福島県の地方紙・福島民友は9月24日付社説で、福島第一からの汚染水海洋放出がはじっまたのに(1)、福島産水産物の価格が下落したかったことを取り上げ(2)「本県は風評被害で長く苦しめられてきた。」と(1)、あたかも消費者のフクシマ産忌避が解消したように論じていました。でも多くの消費者は「フクシマ」を正しく理解し、結果としてフクシマ産を避け続けています。
福島は原発事故によって汚染されました。

※1 (3)(4)にて作成
※2 避難地域は(5)による。
図―1 福島県郡山市・三春町、相馬・南相馬市、いわき市
図に示す様にICRPが公衆の被ばく限度とする年1ミリシーベルト(6)を超えた地域が広がっています。原発事故から12年半ですが福島は汚染されています。
以下にブリの検査結果を示します。

※1(7)(8)を集計
※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す。
※3 日付けは採取日
図―2 ブリの検査結果
図に示すように岩手、宮城、茨城、千葉県産からはセシウムが見つかっています。一方で福島県が検査した福島県産ブリは厚生労働省や福島県の発表(7)(8)を数えると292件連続で検出限界未満(ND)です。
海は繋がっているのに、他では見つかっても、汚染源がある福島産からはセシウムが見つから無い等はおかしな話です。ミギガレイ、ブリ等の福島産農水産物の出荷前検査は厚生労働省の発表(7)を見ると概ね福島県農林水産部に属する福島県農業総合センター(9)実施しています。中立性に疑問があります。
福島産は他よりも低く出る出荷前検査で安全とされ出荷されます。
これでは福島の皆様の健康が心配です。福島県にあるひらた中央病院は、福島産米や野菜について避けるか否かのアンケート結果を発表しています。以下に示します。
表―1 福島産を許容すかのアンケート結果
※(10)を集計

福島県は福島を7つの生活圏に区分しています。県中地域に属する郡山市・三春町、相双地域に属する相馬・南相馬市(11)をひとまとめにして比較してみることにしました。表から計算すると、郡山市・三春町では福島産米や野菜を共に許容する方は67%です。一方で相馬・南相馬市では7%です。同じ福島県内でも地域によって福島産に対して温度差があります。福島県の発表(12)を今1から7月で集計すると、福島産米と野菜を共に許容する方が67%の福島県郡山市・三春町の葬式(死者)数は、
事故前(2009年1-7月)1,859人
今年(2023年1-7月) 2、374人
で、29%増えています。このような事が偶然に起こる確率を検査したら約40兆分の1でした(13)。福島産米と野菜を共に許容する方が7%の相馬・南相馬市の葬式(死者)数は
事故前(2009年1-7月)788人
今年(2023年1-7月) 823人
で、あまり変わりありません。無論、統計的な差もありません。福島産米と野菜を共に許容する方が37%のいわき市の葬式(死者)数は
事故前(2009年前半)2,409人
今年(2023年前半) 2,762人
で15%増えています。郡山市と相馬市・南相馬市の中間でしょうか?
以上の事実から葬式(死者)数の増加率と福島産米や野菜を共に許容する方の割合をまとめました。

※(10)(12)を集計
図―3 葬式(死者)数の増加率と福島産の許容割合
図に示す様に福島産を許容する程に葬式(死者数)が増えています。
福島は図-1に示す様に原発事故で汚染されいますが、図-2に示す様に検査には疑義がります。そして図-3に示す様に福島産を許容する地域程、葬式が増えています。汚染され葬式が増えた地域がある福島の産物は避けられて当然です。
福島を代表するくだものにモモがあります(14)。7,8月がシーズンです(15)。モモの最大産地の山梨県(福島県は2位)(16)と福島県の各年7、8月のモモの価格を比較してみました。

※(17)を集計
図―4 山梨・福島のモモ価格
福島のモモは事故前から山梨産に比べ安かったですが、事故後にさらに安くなりました。そして今年も継続しています。
図-1に示す様に、

