東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづき(1)、今週(8月31日から9月6日)もしっかりトラブルが起こっています。
1.下請けさんが体調不良―今年で10人目
8月31日に福島第一原子力発電所6号機付近のタンクエリアで、ドラム缶の移動作業をしていた下請けんさ体調不良なり、救急車で運ばれました(2)。これで福島原発で発生したけが人・病人・死人の累計は(=^・^=)の集計で10人目です。福島第一原発かぎってば全員が下請けさんで5人目です。福島第一原発では5000人くらいの下請けさんが働いているので(3)、約1000人に1人がお仕事中に死んだり・怪我したり病になったりしてます。多くないですかね?仕事が過酷なのか、放射線が狂わすのかはわかりませんが
2.放射線を測りなおしたら18倍
8月22日午前11時から午後3時頃にかけて、漏えいしたタンクと同様のフランジ型の他エリアのタンクについて総点検を実施したら、2か所で放射線量の高い場所が見つかりました(4)。
①H3エリアBグループNo.4タンク底部フランジ近傍:100mSv/h、水位レベル約97%
②H3エリアAグループNo.10タンク底部フランジ近傍:70mSv/h、水位レベル約95%
ところが8月29日に再度測定したら
①の場所 100mSv/h ⇒ 1800mSv/h
②の場所 70mSv/h ⇒ 230mSv/h
で大幅に高い値がでました(5)。原因は1回目で使った線量計が100mSv/hしか測れない測定器で実施したのでメーターが振り切れたのに放射線量を測定した方が気づかずに100mSv/hと読み違えた気がします(2回目は高線量も測れる側的で実施)。高い放射線量が予想されるなら高い放射線量が測れる測定器を用意したはずです。福島第一原発の放射性物質汚染は東電の予想を超えている?
※mSv/hは1時間当たりの放射線量をミリシーベルトで表す。xxmSv/hは1時間あたりxxミリシーベルトと同じ
ついですが別の2か所からも高い放射線量や汚水漏れの「跡」が見つかっています。

※東京電力の資料(5)による
図―1 汚水漏れの跡
3.地下水バイパス破綻
東京電力は汚水漏れを起したタンクの傍に穴を掘り、地下水を調べたら1リットル当たり650ベクレルの放射性物質が見つかりました(6)。これについて東京電力は「、雨水などで希釈された汚染水が土壌に浸透し、地下水に到達した可能性がある」(7)と発表しています。これを受けて、福島県の地元のマスコミは
「汚染水、地下水に到達 バイパス井戸にも流入か」
などと報道しています(8)(9)。

※(10)を2013年9月6日にキャプチャー
図―2 地下水への汚水混入を報じる福島民報
これで地下水バイパス計画は破綻したと思います。
福島第一原発では原子炉やタービン建屋に地下水が入り込み汚水になってしまっています(11)。

※(12)をキャプチャー
図-3 タービン建屋に流れ込む地下水
この汚水はポンプで汲み上げ、地上のタンクに保管していますが、どんどん増えています(10)。そこで東京電力は「建屋」に入る前に地下水を汲み上げ地下水バイパスを計画しています。

※(11)(13)などから作成
図―4 地下水バイパスの概要
でも地下水バイパス用井戸の上流には、汚水漏れを起した地下貯水槽やタンクが一杯あります。
〇(拡大)⇒
(a)地下水バイパス用の井戸と汚水漏れ位置 (b)汚水か確認された井戸の位置
※(6)(13)より作成
図―5 地下水バイパス位置と汚水漏れ場所
汚水漏れによって「建屋」に入る前に地下水は「汚水」になっています。地下水バイパス井戸のトリチウム(実質的には放射性の水)の濃度が上がっています。

※東京電力の発表(14)(15)等を元に作成
図―6 上昇する地下水バイパス用井戸のトリチウム濃度
特に汚水漏れを起こしたタンクから最も遠いNo7の井戸では測る度に上昇しています。漏れて、地下水に混じった汚水中のトリチウムが井戸のあたりに流れてきていると思います。
3.クレーンが倒れる
9月5日午前8半頃、福島第一原発3号機の瓦礫撤去用のクレーンが突然に倒れだしました。

