東京電力福島原発はトラブルが多く、トラブル毎に記事にするは面倒なので、まとめて記事にしています。先週につづき(1)、今週(2月15日から22日)もしっかりトラブルが起こっています。
1.汚染水対策で汚染水100トン流出
福島第一原発で汚染水を貯めているタンクから2013年8月19日に300トンの汚染水もれが発覚しました(2)。そこで堰に汚染水が漏れても外に出ないようにタンクの堰の弁を閉めて外に漏れないようにしました(3)。すると堰内に雨水が溜り、従前の放射性物質と混じり放射性物質を含む汚染水となって堰から溢れでたり(4)、割れ目から漏れるなど(5)(6)、堰を経由して汚染水が漏れるようになりました。

※(6)より転載
図ー2 タンクを囲む堰から流れでる汚染水(H5エリア)
そこで堰に雨水が溜まらないように、雨どいをタンクにつけ、タンクの上に降った雨水が堰の外に出るようにしました。

※(7)引用
図―3 タンクに取り付けられた堰
そしたら雨どいを経由して汚染水が漏れました。詳細は以下の通りです。
①2月19日午前、人為的な操作によってタンクから汚水が漏れるように弁の設定が変更され、汚染水漏れタンクの水位が上昇
②2月19日14時過ぎ 汚染水漏れを起こしたタンクに取り付けられていた「水位計」が異常を示す「警報」を出すが、東電社員様は装置の異常と断定
③2月19日23時過ぎ タンクパトロールをしていた下請けさんが汚染水がタンクの上から漏れているのを発見
④2月20日午前0時過ぎ 汚染水が汚染水対策のために設置した雨どいを伝って堰の外へ漏れいるのを確認
⑤2月20日午前1時過ぎ 本来しまっていなければならない3つの弁のうち2が空いたままになっているのを確認し、大急ぎで締めた。

※(8)を引用
図―4 空いたままになっていた弁
以下に汚染水漏れの様子と汚染水漏れを起こしたタンクを示します。

(a)地面に漏れた汚染水 (b)汚染水漏れを起こしたタンク
※(9)より転載
図ー5 漏れた汚染水と汚染水漏れを起こしたタンク
また以下に汚染水の漏れルートを示します。

※(9)より転載
図―6 汚染水の漏れたルート
漏れた汚染水にはストロンチウム90由来の全ベータ(10)が1リットル当たり
2億3千万ベクレル
含まれており、この水を使って生活すると1日で半数の人が無くなります(9)。もれた汚染水の総量は100トン(2)で、1人1日に1.5リットルの水が必要ですので(11)、およそ7万人分です。
福島原発のトラブルをみていると、一つの問題が片付くとまた別の問題が出てくるような気がします。汚染水の問題をみていると特に思います。
① 海に汚染水漏が漏れる
② 汚染水をタンクに汲み上げて保管
③ タンクから汚染水が漏れる
④ タンクの周りの「堰」の弁を閉め、汚染水を「堰」に閉じ込める
⑤「堰」から汚染水が溢れる(以上は(12))
⑥「堰」に雨水が溜まらないように「雨どい」を作る。
⑦「雨どい」を伝って汚染水が漏れる。
⑧ 新たな対策を取る
⑨ 新たな対策によって、また汚染水が漏れる。
⑩ いたちごっこが永遠に続く
2.その他の汚水漏れ
以下に2月3週汚水漏れを起こした場所を示します。

図―7 福島第一原発汚水漏れマップ(2月3週)
①2月15日12時45分頃、福島第一の高台にある原子炉を冷やす為に汚染水から回収した水を貯めるタンクを囲む堰に、溜まった雨水を仮設水中ポンプにで移そうとしたら、移送配管の継ぎ目がから水漏れをおこしました。
12時59分に仮設水中ポンプを止めたそうです。
漏れた汚染水は約1.7トンで、1kg当たりで
セシウムが66~100ベクレル
ストロンチウム90が11~19ベクレル
だそうです(13)(14)
②2月16日午前9時15分頃および午前11時20分頃(1日に2回)、H5タンクエリア堰内の汚染水が堰から最大19.2トン漏れました。汚染水から1リットル当たり23ベクレルのストロンチウム90が含まれているそうです(15)(16)。
③2月16日22時51分頃、3号機タービン建屋1階にあるタービン建屋補機冷却系ポンプエリアの漏えい検知器が動作したことを示す警報が出たので、調べたら検知器の周りに約20m×約30m×高さ約3cmの水溜まりが見つかりました。この汚染水からは1リットル当たり
セシウムが5万4千ベクレル
全ベータが5万1千ベクレル
みつかっているそうです(15)。
3.温度計を壊した―残りは1個―
福島第一原発では「温度計」を使って原子炉内の温度を確認しています。2号機圧力容器の底にはこれまで2個の温度計がありました。

