東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづき(1)、今週(9月28日から10月4日)もしっかりトラブルが起こっています。
1.多核種除去設備(ALPS)が連続ダウン(福島第一原発)
過去の試験運転で、汚水漏れが生じるなどして回収工事をしていた多核種除去設備(ALPS)の汚染水を使っての試験運転(ホット試験)が9月27日午前0時4分より始まりましたが、同日の20時37分に配管の一部で流れが悪くなり、装置が停止しました(2)。原因は工事用のゴムパッドを装置内に置きっぱなしにしていたために、ゴムパッドがパイプにつまり流れが悪くなったそうです(3)。

※(4)より引用
図―1 装置内に置き忘れたパイプを詰まらしたゴムパッド
完全なポカミスみたいです。
この設備はトリチウム(放射性水素)以外の62種類の放射性物質を汚染水から分離できる装置で(5)、汚染水が漏れた時のリスクを大幅に減らすことができる装置ですが、またダウンって感じです。この装置は当初計画では2012年9月くらいにできる計画でした(6)ので、1年以上も遅れています。この先また、原因調査⇒回収⇒試運転を繰り返すと何時になるんですかね!この装置は最新の計画では12月くらいから本格稼働の予定です(7)が、下手したらと年明け?。他もこのペースで遅れていいったら、当初の廃炉まで30~40年(5)が、100年くらいになんるですかね?
この装置、9月27日に回収を終え、運転を再開しまた(8)が、10月4日に再び停止しまいました(9)。東電の説明を聞いた感じでは
①受け側のタンクがリミット寸前の水量であったが、汚水を混ぜると水面が揺れていたので、空きがると認識されていので、送って良いとの信号が出ていた。
②その後に、受け側のタンクから一杯であるとの信号が出た。
③手動で水を送ろうしたら受け入れのタンクから、受け入れを拒否されシステムダウン
みたいです。
東電は試運転であるのでトラブルがあるのは当たりまえのような事をいってますが(30)、柏崎刈羽の試運転中に事故があっても同じ事をいいそうな気が(=^・^=)はします。
この件に関し、福島県のTV局(FCT)は
「先週再開したばかり 汚染水処理設備「ALPS」2度目の停止」
なんて報道(40)をしています。
2.窒素ガス分離装置が停止
福島第一原発では、水素が発生し「水素爆発」を起こしました(14)。

※(14)をキャプチャー
図-2 水素爆発する福島第一原発1号機
水素爆発を防止するために、福島第一原発では空気中の窒素ガスを取り込み、原子炉に送り込んでいます(15)(16)。

※(15)(16)を元に作成
図―3 福島第一原発の窒素ガス封入装置
10月1日午前10時46分頃、1~3号機の原子炉圧力容器および原子炉格納容器へ送る窒素ガスを空気から取り出す装置(窒素ガス分離装置)の定例データを取ろうとして操作員が誤って停止ボタンを触ってしまい止まってしまいました。
当時、窒素ガス分離装置は2系統が動いていて止まったのは1系統ですが、窒素が取りにくくなったと思います。
3.今週も3号機から湯気
先々週、先週に続き(1)今週も3号機から「湯気」が出ているのが見つかりました。東京電力の発表によると、
10月1日午前7時53分頃から13時55分頃までと10月2日午前7時50分頃に、3号機原子炉建屋5階中央部近傍から、湯気が発生していました(17)(18)。
これまで
9月13日、9月13日、9月15日、9月17日,9月18日、9月2日そして10月1日に見つかっています。湯気が出ている当たりの気象条件を調べたら以下の通りです。