⇒

(a)倒れる寸前 (b)倒れている途中
※(16)をキャプチャー
図ー7 倒壊する福島第一原発3号機のクレーン
倒れたクレーンを調べたら亀裂が入っていたそうです(17)

※(18)による。
図―8 倒壊したクレーンに見つかった亀裂
福島第一原発では核燃料プールからの核燃料の取り出しが、年内(2013年)に始まるみたいです(19)。核燃料取り出し中にクレーンが倒壊したらどうなるうんですかね。
4.遮水壁は役立たず?
福島第一原発では、海への汚水漏れを防止するために海の傍に遮水壁をつくり、その周囲に水
位や水質を確認するための井戸を掘りました(20)。

※(20)を引用
図―9 遮水壁を周辺の井戸の位置
No1-9の井戸は遮水壁の海側にあるので、遮水壁が機能し、遮水壁の向こう側への汚水漏れが防止できるなら、No1-9と海の放射性セシウム濃度は同じでなくてはなりません。そこで東京電力の発表データを(=^・^=)なりに集計してみました。

※(21)(22)(23)より作成
※「海側」は「1~4号機取水口内北側」の値
図ー10 場所ごとの放射性セシウム濃度
No1-9の放射性セシウム濃度は海側に比べ6倍程度高くなっています。さらに遮水壁内側のNo1の濃度が海側やNo1-9に比べ大幅に低くなっています。(=^・^=)は遮水壁をバイパスした汚染水流出ルートの存在も否定できないと思います。遮水壁は役割をはたしていない可能性があると思います。
5.汚水漏れの原因わから分からず
東京電力の9月6日の会見(24)によると、タンクからの汚水漏れの原因を調べる為の試験をしたのですが、なにも結果が得られずあえなく失敗したそうでうす。
6.英語版メッセージを大至急載せる
東京電力は英文ホームページに9月5日に、我々頑張りますとの社長メッセージの動画をアップしました(25)。

※(25)をキャプチャー
図―11 東電の海外向けメッセージ動画
東京電力は会見(24)で否定していますが、どう見てもオリンピック向けですね。事故を起こした福島より、顧客のいる「東京」のオリンピック方が大事?だったら柏崎市や刈羽村の住民の安全より「東京」の電気の方が大事・・・
7.原子力規制委を怒らす
8月に続き(26)、今月も東電は原子力規制委を怒らせたみたいです(27)。田中委員長の会見(28)を聞いていると、福島第一原発のタンクの汚水漏れで、漏れた部分の汚染度合をミリシーベルト(mSv)で発表したことみたいです。
漏れた汚水の放射性物質は透過力の弱いベータ線(光に近い速さで移動する電子)と放射性セシウムなどから出るガンマ線と同一にみていることです。ベータ線は透過力が弱いので、ガンマ線のように全身被ばくを起こすことはないとのことです。実際に水でのベータ線の飛距離は1.8mm程度(ストロンチウム90由来で)(29)みたいです。放射線量が高くても服なので吸収されて実際の被ばく線量は少なくなると指摘です。そこで原子力規制委は、放射性物質の量や密度を示すベクレル単位で示すべきと主張しています。
この件について東京電力は9月6日の会見で、放射線量が高か過ぎてベクレル単位で測れる測定器が用意できず、シーベルトで測る測定器で代用したと説明しました。正規に測れる測定器が無いほどの想定外の高い汚染でしょうか?
<余談>
韓国が日本の水産物の輸入禁止を検討しているみたいです(30)。日本から韓国への水産物の輸出は福島原発事故以降に激減して年間100億円以下です(31)。

