9月3日に、安倍出戻り内閣は福島第一原発の汚染水漏れの総合対策を提示するそうです(1)。なんか「凍土壁」が福島第一原発の切り札にするような気がします(2)。本当にそうか(=^・^=)なりに調べたら、(=^・^=)なりに調べたら
①水を凍らせると膨張するので、ものすごい力がかかる。
②流れている水を凍らすことは困難である。
③地下水位が低下すると浮力が発生し、破壊が起こる。
などの問題があります。
東京電力が7月22日に福島第一原発の汚水漏れが今も海に漏れづけていると発表しました(3)。緊急の対策として海側に汚水の流れを防止する壁(遮水壁)を作ったのですが、遮水壁で止められた地下水が壁の内側に溜り、地下水位が上昇し結局は壁を乗り越えてしまい海への汚水漏れの防止に失敗しました(4)。

※(4)を引用
図―1 福島第一原発地下の水の状況((=^・^=)の想像を含む)
そこで幾つかの対策を東京電力は発表しています(5)。その中に凍土壁があります。

※(6)を引用
図―2 東京電力が発表している福島第一原発汚水漏れ対策
これについて
「茂木敏充経済産業相は(8月)26日、緊急性が高い汚染水対策に対して平成25年度予算の予備費を活用し、迅速に対応する方針を示した。<略>経産省は建屋周辺の土を凍らせる「凍土遮水壁」の関連費用を平成26年度予算の概算要求に盛り込む方向で調整していた。」(7)
だそうです。凍土壁が福島第一原発のエースのような気がします。鹿島建設のプレゼン資料(8)をみると、「凍土壁」は理想的な工法に見えます。鹿島建設は福島第一原発の事故処理に関わっていますが(9)、手抜き除染を起こったJVの一員です(10)し、8月20日に300トンの汚水漏れ起こしたと東電が発表した(11)タンクは鹿島建設が作ったとネット上で囁かれています(12)。鹿島建設の資料(8)には一切の問題点の記載がありませんが、本当か(=^・^=)はとっても不安です。そこで問題点はないか(=^・^=)なりに調べてみたら問題だらけでした。
問題1.氷は膨張する
凍土壁は土の中に冷却するためのパイプを設置し、そこに冷却材を流し土を凍らせて水の流れを止める工法だそうです(7)。

※(8)より引用
図-3 凍土壁の概要
水は氷ると膨張します(13)。このため、岩の隙間に水が入り込んで氷になると、岩を破壊する。冬の寒冷地では水道管の破裂、清涼飲料水類の缶にも「凍らせないでください」という注意書きが書かれている(13)。
などの事がありあす。凍土壁の凍りも同じですが、逃げ場がないので巨大な力が発生します。その力は
「上限凍上力は大変大きなもので,例えば上の図では-10℃で10.9MN/㎡となっています。 」
だそうです(14)。1MNは100トン程度ですので、1m四方に約1000トンの力がかかります。ゾウさんの重を5トン程度(15)とすると、この力を抑えるには1m四方に200匹のゾウざんを乗せる必要があります。

図-4 凍土が発生する力
福島第一原発にはゾウさんはいないので、タービン建屋やタービン建屋から延びている配管に加わります。よほど慎重に工事を計画しないと配管は間違いなく壊れると思います。

※(6)より抜粋・加筆
図―5 福島第一原発のタービン建屋から延びまくる配管
破断した配管から隙間ができそこから新たな汚染水漏れが発生すると思います。凍土壁の解説(15)を見ていると、配管などの地下構造物がある場所で使われた実績があるか不明な気がします。この力はタービン建屋や原子炉建屋にも加わります。東京電力は大丈夫と思っているでしょうが、地震と津波で傷ついています。大丈夫でしょうか?凍土壁の圧力には耐えられても、そこに地震などが加わったら。もし原子炉建屋やタービン建屋が壊れたら中にある8万トンの汚水が一気に流れだします。

※(17)などを集計
図―6 福島第一原発の原子炉・タービン建屋内の「汚水」量の推移
問題2 流れる水は凍らない
寒冷地の真冬でも、川は凍りません。

※北海道新十津川村のHP(18)より引用
図―7 冬でも凍らない北海道・石狩川
気温は氷点下です。流があると水は凍らないみたいです。凍土壁も同じで地下水の流れが強いと凍らずに使いも物にならないそうです(16)。その限度は1日あたり2m(原文は2m/day)だそうです(16)。福島第一原発の海側の井戸から毎日100トンの水を汲み上げています(19)。以下に東京電力が発表している地下水位と水位の観測位置、地下水汲み上げ位置と遮水壁設置場所を示します.