※気象庁の発表(19)を元に作成
※風速、気温は「浪江」のデータ
※「浪江」は福島第一原発から北に10km弱、「富岡」は南に10km強の位置にある。
図―4 10月1日の福島第一原発付近の気象状況
湯気がでる時間には「雨」は降りましたが、濃霧が生じるような急激な気温低下はありません。1,2号機からは「湯気」が確認されてないので、「湯気」は3号機特有のものだと思います。3号機特有の熱源がりそれで湯気が出たと考えられると思います。(=^・^=)が知ってる3号機特有なものは福島原発事故の5ヶ月前から、プルサーマル(プルトニウムを利用した原子力発電)が始まっています。ウラン235は15キログラム以上集まらないと核分裂は再開しませんが、プルトニウム239なら5キログラム集まれま、核分裂反応が起こるそうです(20)。
4「セシウム濃度」3倍以上に 第1原発5、6号機港湾外
福島第一原発では、9月26日に5,6号機のシルトフェンスが切れてしまいました(1)。5,6号機はメルトダウンは起こしていないので(21)、汚染水漏れの心配は少ないですが、5,6号機は冷却の為に「港湾」から海水を汲み上げ「外洋」に放出しているので(22)、1~3(4?)号機からの汚染水が5,6号機側に移動し、5,6号機で汲み上げた港湾内の海水が外洋に放出され外洋を汚染するかが心配する方もいると思います。

※(1)に加筆
図-5 シルトフェンスが無くなって新たに生じる汚染水漏れルート
福島県はシルトフェンスがが切れる前の9月19日と切れた翌日の27日の「外洋」の放射性セシウム濃度を発表しました。1リットル当たりの値で
シルトフェンスが切れる前の9月19日 0.48ベクレル
シルトフェンスが切れた翌日の9月27日 1.62ベクレル
で3倍以上に跳ね上がっていました(23)。
5.ホースを繋ぎ間違え汚染水がタンクの外へ
福島第一原発では、汚染水を保管するタンクの周りを「堰」で囲っています。ところが、台風22号の接近に伴い大雨がふることが予想されていたので、「堰」の水を移す作業をしていました。

※(24)を元に作成
図ー6 2013年10月1日15時の気象衛星画像と天気図
本来はまだ余裕のある別の堰に送るはずでしたが、容量の少ないタンクにホースを繋いでい、そこに汚染水を送り続けたら、タンクから溢れ、外のに漏れていまいました。

※(25)とGoogle Mapから作成
図―7 汚染水漏れがあったタンクの位置と繋ぎ間違えたホース
漏れた汚染水の
総量は5㎥(5トン)
放射性物質濃度は1リットル当たり390ベクレル
です。ただしセシウムは殆どありません。ストロンチウム90だとすると、WHOが飲料水として使ってよいとしているのは
1リットル当たり10ベクレル(26)
ですので約40倍です。以下に東京電力が発表した汚染水漏れの様子と福島県のローカル放送のFTVが報道した汚染水漏れの様子を示します。

(a)東電発表 (b)福島放送(FTV)報道
※(26)(27)による。
※共に撮影元は「原子力規制庁」
図ー8 タンクから汚染水が漏れている様子
共に「原子力規制庁」が撮影したものですが、(=^・^=)にはFTVの報道方が生々しいのですが、状態を良く表していると思います。東電も図ー10(b)は入手できているはずですが、東電からの発表はありません。なんとなく東電のスタンスを表しているような気がします。
6.汚水漏れが大盛況
福島第一原発では9月15日にタンクの周りを囲む「堰」から、雨水がもれだしたばかりですが(28)、10月2日にも、雨が降り「堰」に溜まった雨水が漏れ出ししました。しかも漏れたのは「H8」と「G」の2か所です(29)。この他にタンクからの汚水漏れもありますので、併せて記載します。

※東京電力の発表(29)および会見(30)を元に作成
図―9 汚染水漏れを起こした「堰」や「タンク」の位置
汚水漏れが大盛況って感じです。
このうちH8エリアから漏れた汚染水の
総量は28㎥(28トン)
放射性物質濃度は1リットル当たり15ベクレル
です。6項の汚染水と同じようにセシウムは殆どありませんので、ストロンチウム90等が主成分だと思いますが、WHOの基準(26)を超えています。
この堰にあるタンクは溶接タイプのタンクだそうです(30)。でもセシウムが見つかっていません(29)。福島第一原発の近くの大熊町夫沢で福島県が2011年7月に実施しった放射性物質測定によると、1平方メートル当たり
ストロンチウム90 3,070ベクレル
セシウム134 458万ベクレル
セシウム137 506万ベクレル
で(31)セシウムが圧倒的に多くなっています。一方、タンクの中に保管してある「濃縮塩水」は、1リットル当たりで
ストロンチウム90等のベータ線源 10万ベクレル
セシウム134 18ベクレル
セシウム137 63ベクレル
でストロンチウム90等のベータ線源が非常に多く、タンク内の汚染水の成分と同じです。東京電力は他所の汚染水が、パトロールの為に移動した可能性を指摘しています(30)が、タンクから漏れ出た可能性はないのでしょうか?
以下に大熊町夫沢の位置を示します。

