12月3週(22日から28日)の状況をまとめてみます。先週に続き高濃度の汚染水が見つかっています(1)。
①外洋2カ所などがらストロンチウム90由来(2)の全ベータ
②海岸近くの井戸から1リットル当たり210万ベクレルの全ベータ
③排水路の全ベータ濃度は上昇中
なんてことがありました。今週、(=^・^=)が注目したのは以下の通りです。

※1 東京電力の発表(3)を元に作成
※2 値は1リットル当たりのベクレル数
図―1 12月4週発表分の最高値
1.外洋から全ベータ
東京電力の発表によると、港湾外側の2カ所の海水から、ストロンチウム90に由来する全ベータなどの放射性物質が見つかりました。海水1リットル当たりで
北側の5、6号機放水口北側(12月23日採取)
セシウム137 0.99ベクレル
全ベータ 12ベクレル
南側の南放水口付近(12月24日採取)
セシウム137 0.69ベクレル
全ベータ 12ベクレル
です(4)。先週に続き全ベータが見つかっています(1)。気になるのは、北側の5、6号機放水口北側の全ベータです。1リットル当たりで
先週(12月16日採取) 8.9ベクレル
今週(12月23日採取)12ベクレル
で上昇しています。
来春から福島第一原発南側のいわき市沖で「小女子」の漁を再開するそうです(5)。

※(6)より転載
図―2 いわき市の位置と付近の海流
「小女子」は低カロリーで「カルシウム」「タンパク質」が豊富な商品です。<略>小女子には100g当たり580mgのカルシウムが含まれています。」(7)とのことです。「放射性ストロンチウムは生体内ではカルシウムと同じような挙動をとる。」(8)そうです。いわきの「小女子」大丈夫ですかね・・・。
2.海岸の井戸から210万ベクレルの全ベータ(記録更新)
海岸の近くに掘られたNo1-16井戸から1リットル当たり210万ベクレル全ベータに汚染された汚染水が見つかっています(9)。これまでの最高記録みたいです。
以下にNo1-16井戸の全ベータの推移を示します。

※(9)より作成
図ー2 No1-16井戸の全ベータ推移
どんどん上昇している感じです。図―1見てわかる通り、この井戸は海の傍にあります。そのうち、海に流れ出しような(あるいは今も流れだしているかも)気がします。先週から外洋で全ベータが見つかるようになっています。
3.雨が降ると上昇する排水路の放射性物質濃度
気象庁のデータをみると、福島第一原発北8km程ににあるアメダス観測点「浪江」で、12月19日に10.5mm、20日には43.5mmの雨が降りました(9)。そしたら、福島第一原発内の排水路の放射性物質濃度もあがったみたいです。

※1(10)(11)で作成
※2 「ND」は未検出(検出限界未満)を示す。
図ー3 排水路(B3、C2地点)の全ベータの推移
雨が降ると、雨水とともに放射性物質も排水路に流れ、濃度が上昇するって感じです。図ー1に示す通り、この排水路は海に繋がっています。放射性物質はそのまま海にでたような気がします。
今は減少傾向ですが、また雨が降れば同じ事が起こると(=^・^=)は思います。
4.トリチウム濃度が上昇中
トリチウムは放射性水素で実態としては放射性の「水」として存在します。これについて東京電力は1リットル当たり6万ベクレルまで問題ないとしています。(=^・^=)の計算ではエネルギーはセシウム137の30分の程度ですし、殆どが水ですので、摂取しても体の外に直ぐに出るとしています(12)。
一方、トリチウムは放射性セシウムやストロンチウム90と異なり、DNAに取り込まれる危険があり、シーベルトで測った同じ被ばく線量でも影響が大きいとの意見もあります(13)(14)。(=^・^=)はどっちが分かりませんが、とりあえずトリチウムの濃度が上昇している井戸水があるので報告します。
福島第一原発では今年(2013年)8月に汚染水タンクから300トン程の汚染水漏れが発覚しました(15)。そこで、汚水漏れを起こしたタンクの傍に井戸を掘って地下水の放射性物質濃度を監視しています(16)、その井戸の一つのE-3でトリチウムの濃度がじわじわ上昇し、12月26日に1リットル当たり1500ベクレルのこの井戸の観測開始以来の最高記録をマークしました。

※(16)を集計
図―4 E-3井戸のトリチウム濃度推移
この井戸の海側(下流)には地下水バイパス用の井戸があります。地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(17)が、山側(上流)で汚染水漏れが起こり事実上破たんしてます(18)。この地下水バイパス用の井戸のうちNo12井戸のトリチウム濃度がじわじわ上昇し、12月24日に採取した水からは1リットル当たり1000ベクレルのこの井戸の観測開始以来の最高記録をマークしました。

※(19)を集計
図ー5 地下水バイパスNo12井戸のトリチウム濃度推移
福島第一原発の汚染水問題が地下水バイパスで片付いたとしても、1リットル当たり1000ベクレルのトリチウムを海に流し続けるなら、(=^・^=)は福島のお魚は食べないと思います。
海岸の傍にあるNo0-2井戸(位置は図―1参照)の水のトリチウム濃度が11月末から急に上昇し、12月15日には観測以来の最高記録の1リットル当たり2,500ベクレルを記録しました。海の傍に井戸なので、海に漏れたのは間違いないと思います。
<余談>
福島第一原発付近の地下水の流速は1日10cm程度だそうです(20)。汚染水が溜まっているタービン建屋から海までの距離は地図で見ると100mちょっとです。今日(2013年12月29日)で福島原発事故から1024日目です。そろそろ海に到達しそうです。これから汚染水漏れが本格化?なんて気が(=^・^=)にはします。
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(12月3週)―外洋からストチウム90由来の全ベータ-(2)
めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(3)
報道配布資料|東京電力(4)
福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果の「1.海水(港湾外近傍)」の12月28日付発表(12月29日に閲覧)
(5)
コウナゴ漁再開目指し来春にも試験操業 いわき市漁協 | 県内ニュース | 福島民報(6)
めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(12月2週)―宮城県産汚染シイタケ流出ー(7)
おさかなラボ : 小女子(こうなご)(8)
ストロンチウム - Wikipedia(9)
2013年12月27日タービン建屋東側における地下水および海水中の放射性物質濃度の状況等について(PDF 1.15MB)(10)
気象庁 | 過去の気象データ検索(11)(6)中の「福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果(南放水口・排水路) 」を集計
(12)
めげ猫「タマ」の日記 トリチウムは放射性水素(13)
めげ猫「タマ」の日記 女の子が多い福井県おおい町の子供達(14)
めげ猫「タマ」の日記 トリチウムの放出量が多いほど男の子が少なくなる福井県(15)
第3回特定原子力施設監視・評価検討会汚染水対策検討ワーキンググループ|会議|中の「資料1H4タンクエリアにおける漏えいについて[東京電力]【PDF:2.0MB】」
(16)(3)中の「福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果 (H4エリア周辺)」を集計
(17)
地下水バイパスの取り組みについて~汚染水を増やさないために~|東京電力(18)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(9月1週)―地下水バイパス破綻-(19)(3)中の「福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果(揚水井) 」
(20)
[PDF]PDF(1.3MB) - 産業技術総合研究所
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- 2013/12/29(日) 20:25:08|
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