(a)地下水位 (b)測定点、汲み上げ位置と遮水壁
※(2)(20)とGoole Mapから作成
※No**は地下水水位観測位置、(a)図の色は(b)図の同色の地下水観測位置の水位を示す。
図―7 地下水汲み上げ開始後の地下水水位と地下水観測位置
8月17日前後から本格的な地下水汲み上げ始まり、順調に地下水の水位は低下しています。水位の経緯をみると、地下水汲み上げ位置から離れている「No3」は水位の低下はなく2.6m程度で水位しています。一方、地下水汲み上げ開始前は「No3」と同じような水位であった「No1-2」は1.9m程度まで、約70cm低下しています。すなわち70cmが1日100トンに相当します。(=^・^=)なりに地下水の流速を見積もってみました。
①地下水汲み上げの幅は図―7(b)でみて目算で60mです。
②水位低下は0.7mです。
③この断面積は42㎡です(60m×0.7m)
④ここを100トンの地下水が通過するので、流量は1日当たり2.4mです。
遮水壁で止められる流量の1日当たり2mを超えています。凍土壁を作っても地下水の流量が多すぎて固まらない可能性があります。
問題3 巨大な浮力
地下構造物では地下水による「浮力」で建物が破壊される危険が生じることがあるみたいです(21)。実際に東京駅では地下水位が上昇し、地下ホームが壊れてしまう危険が生じたので、駅構内に建設業者さんが入り補強工事をしたそうです(22)。
凍土壁が万が一完成したら、地下水の流れが止まるので原子炉やタービン建屋の地下水も空になります。図-6に示す通り、この中には8万トンもの「汚水」が入っています。当然、これは浮力となって原子炉やタービン建屋に襲いかかります。でも中は放射能だらけなので補強工事なんどできません。だったら、周りの地下水も抜いてはとのアイディアもあると思いますが、これも不可能だと(=^・^=)は思います。
①福島県民が了解しません。東京電力は福島第一原発の敷地に流れ込んだ地下水が原子炉建屋に入り汚水になる前に汲み上げ海に流すことで、原子炉建屋への流入量を減らし汚水の増加を食い止めようとする「地下水バイパス」を計画していますが、福島県民の8割が反対しています(23)。凍土壁ができて、地下水の汲み上げの必要が生じても福島県民は同じように反対すると思います。
②汚水タンクが地盤沈下で壊れる。地下水を汲み上げると地盤沈下が起こります(24)。

※(24)より引用
図―8 地下水汲み上げによる地盤沈下
福島第一原発でも地下水を汲み上げたら地盤沈下が起こるはずです。以下に地下水バイパスがかどうした場合の地下水水位の低下量の見積もりを示します。

※(3)とGoogle mapにて作成
図―9 地下水バイパスが稼働した場合の地下水位低下量
不思議な事に汚水タンクの寸前で見積もりは終っていますが、そこでは2mから3mの地下水位の低下が見込まれています。それなりの地盤沈下も起こると思います。東京電力によると汚水タンクの重みで地盤沈下を起こしたことがあるそうです(24)。

(a)汚水タンク重みの地盤地下でできたひび割れ (b)地盤沈下量
※1 東京電力の発表(25)による
※2 図(b)は、コンクリートをカットして撮影
図―10 汚水タンクの重みで生じた福島第一原発の地盤沈下
浮力を防ぐために地下水を抜けば、汚水タンクのエリアが一斉に地盤沈下をお越し、何かの拍子(たとえば地震)などで一斉にタンクが壊れ汚水漏れなんんて事態もあり得ると思います。
<余談>
今年(2013年)の4月から福島第一原発は大トラブルの連続です。その度に対策を打ちましたが、必ず弊害が生じています。
①2013年4月8日に地下貯水槽から汚水漏れが見つかり、あわてて地下貯水槽のあった汚水を福島第一原発の敷地境界に近いエリアにタンクを新設し移しました(26)(27)(28)。そしたら、汚水からの放射線が高く過ぎて敷地の外にまで漏れてしまいました(29)。
②2013年6月19日に海に近い井戸水で高濃度放射性物質が見つかり(26)、あわてて海側に遮水壁をつくりました。しかし汚水の流れが止まらず地下水位がどんどん上昇し、ついには地下水位が遮水壁より高くなり、遮水壁が意味をなさなくなりました。
③そこで汚水を汲み上げを2013年8月9日から開始しました(30)。そのためでしょうか。汚水の発生量が東電想定の日量400トンから600トンに増えてしまいました(31)。