※Google Mapにて作成
図-10 大熊町夫沢
7.タンクから汚染水が溢れた
台風が来るので、堰の水をタンクに移送してたら、タンクから移送中の水が溢れだす事故が起こりました。
溢れ出た水の
総量は 430リットル(30)
ストロンチウム90等のベータ線源 1リットル当たり59万ベクレル
放射性セシウム 1リットル当たり69ベクレル(32)
です。
漏れたのはB南エリアと呼ばれる場所で、2013年9月15日に「堰」から汚染水が溢れています(28)が、それを防止するために「堰」の水をタンクに移す作業していたら、タンクが一杯になり溢れてしまったそうです。
汚水漏れ起こしたタンクはの他に4つ(合計5つ)のタンクがパイプで繋がっていますが、傾向いた土地に設置されています。堰から水が溢れる危険があったので、一番低いタンクにホースで水を移したそうです。水位計は一番高い位置のタンクについているので、一番下のタンクが満水になっても満水の表示はでないので大丈夫と思って水を送り続けたら、溢れてしまったそうです。さらに悪い事に工場の足場がついており、そこを水が伝って堰の外に流れ出たそうです(33)

※東京電力の発表(33)を元に作成
図―11 B南エリアの汚水漏れ
以下に汚水漏れを起したタンクとおおまかな汚水漏れルートを示します。

※(33)(34)にて作成
図ー12 汚水漏れを起したタンク
以下に汚染水漏れを起こしたタンク位置をしますが、直ぐ近くを排水路が通り海の傍(目分量で300m程度でしょうか?)です。

※(33)(35)とGoogle Mapで作成
図ー13 汚染水漏れを起こしたB南エリアの位置
この堰内の水の放射性物質濃度はストロンチウム90等のベータ線源で1リットル当たり
汚染水漏れを起こす前の9月15日 37ベクレル(20)
汚染水を漏らした後の10月2日 20万ベクレル(33)
で4桁程上がっています。汚染水漏れのリスクを冒して、堰の水をタンクに移すべきだったのか疑問に思います。でも、放置して堰から溢れたら、それはそれで「非難」の対象になったとおもす。
まったくの蛇足ですが、この件についてNHKは10月3日19時代の番組で嘘報道を流しています。

(a)NHKの放送 (b)FCTの放送
※(a)はNHKの番組を(=^・^=)がキャプチャー
※(b)は(36)よりキャプチャ
図ー14 B南エリアからの汚水漏れ報道
NHKの報道をみると、汚染水がタンクから勢いよく飛び出しているように見えます。でも、タンクの蓋はには気密性が無いので無理です(30)。外に漏れたのは福島中央テレビ(FCT)が報じるようにちょろちょろもれで足場を伝い堰外に出たものです。NHKの福島原発報道はデタラメって感じです。
8.放射性物質濃度急上昇
7項で記載した汚水漏れについて10月2日11時頃までは「水位の上昇を確認」したとして、暗に汚水が漏れ出したのはその後に漏れたとしています。その30分後に、11時30分に汚水漏れタンクの下流のサンプリングポイント(図ー13参照)での放射性物質濃度が1リットル当たり
840ベクレル
に(37)急上昇しています。

図―15 サンプリングポイントC-2での放射性物質濃度推移
9.地下水バイパスの上流の井戸ではトリチウム(放射性水素)濃度上昇中
東京電力は、汚染水になる前の地下水を事前に汲み上げ海に流すことで、汚染水の発生を抑制する地下水バイパスを計画しています(26)。その山側に井戸を掘って地下水が汚染されてないか調査をしています。そのうち放射性水素であるトリチウム(38)の濃度が「E-5」の井戸で急上昇しています。

※(39)などで作成
図ー16 E-5のトリチウム濃度推移
以下に井戸の位置を示します。

※(39)に加筆
図ー17地下水観測用の井戸
またE-1のトリチウム濃度は高いままです。

※(39)なので作成
図ー18 E-1のトリチウム濃度推移
<余談>
まずはお詫びします。記事が長くなってすいません(__)。でもそれだけトラブルが多いんです。何がコントロールされているんですかね。

