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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

海水は検査してもお魚を検査しない福島県

 福島県は「ベータ線を出す放射性物質」が
  海水1リットル当たり0.02~0.23ベクレル
見つかったと発表したそうです。これについて福島県は影響がないとしています(1)。「ベータ線を出す放射性物質」は概ねストロンチウム90由来です(2)。仙台湾の海水の放射性セシウム濃度を水産庁が発表していますが(3)、その値は
  海水1リットル当たり0.0073~0.149ベクレル
です。同海域のお魚からは厚生労働省発表(4)を集計すると最大で
  1キログラム当たり 730ベクレル
のお魚(宮城県亘理町沖クロダイ)が見つかっています。海水濃度の5000倍です。同じことが起こるとすると
  1キログラム当たり1000ベクレル
の「ベータ線を出す放射性物質」を持ったお魚が出てきそうです。でも魚の検査はなさそうです。
 仙台湾は、東北地方の太平洋に面した、宮城県石巻市の牡鹿半島黒崎と福島県相馬市鵜ノ尾崎の間の湾です(5)。仙台湾で水産庁は2012年8月1日と2日に海水を採取して、放射性セシウム濃度の結果を発表しています。
 ※1(3)中の「仙台湾の海水・海底土の調査結果(平成23年10月10日)(PDF:53KB)」と「仙台湾の海水・海底土の調査結果(地図)(平成23年10月10日)(PDF:152KB)」で作成
brg131014a.gif
 ※2 サンプル採取は2012年8月1日、2日
 ※3 セシウム134と137の合計値で、値は海水1kg当たり
 図―1 仙台湾の海水中の放射性セシウム濃度と採取位置
 
 サンプルの前後の2012年4月~11月について近くの宮城県亘理町沖合のお魚の放射性セシウム濃度分布をまとめてみました。
brg131014b.gif
 ※1 厚生労働省の発表(1)を集計
 ※2 集計期間は2012年4月~11月
 図―2 宮城県亘理町沖のお魚の放射性セシウム濃度分布

1キログラム当たり
  最大で730ベクレル
  平均で 93ベクレル
です。最大同士を比較すると5000倍になります。同じことが起こるとすると
  1キログラム当たり1000ベクレル
の「ベータ線を出す放射性物質」を持ったお魚が出てきそうです。
 福島第一原発では今も放射性物質の海への流出が続いています。
brg131007a.gif  brg131007c.gif
 (a)放射性セシウム          (b)全ベータ               
  ※1 (6)より転載
  ※2 トリチウムは放射性水素(7)
  ※3 全ベータとはストロンチウム90ストロンチウム90等のベータ線を出す放射性物質(2)
 図―3 福島第一原発港湾内遮水壁近の放射性物質推移

どちらも増えていますが、放射性セシウムに比べ、ストロンチウム90由来の全ベータが大きくなっています。9月中の平均をとると1キログラム当たりで
 セシウム(134+137合計) 73ベクレル
 全ベータ           401ベクレル
で全ベータの濃度がセシウムの5.5倍です。
厚生労働省はストロンチウム90の検査は不要としています(8)。その理由について茨城県は
「環境中のストロンチウムとセシウムの濃度は比例関係にあり,原発事故に起因する海水中のセシウムとストロンチウムの濃度は10:1程度と想定されています。」
と説明しています(9)。セシウムの5倍も出ているのの10:1はないと思います。このまま汚染水が広がれば、少なくとも福島の海はセシウムよりストロンチウム90等に酷く汚染されます。
 福島県沖のシラスの操業が始まり10月14日は市場に出るそうです。シラスは船曳網と呼ばれる方法で漁をするそうです。その海域は福島第一原発の20km際まで来ています(10)。
brg131012d.gif
  ※(10)より転載
 図―4 福島県沖のシラスの操業海域

 
 シラスはとっても「カルシウム」の豊富なお魚だと思います。
brg131012e.gif
 ※(10)より転載
 図―5 お魚100g当たりの「カルシウム」と「カリウム」の量

「放射性ストロンチウムは生体内ではカルシウムと同じような挙動をとる」そうです(11)。カルシウムが豊富なシラスには放射性ストロンチウムも一杯ありそうな気がします。でも検査結果を(=^・^=)知りません。以下に福島県沖の特定地点(北緯37度15分、東経141度13分)で捕獲されたお魚のカルシウム含有量とストロンチウム90の量をしめします。
brg131012g.gif
  ※1(3)中の「水産物の放射性物質の調査結果(ストロンチウム)(平成25年8月1日更新)(PDF:70KB)」と図―5にて作成
  ※2 この地点のみ3種あったので選択
 図―6 福島県沖特定のお魚のストロンチウ90検査結果

 カルシウム含有量の多いお魚ほど、ストロンチウム90の含有量が多くなっています。福島県沖のお魚のストロンチウム90汚染が心配です。でも、福島県は今年度の測定値の範囲内で、特別な影響は考えにくい」としているそうです(1)。

<余談>
 福島県は福島産品は確り検査されており「安心」「安全」だと主張しています(12)。2013年10月12日に福島県は「消費者理解の推進による本県(福島県)の風評被害払拭(ふっしょく)を目指し、大阪市福島区で開かれているイベントで、本県の農産物の安全性や放射性物質検査の取り組みなどを紹介した。」(13)そうです。そんな事をするより、シラスの全ベータ検査をした方が、よっぽど消費者の信頼が得られる(=^・^=)は思いますが。ひょっとして怖くてできなかったりして・・・


―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)「影響考えにくい」汚染水漏れで県、海水調査結果公表 | 東日本大震災 | 福島民報
(2)めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質
(3)水産庁/水産物の放射性物質調査の結果について
(4)報道発表資料 |厚生労働省
(5)仙台湾 - Wikipedia
(6)めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発、遮水壁は効果なし?
(7)めげ猫「タマ」の日記 トリチウムは放射性水素
(8)食品中の放射性物質への対応|厚生労働省
(9)本県水産物に係る放射能関係情報(平成25年10月09日現在)
(10)めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(10月2週)―今年(2013年)もセシウム汚染米
(11)ストロンチウム - Wikipedia
(12)福島県ホームページ - 組織別 - 農林水産物のモニタリングに関する情報
(13)大阪で安全性アピール 本県農産物の風評被害払拭へ(福島民友ニュース)
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  1. 2013/10/14(月) 20:34:05|
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