日本原電は2011年度以降は殆ど発電をしていません。それでもこの12年間で約1兆4千億の電気代収入を得ています。
日本原子力発電株式会社(にほんげんしりょくはつでん)は、茨城県那珂郡東海村と福井県敦賀市に原子力発電所を持つ卸電気事業者です。設立は1957年で、東海村にあった東海発電所は日本最初の商業用原子炉です。略称として原電(げんでん)または日本原電(にほんげんでん)が使われます。日本に商用原子力発電を導入するために、電気事業連合会加盟の電力会社9社と電源開発の出資によって設立されました(1)。
東海村の原発は震災で自動停止し(2)、その後の2011年5月に定期点検に入りました(3)。敦賀の原発は2011年8月に停止し(4)、以後は発電していません。以下にに発電量の推移を示します。

※(5)を集計
図―1 日本原電の年度毎の発電量
図に示す通り2011年度はほぼ0、2012年以降はまったく発電していません。普通の会社では12年に渡り、サービスや製品(日本原電の場合は電気)を提供しなければ破産すると思いますが、日本原電は今も生き残っています(1)。
2022年度の売上高は922億円です(6)。これは事故前に日本原電から電力供給を受けた電力5社(東京、東北、関西、中部、北陸)が原発の維持、管理費などを「基本料金」として支払っている為です(7)。以下に日本原電の売り上げを示します。

※(6)(8)(9)にて作成
図―2 日本原電の売上高
その総額は2011年度から22年度の12年間で13,912憶円で、約1兆4千億円です。
このような不自然な状態を解消する方策の一つに、同社原発の再稼働があります。ところが、事故当時に所有していた原発3機のうち、敦賀1号は1970年に稼働で古く、電気出力も35.7万kWで小さく廃炉になりました(10)。同2号機は原子炉直下に活断層とあると判定されて、原子力規制委の適合性審査(安全審査ではない)を通る見込みがありません(11)。また、提出書類の不備が指摘され場合によっては初の適合性審査不合格原発になりそうです(12)。原子の適合性審査は基本設計の妥当性を審査する「設置(変更)認可」、詳細設計を審査する「工事計画認可」、運転管理を審査する「保安規定認可」と手順で進められます(13)。さらに30年以上の運転をするには、10年毎の審査があります(14)。
東海第二原発は1978年に運転を開始した日本原電の原発です(2)。この原発は設置許可(15)、工事計画認可(16)、20年の運転延長の審査(17)は合格しました。再稼働にはこれとは別に地元の同意が必要ですが、得られる見通しがありません(18)。また、安全対策工事が完了している事が必要です。日本原電は再稼働を目指してと思いますが安全対策工事を進めています(19)。今のところ、2024年12月に完了予定です(20)。原発は停止期間を除き60年までしか運転できないことになっています(14)。東海第二は1978年に運用開始しているので(2)、運転できるのは2038年まで、最大でも16年です。2011年以降は運転が停止しているので、これまで運転したのは33年です。残りは27年です。
安全対策工事には多額の費用がかかります。2019年10月に東京電力等が約3500億円の資金支援をする見通しであることが報じられました(21)。1年の2022年9月に運転するとして、それまでの維持費が必要です。基本料金に合わせ年間1000億が必要です。再稼働には最低でもあと4500億円が必要です。ペイするか見直しが必要です。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
電気代が大幅に上がりました(22)。発電コストには電気が供給されないのに電力各社が日本原電に支払た1兆4千億の電気代が含まれています。この費用がなければ値上げは圧縮できたはずです。自公政権は日本原電の問題を10年以上に渡り放置しています。こんな政権では福島の皆様は不安だと思います。
福島を代表する野菜にアスパラガスがあります。今が季節です(23)。福島県相馬市あたりのアスパラガスはアスパラギン酸が豊富で、うま味とコクのある野菜です(24)。福島県は福島産は「安全」と言い放っています(25)。でも、福島県相馬市のスーパーのチラシに福島産アスパラガスはありません。

※(26)を引用
図―4 福島産アスパラガスが無い福島県相馬市のスーパーのチラシ
(=^・^=)も福島県相馬市の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
日本原子力発電 - Wikipedia(2)
東海第二発電所 - Wikipedia(3)
発電所定期検査状況 - 東海第二発電所 | 日本原子力発電株式会社(4)
発電所定期検査状況 - 敦賀発電所2号機 | 日本原子力発電株式会社(5)
全社計の運転開始以降の発電実績 | 日本原子力発電株式会社(6)
2023年度プレスリリース | 日本原子力発電株式会社⇒
2023年05月18日 2022年度決算概況について(7)
日本原電の売上高、原発10年不稼働でピーク時から半減(8)
2019年度決算概況について - 日本原子力発電(9)
平成26年度決算概況について - 日本原子力発電 (10)
敦賀発電所 - Wikipedia(11)
原子炉直下に「活断層」 進まぬ再稼働審査―敦賀2号機:時事ドットコム(12)
日本経済新聞 敦賀原発2号機の安全審査を再中断 原子力規制委員会、資料不備で(13)
新規制基準適合性に係る審査・検査の流れ | 原子力規制委員会⇒
実用発電用原子炉に関する審査業務の流れについて【PDF:17MB】(14)
原発の運転期間が60年超へ 改正法が成立、福島事故後のルール変更:朝日新聞デジタル(15)
発電用原子炉に係る安全審査状況 設置許可 | 原子力規制委員会(16)
発電用原子炉に係る安全審査状況 工事計画認可 | 原子力規制委員会(17)
日本原子力発電(株)に東海第二発電所の運転期間延長認可申請(発電用原子炉施設の運転の期間の延長)を認可 | 原子力規制委員会(18)
東海第2再稼働、焦点は地元自治体の合意 安全確保へ課題山積 ...https://www.nikkei.com ? ビジネス ? 環境エネ・素材(19)
安全対策工事進捗状況11月 | 日本原子力発電株式会社 (20)
東海第2原発、安全対策工事完了を延期 24年9月に nikkei.com(21)
東電、原電に2000億円強支援 東海第2再稼働に向け :日本経済新聞(22)
4割値上げ“銭湯県”の悲鳴 広がる電気料金の地域差 その背景は? | 毎日新聞(23)
ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ(24)
特産品を知る | JAふくしま未来について | JAふくしま未来(25)
福島県の食の安全の動画について - 福島県ホームページ(26)
Webチラシ情報 | フレスコ
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- 2023/06/09(金) 19:46:02|
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