2019月4日10日に一部の避難指示が解除された福島県大熊町(1)の9月1日時点の居住者は
住民登録 10,000人中 584人(5.8%)(2)
で住民が戻りません。義務教育学校の新校舎が完成したのですが(3)、住民は戻りません。
福島県大熊町は福島県沿岸部中部に立地する町です。事故を起こした福島第一原発や(4)、除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設が立地します(5)。先の原発事故では全町が避難区域に指定されました(4)。名前は大熊町ですが「クマ」はいません(6)。1954年11月1日に大野村と熊町村が合併し大熊町になりました。熊町村の「熊」は元々は「苦麻」です(4)。以下に示します。

※1(7)(8)にて作成
※2 避難区域は(9)による。
図―1 福島県大熊町
同町の唯一の旧一級国道(10)は地図で見ると国道6号線で、いわばメインストリートです。その東側は概ね除染廃棄物を30年間は保管する中間貯蔵施設です(11)。メインストリートの東側は少なくとも30年間は人が住めません。
図に示す様にICRPが公衆の被ばく限度とする年1ミリシーベルト(12)を超えた地域が広がっています。
それでも、自公政権は「安全」だとして(13)2019年4月10日に一部の避難指示を解除しました(14)。そして、復興策が進められています。
2019年は以下の通りです。
4月12日 安倍元総理御立合いの元、役場開庁式(15)。
5月7日 役場の業務開始(16)
6月1日 災害公営住宅入居開始(17)、7月1日時点で92世帯133人が入居しています(18)。
6月3日 避難解除区域にコンビニがオープン(19)。
8月19日 大熊町産イチゴの出荷開始(20)
10月 再生賃貸住宅入居開始(この住宅は大熊町町民でなくても、移住するのであれば申し込めます(21)。2月1日時点で39世帯51人が入居しています(17)。
2020年は以下の通りです。
3月14日 原発事故によって不通になっていたJR常磐線が全面再開し(22)、同町唯一の駅である大野駅(4)が再開。東京方面に直通する特急「ひたち」が停車(23)
。
4月13日 福祉施設開所(24)
2021年は以下の通りです。
2月 2日 診療所が開所(25)
3月25日 聖火リレー(26)。
4月 5日 商業施設オープン(27)。
10月16日 10年ぶりの同町内での成人式(28)
10月17日 交流ゾーンのグランドオープン(29)および岸田総理訪問(30)
2022年は以下の通りです
1月 9日 成人式(31)
6月30日 特定復興再生拠点の避難指示解除(1)(32)
2023年は以下の通りです。
1月 8日 成人式(33)
4月10日 12年ぶりに学校再開(34)
8月25日 遅れていた義務教育学校の校舎が完成し、供用開始(3)

※(35)をキャプチャー
図-2 新校舎完成を喧伝するNHK
福島の避難区域は2013年8月までに、それまでの警戒区域と計画的避難区域との区分から、避難指示解除準備区域、居住制限区域に区分が変更されました(5)。除染がすすめられたのですが(36)、放射線量が高い帰還困難区域は除染の対象から外れました(37)。大熊町の唯一の駅である大野駅は帰還困難区域にあります(38)。また、帰還困区域や中間貯蔵施設の範囲(39)を見比べると、大熊町の小中学校、市街地は帰還困難区域か中間貯蔵施設内に位置します。大熊町の中心部は帰還困難区域内か中間貯蔵施設用地内に位置します。2017年4月1日までに、大熊町と双葉町を除く避難指示解除準備区域と居住制限区域の避難指示が解除されました(11)。そして2017年以降に、帰還困難区域は除染をして将来は避難指示を解除するとくて「復興拠点」(40)とそれ以外(俗称白地地区(41))に区分されました。以下に示します。

