からのベント指示を放送するNHK
 ※NHKの3月19日21時からの番組をキャプチャー
 図-9 国からのベント指示を放送するNHK
 
 ベントを実施するためにドライウェルスプレイを止めた旨を放送しています。そして35分頃に原発が爆発するシーンを流しています。あたかも国の指示によるベントを実施するためにドライウェルスプレイを止め、3号機の爆発が起こり、放射能が拡散したかのような放送です。でも、図-6に示す様に爆発時に放出された放射能はそれほど多くはありません。原子炉格納容器の中の圧力が高くなって、放射能を最も多く放出したのはベントに失敗した2号機です(15)。そして図-8に示す様に福島を汚染しました。
 事故当時の所長であった吉田昌郎氏が何処まで信用できるか不明です。彼は原発事故前に堆積物調査を行い、貞観地震の際の推定津波高を4mと試算しています(14)。でも、別の堆積物調査の結果からは、福島第一襲った同等の津波が想定されました(25)(26)。
 事故前に福島第一を襲った津波は2002年に想定されていました(9)。
 brg140919c.gif
 ※(27)を抜粋・加筆
 図―10 2002年の津波想定(福島第一原発付近)

ところが吉田氏は、政府事故調査委員会の聞き取りに対し
「日本の地震学者、津波学者のだれがあそこにマグニチュード9がくるということを事前に言っていたんですか。」
と発言し(28)、想定外を強調し確り責任逃れをしています。でも東電の事故報告(11)に
「吉田部長は,貞観津波の正確な情報を得ることを主たる目的に,福島県沿岸の津波堆積物調査を決定するとともに<中略>
・津波堆積物調査の結果,福島県南部では津波堆積物を確認できず。調査結果と試し計算に使用した波源モデル案で整合しない点があることが判明したことから,貞観津波の波源確定のためには,さらなる調査・研究が必要と考えた。」(概要版5ページ)
にあるように、東電想定より大きな津波が来る「日本の地震学者、津波学者」はいました。東電内部で精査した結果、取り上げなかったしてますので、吉田所長は東電想定より大きな津波が来る「日本の地震学者、津波学者」いたことは知っていたはずです。
 不誠実なのは東電幹部も同様です。東京電力の原発に緊急事態が宣言された2011年3月11日(29)に会長であった勝俣恒久氏は東日本大震災当日、日中の経済交流を進める石原萠記主催の「愛華訪中団」の一員として中国にいっていました。2011年3月30日の記者会見において、マスコミ幹部に対する接待旅行ではないかとの問に対して「全額東電負担ではない。詳細はよく分からないが、たぶん、多めには出していると思う」「マスコミ幹部というのとは若干違う。OBの研究会、勉強会の方々。誰といったかはプライベートの問題なので」「責任者の方によく確認して対応を考えさせていただきたい。2~3日中にどういうことになっているか照会したい」と述べました。照会結果はいまだ公表されていません(30)。2011年3月11日当時社長であった清水正孝氏は平日でありながら妻と秘書を従えて、奈良観光(東大寺のお水取りなど)をしていた。アリバイとして挙げられていた、関西財界人との面談も実際には行われなかった。記事によれば、社用と偽った個人的な観光旅行だそうです(31)。原発事故発生時には東京電力の会長も社長も不在でした。これでは、東京電力を信用できるか不明です。
 福島原発事故は既に述べたように日本を破滅させかねない事故です。どこまで東電任せにできるか不明です。 一方で番組開始36分頃に
 「現場の責任者 1F(福島第一原発)の所長である吉田さんが最終責任者で判断するに決まっている」
とNHKは放送しています。さらに、原子力産業に従事する方(原子力ムラの住民)の
「その人たちは(事故時の)手順書をしっていたかというと知るはずもない」
と放送していました。
「その人たちは(事故時の)手順書をしっていたかというと知るはずもない」と放送するNHK
 ※NHKの3月19日21時からの番組をキャプチャー
 図-11 「その人たちは(事故時の)手順書をしっていたかというと知るはずもない」と放送するNHK

