文部科学省は2月28日づけで、 新しい「放射線副読本」を公表しました(1)。その内容を見たのですが、野菜や果物では基準越えが見つかっていないない(2)など、デタラメそのものでした。(=^・^=)が最も怒りを覚えた記述は前文の「福島県から避難した人々が避難先で差別を受けたり、小学生がいじめられたりしたという報道もありました。」との記述です。(=^・^=)の住む街ににも、福島原発事故後のそれなりの原発難民と少々の放射性物質がやってきました。でも「いじめ」なんて事は噂すら聞いていません。もし(=^・^=)の住む街の小学生がこの記述を見たら傷つくと思います。もっと傷つくのは、(=^・^=)の住む街で一緒に勉強している福島原発難民の子供達です。
「福島県から避難した人々が避難先で差別を受けたり、小学生がいじめられたりしたという報道もありました。」とあったので、その根拠を見たら、本文中の5ページに
「新聞報道等によりますと、原発事故のあった福島県からの避難者がホテルで宿泊を拒否されたり、ガソリンの給油を拒否されるといった事案のほか、小学生が避難先の小学校でいじめられるなどの事案があったとされております。
放射能の影響を心配するあまりなのでしょうが、根拠のない思い込みや偏見で差別することは人権侵害につながります。震災に遭あった人が、避難先で差別を受けたら、どんな気持ちになるでしょうか。 相手の気持ちを考え、やさしさを忘れず、みんなでこの困難を乗り越えていきましょう。
(平成 23 年 4 月 21 日 法務省人権擁護局)」
との記述です。まったく具体的な記述がありません。そこで(=^・^=)なりに調べてみました。
①法務省のHP(3)を見ると、この記述の後に
「震災の1か月後以降に地域で起こり得ることと予防的取組について」
と記載しています。全体をみれば、福島原発難民に対する人権侵害が起こったのではなく、起こる恐れがあるので注意を喚起する内容です。それをさも「いじめ」が起こったとの根拠するのはデタラメとしか言えません。
②「宿泊を拒否」は調べたら、法務省は数件の電話があったそうです(4)。その中に「福島から来たといったら宿泊を断られた」との事例があるそうです。だだし「福島から来た事を理由に宿泊を断られた」かは不明です。当時(2011年3月)の状況を考えると、福島県周辺の多くの宿泊施設も被災していたはすです。

※(5)をキャプチャー
図―1 震災で被災した茨城県のホテル
「福島から来た」と言わなくても、宿泊を拒否された可能性も否定できないと思います。
③「ガソリンの給油を拒否」は間違いなくあったはずです。福島原発事故直後は大変なガソリン不足に陥りました(6)。売るガソリンが無ければ「ガソリンの給油を拒否」しかないと思います。
④この種の事件で、わりと大きく報道されたのが茨城県つくば市の事例だと思います。
「東京の北東50キロに位置し、人口20万人を超えるつくば市は3月17日から4月11日にかけて、福島県からの転入希望者に放射線の影響を調べるスクリーニング検査の受診証明書の提出を求めていたほか、証明書を提示できない場合、消防本部や保健所で検査を受けて入手するよう求めていた。しかし、茨城県がつくば市への転入希望者から苦情を受けたことから、このような措置は先週停止されることになった。」(7)。
だたこれとて実態が不明です。(=^・^=)の街から少し離れた原発が事故って、避難者がやってきたら第一にする事は飲食物と休憩場所の提供ですが、第二する事は(もしできれば)衣服などに放射性物質が付着していないかを調べるスクリーニング検査です。せっかく逃げて来ても、放射性物質と一緒なら効果がありません。スクリーニング検査を受けていない方に受けることを勧めるような指示が出ていてもおかしくありません。今でこそ、多くの方が放射線の知識を持っていると思いますが、当時(2011年3月)はそれ程でもたいと思います。多少の窓口の混乱は避けられなかったと思います。でもスクリーニング検査を勧める事は絶対に実施しなければならない行為でした。
ただし福島県は酷いみたいです。
①福島県いわき市の市長が福島原発難民について「東京電力から賠償金を受け、多くの人が働いていない。パチンコ店も全て満員だ」と述べたそうです(8)。もっともこの市長さんは次の選挙で落選しました(10)。
②2012年のクリスマスの日に原発難民を中傷する落書きが福島県いわき市役所などの公共施設で見つかったそうです(11)。
③2013年1月8日から9日にかけて福島県の仮設住宅に止めてあった車7台がガラスを割られたり、ペンキを掛けられたりしたそうです(11)。
④2013年5月31日に原発難民が住んでいる福島県内の仮設住宅に花火が打ち込まれたそうです(11)。
そして福島県内に暮らす福島原発難民の方は「身分」を隠そうとしているそうです(12)。福島原発事故から3年たってやっと災害公営住宅の募集が始まります(13)。そしたら、福島県の地方紙の福島民報は2014年3月6日づけの社説で「【住民融和 震災3年】共生の約束事つくろう(3月6日)」との表題で「 東京電力福島第一原発事故に伴う長期避難者が住む県営住宅の入居者募集は4月に始まる。入居開始に備え、避難者と受け入れ地域の住民が共生できるルールづくりが欠かせない。」
との社説を記載しています(14)。原発難民と受け入れ先の住民の融和を社説に掲載しなければならない程に事態は深刻だと思います。
<余談>