※1(9)(10)にて作成
※2 避難区域、旧復興再生拠点は(11)による。
※3 中間貯蔵施設等には福島第一原発も含み(39)による。
※4 津波浸水域は(42)による。
図―3 福島県大熊町と周辺の区分
特定復興再生拠点の避難指示は解除されましたが、まだまだ汚染は酷い状態です。
旧復興再生拠点内には町人口の約6割に当たる5,766人が住民登録しています。でも実際に居住しているのは90人です(43)。一方で、既に避難指示が解除されている区域の住民登録は565人です(44)。事故から11年以上を経た2020年6月にようやく町の中心部を含む区域の避難指示が解除されました(1)(32)。
でも、子供はほどんど戻りません。大熊町に戻った子供は幼稚園、小中学校の合計で
対象 1,109人中26人(対象の2%)
です(17)。
さらに、子供が生まれなくなっています。避難先も含め大熊町民の出生数を以下に示します。

※(45)を7月~翌年6月の1年間で集計
図-4 大熊町民の出生数
図に示す様にどんどん減っています。数値を記載すると
事故前(2009年8月~10年7月)134人(男の子 69人、女の子 65人)
近々1年(2022年8月~23年7月)43人(男の子 22人、女の子 21人)
で、事故前の3分の1以下になっています。子供が生まれなくなった大熊町では、将来も子供が戻ることはありません。
以下に居住状況を示します。

※1(46)を集計
※2 居住は大熊町民のうち大熊町内に居住している人数
※3 滞在者は大熊町民以外で大熊町に滞在している人数
※4 事故前は(45)による。
図―5 大熊町民等の居住状況
図に示す様に、町民は戻っていません。6月1日時点の居住者は
住民登録 10,000人中 584人(5.8%)(2)
で住民が戻りません。義務教育学校の新校舎が完成し、共用が始まったのですが(3)、住民は戻りません。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
学校が再開し、町の中心部でも避難指示が解除されましたが、バーの営業も始まりましたが、住民は戻りません。大熊町の発表ですと、福島県内の避難者は9,430人(3)ですが、福島県の発表では472人です(47)。大熊町は同町に住民票があり、町外に住んでいれば「避難者」として計上していますが、福島県は避難先で新たな自宅を入手した方や災害公営住宅に入居し安定的な住居に転居されたかたは避難者として計上しません。安定的な住居を手に入れた方がもどるは思えず、帰還が期待できるのは福島県が発表している避難者472人だけです。戻る方は少数のようです(48)。復興(ふっこう)とは、一度衰えたものが再び勢いを取り戻す事を指します(49)。大熊町は元の勢いを戻すことはありません。そして、事故から12年半を経た今も福島の皆様は放射能に注意しながら生活をしています。
福島県西郷村のお米の生産量は4,470トンです(50)。同村の人口は約2万人(45)なので、住民が食べるに十分な量です。同村辺りのお米は日本穀物検定協会の食味ランキングで5年連続、特Aで、おいしいとの事です(51)。福島県は福島産は「安全」と広報しています(52)。でも福島県西郷村のスーパーのチラシに福島産米はありません。