※(19)より作成
図-8 福島第一原発2号機原子炉圧力容器の温度計の配置
2月18日に、そのうち1個を壊してしまいました。温度計を点検するために電圧をかけて抵抗を測定するのですが、本来は100Vの電圧を加えるのですが、250Vの電圧を加えてしまいました。そしたら温度計とデーコーダーを繋ぐ電線がショートしてしまい温度計が使えなくなりました。

※(19)より作成
図ー9 温度計の壊した模式図
これで残りの温度計は1個になりました。2号機ではいくつもの温度計が壊れています(20)。残り1個の温度計が壊れたらどうすんですかね!東京電力は代わりの温度計を設置するとしていますが、時期は明示していません(19)。
<余談>
100トンの汚染水漏れが発覚した2月20日に福島県では「第17回廃炉安全監視協議会」が開催されました(21)。その資料を見ると、汚染水対策の一つとして「タンクへの雨どい設置」があります。

※(22)より抜粋
図ー10 第17回廃炉安全監視協議会
雨どいを伝って汚染水漏れをおこしたに、どのように有効性を説明したんですかね?東電の担当者は「大変」、それとも「なれっこ」?
トラブルだらけの福島第一原発、いつか大トラブルがおこらないと良いのですが。それにしても福島のお魚は大丈夫ですかね。来月(2014年3月)から福島県いわき市沖の沿岸でイシカワシラウオやコウナゴの漁(試験操業)が再開されるそうです(23)。

※(24)を転載
図―11 いわき市産クロダイの放射性セシウム濃度の推移
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(2月2週)―福島原発も凍えます-中の「資料1H4タンクエリアにおける漏えいについて[東京電力]【PDF:2.0MB】別ウインドウで開きます」
(2)
第3回特定原子力施設監視・評価検討会汚染水対策検討ワーキンググループ|会議|(3)
10 月 15 日受領 - 原子力規制委員会(4)
福島第一原子力発電所タンクエリア堰内からの溢水について|東京電力(5)
めげ猫「タマ」の日記 トラブルいっぱい!福島原発(12月4週)―雨が降れば堰から汚染水漏れ-(6)
めげ猫「タマ」の日記 福島第一原発汚染水(12月3週)―外洋からストチウム90由来の全ベータ-(7)
福島第一原子力発電所汚染水対策の対応 - 東京電力(8)
東京電力 写真・動画集| 福島第一原子力発電所 H6エリアタンク上部天板部のフランジ部からの水の漏えいについて(9)
めげ猫「タマ」の日記 NHKの嘘報道―漏れた汚染水は「最大」2億4千万ベクレル(10)
めげ猫「タマ」の日記 全ベータはストロンチウム90由来の放射性物質(11)
水と健康「水の飲み方は大切」 水大事典 水と生きるSUNTORY サントリー(12)
めげ猫「タマ」の日記 勝手に福島原発十大トラブル(13)
2014年2月15日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時30分現在】(14)
2014年2月17日福島第一原子力発電所高台原子炉注水用バッファタンクエリア堰内の雨水移送に伴う水漏れについて(訂正版)(PDF 129KB) (15)
2014年2月16日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】(16)
2014年2月17日福島第一原子力発電所H5タンクエリア堰からの雨水の漏えいについて(PDF 209KB)(17)
2014年2月17日福島第一原子力発電所の状況について(日報) 【午後3時現在】(18)
「平成25年度第15回 福島県原子力発電所の廃炉に関する安全監視協議会」における当社資料のご説明について|東京電力(19)(18)中の「・福島第一原子力発電所2号機原子炉圧力容器底部温度計 (TE-2-3-69R)の監視除外について(PDF 153KB)」
(20)
めげ猫「タマ」の日記 2013年、新年早々トラブルいっぱい!福島原発―また温度計故障-(21)
福島県ホームページ - 組織別 - 第17回廃炉安全監視協議会(22)(18)中の「・福島第一原子力発電所 汚染水問題に対する予防的・重層的な追加対策(PDF 1.55MB)」
(23)
いわき沿岸試験操業決定 シラウオ、コウナゴ漁で開始 (福島民友新聞) - Yahoo!ニュース(24)
めげ猫「タマ」の日記 食品中の放射性セシウム検査のまとめ(2月3週)―仙台湾(宮城)より低い双葉町(福島原発沖)のマダラのセシウムー
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- 2014/02/23(日) 20:55:16|
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