※(24)より転載
図ー19 「コントロールされている」と世界に向かって「嘘」をつく安倍総理と、「なにがコントロールしているのか」と叫ぶ福島県の漁師さん
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(9月4週)―タンク堰の溜り水を放置-(2)
東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響について平成25年9月28日(3)
多核種除去設備 C系スラリー移送ポンプ流量低下について(PDF 107KB)(4)
東京電力 写真・動画集| 多核種除去設備 C系スラリー移送ポンプ流量低下について(5)
多核種除去設備 (ALPS)|東京電力(6)
東京電力(株)福島第一原子力発電所1~4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ(概要版)(538KB)PDF (7)
2013年9月25日多核種除去設備バッチ処理タンクからの漏えいを踏まえた原因と対策(PDF 171KB) (8)
東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響について|東京電力(8)
2013年10月4日多核種除去設備C系統ホット試験時の「工程異常」の警報発生について(PDF 42.4KB)PDF (9)
2013年10月1日
福島第一原子力発電所 H5エリア東側のH6エリア用ノッチタンクからの溢水について(PDF 193KB (10)
東京電力 写真・動画集| 福島第一原子力発電所 H5エリア東側のH6エリア用ノッチタンクからの溢水について(11)
2013年10月1日(汚染水対策検討WG第7回資料)汚染水貯留タンクからの漏えいについて(PDF 5.18MB)PDF (12)
福島第一原子力発電所 H5エリアタンク東側に設置している堰内の水を貯留しているノッチタンクからの溢水について(続報)|東京電力(13)
2013年9月30日福島第一原子力発電所タンク堰内溜まり水の回収・排水の運用方針及び設備対策(案)について(PDF 146KB) (14)
1号機水素爆発vs3号機?vs小型核爆発の比較 - YouTube(15)
福島第一原子力発電所窒素供給設備異常時対応訓練の実施について(PDF 651KB)(16)
[PDF]福島第一原子力発電所2号機 原子炉格納容器ガス管理 ... - 東京電力(17)
東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響について|東京電力(18)
東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響について|東京電力(19)
気象庁 | 過去の気象データ検索(20)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(9月3週)―福島第一原発から湯気が3回-(21)
福島第一原子力発電所事故 - Wikipedia(22)
外洋に1日600億ベクレル放出 福島第1原発放水口から - 中国新聞(23)
「セシウム濃度」3倍以上に 第1原発5、6号機港湾外(福島民友ニュース)(24)
浜通り(小名浜)の過去の天気 - Yahoo!天気・災害(25)
2013年10月2日福島第一原子力発電所H5エリア東側のH6エリア用ノッチタンクからの溢水について(続報)(PDF 379KB)(25)
地下水バイパスの取り組みについて~汚染水を増やさないために~|東京電力(26)
東京電力 写真・動画集| 福島第一原子力発電所 H5エリア東側のH6エリア用ノッチタンクからの溢水について(27)
福島のニュース 福島テレビ(10月2日放送) - YouTube(28)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(9月2週)―安倍出戻り総理が世界に向かって「嘘」をつく-(29)
東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響について|東京電力(30)
映像|写真・映像ライブラリー|東京電力(31)
土壌の放射線モニタリング(放射性ストロンチウム、プルトニウム)調査結果(PDF:3,458KB)(24.4.6更新)のNo46
(32)
2013年9月18日水処理設備の放射能濃度測定結果(PDF 10.1KB)(33)
2013年10月3日B南エリアタンクからの漏えいについて(訂正版)(PDF 421KB(34)
2013年10月3日福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果(南放水口・排水路)(その2)(PDF 70.4KB)PDF(35)
東京電力 写真・動画集| B南エリアタンクからの漏えいについて(36)
福島中央テレビ [FCTニュース](37)
2013年10月2日福島第一原子力発電所H5エリア東側のH6エリア用ノッチタンクからの溢水について(続報)(PDF 379KB) (38)
めげ猫「タマ」の日記 トリチウムは放射性水素(39)
2013年10月4日福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果(H4エリア周辺)(PDF 55.3KB(40)
福島中央テレビ [FCTニュース]
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- 2013/10/04(金) 21:38:17|
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