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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

福島民報社説「【観光キャンペーン】鉄道利用促進の契機に(5月23日)」に反論する。

 福島県の地方紙・福島民報は「【観光キャンペーン】鉄道利用促進の契機に(5月23日)」との社説を「新型コロナウイルス禍で落ち込んだ県内の観光を官民が連携して再生させる動きが本格化している。<中略>観光客を呼び込み、各地で課題になっている鉄道の利用促進にもつなげてほしい。」と論じていました(1)。でも、福島は車社会のため、車での移動が一般的です(2)。鉄道を利用しての観光は困難です。
 各地で赤字ローカル線が問題になっています(3)。福島も例外ではありません(4)。JR東は、福島県内4路線(磐越西線、磐越東線、只見線、水郡線)を輸送密度が1日当たり2,000以下の区間がある赤字ローカル線と発表しました(5)。以下に示します。
 事故から12年以上経て汚染が続く福島
※1(5)(6)にて作成
 ※2 避難区域は(7)による
 ※3 赤字路線は(8)による。
 ※4 飯坂線は私鉄、阿武隈急行、会津線、野岩鉄道は第三セクター(9)
 図-1 福島赤字鉄道

 もっとも酷いのが、磐越西線の野沢(福島県西会津町)‐津川(新潟県阿賀町)で、営業費用9億1300万円に対し、収入が700万円です(8)。磐越西線は新潟市と会津若松市、郡山市も結ぶ都市間輸送機能を担っていたと思いますが、並行して磐越道が開通し(10)、磐越道開通し、都市間輸送機能は磐越道に移ったと思います。県境をまたぐので、通学輸送も殆どありません。
 そして福島県の地方紙・福島民報は
「【観光キャンペーン】鉄道利用促進の契機に(5月23日)」との社説を「新型コロナウイルス禍で落ち込んだ県内の観光を官民が連携して再生させる動きが本格化している。<中略>観光客を呼び込み、各地で課題になっている鉄道の利用促進にもつなげてほしい。」
との書き出しで「【観光キャンペーン】鉄道利用促進の契機に(5月23日)」との社説を出していました。でも、図に示す様にICRPが公衆の被ばく限度とする年1ミリシーベルト(11)を超えた地域が広がっています。
 当該社説は「食や温泉、文化、祭り、体験、絶景、復興などの観光素材を全国に発信する。」と論じています。
 福島を代表する果物にモモがあります(12)。最大産地の山梨県(福島県は2位)(13)と各年7、8月のモモの価格を比較してみました。
事故後に山梨産に比べより安くなり回復しない福島産モモ価格
 ※(14)を集計
 図―2 山梨・福島のモモ価格

 福島のモモは事故前から山梨産に比べ安かったですが、事故後にさらに安くなりました。福島の「食」は避けられています。福島が汚染されている以上は当然です。
 福島には多くの温泉があります。ただし、(=^・^=)が知る限り鉄道だけで行ける(最寄りの駅から徒歩10分以内)温泉は磐越西線磐梯熱海駅近くの磐梯熱海温泉(15)、飯坂線飯坂駅近くの飯坂温泉(16)、湯本駅近くの湯本温泉があります(17)。磐梯温海温泉は新幹線郡山駅から電車で行けます。飯坂温泉は福島駅から福島交通飯野線で行けます。湯本駅は都内から直通の在来線特急が走っています。でも、他の多くの福島の温泉は鉄道だけではいけません。たとえ、鉄道で便利に行けるとしても、磐梯温海温泉近くには磐越道磐梯温海インターチェンジ(以下ICと略す)(16)、飯坂温泉に近くには福島飯坂IC(17)、湯本温泉近くには常磐道湯本ICがあります(18)。自動車王国の福島(2)では、自動車で便利に行ける温泉があります。
 文化、祭りですが、福島には多くのローカルな文化や祭りがあります。ただし、福島は南北に走る二つの産地(阿武隈高原と奥羽山脈)で分断されています(9)。それぞれの規模は小さく、それほどには洗練されているとは思いません。福島県には人口30万人規模市が3つあります。このうち福島市は明治期に県庁ができて発展した街です(18)。郡山市は明治時代に開削された安積疏水によって発展した街です(19)。いわき市は明治期以降の石炭で発展した街です(20)。どれも歴史がありません。福島の文化や祭りに歴史はありません。あるとすれば千年の歴史をもつ相馬野馬追ですが、年3日の開催です。どれ程の人が来るかわかりません。
 体験についても、(=^・^=)が見た限り福島ならではとゆうのは無いようです(21)。
 当該社説は
「鉄道は貴重な観光資源と言える。1級河川の只見川沿いを走行するJR只見線をはじめ、車窓に広がる県内各地の自然豊かな景観は多くの人を魅了してきた。」
とも、論じています(1)。ただ、只見川は電源開発で多くのダムが作られました(22)。JR只見線の車窓から見えるのは、「自然」でなく「人工的」に作られたダム湖です。図-1に示す様に、福島に限らず鉄道路線は限られています。(=^・^=)が知る限り、福島の「自然豊かな景観」で最も素晴らしいの裏磐梯です((=^・^=)の主観)。裏磐梯には鉄道はなく(23)、列車の車窓から見ることはできません。鉄道利用の観光では行動範囲が限られます。
 復興ですが、原発事故から12年以上を経た今も復興庁があり(24)、福島は復興していません。
当該社説は「醸造文化を生かした発酵ツーリズムなどを売り込む。」 とも論じていますが(1)、福島を代償する醸造品である日本酒は9回連続1位から5位に転落しました(25)。
 駅から少し離れていても、バスと組み合わせればと考える方もいると思います。大内宿は福島を代表する観光地です。2016年に訪れた方は、814,787人でした(27)。1日当たりで2,223人(814,787÷365)です。最寄りの湯之上温泉駅より大内宿まで列車時刻に合わせシャトルバスが出ています。所要時間は20分です(28)。湯之上温泉駅の2016年度の乗車人員は83人です(29)。大内宿観光客の3.7%(832÷22232×100)です(29)。湯之上温泉駅がある下郷町には高校がありません(30)。地元の高校生の通学利用もあります。湯之上温泉駅を降りて、シャトルバスにのり大内宿に行く方はもっと少ないはずです。福島では鉄道⇒バス⇒観光地とのルートは選ばれません。出発地から車で観光地が圧倒的です。
 同じく下郷町の観光地「塔のへつり」に「塔のへつり駅」から徒歩10分です(31)。2015年に訪れた方は283,525人です(32)。1日当たり777人(283,525÷365)です。塔のへつり駅の2015年の1日当たりの乗車人員は53人です(33)。塔のへつり観光客の6.8%(832÷22232×100)です(29)。観光地の傍に駅があっても、観光客は鉄道を使いません。
 福島県の地方紙・福島民報は「【観光キャンペーン】鉄道利用促進の契機に(5月23日)」との社説を「新型コロナウイルス禍で落ち込んだ県内の観光を官民が連携して再生させる動きが本格化している。<中略>観光客を呼び込み、各地で課題になっている鉄道の利用促進にもつなげてほしい。」と論じていました(1)。でも、福島は車社会のため、車での移動が一般的です(2)。観光客を鉄道に誘導するのは無理です。


