東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先々週につづき(1)、先週(6月16日から21日)もしっかりトラブルが起こっています。福島原発トラブルはあまりニュースになりませんが・・
1.海岸のすぐ傍の地下水から、高濃度の放射能
2013年6月18日の東京電力の発表によると(2)、福島第一原発の海の傍の地下水から、1リットル当たり
ストロンチウム90 1、000ベクレル
トリチウム(放射性の水)50万ベクレル
の放射性物質が見つかりました。なおセシウムは検出限界未満だそうです。東京電力の発表(2)から、Google Map上に放射性物質が見つかった場所を(=^・^=)なりにプロットしてみました。

※(2)とGoogle mapより作成
図―1 高濃度の放射性物質が見つかった場所
海から27mの位置です。東京電力は海には漏れていないとしていますが、(=^・^=)は心配です。福島県の漁師さんは福島原発沖ですでに「漁」をしています(3)。

※(3)より作成
図―2 福島県の試験操業海域
採れたお魚の放射性セシウムの検査は確りやっているみたいです(3)。でも、見つかった汚水のセシウムは検出限界未満ですので、この汚水が漏れお魚に取り込まれても放射性セシウムは出てきません。
ストロンチウム90は「ストロンチウムはカルシウムと似た性質をもつ。化合物は水に溶けやすいものが多い。
体内摂取されると、一部はすみやかに排泄されるが、かなりの部分は骨の無機質部分に取り込まれ、長く残留する。」そうです(4)。(=^・^=)は心配です。放射性セシウムはないけど、放射性ストロンチウムいっぱいのお魚さんが誕生しないか?厚生労働省はセシウムだけ検査すればいいとしています(5)。だからこのようなお魚はどんどん市場に出回ります。
2.汚水漏は2か所
福島第一原発では、原子炉を冷やすために水を注いでいます。また原子炉に外から地下水が流入するのでこれを原子炉を冷やすために注いだ水と一緒に汲み上げ、放射性物質と水の分離作業をしています。この汚水処理で今週は2か所かの汚水漏れが見つかりました。以下に汚水漏れがあった場所の、汚水処理の概要を示します。

図―3 福島第一原発の汚水処理の流れ
原子炉や建屋に流れ込んだ水は、破損した核燃料等により放射性物質が混じり「汚水」に変化します。汚水は「建屋」からくみ上げられ、最初にセシウムの「処理装置」に送られ、セシウムが取りだれます。取り出されたセシウムは今のところ、福島第一原発敷地内に期限無で保管されるみたいです。セシウムが取り出された汚水は淡水化装置に送られ、ここで原子炉注水に使う「淡水」を取り出し後に、残りは「濃縮塩水」としてタンクに送られます。「濃縮塩水」は多核種除去装置(ALPS)に送られ「水」と「水以外の放射性物質」に分けられます。トリチウムは放射性の水ですので「水」と分離することはできません。
取り出した水以外の放射性物質のカスもトリチウムを含む水も福島第一原発敷地内に期限無で保管されるみたいです。
このうち多核種除去装置(ALPS)からは6月15日に1回目の水漏れが(7)、6月19日に2回目の水漏れ?(8)が見つかりました。また、淡水化装置からの水漏が6月20日に見つかっています。
①多核種除去装置の汚水漏れ
6月15日に東京電力の社員様が、多核種除去装置(ALPS)内のタンクの底が濡れていてしたに茶褐色の水滴の跡を見つけました。また濡れたタンクの底に変色も確認されました。

(a)濡れて変色したタンクの底

(b)タンクに下側の茶褐色の水滴の跡
※東京電力データ(9)を編集
図―4 多核種除去装置(ALPS)タンクの水漏れ跡
この茶褐色の部分を測定したら、測定器に1分間に4300個の放射線が飛び込んで来るのを確認しました(4300cpm)。測定器は全ての放射線を捕まえることはできないので、仮に10%とすれば(11)、10倍の4万個以上の放射線が飛び出したことになります。このタンクと同じものは6個あるそですが(7)、20日にも同じタンク種類のタンクから汚水漏れが見つかっています。6個中2個のタンクから汚水漏れでは他が心配です。原因はタンクの底に穴(ピンホール)があったそうです(8)。
②淡水化装置から汚水漏れ
6月21日未明に下請けさんが淡水化装置から汚水漏れを発見しました。漏れた水からは360リットル(牛乳瓶2000本分)で、1リットル当たり
2600万ベクレル
の放射性物質が見つかっています。淡水化装置にはRO式と蒸発式がありますが(12)、今回、汚水漏れを起こしたのはRO式です。RO式の淡水化装置は、過去にも度々汚水漏れを起こしています(13)(14)(15)。以下にRO装置の原理を示します。

※(12)を引用
図ー5 RO淡水化装置の原理
原因は水を漏れないようにするキャップが壊れたためだそうです。

※東京電力の資料(10)より作成
図―6 壊れたキャップ
東電はキャップをつけるときに作業員が壊したと「人為的なミス」にしてますが、汚水に圧力を加えて淡水を作る構造なので、バルブた配管に大きなストレスが働くと思います。不通なら問題にならない作業ミスも大きな漏れになると思います。普通なら設計時に考慮されます。この装置は原発事故後2ヶ月目の2011年6月13日に運転を開始しています。2月で仕様を作り、設計し、材料を集め加工し、組み立てをして検査をする。相当に無茶な日程です。それなりに手抜き(フェールセーフ機構の欠落)はしていると思います。言うまでもなく、原発事故直後としては正しい判断ですが、手抜き装置であることに代わりありません。そのうち配管が外れて、水浸しにならないか(=^・^=)は心配です。
<余談>
関西電力によると原子炉は事故が起きても被害を拡大させないよう、「五重の壁」で閉じ込めているそうです(17)。

※関西電力のデータ(17)を編集
付図 五重の壁
事故から2年たちまちしたが、福島第一原発でできたのは、一番外側の壁の中の一部を覗いたにすぎません。五重の壁を突破し、危険なデブリ(溶け落ちた核燃料)に到達するのはかなり先になるような気がします。殆どの週でトラブルが起こっています。デブリに到達する前に、再びドカーンなんて事がありませんように!
東京電力は頑張っていると思います。(=^・^=)は一生懸命に福島原発事故の収束に当たっている方の「努力」に敬意を表したいと思います。でも「必要な結果」が出ていません!
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(6月2週)―個人情報も漏らします東京電力-(2)
福島第一原子力発電所におけるタービン建屋東側の地下水調査結果について(PDF 375KB)(3)
JF福島漁連(4)
原子力資料情報室(CNIC) - ストロンチウム-90(5)
もっと知りたい方のためのQ&A|厚生労働省(6)
福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第104報)|東京電力(7)
福島第一原子力発電所多核種除去設備(ALPS)バッチ処理タンク2Aにおける水滴の発見について(PDF 105KB)(8)
2013年6月21日福島第一原子力発電所の状況(記者会見資料)(PDF 28.2KB)(9)
福島第一原子力発電所淡水化装置(RO3)からの水の漏えいについて(PDF 148KB)(10)
東京電力 写真・動画集| トップ(11)
計測学-放射能の測定β(12)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の淡水化装置について(13)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(12月2週)―水漏れ!-(14)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(年末・年始)―水漏れ!-(15)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(1月5週)―けが人-(16)
東北地方太平洋沖地震による影響などについて|TEPCOニュース|東京電力
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- 2013/06/21(金) 21:22:25|
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