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めげ猫「タマ」の日記

一寸気になったどうでもいい事を記事に

放射性物質が見つからなくても汚染魚は生まれる。

 安倍出戻り総理は10月22日に「モニタリングの結果は基準値をはるかに下回る数値しか出ておらず、汚染水の影響は完全にブロックされている」と発言しました(1)。東京電力はその根拠として、福島第一原発の港湾外ではセシウムなどの放射性物質が見つかっていないことを挙げています(2)。でも本当に正しいのでしょうか?
 東京電力の発表や報道をまとめると、福島第一原発から安倍出戻り総理がブロックされているとする「港湾」外へ少なくとも3つのルートで汚染水が漏れていると思います。
brg131022a.gif
 ※(3)参考にGoogle Map等で作成
 図―1 福島第一原発の汚染漏れルート

①汚染された地下水が「港湾」内にもれ、「港湾」の出入り口から外に
②タンクから漏れた水や雨水が地上の放射性物質に汚染され、排水路を伝い海へ
③5,6号機で港湾からくみ上げた冷却水を使用後に海へ
です。でも東京電力の発表(4)では放射線物質は殆ど見つかってません。
 福島県に「沼沢湖」とゆうカルデラ湖があります(5)注1。でもそこのヒメマスからは基準値を超える放射性セシウムが見つかっています(6)(7)。
 航空機モニタリングの結果(8)を見ると仁沼沢湖付近を1平方メートル当たり3万ベクレルの放射性セシウム(134と137の合計)の境界線がはります。
brg131022b.gif
 ※(8)に(=^・^=)が加筆
 図―2 沼沢湖付近の放射性セシウム降下密度

沼沢湖では概ね
 1平方メートル当たり3万ベクレル
の放射性セシウムが降り注いだと推定できます。沼沢湖の最大水深は96mです(9)が、類似のカルデラ湖の値から推定し平均水深は半分程度だと思います(注2参照、沼沢湖の平均水深ないし貯水量のデータが見つけられませんでした。ご存じの方がいたら書き込みをお願いします)。48㎥の水(1㎡×48m(水深))に3万ベクレルの放射性セシウムが降り注いだことになります。48㎥は4万8千リットルですので、放射性セシウム濃度は
 1リットル(1kg)当たり0.6ベクレル(3万ベクレル÷4万8千リットル)
です。東京電力の測定での検出限界は
 1リットル(1kg)当たり3ベクレル程度(4)ですので見つかる訳はありません。
これまでの沼沢湖ヒメマスのからは最大で
 1キログラム当たり200ベクレル
もの放射性セシウムが見つかっています(6)。
brg131022c.gif
 ※ (7)を集計
 図―3 沼沢湖のヒメマスの放射性セシウム濃度推移

3.どうしてこんなに汚染されると
 何故、ヒメマスがセシウムを取り込んだのかはいまだよくわかっていないみたいです。ひとつの仮説として「湖底にセシウムを含んだ汚泥がたまり、そこで育った餌となるユスリカを食べているのではないか」があるそうです。
 東京電力がセシウム濃度の高い地下水(海岸側の井戸かが採取)をろ過して再度の計測したらセシウム濃度が大幅に下がったとのデータを発表しています(11)。
brg131022d.gif
 ※(10)より作成
 図―3 ろ過前後の地下水中のセシウム濃度比較
 