<余談>
 図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
 当該社説は
「新型コロナウイルス禍で落ち込んだ県内の観光を官民が連携して再生させる動きが本格化している。」
と書き出し(1)、コロナ禍が収まったようにも取れます。以下に、週毎の新型コロナ感染者数の推計値を示します。
  増加が続く新型コロナ
 ※1(34)を元に推計
 ※2 推計方法は(35)
 図-3 新型コロナ推計感染者数(週毎)

 図に示す様に新型コロナは収束には向かっていません。増加が続いています。そして、5月15~21日の週は約149万人が感染したと推計されます(36)。
 それでも福島の皆様がコロナ禍を無視し、旅行に行くとしても福島を選ばないようです。福島はまもなくサクランボの季節です(37)。福島県南相馬市の旅行会社はサクランボ狩りツアーの募集を始めました(38)。でも、行き先は福島ではありません。
他県産はあっても福島産サクランボ狩りツアーが無い福島県南相馬市の旅行会社のチラシ
 ※(39)を引用
 図-4 福島行きサクランボ狩りツアーが無い福島県南相馬市のチラシ

 (=^・^=)も福島県南相馬市の皆様を見習い「フクシマ」にはいきません。


―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)【観光キャンペーン】鉄道利用促進の契機に(5月23日) | 福島民報
(2)生活情報 - 福島市
(3)秋にも激変期へ、赤字ローカル線「廃止か存続か」で泥沼化する前にすべきこと 本腰の岸田内閣、いよいよ迫る地方鉄道網の変革を“おくりびと”に聞く(1/6) | JBpress (ジェイビープレス)
(4)鉄路と生きる | 特集・連載 | 福島民報
(5)航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(令和4年9月1日~10月21日測定) 令和5年03月10日
(6)第13回原子力規制委員会 | 原子力規制委員会資料1 帰還困難区域の放射線防護対策について(特定復興再生拠点区域外における土地活用関連)【PDF:440KB
(7)避難区域の変遷について-解説- - 福島県ホームページ
(8)線区別収支:JR東日本2021年度
(9)福島県 - Wikipedia
(10)磐越自動車道 - Wikipedia
(11)ICRP勧告(1990年)による個人の線量限度の考え (09-04-01-08) - ATOMICA -
(12)ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ
(13)ももの生産量はどこの県が多いのですか。:農林水産省
(14)東京都中央卸売市場-統計情報検索各年7月について、大分類⇒果実、中分類⇒もも類で検索
(15)磐梯熱海温泉 - Wikipedia
(16)飯坂温泉 - Wikipedia
(17)いわき湯本温泉 - Wikipedia
(18)福島市 - Wikipedia
(19)郡山市 - Wikipedia
(20)いわき市 - Wikipedia
(21)相馬野馬追 公式サイト 相馬野馬追執行委員会
(22)福島の体験・遊び場 おすすめスポットBEST20 - アソビュー!
(23)只見特定地域総合開発計画 - Wikipedia
(24)アクセス – 裏磐梯観光協会
(25)全国鑑評会 福島県産新酒14銘柄「金」 全国5番目10連覇は逃す 技術力の高さ示す | 福島民報
(26)統計資料一覧 - 福島県ホームページ
(27)(26)⇒2017年8月25日 28年観光客入込状況調査 [PDFファイル/1.12MB] ">2017年8月25日 28年観光客入込状況調査 [PDFファイル/1.12MB] 
(28)大内宿|奥会津観光スポット
(29)湯野上温泉駅 - Wikipedia
(30)下郷町 - Wikipedia
(31)塔のへつり - Wikipedia
(32)(26)⇒2016年8月2日 27年観光客入込状況調査 [PDFファイル/1.09MB] 
(33)塔のへつり駅 - Wikipedia
(34)新型コロナウイルス感染症に関する報道発表資料(発生状況、検疫事例)|厚生労働省
(35)めげ猫「タマ」の日記 新型コロナまとめ(5月19日発表)―感染拡大も5類を強行する岸田政権―
(36)めげ猫「タマ」の日記 新型コロナまとめ(5月26日発表)―増加が続く―
(37)さくらんぼ狩り - ふくしまの旅
(38)高速バス旅行 | 東北アクセス株式会社
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  1. 2023/05/28(日) 19:41:38|
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