環境省は2015年(来年)1月を目途に東京電力福島第一原発事故に伴う除染で出た土壌などを搬入する中間貯蔵施設の整備し、稼働させれる計画を進めています(1)。環境省は昨年(2013年)12月14日、福島県、大熊町、双葉町、楢葉町に受け入れを要請したそうでが(2)、現始点(1月8日)ではどこからも受け入れ受諾の回答はありません。当初の予定では2012年1月から、用地買収のための測量が始まる計画でしたが、これからです。福島県知事は新年の会見で県は受け入れの可否判断に向けて関係部局長による検討組織を新設し、3月までに一定の方向性を示したい考を示したそうです(3)。決まるのは1年3ヶ月遅れの2014年4月以降になるのが決定的になりました。
福島原発事故では広島原爆10個分に相当するセシウムなど、大量の放射性物質がフクシマにばら撒かれました(4)。このため色々な影響が出ています。福島県が発表したものだけでも、子供の肥満(5)、体力低下(6)、合計特殊出生率の低下(7)などがあります。このためばら撒かれた放射性物質を回収し隔離する「除染」を行っていますが、うまくいっていません。
隔離した放射性物質(除染廃棄物)はどこかに保管するしなくてはなりません。当初の予定では「仮置き場」を作り、中間貯蔵施設ができるまで一時保管する計画ですが、「仮置き場」がありません(8)。除染で集めれた放射性物質はそのまま敷地に放置されます。環境省の発表(9)や福島県の地方紙の福島民報の報道(10)を集計すると
2013年7月末現在で、住宅の除染について(=^・^=)なりに集計すると
計画戸数 253,556戸
実施済み 45,233戸(計画の18%)
除染廃棄物を現地保管 21,211箇所(実施済みの47%)
になります。原発事故から2年半たった段階も除染は2割以下しか終わっておらず、しかも半分では除染で集めた放射性物質をそのまま「現地」に放置しています。
特にこの傾向は都市部で強く、福島県最大の都市の郡山市では仮置き場がありません。ようやく一箇所作る計画が出来ましたが、場所は福島県の農林水産物を放射性セシウム検査をほぼ一手に実施している福島農業総合センターの当たりです。(=^・^=)は放射性セシウム検査場所に放射性物質を運込めば、検査に問題が生じる可能性が非常に高い思うのでが(11)、切羽詰っているのでしょう。
人口3位の福島市は
計画戸数 39,285戸
実施済み 12,345戸(計画の31%)
除染廃棄物を現地保管 13,553箇所(実施済全て)
で、除染で集めた放射性物質はそのまま「現地」に放置するみたいです。
福島市の除染マニュアルでは、除染で集めた放射性物質は運び出さずに、土に埋めるように記載しています(12)。

※(12)を抜粋
図ー1 福島市除染マニュアル(抜粋)
人口2位のいわき市では
計画戸数 49,011戸
実施済み 505戸(計画1%)
除染廃棄物を現地保管 7箇所(実施済みの1.4%)
で「除染」そのものが進んでいません。このことに住民は怒っているようで、去年に郡山市、いわき市、福島市で市長選挙があったのですが、現職が揃って落選しています(13)。
除染で回収した「放射性物質」を集積する中間貯蔵施設は福島復興のために絶対に必要な施設です。そこで2011年10月に「中間貯蔵施設」の工程表を発表しました(14)。発表から2年、現時点(2014年1月)では、用地取得が完了し、工事着手寸前までいっていなければなりません。でもこれから測量・用地買収、開発手続きなどが残っています。あとの工程が当初計画通り行くとしても、以下の通りになり、除染で集めた放射性物質の搬入が始まるのは2016年3月以降になると思います。

※(14)より作成
図ー2 中間貯蔵施設の工程表と当初と実績および最速の場合の見込み
以下に、大熊町および双葉町に設置を要請している中間貯蔵施設の配置を示します。