 でも、不十分ですが事故前から原子力規制はなされており(32)手順書は規制官庁にわっていたはずです。さらに言えば、手順書の事故対応は不十分でした。その例として「豚の鼻」が挙げられます。事故直後に福島第一原発1号機の冷却が停止しました。冷却していれば「豚の鼻」から「激しい蒸気」が出ます。そして、豚の鼻から「モヤモヤと出ている蒸気」が出ていました。「蒸気が出ている」と事実を元に、実際には止まっていた冷却を「作動している」と判断しました(33)。
 番組開始41分頃に
 「メルトダウンは起きないとさえ言われていました」
とのナレーションがながれました。でも、「安全神話」が流布され、原発は「絶対に安全である」とされていました(34)。「さえ」は明らかに嘘です。
 番組に最後の方(開始51分頃)で
  「これまで起きな事故と同様の事故が起こる可能性は排除されています」
と放送しています。
「これまで起きな事故と同様の事故が起こる可能性は排除されています」と放送するNHK
 ※NHKの3月19日21時からの番組をキャプチャー(未)
 図-12 「これまで起きな事故と同様の事故が起こる可能性は排除されています」と放送するNHK

<余談>
 図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
 NHKは「専門家」と放送していますが、この番組の開始16分頃に「出典:東京電力未解明問題に関する検討報告」とのテロップがでます。
 出典 東京電力と放送するNHK
 ※NHKの3月19日21時からの番組をキャプチャー
 図-13 「出典:東京電力未解明問題に関する検討報告」のテロップを放送するNHK

 また、東電社員様や日本を代表する原子力メーカーの東芝社員や退職者が多く出ています。NHKのさす「専門家」とは明らかに「原子力ムラ」の住民です。そして、原子力ムラの住民の主張をそのまま番組にしたようです。
 原子炉の燃料棒の被覆材料(燃料被覆管)や沸騰水型原子炉用燃料集合体のチャンネルボックスの材料としてジルカロイと呼ばれるジルコニウム合金が使われています。高温での水に触れると水の酸素原子がジルコニウムを酸化させ、水素が発生します(36)。化学反応が起これば熱(反応熱)が出ます(37)。高温の原子炉に不十分な量の水を灌ぐと、ジルコニウムが酸化し、熱が生じます。福島第一原発事故では、不十分な量の水しか原子炉に注水できなかったので、ジルコニウムが酸化し、メルトダウンに至った旨をとこの番組では取り上げています。
 さらには当時の民主党政権が事故処理に介入し、現場を混乱させ事故をさらに深刻なものになった。さらに東電社員や下請けの皆さんは頑張ったでしょうか?
 すなわち
  ①原子炉注水をしなければ福島第一原発事故は深刻な物にならなかった。
  ②民主党政権が介入しなければ、深刻な物にならなかった。
  ③東電社員様や下請けの皆さんが頑張ったので、広範囲の汚染は抑えられた
でしょうか?
 でも、注水を止めたとして熱源がある以上は温度上昇は続きます。やがてはメルトダウンが起こったはずです。民主党政権がベントを推奨したとして、環境中に最も放射能をまき散らしたのはベント失敗した2号機です。そして、東電社員は津波想定をいい加減にし、福島原発事故を起こしました。
 「政治的に公平な内容かどうか、ひとつの番組だけを見て判断する」なら(38)、この番組を放送したNHKは「政治的に公平」でない番組を放送したので「停波」が妥当です。そして、このような番組を平然と放送するNHKでは福島の皆様は不安だと思います。
 福島県郡山市は福島県最大のお米の産地です(39)。同市のお米は「あさか舞」といいておいしいお米です(40)。安全なので2011年産米すら、学校給食に使われました(41)。でも、福島県郡山市のスーパーのチラシには福島産米はありません。
他県産はあっても福島産米が無い福島県郡山市のスーパーのチラシ
 ※(42)を引用
 図‐14 福島産米が無い福島県郡山市のスーパーのチラシ

