東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづき(1)、今週(9月21日から9月27日)もしっかりトラブルが起こっています。
1タンク堰の溜り水を放置
福島第一原発では汚染水をタンクに保管していますが、タンクの周りを堰で囲っています。でも堰内には「水」が残っているみたいです。

福島第一原発では、汚染水タンクから水漏れがないかパトロールを行い、その結果が東電のHPに記載されています(たとえば(3))。9月4週のパトロール結果をみると概ね
「堰内床部近傍は、堰内に溜まった雨水による遮へいにより、引き続き線量当量率が低い状態となっている」
との記載があります。この状態は東京電力の会見(2)でも認めています。すなわち、堰内に溜まった水を放置しているので、「水」が出たことで汚染水が漏れたか分かりません。また、水によって放射線が遮られるたり薄められたりするので放射線量も上がりません。何のためのパトロールなんですかね!
意味のないパトロールご苦労様
2.タンクの底に隙間
福島第一原発ではタンクからの300トンの汚染水漏れが発覚しましたが、そのタンクを解体し調べたそうです。そしたらタンクの底から「隙間」が見つかりた。
タンクの内側に「泡」を塗り、外側から吸い込んだら、タンクの隙間を通って泡が出てきたそうです(4)。

※東京電力の発表(4)を抜粋
図ー2 試験の模式図と外側に噴出した泡
隙間はタンクの底で見つかりました。底から漏れていたら、大部分はそのまま地中にしみ込み、外に出てくるのは極わずかですから、堰に水が溜まっていればパトロールの人は気づかない可能性もあると思います。今もどこかの汚染水タンクで汚水漏れが起こってたりして。

図―3 タンクの底から漏れた場合の汚染水の行先((=^・^=)の想像図
3.トリチウム濃度再上昇
東京電力では福島第一原発で汚染水漏れを起したタンクの周辺に井戸を掘り地下水を汲み上げ汚染がないか調べています(5)。

※東京電力の資料(5)に(=^・^=)が加筆
図―4 汚染水漏れを起こしたタンクと周辺の調査用の井戸
そのうちに井戸の一つE-1のトリチウム(放射性の水素(6))の濃度は一時は下がったのですが、再び上昇しています。9月15日から下降したのですが、19日以降に再上昇し1リットル当たり17万ベクレルのトリチウムが見つかってます。

※東京電力の資料(5)にて作成
図―5 福島第一原発のE-1井戸内の地下水のトリチウム推移
9月15,16日に雨が降って流された思いますが、その後汚染源からあらたなトリチウムが流れて来たと思います。8月19日に、福島第一原発の汚染水タンクからの汚水漏れが発覚(7)してから一ヶ月以上も経ちますが、今も汚染水を貯めたタンクの底から汚水漏れが続いていたりして。9月27日現在の東京電力の体制では、汚染水を貯めたタンクの底から汚水漏れを見つけることはできないと思います(1,2項参照)。以下に福島第一原発近くのアメダス観測点(浪江、富岡)の降雨量の2013年9月の降雨量の推移を示します。

※気象庁(8)発表とGoogle Mapで作成
図―6 福島第一原発近くの降雨量とアメダス観測点
4.地下水バイパス井戸の近くから、基準にを超える放射性物質
東京電力は福島第一原発の汚染水対策の一つとして、溶け落ちた核燃料(デブリ)が散らばっている原子炉建屋やそれと繋がっているタービン建屋に新たに地下水が入り汚染水になる前に地下水を汲み上げ海に放出する地下水バイパス計画を進めています(9)。

※(10)より引用
図―7 地下水バイパスの概要
海に放出する「水」を汲み上げる井戸の近くに、地下水の汚染状況を観測するための井戸E-6(図―4参照)から、東京電力の9月21日の発表(11)によると主にストロンチウム90等からなるベータ線を出す放射性物質(全ベータ)が
1リットル当たり 46ベクレル
の濃度で見つかりました。ベータ線を出す放射性物質の基準値は(=^・^=)の知る限りありませんが、ストロンチウム90の基準値は、1リットル当たりで
①WHOが飲用水として使用して良いとする値 10ベクレル
②国が海に流しても良いとする値(告示限度) 30ベクレル
を超えています(4)。今のところは、地下水バイパス用の井戸からはベータ線を出す放射性物質は見つかっていません(たとえば(12))が、E-6井戸は直ぐ傍になります。そのうち出てきたりして・・・
5.シルトフェンスが切れる
東京電力は9月26日、福島第一原発港湾内の5、6号機取水口近くで、放射性物質の拡散などを防ぐため設置した「シルトフェンス」と呼ばれる水中カーテンが破損したと発表しました(13)。

