福島第一原発の増え続ける汚染水対策として汚染前の地下水をくみ上げて海に放出する「地下水バイパス」用の井戸からくみ上げた水のトリチウム濃度が大幅に上昇しています。

図―1 福島第一原発地下水バイパス水のトリチウム濃度
福島第一原発では増え続ける汚染水対策として、山側から流れてきた地下水を、メルトスルーをお越し放射性物質だらけの原子炉建屋やそれと繋がっているタービン建屋に入る前に、汲み上げで海に直接流す地下水バイパスを計画しています(4)。

※(4)より引用
図―2 地下水バイパスの概要
すでに設備は完成している(3)のですが、福島県民の反対で運用できていません(5)。

※(5)を引用
図―3 福島民報社の地下水バイパスに関する世論調査結果
とこが、今年(2013年)4月以降に地下水バイパス用の汲み上げ井戸の山側の地下貯水槽や汚水タンクから汚水漏れが発覚しています(6)。タンクからの汚水漏れは当初は1つでしたが、8月31日なって、別の所からも汚水漏れが見つかったり、他にも放射線量がきわめて高い(最大で1時間あたり1800ミリシーベルト)場所あるなどの発表がありました(7)。建屋に入る前の地下水の汚染が心配されます。

※(3)(6)(7)(8)(9)より作成
図―4 汚水漏れ場所と地下水バイパス用井戸の位置
東京電力は汚水漏れ発覚後の地下水バイパス井戸の放射性物質濃度をなかなか発表しなかったのです(6)が、8月30日と31日にNo7~No12の井戸について放射性物質濃度を発表しました(1)(2)。福島第一原発のタンクから汚水漏れは7月初から起こったみたいです。地図でみると汚水漏れタンクは100m程離れているので、漏れた汚水の大部分は地下水バイパス井戸の上流にあると思います。これはプロローグで、これからどんどん上がっていくような気がします。
<余談>
これについて東京電力は
8月30日の発表では
「なお、地下水バイパス運用準備として平成24年12月~平成25年3月に測定した
No.1~No.12のトリチウムの分析結果は9~450 Bq/Lでした。
また、法令値告示濃度(60,000 Bq/L)と比べて十分に低い値です。」
といいてますが(1)、450Bq/lだったのは、8月30は測定の対象とされていないNo12の井戸です。今回、測定対象になったNo7~10の井戸を見れば、13~76Bq/lです。それが最大で470Bq/lになったので大幅な上昇です。
そして8月31日の発表で、No13から700Bq/lのトリチウムが確認されると
「今回の分析結果は、法令値告示濃度(60,000 Bq/L)と比べて十分に低い値です。」
に代わっています。
地下水バイパスについては、福島の漁師さんたちは容認の動きがありました。
8月28日 福島県いわき市漁協の、臨時の理事会を開き、原則「反対」の立場は崩さないものの、国の責任で放流するのは「やむを得ない」との考えをまとめました(6)。
8月29日 福島県漁連の野崎哲会長は、増え続ける汚染水対策として汚染前の地下水をくみ上げて海に放出する「地下水バイパス」について、「緊急対策として重要な位置づけ」と理解を示した(8)。
これでどうなるか、(=^・^=)には分かりません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
2013年8月30日福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れの影響に関するサンプリング結果(PDF 6.87KB) (2)
2013年8月31日福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れの影響に関するサンプリング結果(PDF 6.87KB (3)
2013年4月26日 地下水バイパスの進捗状況および稼働に向けた準備について(PDF 754KB)(4)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(6月4週)―汚水は海に漏れた?-(5)
めげ猫「タマ」の日記 地下水バイパス計画―福島県民の8割が反対(福島民報社世論調査)(6)
めげ猫「タマ」の日記 地下水バイパス計画を福島の漁師さんが事実上容認-でもうまくいくの?(7)
福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れについて(続報18)|東京電力(8)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発、貯水槽汚染水漏れ―漏れたストロンチウム90は広島原爆の5%―(9)
2013年8月30日(汚染水対策検討WG第5回資料)H4タンクエリアにおける汚染水の漏えいについて(PDF 11.3MB)PDF (10)
福島第1原発:汚染水問題 地下水バイパス、一定の理解示す??県漁連会長- 毎日jp(毎日新聞)
スポンサーサイト
- 2013/09/01(日) 20:45:10|
- -
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0