※(18)(19)を集計
図-5 いわき市の海水浴客数
原発事故後に大幅に落ち込み回復しません。数値を記載すると
事故前(2010年) 801,413人(18)
今年(2023年) 63,947人(19)
で、大幅に減っています。
福島は汚染されており、避けられるのは当然です。ところが福島のマスコミはこれを「風評被害」とよんでいます(20)。
福島第一原発からの汚染水の海洋放出がはじまりました。福島産のさらなる価格低下が心配されていたのですが(21)、今のところは起きていません。この現象を福島県の地方紙・福島民友は「【9月24日付社説】処理水・海洋放出1カ月/応援を励みに復興の加速を」を
「東京電力福島第1原発の廃炉作業で生じる処理水の海洋放出開始から、1カ月となった。」
と書き出し
「放出開始後、県内の宿泊施設へのキャンセルなどがあったものの、目立った風評被害は確認されていない。加えて、本県に水揚げされる「『常磐もの』を食べようという動きが盛んになり、本県の自治体へのふるさと納税の寄付額が増加するなどしている。」
と論じ
「本県は風評被害で長く苦しめられてきた。しかし、本県を応援している人も数多くいる。そのことを忘れず、今後の放出作業を廃炉の加速と復興に向けた歩みにつなげていきたい。」
と結んでいます。あたかも、「風評」と呼ばれる福島忌避が改善したような主張です。図―4,5に示す様に、改善していません。ただ海洋放出によって劣化しなかっただけです。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
原子力ムラや自公政権あるは福島県が絶対に取り上げない事に「放射線被ばくの状況を変化させるいかなる決定も、害より便益を大きくするべきである。」との正当化の原則がありあす(22)。
以下に福島県本宮市産米の検査結果を示します。

※1(7)(8)を集計
※2 NDは検出限界未満(見つからない事)を示す。
※3 日付けは収穫日
図-6 福島県本宮市産米の検査結果
図に示す様に、今年(2023年)はセシウム入りです。福島産米を食べる行為は被ばくリスクを負う「害」があります。一方で、お米であれば敢えて福島産を食べる理由はありません。福島産を食べる行為は「害」はりますが「便益」はありません。福島産を避けるのには明確な根拠があります。この思いは福島の皆様も同じです。
福島を代表する食材にナメコがあります(14)。福島のナメコはぬめりが強くしっかりした歯ごたえが特徴です(23)。福島県は「フクシマ産」は安全と広報しています(24)。でも、福島県福島市のスーパーのチラシに福島産ナメコはありません。

※(24)を引用
図―7 福島産ナメコが無い福島県*のスーパーのチラシ
(=^・^=)も福島県*の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
【9月24日付社説】処理水・海洋放出1カ月/応援を励みに復興の加速を:社説:福島民友新聞社 みんゆうNet(2)
「水産物の価格はおおむね例年通り」処理水放出開始から1か月【福島県】|福島中央テレビニュース|福島中央テレビ(3)
航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会⇒
福島県及びその近隣県における航空機モニタリング(令和4年9月1日~10月21日測定) 令和5年03月10日 (4)
第13回原子力規制委員会 | 原子力規制委員会⇒
資料1 帰還困難区域の放射線防護対策について(特定復興再生拠点区域外における土地活用関連)【PDF:440KB(5)
避難区域見直し等について - 福島県ホームページ(6)
ICRP勧告(1990年)による個人の線量限度の考え (09-04-01-08) - ATOMICA -(7)
報道発表資料 |厚生労働省(8)
農林水産物の緊急時環境放射線モニタリング結果【詳細】 - 福島県ホームページ(9)
農林水産部 - 福島県ホームページ(10)
研究報告|ひらた中央病院 | 医療法人 誠励会 | 福島県 医療 介護 リハビリ(11)
福島県の位置・人口・面積 - 福島県ホームページ(12)
福島県の推計人口(令和5年7月1日現在) - 福島県ホームページ(13)
めげ猫「タマ」の日記 福島産、食べて応援、あの世行き(2023年1-7月)(14)
ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ(15)
桃の旬は7月から!旬と産地、栄養素や人気の秘密もご紹介 | ふるなび公式ブログ ふるさと納税DISCOVERY(16)
ももの生産量はどこの県が多いのですか。:農林水産省(17)
東京都中央卸売市場-統計情報検索各年7月について、大分類⇒果実、中分類⇒もも類で検索
(18)
統計資料一覧 - 福島県ホームページ(19)
いわき4海水浴場、客入り半減6.3万人:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet(20)
風評の深層:福島民友新聞社 みんゆうNet(21)
原発処理水の風評被害、どうやって補償する?800億円の基金の使い道は?<Q&A>:東京新聞 TOKYO Web(22)
ICRP勧告 - 医学物理学会防護委員会(23)
なめこ ふくしまプライド。(24)
福島県の食の安全の動画について - 福島県ホームページ(25)
イオン 福島店のチラシ・特売情報 | トクバイ
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- 2023/09/26(火) 19:42:14|
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