※農林水産省のデータ(31)による。
図-11 日本から韓国への水産物の輸出額
日本では殆ど影響はないと思いますが、韓国では影響が出ているみたいです(32)。
安倍出戻り内閣は汚染対策を発表しています(33)が、実効性があるようには(=^・^=)には思えません。だれもが可能と考える対策を取るべきと(=^・^=)は思います。
<追記>
9月6日に福島県のテレビ局 FTVが以下のようが動画をネット配信しています。

※(34)をキャプチャ
図―12 場合によっては地下水バイパス計画見直しを報じるFTV
TV朝日のHPで図―4と同じような図を含む動画を出していたので、キャプチャーしました。

※(35)をキャプチャー
図―13 汚染される地下水
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
title="めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(8月5週)―陸へも放射性物質漏れ
-">めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(8月5週)―陸へも放射性物質漏れ-(2)
title="東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響について【午後3時現在】平成25
年8月31日">東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響について【午後3時現在】
平成25年8月31日(3)
title="福島第一原子力発電所作業者の被ばく線量の評価状況について|東京電力">福島第一原子
力発電所作業者の被ばく線量の評価状況について|東京電力(4)
title="東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響について|東京電力">東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響について|東京電力(5)
2013年9月2日福島第一原子力発電所 タンクパトロールの結果について(PDF 431KB) (6)
2013年9月5日
福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れの影響に関するサンプリング結果(その2)(PDF 59.9KB) (7)
福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れについて(続報30)|東京電力 (8)
汚染水、地下水到達か 第一原発 バイパス見直しも 危機的状況深刻さ増す | 県内ニュース | 福島民報(9)
汚染水、地下水に到達 バイパス井戸にも流入か(福島民友ニュース)(10)
福島民報(11)
2013年9月3日(相双漁協説明資料)汚染水対策ならびに地下水バイパスについて(PDF 525KB)(12)
映像|写真・映像ライブラリー|東京電力(13)
めげ猫「タマ」の日記 地下水バイパス計画を福島の漁師さんが事実上容認-でもうまくいくの?(14)
2013年4月26日地下水バイパスの進捗状況および稼働に向けた準備について(PDF 754KB)(15)
2013年9月6日福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れの影響に関するサンプリング結果(PDF 7.56KB) (16)
福島第一原発でがれき撤去の大型クレーン倒れる(17)
2013年9月5日福島第一原子力発電所3号機原子炉建屋上部ガレキ撤去工事大型クレーン先端ジブマスト傾倒の発生について(PDF 96.6KB) (18)
東京電力 写真・動画集| 福島第一原子力発電所3号機原子炉建屋上部ガレキ撤去工事大型クレーン先端ジブマスト傾倒の発生について(19)
福島第一原子力発電所1~4号機の廃炉措置等に向けた中長期ロードマップ|
東京電力(20)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(8月5週)―陸へも放射性物質漏れ-(21)
2013年9月4日福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果(その2)(PDF 19.1KB)PDF(22)
2013年9月4日福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果(その3)(PDF 50.0KB)(23)
2013年9月3日福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果(その2)(PDF 67.2KB)(24)
映像|写真・映像ライブラリー|東京電力(25)
TEPCO : TEPCO(26)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(8月4週)―原子力規制委、東電に怒る-(27)
放射線計測の専門家派遣 規制委 第一原発の汚染マップ作成など指導 | 県内ニュース | 福島民報(28)
原子力規制委員会 定例記者会見 (平成25年9月5日) - YouTube(29)
β線の飛程の計算ツール(30)
韓国政府、福島周辺8県の水産物全面輸入禁止 | Joongang Ilbo | 中央日報(31)
農林水産省/農林水産物輸出入概況(32)
韓国、水産物買い控えに危機感 日本産の輸入規制強化 :日本経済新聞(33)
めげ猫「タマ」の日記 安倍出戻り内閣、汚染水対策基本方針を発表―実行できるの?(34)
▶ 福島のニュース 福島テレビ(9月6日放送) - YouTube(35)
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- 2013/09/06(金) 21:38:15|
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