12月3週(16日から22日)の状況をまとめてみます。先週に続き汚染水が見つかっています(1)。
①外洋(南放水口付近)などがらストロンチウム90由来(2)の全ベータ
②雨が降ると濃度が上がる排水路の汚染水
③海の傍の井戸がら高い濃度
なんてことがありました。今週の注目点は以下の通りです。

※1 東京電力の発表(3)を元に作成
※2 値は1リットル当たりのベクレル数
図―1 12月3週発表分の最高値
1.外洋から全ベータ
東京電力の発表によると、港湾外側の2カ所の海水から、ストロンチウム90に由来する全ベータなどの放射性物質が見つかりました。海水1リットル当たりで
北側の5、6号機放水口北側(12月16日採取)
全ベータ8.9ベクレル
南側の南放水口付近(12月16日採取)
セシウム137 1.8ベクレル
全ベータ 13ベクレル
です(4)。これまでの結果を発表を見ると(5)、全ベータが見つかったのは初めてみたいです。
来春から福島第一原発南側のいわき市沖で「小女子」の漁を再開するそうです(6)。

※(7)より転載
図―2 いわき市の位置と付近の海流
「小女子は低カロリーで「カルシウム」「タンパク質」が豊富な商品です。<略>小女子には100g当たり580mgのカルシウムが含まれています。」(7)とのことです。「放射性ストロンチウムは生体内ではカルシウムと同じような挙動をとる。」(8)そうです。いわきの「小女子」大丈夫ですかね・・・。
2.雨が降ると上昇する排水路の放射性物質濃度
気象庁のデータをみると、福島第一原発北8km程ににあるアメダス観測点「浪江」で、12月19日に10.5mm、20日には43.5mmの雨が降りました(9)。そしたら、福島第一原発内の排水路の放射性物質濃度もあがったみたいです。

※(10)(11)で作成
図ー3 排水路(C2地点)の全ベータの推移
雨が降ると、雨水とともに放射性物質も排水路に流れ、濃度が上昇するって感じです。図ー1に示す通り、この排水路は海に繋がっています。放射性物質はそのまま海にでたような気がします。
3.タンクの堰から汚染水漏れ
東京電力の発表(12)(13)によると、汚染水を貯めたタンクを囲む堰から汚染水が漏れ出したそうです。
①12月21日午後4時15分頃、H5タンクエリア西側の堰の基礎の継ぎ目部から、堰外へ汚染水が漏れているのが見つかりました。漏れた量は1.6㎥で、汚染水からは1リットル当たり全ベータが570ベクレル、ストロンチウムが90ベクレル見つかっているそうです。エリアについては図-1を見てください。
以下に汚水漏れの様子を示します。

※(14)より引用
図ー4 タンクを囲む堰から流れでる汚染水(H5エリア)
なんか、堰の底に「穴」が開いて、そこから流れ出ているって感じです。
②12月22日午後4時33分頃、G6北タンクエリア北側においても、堰の下部より汚染水が流れてでいるのが見つかりました。なんでも堰に発生したヒビがあったそうです。汚染水からは1リットル当たり21ベクレルの全ベータが見つかったそうです(12)。G6北の位置は図―1を見てください。
東京電力は「海への流出はないものと考えております。」といっていますが、漏れた放射性物質は雨が降れば流されていずれ海に行くと(=^・^=)は思います。
3.汚染水を汲み上げても濃度は下がらず
福島第一原発では今年(2013年)8月に汚染水タンクから300トン程の汚染水漏れが発覚しました(15)。そこで、汚水漏れを起こしたタンクの傍に井戸を掘って地下水の放射性物質濃度を監視していますが、なかなか下がらので井戸の周りの地下水を汲み上げています(1)。以下に汲み上げ再開後のE-1井戸の全ベータ濃度をしめしますが、なかなか下がりません。

※(16)による
図-5 E-1井戸の全ベータ濃度推移
汲み上げを再開したのですが、殆ど変化がありません。値も1リットル当たり1万5000ベクレル程度で高い値です。一度、外に漏れた汚染水を回収するのは大変みたいです。そのうち海にながれるんでしょうね・・・
4.海岸の井戸からも高濃度の汚染水
海岸の近くに掘られた井戸からも高濃度の汚染水が見つかっています。このうち、1リットル当たりで
No1-16井戸 160万ベクレル
No0-3-2井戸 6万3000ベクレル
の全ベータが見つかりました。井戸の位置は図―1にある通りです。
以下にNo1-16井戸の全ベータの推移を示します。

※(5)より作成
図ー6 No1-16井戸の全ベータ推移
上昇傾向は止りましたが、高止まりって感じです。
以下にNo0-3-2井戸の放射性物質濃度の推移を示します。

※(5)より作成
図―7 No0-3-2井戸の放射性物質濃度推移
全ベータが高い値がでたのは1回だけなので東京電力は分析を間違えた(分析に中に他の放射性物質が混じり高い値になった)と言っていますが、もしそうならその物質はどこから来たのかきになります。
<余談>
いままで福島第一原発のトラブル報告に汚染水も含めていたのですが、福島第一原発のトラブルが多く記事が長くなってしまうので、汚染水を独立させる事にしましたのですが、この記事自体が長くなってしまいまいました。それだけ、福島第一原発の汚染水問題は深刻ってことでしょうか・・・・
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(12月2週)―180万ベクレル-(2)
めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(3)
報道配布資料|東京電力(4)
福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果の「1.海水(港湾外近傍)」の12月22日付発表(12月23日に閲覧)
(5)
2013年12月20日タービン建屋東側における地下水および海水中の放射性物質濃度の状況等について(PDF 1.06MB)PDF(6)
コウナゴ漁再開目指し来春にも試験操業 いわき市漁協 | 県内ニュース | 福島民報(7)
めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(12月2週)―宮城県産汚染シイタケ流出ー(8)
おさかなラボ : 小女子(こうなご)(9)
ストロンチウム - Wikipedia(10)
気象庁 | 過去の気象データ検索(11)(6)中の「福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果(南放水口・排水路) 」を集計
(12)
2013年12月22日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在(13)
2013年12月23日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】 (14)
東京電力 写真・動画集| 福島第一原子力発電所H5タンクエリアの堰からの漏えい(15)
第3回特定原子力施設監視・評価検討会汚染水対策検討ワーキンググループ|会議|中の「資料1H4タンクエリアにおける漏えいについて[東京電力]【PDF:2.0MB】」
(16)(6)中の「福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果 (H4エリア周辺)」を集計
スポンサーサイト
- 2013/12/23(月) 20:41:12|
- -
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0