※東京電力の発表(13)とGoogle Mapで作成
図-8 切れたシルトフェンスの位置と様子
シルトフェンスは海に漏れた放射性物質を外に出さない為に設置してますが、これでも
「完全にブロックされている」
といえるんですかね?
6.今週も3号機から湯気
9月13日、9月15日午前8時頃、9月17日午前8時頃,9月18日午前8時に福島第一原発の3号機原子炉建屋5階中央部近傍(機器貯蔵プール側)より湯気が出たのが見つかったそうです(1)。今週も9月26日午前8時頃、3号機原子炉建屋5階中央部近傍(機器貯蔵プール側)より、湯気が発生しるのが見つかりました(14)。
気象庁のデータを見ると濃霧が生じるような急激な気温低下もありません。

※気象庁の発表による(3)
図ー9 福島第一原発付近のアメダス観測点と気温
1,2号機からは「湯気」が確認されてないので、「湯気」は3号機特有のものだと思います。他に(=^・^=)が知ってる3号機特有なものは福島原発事故の5ヶ月前から、プルサーマル(プルトニウムを利用した原子力発電)が始まっています。ウラン235は15キログラム以上集まらないと核分裂は再開しませんが、プルトニウム239なら5キログラム集まれま、核分裂反応が起こるそうです(1)。
7.再臨界が心配です。
福島県議会は9月25日に福島原発問題に関する全員協議会を開きまました(16)。そこで、古市三久議員(福島・みどりの風、いわき市)が「再臨界」(核分裂が自然に再発してしまうこと)の可能性について質問したそうです(17)。福島の方も核分裂の再発を心配しているのでんですね。
8.分析がどんどん遅れる
先週の9月19日に、福島第一原発の汚染水処理設備の放射性物質濃度の検査結果が発表になりました(18)。採取日をみたら7月8日でした。採取から結果公表まで71日も要していることになります。少し長いと思ったので、以前はどうか(=^・^=)なりに調べてみました。

図-10 汚染水処理設備の放射性物質測定所要日数
以前は20日程度でできていたみたいです。でも6月くらいから急に遅れだしています。相次ぐ汚染水の流出で検査しなければなんらいものが増え、検査部門も大変みたいです。こんどなにかあったら、分析できないなんて事態になるかも知れません。特にストロンチウム90の分析は1ヶ月分も滞留しているそうです(18)。東電は改善するとは言ってますが(18)・・・
8.東電社員は逃げて行く
福島県の地元紙の福島民報の報道によると、東京電力からの人材流出が止まらないそうです(19)。

※(19)より作成
図ー11 東京電力の年度別依願退職者数
そして2013年度も4,5,6月の3ヶ月ですでに109人の方が辞めているそうです。年間に直せば436人です。
東電の社員でいる限りいつ「福島」送りになるか分かりません。東電の社員の方も福島は怖いんですかね?
でもこのデータは、一地方紙の取材の能力を超えているような気もします。どこかが意図をもってリークしたと考えるのが普通だと思います。(=^・^=)は「東電はこれ以上の人件費の切り詰めは無理」であることのアピールであるような気がします。
<余談>
まずはお詫びします。記事が長くなってすいません(__)。でもそれだけトラブルが多いんです。東京電力は柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を目論んでいます(20)。でもこれだガタガタな福島原発を抱える東電に厳格な管理が必要な原子力発電所の運転ができるんですかね?まして、過去に運転に失敗して大事故を起こしています。東電の発表(20)をザットみたら(=^・^=)は不安になりました。このことは別の機会に記事にしたいと思います。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(9月3週)―福島第一原発から湯気が3回-(2)
映像|写真・映像ライブラリー|東京電力(3)
東京電力 写真・動画集| 福島第一原子力発電所 各タンクエリア堰内溜まり水の状況(4)
底板バキューム試験の実施について(PDF 90.0KB)(5)
報道配布資料|東京電力中の「福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果(H4エリア周辺)」
(6)
めげ猫「タマ」の日記 トリチウムは放射性水素(7)
2013年8月19日福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れについて(PDF 156KB)PDF (8)
気象庁 | 過去の気象データ検索(9)
地下水バイパスの取り組みについて~汚染水を増やさないために~|東京電力(10)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(6月4週)―汚水は海に漏れた?-(11)
2013年9月21日福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果(H4エリア周辺)(その2)(PDF 59.0KB)(12)
2013年9月26日福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果(揚水井)(PDF 47.8KB) (13)
2013年9月26日福島第一原子力発電所5・6号機側取水口付近のシルトフェンスの切断状況について (PDF 159KB)(14)
東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響について【午後3時現在】平成25年9月26日(15)
「重点調査地域」も再除染 :: 福島県内ニュース :: KFB福島放送(16)
「再臨界 起きることはない」 第一原発4号機燃料プール 規制庁が見解 | 県内ニュース | 福島民報(17)
2013年9月18日水処理設備の放射能濃度測定結果(PDF 10.1KB)PDF (18)
2013年9月27日ストロンチウム分析におけるβ核種分析装置の適用について(PDF 24.7KB) (19)
東電人材流出続く 退職事故前の3倍 | 県内ニュース | 福島民報(20)
柏崎刈羽原子力発電所6,7号機における新規制基準への適合申請について|東京電力
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- 2013/09/27(金) 21:18:10|
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