東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづき(1)、今週(11月9日から15日)もしっかりトラブルが起こっています。
1.今週も「湯気」
先週に続き、今週も福島第一原発3号機原子炉建屋5階中央部からの湯気が出ています。
①11月9日午前8時から15時頃まで(2)(3)
②11月12日午前7時51分頃から13日15時25分頃(4)(5)
③11月14日午前午前7時51分頃から午前7時51分頃(5)(6)
近々では
9月は13日、15日、17日,18日、26日
10月は1日、2日、5日、8日、10日、16日、18日、19日、20日、22日、29日,30日
11月は1日、6日、9日、12日、14日
に湯気が見つかっています(1)(2)(4)。
2.堰から汚水漏れ
福島第一原子力発電所で9日、汚染水のタンクを囲むせきから水が漏れているのが見つかり、せきの水からは国の海への排出基準を超える1リットル当たり
140ベクレルの
放射性物質(ストロンチウム90)が検出さたそうです(3)。

※(7)を引用
図―1 11月9日の汚水漏れ跡
汚水漏れを起こしたのはH6北エリアで、その位置を示します。

※(7)(8)(9)およびgoogle Mapから作成
図-2 汚染水が堰から漏れたH6北エリア
そばには「排水溝」が排水溝が走っています。大丈夫ですかね
3.外洋からセシウム
8月に汚染水漏れをしたタンクや11月9日の汚染水漏れを起こした堰の傍には排水溝があります(図―2参照)。排水溝の南側の「南放水口」付近の海水から、放射性セシウムが見つかりました。
11月9日 1リットル当たり11.6ベクレル(7)
11月12日 1リットル当たり 2.1ベクレル(9)
11月13日 1リットル当たり 2.0ベクレル(10)
です。海水浴場のセシウムの基準値は10ベクレルですので、完全な基準値超えです。安倍出戻り総理は「基準値をはるかに下回る値だ」と言ったばかりですが(7)。以下にこれまでの「南放水口」付近の海水の放射性セシウム濃度の推移を示します。

※ (11)中の「福島第一原子力発電所構内H4エリア、Bエリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果(南放水口・排水路)」より作成
図―3「南放水口」付近の放射性セシウム濃度推移
4.福島第一原発井戸から最高値の放射性物質
福島第一で8月に汚染水漏れを起こしたタンクの傍に東電は井戸E-1を掘り放射性物質の濃度を測定しています。東電の発表(12)によると11月10日に
1リットル当たり71万ベクレル
のストロンチウム90由来の全ベータ(13)が見つかったそうです。11月2週までの最高値は
1リットル当たり40万ベクレル
ですので、記録の更新です。
以下に井戸E-1の放射性物質濃度の推移を示します。

※ (11)中の「福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果(H4エリア周辺)」より作成
図―4 井戸E-1の放射性物質濃度推移
図―2を見てわかる通り井戸E-1の傍には海に繋がる排水溝が走っています。排水溝の南側では3項に記載の通り基準を超える放射性セシウムが見つかっています。
5.傷ついた核燃料棒を25年も放置
福島第一原発の核燃料プールからの「燃料棒」の取り出しが間もなく始まるみたいです(14)。でも、この中に損傷して取り出せない燃料が3体あることが分かったそうです。
うち2本は10年前にプール内に混入した異物が燃料に接触し、「ピンホール」という穴が開た物です。
残りの1本は、約25年前に作業員の操作ミスで「く」の字に折れ曲がったものです。
曲がった核燃料を25年も放置したり、穴のあいた核燃料棒を10年も放置したことになります(15)。
6.格納容器に繋がる配管から「汚水漏れ」
福島第一原発1号機の原子炉建屋の底にたまった水の水面に無人のボートを打浮かべ様子を観測したら、格納容器に繋がる配管から汚染水が漏れているのが見つかりました(16)。

※ (16)(17)より作成
図―5 汚染水漏れが見つかった大まかな位置
以下に漏れている様子を示します。

7.新たなタンクから汚水漏れ
11月15日午前8時50分頃、汚染水タンクパトロールをしていた下請けさんが、福島第一原子力発電所構内G6南エリアのG6―C3タンクの下2段目のフランジ部より4秒に1滴程度の汚染水が漏れているのを見つけました(6)。
タンクを囲む堰の水は
1リットル当たり5200ベクレル
の放射性物質(ストロンチウム由来の全ベータ)で汚染されました。

※(19)よりキャプチャー
図―7 汚染水漏れを起こしたタンク位置
<余談>
原子力規制委員会は東京電力柏崎刈羽原子力発電所の「安全審査」を始めることを決めましが、新潟県知事は「「汚染水漏れは止まっていない。なぜ審査を止めていたのか、なぜ始めるのか、聞かないと分からない」とコメントしたそうです(20)。県益を考えればしかたのない発言だと思います。
柏崎刈羽原子力発電所は新潟県にありますが、新潟県に電気を供給しているのは東北電力です。
※(21)に加筆
図―7 電力会社の勢力地図
新潟県の電力にも電気料金にも関係ありません。まして柏崎刈羽原子力発電所は地震で放射性物質漏れを引き起こし、大変な風評被害を引き起こした(22)前科があります。でも風評被害の補償したとのニュースは知りません。メリットが無いのにリスクだけ採ることは普通はしないと思います。まして福島原発は相変わらずボロボロです。
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(11月2週)―今週も湯気-(2)
2013年11月9日東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響について 【午後3時現在】(3)
2013年11月10日東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響について 【午後3時現在】 (4)
2013年11月12日東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響について 【午後3時現在】 (5)
2013年11月14日東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響について 【午後3時現在】(6)
2013年11月15日東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響について 【午後4時現在】 (7)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発近くの「外洋」から基準超えのセシウム(8)
第8回特定原子力施設監視・評価検討会汚染水対策検討ワーキンググループ|会議|の「資料2」
(9)
2013年11月13日福島第一原子力発電所構内H4エリア、Bエリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果(南放水口・排水路)(10)
2013年11月14日福島第一原子力発電所構内H4エリア、Bエリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果(南放水口・排水路)(PDF 127KB) (11)
報道配布資料|東京電力(12)
福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果(H4エリア周辺)(13)
めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(14)
2013年11月13日福島第一原子力発電所4号機使用済燃料プールからの 使用済燃料取り出し作業について(訂正版)(PDF 453KB) (15)
損傷の燃料3体 福島第一原発4号機プール | 県内ニュース | 福島民報(16)
2013年11月13日福島第一原子力発電所1号機ベント管下部周辺の調査結果について(1日目)(PDF 193KB) (17)
発電所の概要|原子力|東京電力(18)
東京電力 写真・動画集| 福島第一原子力発電所1号機ベント管下部周辺の調査結果について(1日目)(19)
福島中央テレビ [FCTニュース](20)
規制委審査開始に懸念 柏崎刈羽原発、新潟知事 - MSN産経ニュース(21)
災害時における連携に関する協定を締結しました|東京電力(22)
柏崎刈羽原子力発電所 - Wikipedia
スポンサーサイト
- 2013/11/16(土) 09:31:53|
- -
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0