 (=^・^=)も福島県郡山市の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。


―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)メルトダウン File.8 「後編 事故12年目の“新事実”」
(2)国際原子力事象評価尺度 - Wikipedia
(3)【120524】東北地方太平洋沖地震の影響による福島第一原子力発電所の事故に伴う大気および海洋への放射性物質の放出量の推定について|TEPCOニュース|東京電力
(4)今回の津波は、それまでの知見では想定できない大規模なものでした|東京電力
(5)<フクシマは本当に「想定外」だったのか nikkei.com/a>
(6)
原子力発電所に質問です 柏崎刈羽原子力発電所の安全対策|東京電力ホールディングス株式会社
(7)福島第一原子力発電所 - Wikipedia
(8)めげ猫「タマ」の日記 福島Q&A Q39.福島原発事故が起きた原因は?
(9)原子力発電所の安全対策 東日本大震災と女川原子力発電所 | 東北電力 ホームページ
(10)女川原子力発電所 - Wikipedia
(11)【120620】福島原子力事故調査報告書の公表について|TEPCOニュース|東京電力
(12)福島の最悪シナリオ
(13)福島事故直後、天皇陛下に避難打診 民主・菅政権、宮内庁は拒否:中日新聞Web
(14)吉田昌郎 - Wikipedia
(15)福島第一原子力発電所事故の経緯 - Wikipedia
(16)航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(令和4年9月1日~10月21日測定) 令和5年03月10日
(17)第13回原子力規制委員会 | 原子力規制委員会資料1 帰還困難区域の放射線防護対策について(特定復興再生拠点区域外における土地活用関連)【PDF:440KB
(18)避難区域の変遷について-解説- - 福島県ホームページ
(20)めげ猫「タマ」の日記 デタラメ、新しい放射線副読本その6―放射性物質拡散は水素爆発で起こった―
(21)令和5年3月1日現在の居住状況・避難状況 - 大熊町公式ホームページ
(23)福島県の推計人口(令和5年2月1日現在) - 福島県ホームページ
(24)格納容器ベントとは | エネ百科|きみと未来と。
(25)[PDF]宮城県石巻・仙台平野および福島県請戸川河口低地における
(26)めげ猫「タマ」の日記 デタラメ、放射線副読本(平成30年10月改訂)―福島原発事故は災害―
(27)予測された日本海溝津波地震 想定されなかった津波被害
(28)政府事故調査委員会ヒアリング記録 : 原子力防災 - 内閣府
(29)原子力災害対策特別措置法 - Wikipedia
(30)勝俣恒久 - Wikipedia
(31)清水正孝 - Wikipedia
(32)原子力安全委員会 - Wikipedia
(33)メルトダウンFile.6 原子炉冷却 12日間の深層 ~見過ごされた“危機”~ - NHKスペシャル - NHK
(34)なぜ原発の安全神話は生まれたのか:民間事故調シンポジウム(1/3 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン
(35)>原発メーカー3社の再編論、再燃も 「輸出全滅」で:朝日新聞デジタル
(36)ジルコニウム - Wikipedia
(37)高校化学 化学反応とエネルギー - Wikibooks
(38)「サンモニ狙い撃ちにしてきた」 高市氏答弁「補充」とはいうけれど [放送法めぐる総務省文書問題]:朝日新聞デジタル
(39)>福島県[郡山市]の農作物 | 水稲 夏秋きゅうり にんにく いんげん | 雑穀類, いも類, 米, 麦類, 野菜, 果物 | 生産/収穫/作付面積 | 福島県と日本の中の順位 | 市町村 | ジャパンクロップス
(40)福島県郡山産米 あさか舞 - 郡山市公式ホームページ
(41)JA郡山市|事業PR
(42)イオン 郡山フェスタ店のチラシ・特売情報 | トクバイ
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