福島原発難民に対するいじめが皆無だっと(=^・^=)は思いません。ただし、(=^・^=)の住む街を始め、多くの方々が福島原発難民の方を歓迎しています。1年ほど前、福島県からこれた方が、原発難民を偽装し避難用に県が借りた住宅をデリヘルの拠点に使う事件が発覚し逮捕されました(15)。原因は手続きを簡素化し、偽装が簡単にできるためだと思います。でも(=^・^=)の街では手続き厳格化などの議論は起きませんでした。こんな事は当初から想定されていたことです。手続きを厳格化して福島原発難民の方に不便をかけるデメリットの方が遥かに大きいからです。
でも新しい放射線副読本では曖昧(でっち上げ?)な根拠を元に「福島県から避難した人々が避難先で差別を受けたり、小学生がいじめられたりしたという報道もありました。」とまるで「いじめ」があちこちで起きているような書き方です。再度の記載しますが、(=^・^=)の住む街の子供達や一緒に勉強している福島原発難民の子供達は傷つきます。
この項に対応する本文は「(2)風評被害、いわれのない偏見・差別」の項にあります。
①「風評被害に関するアンケート調査では、「食品を買うことをためらう産
地を次の中から選んでください」という問いに対して、下のグラフのような調査結果が示されています。」と記載しその後、以下のようなグラフをつけ

※(1)をキャプチャー
図―2 福島県産を買わない人の割合
福島県産不買=風評被害
と強弁しています。
②そしてすぐ後に
「原子力発電所事故による放射線被曝について、放射線を受けたことが原因でその人が放射線を出すというような、いわれのない偏見や差別の問題も生じました。」
と多くの原発難民を受け入れた方がを愚弄するような記述を加え
福島県産不買=風評被害=差別
との印象を与えるようにしています。
③さらに
「 第2章で紹介するように、そのような科学的事実はありません。」
と、記載しています。第2章には福島県産の野菜や果物から基準を超えるセシウムが見つかっていないとゆう嘘のデータ(2)が載せてあります。
でも多くの方が福島産を買わないのは、福島産が安全である確信が持てないからです。嘘のデータ(2)を提示して「安全」と言われても信用できません。
福島県産不買=自己防衛
です。福島県産品が「安全」と言うのは行政やマスコミが流布する単なる安全神話です(15)。
このロジックの影に
原発は安全だから原発反対は差別
なんてロジックが見えてきます。
(=^・^=)の住む街は他の多くの街と同じように今も福島からの避難者を歓迎しています。
新しい「放射線副読本」のデタラメぶりは本稿だけではありません。これまでの記事と今後の予定を示します。
①
めげ猫「タマ」の日記 デタラメ、新しい放射線副読本その1―野菜・果物は基準超えなし―②デタラメ、新しい放射線副読本その2―いじめが起こった―(本稿)
次回は「全国の原子力発電所で運転が停止されたことにともなって、企業や家庭において電力の使用が制限される」なんて記述がるので検証したいと思います。
―参考にさせていただいたサイト様および引用した過去の記事―
(1)
新しい放射線副読本について:文部科学省(2)
めげ猫「タマ」の日記 デタラメ、新しい放射線副読本その1―野菜・果物は基準超えなし―(3)
法務省:放射線被ばくについての風評被害等に関する緊急メッセージ(4)
asahi.com(朝日新聞社):福島からの被災者、宿泊拒否しないで 厚労省呼びかけ - 東日本大震災(5)
茨城県北茨城市 二ッ島観光ホテル 3.11から9.1営業再開までの軌跡 - YouTube(6)
被災地、ガソリン不足が深刻に 避難・復旧作業にも影響 :日本経済新聞(7)
つくば市、福島県からの避難者に放射線検査を要求 - Japan Real Time - WSJ(8)
「原発避難者、働かずパチンコ」 いわき市長が発言 時事問題ブログ(9)
「原発避難者、働かずパチンコ」 いわき市長が発言 時事問題ブログ(10)
めげ猫「タマ」の日記 勝手に福島10大ニュース(11)
めげ猫「タマ」の日記 軋轢を生む福島原発難民!(12)
みんゆうNet 原発災害・「復興」の影-【7】生活再建“弾まぬ心” 賠償金で…他人の目気にし家新築(福島民友ニュース)(13)
4月から募集 県の災害公営住宅入居 | 県内ニュース | 福島民報(14)
【住民融和 震災3年】共生の約束事つくろう(3月6日) | 県内ニュース | 福島民報(15)
http://news.livedoor.com/article/detail/7417263/(16)
めげ猫「タマ」の日記 原発事故から1000日―拡大する福島安全神話
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- 2014/03/06(木) 20:21:04|
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文部科学省は2月28日づけで、 新しい「放射線副読本」を公表しました(1)。その内容を見たのですが、野菜や果物では基準越えが見つかっていないない(2)など、デタラメそのものでした。(=^・^=)が最も怒りを覚えた記述は前文の「福島県から避難した人々が避難先で差別を受けたり、小学生がいじめられたりしたという報道もありました。」との記述です。(=^・^=)の住む街ににも、福島原発事故後のそれな...
- 2014/03/13(木) 10:12:40 |
- 「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟@沖縄