※(53)を引用
図―6 福島米が無い福島県西郷村のスーパーのチラシ
(=^・^=)も福島県西郷村の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
特定復興再生拠点区域の避難指示が6月30日に解除されました - 大熊町公式ホームページ(2)
令和5年9月1日現在の居住状況・避難状況 - 大熊町公式ホームページ(3)
義務教育施設「学び舎 ゆめの森」の校舎使用開始 福島県大熊町 | 福島民報(4)
大熊町 - Wikipedia(5)
中間貯蔵施設情報サイト:環境省(6)
ツキノワグマ生態調査の結果について - 福島県ホームページ(7)
航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会⇒
福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(令和4年9月1日~10月21日測定) 令和5年03月10日 (8)
第13回原子力規制委員会 | 原子力規制委員会⇒
資料1 帰還困難区域の放射線防護対策について(特定復興再生拠点区域外における土地活用関連)【PDF:440KB(9)
避難区域の変遷について-解説- - 福島県ホームページ(10)
一級国道 - Wikipedia(11)
中間貯蔵施設情報サイト:環境省(12)
ICRP勧告(1990年)による個人の線量限度の考え (09-04-01-08) - ATOMICA -(13)
国連報告者、福島事故の帰還で日本を批判 :日本経済新聞(14)
大川原・中屋敷地区の避難指示が4月10日に解除されます - 大熊町公式ホームページ(15)
平成31年4月14日 福島県訪問 | 令和元年 | 総理の一日 | ニュース | 首相官邸ホームページ(16)
町役場が本庁舎で業務を開始しました - 大熊町公式ホームページ(17)
福島県大熊町(18)
大熊町民の被害・避難状況 - 大熊町公式ホームページ(19)
大熊にコンビニがオープン 避難解除後で初の商業施設 | 河北新報オンラインニュース(20)
いちご栽培施設から出荷開始 - 大熊町公式ホームページ(21)
大熊町再生賃貸住宅を整備します - 大熊町公式ホームページ(22)
常磐線 - Wikipedia(23)
ひたち (列車) - Wikipedia(24)
大川原の福祉関連施設が開所しました - 大熊町公式ホームページ(25)
町診療所が開所しました - 大熊町公式ホームページ(26)
町内で聖火つながる - 大熊町公式ホームページ(27)
大熊町に商業施設オープン 飲食店など、避難解除後初―福島:時事ドットコム(28)
原発事故後初、大熊町で成人式 10年ぶり、友人と再会喜ぶ―福島:時事ドットコム(29)
町交流ゾーンが10月17日グランドオープン! - 大熊町公式ホームページ(30)
令和3年10月17日 福島県訪問 | 令和3年 | 総理の一日 | ニュース | 首相官邸ホームページ(31)
ふるさとへの貢献誓う16人…小3で福島第一原発事故 福島・大熊町で成人式 :東京新聞 TOKYO Web(32)
30日午前9時に解除 福島県大熊の特定復興再生拠点区域 復興加速化や住民帰還に期待 | 福島民報(33)
広報おおくま 2023年2月1日号を発行しました - 大熊町公式ホームページ(34)
大熊町立 学び舎 ゆめの森(35)
12年ぶり地元に戻った大熊町の学校 完成した新校舎で新学期|NHK 福島県のニュース(36)
除染情報サイト:環境省(37)
>帰還困難区域とは - コトバンク(38)
大野駅 - Wikipedia(39)
中間貯蔵施設情報サイト:環境省(40)
特定復興再生拠点区域 - Wikipedia<(41)
「白地地区」20年代に帰還 自民党が提言:朝日新聞デジタル(42)
10万分1浸水範囲概況図 | 国土地理院⇒
浸水範囲概況図15(PDF 1.4MB)(43)
【大熊の復興拠点】古里再生 点から面へ(7月7日) | 福島民報(44)
原子力被災者支援(避難指示関係) (METI/経済産業省)⇒
・避難指示区域の概念図と各区域の人口及び世帯数(2023年4月1日時点)(45)
福島県の推計人口(令和5年8月1日現在) - 福島県ホームページ(46)
居住・避難状況 - 大熊町公式ホームページ(47)
平成23年東北地方太平洋沖地震による被害状況即報(四半期に1回更新) - 福島県ホームページ(48)
春にも一部区域で人が住めるように...でも「戻りたい」町民はわずか 福島第一原発がある大熊町:東京新聞 TOKYO Web(49)
復興 - Wikipedia(50)
福島県西白河郡[西郷村]の農作物 | 雑穀類, いも類, 米, 野菜, 果物 | 生産/収穫/作付面積 | 福島県と日本の中の順位 | 市町村 | ジャパンクロップス(51)
特産品 - しらかわ | JA夢みなみ(52)
福島県の食の安全の動画について - 福島県ホームページ(53)
イオン 白河西郷店のチラシ・特売情報 | トクバイ
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