※(31)を引用
図―11 福島第一原発の週当たりの汚水増加量と東電想定量
東京電力は問題点は事前に分かっていたような気がします。でも対策をとると別の問題がでるので対策を小出しにかできなかったと思います。東京電力には福島のマスコミを中心に批判する報道が流れています(26)が、(=^・^=)はある意味東京電力の判断は正しかったと思います。
東京電力は8月19日に発覚した汚水漏れ(11)で、ボルト式タンクの使用を止めて、より信頼度の高い溶接式タンクに移し替えるとしています(32)。でも危険性は従前から認識していたはずです。原子力規制庁が5月23日に下請けさんからおこなったヒヤリングに
「溶接ではないボルト式のタンクがあり、いつまで持つか不安を持っている」
なんて記述があります(33)。この情報は東京電力に伝わっていないはずがありません。東京電力の8月26日の会見を聞いていたら
「(汚水漏れを起したのににも係らず)タンクを作ってくれた下請けさんに感謝している」
旨の発言がありました(34)。暗にタンクからの汚水漏れの責任は東電に全てあり下請けさんにミスはないと言っているような気がしました。東電は危険があるのを知っていているのに他のリスクがあるのでタンクのリプレースが出来なかったと思います。福島県のマスコミの報道によると、東京電力の石崎芳行副社長(福島復興本社代表)は8月29日、県庁で記者会見し、汚染水漏れが確認されたボルト型タンクについて「できるだけ早く替えたい」との考えを示したそうです(32)。何故にリプレースできるようになったか、(=^・^=)には分かりません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
汚染水漏れ、3日総合対策を提示 | 国内外ニュース | 福島民報(2)
CNN.co.jp : 汚染水の海への漏出阻止で「凍土壁」を計画、福島第一原発(3)
2013年7月22日海側地下水および海水中放射性物質濃度上昇問題の現状と対策(PDF 1.43MB)PDF(4)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の海側地下水は原子炉建屋と繋がっている?(5)
【資料2】汚染水問題に関する各対策の実施状況(1.27MB)PDF (6)
2013年8月20日(いわき市漁協説明会資料)汚染水の現状と現在の対策について(PDF 625KB)PDF (7)
汚染水対策に予備費 経産相方針 凍土壁など国が対応 | 県内ニュース | 福島民報(8)
[PDF]凍土遮水壁による地下水流入抑制案 1.概要 2.全体計画 ご 説 明(9)
March 2012:特集「復興の一翼を担って」| KAJIMAダイジェスト | 鹿島建設株式会社(10)
朝日新聞デジタル:手抜き除染、言い逃れ ゼネコン報告書を検証 - 社会(11)
2013年8月20日福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れについて(続報)(再訂正版) (PDF 771KB)(12)
福島原発の汚染水、別のタンクからも漏出か 新たに“高い線量”を測定 【100ミリシーベルト】 : あとろぐ速報(13)
氷 - Wikipedia(14)
株式会社精研(15)
ゾウ - Wikipedia(16)
[PDF]地盤凍結工法とその開発1) - J-Stage(17)
福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第113報)|東京電力(18)
[冬] 石狩川 | 北海道新十津川町(19)
掘削機故障で遅れ 第一原発海側地下水くみ上げ設備の設置 | 県内ニュース | 福島民報(20)
2013年8月26日福島第一原子力発電所 地下水観測孔の地下水位について(PDF 46.0KB)(21)
地下室は常に水の中? - 株式会社日本セメント防水剤製造所(22)
東京駅地下水対策 | 実績紹介 | 黒沢建設株式会社(23)
めげ猫「タマ」の日記 地下水バイパス計画―福島県民の8割が反対(福島民報社世論調査)(24)
地盤沈下 - Wikipedia(25)
H4タンクエリアにおける漏えいに関する調査状況について(PDF 709KB)(26)
めげ猫「タマ」の日記 東電が説明すると操業中止を決める、福島県の漁師さん(27)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(4月3週)―汚水もれは継続中?-(28)
2013年4月10日社長会見配布資料(PDF 702KB)(29)
[PDF]地下貯水槽からのRO濃縮水移送に伴う タンク類からの直接 ...(30)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発―地下水汲み上げ開始!1日100トンのはずが24トン(31)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発の汚水は一日600トン―東電想定の50%増し-(32)
「タンク早く替えたい」 東電石崎副社長が汚染水問題で認識 | 県内ニュース | 福島民報(33)
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