東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづき(1)、今週(1月18日から24日)もしっかりトラブルが起こっています。
1.3号機に謎の流水
1月18日午後2時40分頃に福島第一原発3号機原子炉建屋で瓦礫撤去用ロボットのカメラが3号機原子炉建屋1階の床の排水口に幅約30cmで流れ込んでいるのをとらえました。どこから流れてくるか分からないそうです。

図―1 3号機の床を勢いよくなら流れる謎の水
以下に水の見つかった位置と流れの方向を示します。

※(3)より作成
図ー2 「水」の流れと位置
水からは、1リットル当たり
セシウム134 70万ベクレル
セシウム137 170万ベクレル
全ベータ 2400万ベクレル
の放射性セシウムが見つかっています(10)。当初は1時間当たり1.5トンの割で流れていたのですが、その後に流れが小さくなったそうです(10)。瓦礫撤去作業中に見つかった水ですので、瓦礫で止められていた水が瓦礫を除くことで一気に流れだした可能性もあると思いますが、瓦礫撤去作業が進めば他でも同じ事が起きる可能性があると思います。今回は地下に流れました建屋の外には出てないみたいです(3)が、今後は建屋の外にでることがあるかも知れません。
2.今週も湯気
先週に続き(1)、先週に続き、熱末も新年早々にも福島第一原発3号機原子炉建屋5階中央部からの湯気が出ています。
①1月18日午前8時20分頃~19日午前8時15分頃(2)(6)
2014年1月は2日、9日、16日と18日の4回になります(1)(2)。
の湯気が見つかっています。以下にこれまでの湯気の月別発生回数を示します。

※1 先週までの実績(1)に今週分(2)を追加
※2 2014年は1月24日まで
図―3 福島第一原発3号機の月別湯気発生回数
以下に東電発表の動画をキャプチャーして作成したGifアニメを示します。

※1(6)をキャプチャーし作成
※2 2倍のスピードで早送りしています。
図―4 福島第一原発3号機から舞い上がる「湯気」
3.除染作業で作業員が汚染
1月20日に福島第一原発で除染作業中に作業員が全面マスクのガラス内側が曇ったことから、全面マスク内に指を差し込み、曇りを拭き取っり、その後に休憩所に戻り検査したら、顔面(頬)および口内に放射性物質が付いているのが見つかりました。ただちに作業員の顔面および口内に付着した放射性物質の除染を行ったのですが、ホールボディカウンタ(体内にある放射性物質を体外から測定する放射能測定装置)で調べたら0.38 mSvの被ばくする放射性物質が体内に取り込まれていることが分かりました(7)(8)。
除染作業をしていたのですから、放射性物質も手袋についているのが常識です。それで顔面を触れたり、口の中に入れたら汚染されるのは当たり前です。そんな基本的な知識もない方が作業されているのですかね?福島第一原発って大丈夫ですかね?
4.交通事故
1月21日午後0時10分頃、福島第一原子力発電所5,6号機西側道路で、トラック運転中の下請けさんがハンドルを取られて水道管にぶつかっていまいました。その後、東電社員様が確認しら、水漏れが見つかりました(8)。
なんで事故った下請けさんでなく、別の東電社員様が確認に行ったかの説明はありませんが、ひょっとして下請けさんはトラブルを起こしても余計な事(現場確認とか応急処置)はするなと言われてたりして。だとすると福島第一原発は相変わらず危険な場所ですね・・。
今回は水道管でしたが、これが汚染水の配管にぶつかっていたら大変な事になるところでした。福島第一原発の運転手さんに「安全運転」をお願いします。
5.モバイルROから汚水漏れ
福島第一原発では、事故直後に「冷却」の為に海水を使い、冷却水に塩分が混じってしまいました。冷却水から塩分を取り除くためにモバイルRO装置を使用しています(11)。しかし、この装置はトラブル続きでした(12)。