 ろ過で無くなるので、水の中のセシウムは水に溶けて存在せず、微粒子として浮遊して存在します。この微粒子はやがて湖底に沈みます。湖底の体積速度は、湖によって異なるとおもいますが、たとえば
 穴道湖 1㎡当たり年間 160-170g(12)
 中海  1㎡当たり年間 440-650g(12)
である。最大の650gをとり、沼沢湖のヒメマスが1年でピークに達しているので1年以内に積もったとすると、海底の層には
 1キログラム当たり4万6千ベクレル(3万÷0.65kg)
の高濃度の放射性セシウム層ができることになります。もちろん、別の湖のデータを持ってきたので、大幅な狂いはあるとおもいますが1桁低くても1キログラム当たり5000ベクレルにはなります。
 ユスリカの幼虫は河床の底に棲み、有機物を食べて成長していきます(13)。体長は4-5mmですので(12)、砂の奥の餌は食べれないと思います。
 ヒメマスは「動物プランクトンのボスミナ類、ミジンコ類やユスリカ幼虫、<略>小魚を餌」とします(14)。湖底に棲む小魚やユスリカの幼虫が放射性セシウムで汚染され、これを食べたヒメマスが汚染されても不思議はないと思います。
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 ※(14)をキャプチャー
 図―4 沼沢湖の海底をおよぐ小魚


<余談>
本来であれば沼沢湖でなく、海で試算すべきとの意見もあると思いますが、沼沢湖は(=^・^=)の試算では割とクローズした水域です(15)。それで計算がしやすいので選びました。でも、程度に差はありますが海でも同じ事がおこっていると思います。
 NHKは10月22日19時代の番組で、福島沖の外洋で放射性物質が見つかったことに対して(19)、環境への影響はないとのコメントを無批判で流していました。
brg131022g.jpg
  ※2013年10月22日19時台の放送をキャプチャ
 図-5 放射性物質が見つかっても影響がないと平気で報道するNHK

 「報道機関は権力機構、権力者のチェック役」といわれるそうです(18)。NHKはその役割を放棄したと思います。でもTVを持っているとの理由で、受信料と称し(=^・^=)からカツアゲをするNHKには存在意義はありません。
 

<注記>
注1)沼沢湖のある福島県金山町によると、沼沢湖の 放射性セシウム(Cs-137)(Cs-134) 1.33±1.88Bq/kgです(5)。測定の中心が誤差より大きなっているので、検出限界未満で、放射性セシウムは見つかっていません。普通の書き方をすると
 1リットル当たり3ベクレル以下
になります。

注2)日本のカルデラ湖をみると、平均水深は最大水深の50%程度である。
付表―1 日本のカルデラ湖の面積、最大水深、貯水量、平均水深
brg131022f.gif
※1(9)(10)(田沢湖)より集計
 ※2平均水深は貯水量(km))÷面積(km2)×1000(kmとmの単位の補正)で計算
 ※3 ※2の結果と最大水深に対する割合で「平均/最大 水深」を計算

注3)堆積速度は測定方法でも違いがでそうである。(17)では鉛210とセシウム137での測定を記載しているが、本記事のテーマがセシウムなのでセシウム137での測定の値を使用
 

―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
(1)福島第1原発の汚染水、完全にブロックされている=安倍首相 | Reuters
(2)汚染水問題に関する当社関連報道について|東京電力
(3)めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(9月3週)―福島第一原発から湯気が3回-
(4)福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の核種分析結果
(5)報道発表資料 |厚生労働省
(5)沼沢湖 - 金山町ホームページ
(6)第三部 未知への挑戦(18) 再開への船出 ヒメマスの謎に困惑 | 東日本大震災 | 福島民報
(7)報道発表資料 |厚生労働省
(8)航空機モニタリングマップ - 放射線情報 - Yahoo! JAPAN
(9)日本の湖沼一覧 - Wikipedia
(11)2013年9月20日タービン建屋東側における地下水および海水中の放射性物質濃度の状況等について(PDF 979KB)PDF
(12)[PDF]中海・宍道湖の底質堆積物特性とそこに記録された環境変化: 我
(13)ユスリカとは
(14)ヒメマス - Wikipedia
(15)沼沢湖の~綺麗な湖底にカジカがいっぱい 2010年8月 - YouTube
(16)めげ猫「タマ」の日記 第二沼沢発電所再開?―セシウムは下流へ!
(17)AKITA木の國・水の國
(18)福島第1原発沖1キロの港湾外、再びセシウム検出  :日本経済新聞
(19)第57回 新聞週間
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  1. 2013/10/22(火) 20:44:29|
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