※(15)より作成
図―3 中間貯蔵施設の配置
双葉町や大熊町は町の中心部がほぼ中間貯蔵施設に占拠される構造です。とても人が住める状態ではないと思います。中間貯蔵施設の受け入れは、帰郷をあきらめることだど思います。大熊町や双葉町の方々の決断にはそれなりの時間が必要です。実際はもっと遅れると思います。
帰還をあきらめてもらうのを後押しするためでしょうか、当面、帰還が無理な地域の方には一括して「700万円を支払い、精神的損害に対する賠償はこれで事実上の打ち切りになるとみられる」との報道がありました(16)。長期に帰還できない方には一時金700万円を渡し、精神損害の賠償はこれで打ち切りどこでも好きな所にいってくださいとの内容です。
以下に大熊町町民の帰還の意向の割合を示します。

※(17)を集計
図―4 大熊町町民の帰還希望者の推移
時が経つにつれ、帰還希望者が減り、帰らないとする方は増えています。帰還希望者がほぼいなくなれば、中間貯蔵施設の受け入れも可能かとも思いますが、もう少し時間がかかると思います。その代わり、大熊町や双葉町の「復興」はなくなり「消滅」が現実化します。
<余談>
福島原発難民は迫害にあっているようです(18)。そのためでしょうか?原発難民の身分を隠そうとする人もいるみたいです(19)。一方、福島県民の6割の方は中間貯蔵施設に賛成だそうです(20)。中間貯蔵施設の設置が計画されている3町(双葉町、大熊町そして楢葉町)(2)の方が中間貯蔵施設に結論を先送りしたり、拒否したりしたら「迫害」が酷くならないか心配です。なんか「お前らが拒否するから除染ゴミが無くならない」なんて落書きが仮設住宅にでてきそうです。
今、原子力規制委員会では原発の安全審査が行われています(21)。どうも夏までには高浜原発が再稼働しそうです(22)。でも、もし原発が事故れば古里はなくなることを考えて欲しいと(=^・^=)は思います。多くの原発難民は「迫害」に耐え切れなくなると思います。
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
PDF] 中間貯蔵施設の整備に係る工程表 [PDF:272KB](2)
中間貯蔵施設受け入れ要請 政府 19平方キロ国有化提示 | 県内ニュース | 福島民報(3)
可否判断へ検討組織 中間貯蔵施設建設で 佐藤知事、月内新設を表明 | 県内ニュース | 福島民報(4)
めげ猫「タマ」の日記 福島を襲った放射線セシウムは広島原爆10個分!でも全体の12分の1(5)
【子どもの肥満改善されず】 運動不足...健康が心配 学校 機会拡大に全力 保護者 体動かせる場を | 東日本大震災 | 福島民報(6)
男女とも平均下回る 小5、中2全国体力テスト 原発事故影響続く | 県内ニュース | 福島民報(7)
めげ猫「タマ」の日記 福島県の合計特殊出生率がダウン―福島原発事故の影響、福島テレビ!―(8)
郡山で除染仮置き場初設置 県有地 来年度早期に完成 | 県内ニュース | 福島民報(9)
除染実施区域の概要・進捗|除染情報サイト:環境省(10)
現場保管2万3806カ所 県内除染土壌 前回調査から倍増 7月末現在 | 東日本大震災 | 福島民報(11)
めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(12月)―福島の検査場に除染ゴミー(12)
福島市ふるさと除染実施計画<第2版>を策定しました - 福島市ホームページ(13)
めげ猫「タマ」の日記 福島県の市長選は現職3連敗―福島原発事故被害は忍耐を超える?(14)
環境省_原子力発電所事故による放射性物質対策(15)
除去土壌等の中間貯蔵施設の案等について|除染で取り除いた土壌等の管理|除染情報サイト:環境省精神的損害に対する賠償はこれで事実上の打ち切りになるとみられる。
(16)
700万円、東電が追加賠償 原賠審が新指針 | 県内ニュース | 福島民報(17)
町民アンケート結果 - 大熊町復興サイト(18)
めげ猫「タマ」の日記 軋轢を生む福島原発難民!(19)
みんゆうNet 原発災害・「復興」の影-【7】生活再建“弾まぬ心” 賠償金で…他人の目気にし家新築(福島民友ニュース)(20)
めげ猫「タマ」の日記 福島は6割賛成 沖縄は6割反対―安倍出戻り内閣の迷惑施設(21)
新規制基準適合性に係る審査|政策課題|原子力規制委員会(22)
高浜原発:「夏までに再稼働も」…規制委委員が言及 - 毎日新聞
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- 2014/01/09(木) 20:45:55|
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