※(12)を転載
※全て2012年の記録
図―5 2012年の「モバイルRO」トラブル履歴
1月19日午後7時5分頃、4号機使用済燃料プール代替冷却系に接続設置しているモバイルRO装置が、「塩分除去装置ユニット漏えい検知」警報との警報を出しました。周りを調べたらモバイル塩分除去装置を積載している車輌上の堰内に2箇所の水溜まり(約1m×約1m×深さ約3mm、約0.3m×約0.3m×深さ約1mm、2箇所合計の漏えい量は約3.1リットル)の汚染水漏れが見つかったそうです。漏れた汚染水からは1リットル当たり
・セシウム134:2200ベクレル
・セシウム137:8100ベクレル
・コバルト60: 6600ベクレル
・マンガン54: 430ベクレル
の放射性物質が見つかりました。警報が出た時、装置は止まっていたそうです(7)。止まっていてもトラブルを起こすモバイルRO装置は凄いと思います。なおこの装置は、汚染水タンクを囲む堰から汲み上げた汚染水の処理に使うそうですが(12)、大丈夫ですかね?
6.油漏れも
先週に続き(1)、今週も確り油漏れが起こっています。1月23日午後1時50分頃、福島第一原発に仮置きしていた建設機械が油漏れを起こしているのを、パトロール中の東電社員様が見つけました。油はアスファルト上に約50cm×約50cmに広がっており、消防本部へ通報したそうです。
7.堰からくみ上げた汚染水は流します。
トラブルではないかもしれませんが、東京電力は福島第一原発の汚染水タンクを囲む「堰」からくみ上げた汚染水を5項で記載したトラブル続きのRO装置で処理したあと、流してしまう計画を発表しました(12)。
福島第一原発では2013年4月に地下貯水槽からの汚染水漏れが、その後、汚染水を保管するタンクからも汚染水漏れが発覚し、2013年8月末より汚染水タンクを囲む「堰」の弁を閉じて、万が一汚染水が漏れても「堰」で食い止めるようにしましたが、雨が降ると「堰」の中に溜まり、タンクから染み出た汚染水と混じり新たな汚染水を誕生させました。「堰」からの汚染水が溢れるトラブルが頻発したので、雨がふると「堰」の汚染水を汲み上げることにしました(14)。
「堰」からくみ上げた汚染水の1部はノッチタンクと呼ばれるタンクに保管してますが、
半分以上の汚染水は先に汚染水漏れを起こした「地下貯水槽」に保管されたままです。以下に「堰」からくみ上げた汚染水の保管状況を示します。

※1 (12)とgoogle mapから作成
※2 (Bq/l)は1リットル当たりのベクレル数
図―6 「堰」から汲み上げた汚染水の保管状況
「堰」の汚染水は1リットル当たり99~2100ベクレルのストロンチウム90が含まれていまが、総量は6500トン(地下貯水槽3500トン、ノッチタンク3000トン)になります。この汚染水をRO装置で不純物をを取り除いて排水する計画を1月24日までに原子力規制庁に実施計画を申請しました(12)。
8.地下道(トレンチ)とタービン建屋は繋がっている。
福島第一原発のタービン建屋からトレンチと呼ばれる地下道が伸びています。そこに配管が出ているのですが、今は汚染水が溜まっています。そこで汚染水を浄化する装置を付けて、放射性物質濃度を下げる操作をしています。結果は1cc当たりでセシウム137の濃度が
3号機側のトレンチ2万2800ベクレルから794ベクレル
に下がったのですが、
2号機側のトレンチ17万4000ベクレルから2万5700ベクレル
しか下がりませんでした(15)。これについて原子力規制委員会は1月24日に「(汚染水は)タービン建屋に起源がありそうだ。もともと水をためるものではないから、ある程度疑うのは自然だ」と指摘したそうです(16)。
9.ストロンチウム90の測定で東電が謝る
福島第1原発の港湾内の海水や観測用井戸の地下水に含まれる放射性ストロンチウムについて、昨年6~11月までの半年間に採取した約140件の測定値を公表してませんが、その理由を東電は「測定結果に誤りがある可能性があり、公表していなかった」と説明しているそうです(17)。そして原子力規制委員会への報告もしなかったそうです。これについて 規制委の更田委員は「解釈しづらい分析結果であっても公表すべきだ」と指摘され、東電の姉川尚史常務執行役は「マネジメントが徹底できておらず申し訳ない」と謝ったそうです(16)。
<余談>
今週も長くなってすいません(__)。でもそれだけトラブルが多いんです。
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(1月3週)―シールをはがして汚水漏れ―(2)
2014年1月18日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】 (3)
2014年1月18日3号機原子炉建屋1階主蒸気隔離弁室近傍における水漏れについて(PDF 81.2KB)(4)
東京電力 写真・動画集| 3号機原子炉建屋1階主蒸気隔離弁室近傍における水漏れについて(5)
2014年1月19日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】 (6)
映像|写真・映像ライブラリー|東京電力中の「報道配布2013年」⇒「2013/7/18 福島第一原子力...」
(7)
2014年1月20日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】 (8)
2014年1月21日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】 (9)
第10回特定原子力施設監視・評価検討会汚染水対策検討ワーキンググループ|会議|(10)(9)中の「資料73号機原子炉建屋 1 階主蒸気隔離弁室付近から床ドレンファンネルへの水の流れについて[東京電力]【PDF:350KB】別ウインドウで開きます」
(11)
(モバイルRO) による原子炉ウェル側の塩分除去 - 東京電力(12)(9)中の「資料2最近の汚染水タンク・堰からの漏えい事象の原因と対策状況について[東京電力]【PDF:19.8 MB】」
(13)
2014年1月23日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】(14)
めげ猫「タマ」の日記 勝手に福島原発十大トラブル(15)(9)中の「資料3主トレンチ凍結止水工事の進捗状況について[東京電力]【PDF:1.72MB】」
(16)
タービン建屋も汚染源か 第一原発の汚染水拡散 規制委指摘 | 県内ニュース | 福島民報(17)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(1月2週)―雨が降らないのに雨漏り-
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- 2014/01/26(日) 22:00:18|
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