福島第一原発の1月4週(1日20日から1月27日)の状況をまとめてみました。先週に続き高濃度の汚染水が見つかっています(1)。
①外洋2カ所などがらストロンチウム90由来(2)の全ベータやセシウム
②海岸近くのNo1-16井戸から1リットル当たり310万ベクレルの全ベータ
③海岸近くのNo0-2井戸から1リットル当たり5,600ベクレル

※1 東京電力の発表(4)(6)を元に作成
※2 値は1リットル当たりのベクレル数
図―1 1月3週発表分の最高値
1.外洋から放射性物質
東京電力の発表によると、港湾外側の2カ所の海水から、ストロンチウム90に由来する全ベータなどの放射性物質が見つかりました。海水1リットル当たりで
北側の5、6号機放水口北側(1月20日採取)
全ベータ 11ベクレル
南側の南放水口付近(1月20日採取)
セシウム137 2ベクレル
全ベータ 14ベクレル
です(6)。以下に南側の南放水口付近の海水の放射性物質濃度の推移を示します。

※(6)(7)より作成
図―2 南側放水口付近の海水の放射性物質濃度推移
これまでなかったストロンチウム90由来の全ベータが見つるようになりました。
2.海岸の井戸から310万ベクレルの全ベータ(新記録)
海岸の近くに掘られたNo1-16井戸から1リットル当たり310万ベクレル全ベータに汚染された汚染水が見つかっています(11)。新記録です。以下にNo1-16井戸の全ベータの推移を示します。

※(7)(8)より作成
図ー3 No1-16井戸の全ベータ推移
どんどん上昇している感じです。図―1を見てわかる通り、この井戸は海の傍にあります。そのうち、海に流れ出しような(あるいは今も流れだしているかも)気がします。先週から外洋で全ベータが見つかるようになっています。
3.トリチウム濃度が上昇中
トリチウムは放射性水素で実態としては放射性の「水」として存在します。これについて東京電力は1リットル当たり6万ベクレルまで問題ないとしています(3)。(=^・^=)の計算ではエネルギーはセシウム137の30分の1程度ですし、殆どが水ですので、摂取しても体の外に直ぐに出るとしています。
一方、トリチウムは放射性セシウムやストロンチウム90と異なり、DNAに取り込まれる危険があり、シーベルトで測った同じ被ばく線量でも影響が大きいとの意見もあります(9)(10)。(=^・^=)はどっちが分かりませんが、とりあえずトリチウムの濃度が上昇している井戸水があるので報告します。
福島第一原発では今年(2013年)8月に汚染水タンクから300トン程の汚染水漏れが発覚しました(11)。そこで、汚水漏れを起こしたタンクの傍に井戸を掘って地下水の放射性物質濃度を監視しています(12)、その井戸の1つのE-3でトリチウムの濃度がじわじわ上昇しています。以下にトリチウム濃度が上がった井戸と最高濃度を示します。
E-3井戸では、これまでの最高の1リットル当たり2600ベクレルのトリチウムが見つかりました。

※(12)を集計
図ー4 E-3井戸のトリチウム濃度推移
この井戸の海側(下流)には地下水バイパス用の井戸があります。地下水バイパスは、福島第一原発の汚染水対策として原子炉建屋に侵入する前の地下水を事前に汲み上げ汚染水の発生を抑えようとするものです(13)が、山側(上流)で汚染水漏れが起こり事実上破たんしてます(14)。勿論、地下水バイパス用井戸のトリチウム濃度も高いままです。

※(15)を集計
図―5 地下水バイパス用井戸No12のトリチウム濃度推移
東京電力は地下水バイパスをなんとか動かそうしているようです(16)が、上手くいくですかね。
海岸の傍にNo0-2井戸があります。この井戸のトリチウムも上昇中で1リットル当たり5,600ベクレル(新記録)に達しています。以下に推移を示します。

※(7)を集計
図―6 No0-2井戸のトリチウム濃度推移
<余談>
東京電力は昨年(2012年)7月22日に福島第一原発から今も海へ汚染水漏れが継続していることを発表しました(17)。それから半年近く経って、東電様が実施した対策に効果があったか(=^・^=)なりに気になるところです。もし汚染水漏れ対策に効果があるなら、海水中の放射性物質濃度は下がるはずです。以下に「物揚場前」の海水の放射性物質濃度の推移を示します。

※(7)より作成
図ー7 物揚場前の放射性物質濃度推移
(=^・^=)目には、下がっているようには見えません。それどころか、福島第一原発港湾内で捕まえたシロメバルから、基準値の1000倍以上の1キログラム当たり
11万1000ベクレル
の放射性セシウムが見つかったそうです。

※(18)より作成
図―8 福島第一原発港湾内のシロメバルの放射性セシウム濃度推移
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(1月3週)―海岸近くの井戸から270万ベクレル-(2)
めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(3)
めげ猫「タマ」の日記 トリチウムは放射性水素(4)
報道配布資料|東京電力(5)
福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果(6)(5)の「1.海水(港湾外近傍)」の1月27日付発表(1月27日に閲覧)
(7)
2014年1月24日タービン建屋東側における地下水および海水中の放射性物質濃度の状況等について(PDF 1.43MB) (8)(5)の「3.地下水(1~4号機護岸)」の1月27日付発表(1月27日に閲覧)」
(9)
めげ猫「タマ」の日記 女の子が多い福井県おおい町の子供達(10)
めげ猫「タマ」の日記 トリチウムの放出量が多いほど男の子が少なくなる福井県(11)
第3回特定原子力施設監視・評価検討会汚染水対策検討ワーキンググループ|会議|中の「資料1H4タンクエリアにおける漏えいについて」
(12)(4)中の「福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果 (H4エリア周辺)」を集計東京電力]【PDF:2.0MB】」
(13)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(12月2週)―180万ベクレル-(14)
地下水バイパスの取り組みについて~汚染水を増やさないために~|東京電力(15)(4)の「福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果(揚水井)」を集計
(16)
第一原発の地下水バイパス計画 国と具体的に協議 東電常務が方針 | 県内ニュース | 福島民報(17)
2013年7月22日海側地下水および海水中放射性物質濃度上昇問題の現状と対策(PDF 1.43MB)(18)
めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(1月4週)― 一昨年500ベクレル、でも去年の検査は2件の南相馬市産大豆ー
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- 2014/01/27(月) 20:29:19|
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| コメント:1
こういう風に日付で統計立てて見させられると本当にヤバいって分かりますね。有難うございますm(. .)mそれにしても全部1ℓ当たりですもんねえ、、。500㎜ℓペットボトル2本かあ、、、。おい、海の水どんだけ掬えるんダよってツッコミたくなるなあ、、。
- 2014/01/27(月) 23:45:10 |
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- hotaka43 #mWyI0ZzU
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